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【社会科】なぜ土地を保護してもらう必要があったのか?御恩と奉公から当時の社会を考える。

どうも。いかたこです。

中学校で社会科の教員をしています。

noteでは、授業がより楽しくなるアイデア(授業のタネ)を発信しています。

今回のテーマは、御恩と奉公です。

御恩と奉公とは、鎌倉時代に、将軍とそれに仕える武士(御家人)との主従関係を作っていたものです。

テストに出るぞ!と言われやすい用語です。

それぞれの意味と確認してみましょう。

「御恩」:将軍は、御家人の領地を認めて保護したり、功績があったときには新しい領地を与えたりしました。

「奉公」:御恩を受けた御家人は、将軍に忠誠を誓い、戦いのときには一族を率いて将軍のために戦いました。

ベネッセ教育情報 定期テスト対策 中学社会
【中世(鎌倉時代~室町時代)】 封建制度のしくみ(御恩(ごおん)と奉公(ほうこう))

画像にすると、こんな感じです。(画像1)

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いわゆる、ギブ・アンド・テイクというやつですね。


さて、授業ではここまで説明した後に、1つの発問をしてみます。

御恩の説明には、「将軍は、御家人の領地を認めて保護したり」とあります。

御家人にとって、自分の功績によって新しい土地がもらえるというのは、とてもありがたいことであったように思えます。

しかし、御家人の土地は、先祖代々受け継いできたものなわけです。

なぜ御家人は、将軍に自分の土地を認めてもらい、保護してもらう必要があったのでしょうか?


簡単にまとめると、自分の土地を将軍に保護してもらう必要があるほど、土地争いが激しかったわけです。

平安時代の中で、朝廷の力が弱まり、土地や人を朝廷が管理できなくなってきます。

特に、朝廷の権力が届きづらい地方では、反乱が起きるなど治安が悪化していきます。

その結果、地方の有力な豪族などは、自ら武装をして自分の土地を守らなければならなくなりました。また、貴族も武装した者たちを雇って、自分の土地を守るようになっていきます。

このようにして、戦うことを専門とする武士が登場したとされています。

こう考えると、御家人たちが自分の領地を保護してもらおうとしたことも納得できます。


今回は、御恩と奉公から当時の社会を考えてみました。

御恩と奉公のように、土地を介した主従関係のことを封建制度といいます。

封建制度は、中国やヨーロッパの歴史の中でも見られる仕組みです。

フランク王国の分裂やノルマン人の侵入によって社会不安が高まった中世ヨーロッパにおいて、自らの土地や財産を守るための工夫として生まれたのが、封建制度でした。

Try It 【高校世界史B】「封建社会の成立」(練習編)

もちろん、日本の封建制度と異なる点もありますが、自分の土地や財産を守るための仕組みという点は共通しています。

現代社会でも、不動産登記によって、土地や建物が誰のものなのかを記録するもんなぁなんて思いながら、この記事を書いてみました。

最後までご覧いただきありがとうございました。

これからも授業のタネを発信していきます。お楽しみに。


(参考資料)

ベネッセ教育情報 定期テスト対策 中学社会
【中世(鎌倉時代~室町時代)】 封建制度のしくみ、御恩と奉公
https://chu.benesse.co.jp/qat/1024_s.html(最終閲覧日2023年7月1日)

Try IT(トライイット)
【高校世界史B】「封建社会の成立」(練習編)
https://www.try-it.jp/chapters-11354/lessons-11370/practice-3/(最終閲覧日2023年7月1日)

金谷俊一郎 著
金谷の日本史「なぜ」と「流れ」がわかる本【改訂版】原始・古代史
東進ブックス 2015年3月19日発行


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