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奈須正裕先生基調講演メモ@玉川学園K-12探究学習研究会(2023/10/28)

演題:「探究で深める生活の学びと教科の学び」
特に事例についてお話されるときは、なんだか落語でも聞いているような気分でした。以前、東京学芸大附属国際さんでお話を伺ったときとなんだか印象が違いました。

声出して笑ってしまったところなどを、メモしておきます。
万一、奈須先生が目にしたら「もっと本質的な話したはずだが」とおしかりを受けるかもしれませんが。

https://mmrc.tamagawa.jp/tankyu/wp-content/uploads/2023/07/tamagawaK-12tankyu_2023.pdf


◎特に印象に残ったことば

★「リサイクル工作は最悪。あんなものは探究ではない。単純なごみを、複雑なごみにする活動なので、絶対にやめてください。」
「ぼく(奈須先生)の本なんかいいから、デューイの『学校と社会』読んでください。」
★「科学の生活化、生活の科学化 ➡ 科学と生活の実践的融合」
 (生活との関係が見えることで教科を学ぶ意義を実感)
★「学校は、事実に基づき、科学的に思考し、民主的に議論して意思決定する場所」
★「今自分がいるところの問題を引き受けて考える」
★「単なる『生存』から脱却し、『生活』を創造できる生徒を育てる
  =自己の在り方生き方を考えることができるようになっていく」
★「気を確かにもって生きる!
  ➡「自己更新!」:昨日の自分より、今日の自分よりより良く!
★「科学は手段。
  その手段を使って、自分を大切に、周りを大切にする子供を育てる」
★「『わかっていた』つもりのことが『わからなくなる』のが探究の過程」
★「わからなくなった」ことを成長だと認められるか?
★探究による「世界観の転換」
 :素朴な概念理解を揺さぶり、切実な問いを生み出す。
★「そばづくりをしよう」などのように、単元名が活動・経験になっていれば、探究単元になりやすい。(そばづくりの経験 ➡(意図的な働きかけ)➡健康食品としてのそばへの関心や「なぜこの地域はそばづくりが盛んなのか」という問い)
★「そもそも教科・学問の知識も唯一絶対の正解はなく、暫定的な答え。
  心配しなくても、教科の内容は全て『本物』」
★教師が『見方・考え方』を徹底し、科学する姿を見せているか?
★「学ぶ方法は、文脈と共に学ぶ!」
 (「学びの文脈が本物の実践に近い➡学ばれた知識も本物になる」)

◎質疑応答記録

LiveQ質問

LiveQの質問、一番初めにお答えいただきました。
どこまで理解できたかどうか、自信はありませんが、、、

 自分が使った「概念的理解の実現」ということばは、奈須先生の資料では「概念的理解の修正・洗練・統合」と書かれていることだと理解してよいのかと思いました。
 子どもたちがもともと持っていた「素朴な概念理解」が揺さぶられて「修正・洗練・統合」されることが探究で目指すべきことだという主旨でした。
 例として、「川をきれいにする」という活動を通して、「環境問題が解決されるってどういうこと?」、「ボランティアって何?」、「豊かな暮らしって何?」などの切実な問いが生まれ、「環境負荷」・「持続可能な開発」といった「概念」が、「身体的な実感や具体的な景色を伴った意味として了解される」という説明が示されていました。

 評価については、「評価はしなくていいと思うけど、、、見取れば。」
とおっしゃっていたと思います。

    IBのMYPでも、「探究」を通して「概念学習」をする単元設計をします。単元前後で「概念的理解の修正・洗練・統合」が実現しているかどうかを見取って、単元のつくりが適切かどうかの検討材料のひとつとしたいと思います。

 IB教育でも重視する「概念理解」について、少し「わかりはじめてきたかな」と思っていたところに、「まだ、よくわかってないな」という理解はできました。

  ↑ こちらの質問についてのお答えは、このような感じでした。

 ネット情報もどんどん使って、それでも解決できない問いに向き合うことが大切。
 ファクトチェックできる力は大切。
 そのためには、ネット情報にだまされる(だまされたことに気づく)経験もたくさんすることが大切。
 

 他に、「高校数学が生活に役に立つという実感を持たせられるでしょうか?」という質問に対しては、「それを自分で考えるのが仕事でしょ」といったお応えの後、
「自分が教えている教科に興奮しているか? 面白がっているか? そういう姿を生徒に見せられているか?」というようなお話になった気がします。
 例として、斎藤孝先生が、小学生の前で『坊ちゃん』のお話をする前に、『坊ちゃん』を読み返して「漱石天才!」などと興奮した状態で舞台にあがっていかれた、大村はま先生が二度と同じ単元をしなかった、といったエピソードを紹介されました。


 「ぼくの本なんか読まなくてもいい」と言われましたが、読みながら、お顔と話しぶりを思い出すと思います。
 また直接のお話も伺いたいです。
 

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