大槻泉実

ふぁぼるぞ!

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ふぁぼるぞ!

記事一覧

(仮題)ギフト 第1節

「あれ……」 異変に気づいたのは、いつものようにショッピングサイトの欲しいものリストをチェックしているときだった。欲しいものがあるときはまずここに入れ、しばし寝…

大槻泉実
5年前

ももたろう

むかしむかし あるところに おじいさんとおばあさんがすんでいました あるひのこと おじいさんはやまへしばかりに おばあさんはかわへせんたくにいきました おばあさ…

大槻泉実
5年前

神の哲学

「まず始めに無が在った……いや、無がなかっ――違うな。何もなかった……いや……」 神は悩んでいた。神は何もなかった世界に天と地をつくり、光をつくった。そしていよ…

大槻泉実
6年前
1

大槻さんちのあいさつ

「やる気でんぬ」 大槻さんは人の顔を見るなり、ちょっとうっへりした様子でそう言った。 「でんぬ」 同じようにうっへりとしながらそう返す。これは挨拶のことばなのだ…

大槻泉実
7年前

クオリアの問題を抜きにしても、あなたの「赤い」とあの人の「赤い」は違うかもしれない。

※この記事では、諸般の事情により色が正確に表現されていない部分があることをご容赦されたい。 たとえば、こんな色があったとする。 あなたが「この色をもっと赤い色に…

大槻泉実
8年前

星になった男

かつて、星の魔力に魅入られた男がいた。 星の虜となって以来、男は来る日も来る日も星を生み続けた。 生み出された星は、また多くの人々を星の虜にした。 星の虜となっ…

大槻泉実
9年前

高校生だったころに書いた絵本、ここで再録するのありかもしれない。

大槻泉実
9年前

冷し中華とざるラーメンとつけ麺があるじゃん?
パンタロンとベルボトムとブーツカットがあるじゃん?
別に何の関係性もないじゃん。

大槻泉実
9年前
1

送り手になる恐怖

noteに登録してみて感じたのは、コンテンツの受け手から、コンテンツの送り手になることへの恐怖だった。 noteの作りや仕組みは、コミュニケーションよりもコンテンツの発…

大槻泉実
10年前
3

dAのギャラリーでスクラップばっかりが増えていく。

大槻泉実
10年前
1

なんか見知らぬヒトカラ突然送られてきたけどリャマバッジってなんだ!?

大槻泉実
10年前
1

入国申請書

大槻泉実
10年前

Twitterに現れないからといって他のいろいろなサービスで手当たり次第私にふぁぼを投げつけてくる皆さん……

大槻泉実
10年前
1

デザインの敗北

デザインの敗北、と呼ばれる何かがある。何年か前の「テプラを貼られたらデザイナーとして負けだよね」という有名デザイナーの誰かの言葉が元ネタだっただろうか。とにかく…

大槻泉実
10年前
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(仮題)ギフト 第1節

「あれ……」

異変に気づいたのは、いつものようにショッピングサイトの欲しいものリストをチェックしているときだった。欲しいものがあるときはまずここに入れ、しばし寝かせるのだ。そうして、欲しいという気持ちが収まらなかったり、あるいはぐっと価格が下がったりしたら買うというわけだ。SNSにも公開しているので、日々の物欲が丸出しになってしまうが、もしかしたら誰かが贈ってくれるかもしれないという淡い期待があ

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ももたろう

むかしむかし あるところに おじいさんとおばあさんがすんでいました
あるひのこと おじいさんはやまへしばかりに おばあさんはかわへせんたくにいきました

おばあさんがかわでせんたくをしていると かわかみのほうから
どんぶらこ どんぶらこ
と おおきなおおきな ももがながれてきました

おばあさんは ももをかわからひきあげようとひっぱりました
うんとこしょ どっこいしょ
うんとこしょ どっこいしょ

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神の哲学

「まず始めに無が在った……いや、無がなかっ――違うな。何もなかった……いや……」

神は悩んでいた。神は何もなかった世界に天と地をつくり、光をつくった。そしていよいよ自らの形を真似て人をつくった。

人らは神にとって、自らの信徒となるべき存在であった。しかるに神は、天地創造の神話を彼らに伝えんとした。

「つまり、世界があったのだが、そこには何もなかったのだ」

神は、すでに自身が混乱しはじめてい

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大槻さんちのあいさつ

「やる気でんぬ」

大槻さんは人の顔を見るなり、ちょっとうっへりした様子でそう言った。

「でんぬ」

同じようにうっへりとしながらそう返す。これは挨拶のことばなのだ。もう10年以上も昔から、彼はやる気が出ないときは決まってこの挨拶を使った。返し方もきちんと定められていて、自分もやる気が出ないときには先ほどのように「でんぬ」とうっへりしながら答える。うっへりどころかぐったりな時には「ぬー」とだけ答

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クオリアの問題を抜きにしても、あなたの「赤い」とあの人の「赤い」は違うかもしれない。

※この記事では、諸般の事情により色が正確に表現されていない部分があることをご容赦されたい。

たとえば、こんな色があったとする。

あなたが「この色をもっと赤い色にして欲しい」と言ったとしよう。

すると、ある人はこんな色を持ってくるかもしれない。

一方、別のある人はこんな色を持ってくるかもしれない。

両者は最初の色からそれぞれ逆向きに変化していて、似ても似つかない色なのだが、どういうわけかこ

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星になった男

かつて、星の魔力に魅入られた男がいた。

星の虜となって以来、男は来る日も来る日も星を生み続けた。

生み出された星は、また多くの人々を星の虜にした。

星の虜となった人々もまた、多くの星を生んだ。

そうして世界が星々であふれかえっても、男は満足しなかった。

食事を取る間も惜しみ、寝る間も惜しみ、命を削って星に造り替え続けた。

星の魔力に魅入られた男はもういない。

風の噂では男が失踪した日

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高校生だったころに書いた絵本、ここで再録するのありかもしれない。

冷し中華とざるラーメンとつけ麺があるじゃん?
パンタロンとベルボトムとブーツカットがあるじゃん?
別に何の関係性もないじゃん。

送り手になる恐怖

noteに登録してみて感じたのは、コンテンツの受け手から、コンテンツの送り手になることへの恐怖だった。

noteの作りや仕組みは、コミュニケーションよりもコンテンツの発信と発見、作品発表と購読というところに重点が置かれていて、適当にだらだら書き散らして、適当にリプライを投げ合うTwitterなんかとは全然性質が違った。そこで流通する主たるものは、「作品」なのである。

僕にとって、「作品」として

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dAのギャラリーでスクラップばっかりが増えていく。

なんか見知らぬヒトカラ突然送られてきたけどリャマバッジってなんだ!?

Twitterに現れないからといって他のいろいろなサービスで手当たり次第私にふぁぼを投げつけてくる皆さん……

デザインの敗北

デザインの敗北、と呼ばれる何かがある。何年か前の「テプラを貼られたらデザイナーとして負けだよね」という有名デザイナーの誰かの言葉が元ネタだっただろうか。とにかく、そういう考えがある。

しかし、敗北したデザインはそもそもデザインと呼べるのだろうか。

デザインというのは普通、何らかの目的の為に一定の機能を持っているものだ。ピクトグラムであれば、ある情報を言語に頼らず直観的に伝えるという目的の下、そ

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