黒木郁

だいたいエッセイ、たまに日記。3歳息子+0歳娘。noteは宝もの入れみたいな存在にして…

黒木郁

だいたいエッセイ、たまに日記。3歳息子+0歳娘。noteは宝もの入れみたいな存在にしておきたい。 「#この春やりたいこと」資生堂 Hand in Hand Project賞、「#あの失敗があったから」グランプリ。

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  • 子ども以外の私の話

    子育て以外の記事をまとめています。

  • はじめましての方に

    特に思い入れのある記事や、たくさん読んでいただいた記事をまとめました。よろしければこちらからどうぞ。

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ピンクのドレスが、私に教えてくれたこと

その昔、私はまぎれもなく、クラスで一番ダサい女の子だった。 物心ついた頃から、服を買いに行くのが苦手だった。 うちの母は、1000円で買ったクマのワッペンがついた毛玉だらけのトレーナーを何年も着潰しているような人で、その母と一緒に買い物に行っても、可愛い!似合う!なんて会話は皆無。ふたりして黙々と、端から値札をひっくり返しては見ているばかりだった。 「高い」と顔をしかめられるのがいやで、本当に欲しい服は選べず、もっぱら、パーティハウス(地方のしまむら的なお店)の山のように

    • 3月、青い壺と銀だらの西京焼き

      3月、有吉佐和子の「青い壺」を読んだ。 同じ和歌山にゆかりがあると知っているのに、今まで一冊もこの作者のものを読んだことがなかった。面白かった。 近頃「本屋大賞」の本を読むと、ストーリーやキャラクターで読者を楽しませようとするものが多い。 「青い壺」はそういうものとは毛色が違う。 ある陶芸家が焼き上げた最高傑作の「青い壺」。その周辺を生きる人々を描く連作短編だ。 かなり多くの人物が登場するけれど、どの短編に出てくる登場人物も生々しい。 小説の舞台は戦争前後の日本なのだけ

      • 娘のロンパースをメルカリで売った

        4月に入って急に断捨離熱が高まり、これまで手付かずだった、サイズアウトした子ども服や子供用品を片っ端から売りまくった。 ほとんど使わなかったプラスチックの哺乳瓶を売り、サイズアウトした息子の靴を売り、服を売った。 息子がこれ無しには寝られなかったスワドルアップを、ためしにオキシクリーンでつけてみると綺麗になったのでこれもまた売った。 毛玉もあるものだったけれど、存外すぐに売れた。 勢いが出てくるとハイになり、部屋中を見回して、ほかにも売れるものがないかと探した。 一読

        • 平野啓一郎『本心』、読み終わりたくない小説がある幸せ

          今週はずっと、平野啓一郎「本心」を読んでいた。 端的に言ってめちゃくちゃおすすめ。超いい。 ねえ誰か、わかりあえる人がいるだろうか。 死ぬほどいいからみんな読んでほしい。 と思ったけど、この小説を好きじゃないと言われると関係に亀裂を生じさせそうな勢いなので、すでに読んで好きだった人と語り合いたい。そんな小説。 ストーリーは上記サイトに譲りたい。 素晴らしいサイトだし、なんと3章までは無料で読める。 (そして私は本の要約がめちゃくちゃ苦手だ。) 平野啓一郎の文章は読

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        • 子ども以外の私の話
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        • はじめましての方に
          12本

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          1月、生ホッケの冷蔵庫干しを教わる

          長年家活をしてきたけれど、今月ついに土地の引き渡しを終え、地鎮祭が控えている。 米塩酒、野菜や果物など、地鎮祭では神様に備える為に必要な物がいくつかある。 せっかく神様にお供えするのだからいいものをと、まずは昆布とするめいかを買いに、地域で一番大きな魚屋に行った。 目当てのふたつを早々に見つけ、せっかくだからと、子どもらを連れて広い鮮魚コーナーをじっくりと歩いた。 対面販売コーナーではたっぷりの砂利氷の上に、所狭しと大きな鯛、いさき、ヒラメ、長い長い太刀魚が一本まるま

          1月、生ホッケの冷蔵庫干しを教わる

          俵万智で視界を洗う

          2人目を産んでから特に、使い物にならない頭に嫌気がさしている。 ぼんやりと靄がかかったように鈍く、この文章も7割、いや5.5割くらいしか、本当に言いたいことが言えていないような、 その言いたいことすらどこかにいってしまっていて、それにも気づいていないような不安感がある。 ごちゃごちゃ疲れ果てた週末をすぎ、何をしたらいいのかわからない月曜、書店にきた。 ゆっくりと座れるスタバがある書店で、まずはぐびぐびコーヒーを飲み、目についた俵万智の短歌集を手に取り、気がついたら泣いて

          俵万智で視界を洗う

          2024年にしたい10以上のこと。自分にいっぱい手をかけたい

          改めまして、明けましておめでとうございます。 ゆったりと過ごせる育休も残り半年近くになった。 私は辰年生まれの年女で、2024年はどの占いを見ても結構いい。 でも意識しすぎると荷が重くて、 「いい運気を活かせるような生き方をしていない!」 と、若干プレッシャーに感じてもいる。 私の今の生活は、ありがたいことに娘も割と穏やかで、こうしてnoteを書く時間も取れている。 とはいえ夜に2、3度は起こされるので、ぼんやりと眠い体のままで、気づけば1日が終わっている。 2024

          2024年にしたい10以上のこと。自分にいっぱい手をかけたい

          3歳息子、今日も泣きながら成長中

          3歳になったばかりの息子は、「はじめて」が苦手だ。 はじめての公園、はじめての食べ物、はじめての事に、ことごとく拒否感を示す。 私もどちらかというとその気持ちはわかるし、 息子には補って余りあるほど他にいいところが沢山あるので、苦手なことはなるべく根気強くサポートしてあげたいと思っている。 けれどなんせ相手は3歳で、穏やかに事が運ばれないことも、ままある。 * 目下の問題がトイレトレーニングだ。 息子は先月からおしっこをトイレでできるようになり、家でいるときは自発

          3歳息子、今日も泣きながら成長中

          サンタに憧れ続けた私が、サンタになっていくこと

          サンタクロースのこない家で育った。 「うちは仏教だからサンタさんは来ないのよ」 というのが母の言い分で、子どもなりに納得はしていた。 納得はしていたけれど、サンタさんには来て欲しかった。心の底から。 小6の頃、学校の前で配っていた聖書をもらってせっせと読んだのも、「塩狩峠」や「沈黙」を分からないなりに必死に読んだのも、 「キリスト教徒になればサンタさんが来てくれるかもしれない」という下心があったからだ。 あまり余裕がない家だったからだろう。 親から誕生日プレゼントをも

          サンタに憧れ続けた私が、サンタになっていくこと

          「にいに」になった3歳に、無条件の愛を信じてもらうこと。

          不安になるほど暖かい12月の初旬。 我が家では重い重い腰を上げて、3歳になった息子のトイレトレーニングを開始した。 「○○くんもお兄さんパンツになったの」 「△△ちゃんもお姉さんパンツなの」 という言葉をぽつぽつ言い始めたのが1か月前。 ついに時がきたか、と思った。 息子はしっかりと外面があるタイプで、みんながパンツになったら頑張れるだろう。 いままで家のトイレに断固入ってくれなかったけれど、この小さな萌芽を利用しない手はない。 ちょうど予定のなかった日曜に、一年ほど

          「にいに」になった3歳に、無条件の愛を信じてもらうこと。

          神様がたくさん宿った絵本たち

          ちいさい頃、母親にたくさんの本を読み聞かせてもらった記憶がある。 本の内容については、正直なところ、ほとんど覚えていない。 でも、母親と兄と三人で座って、たくさんの本を読んでいたこと、その時間が楽しかったことだけは、とても温かな温度で覚えている。 そういう記憶があるからか、 息子が生まれてから、たくさんの絵本を読んできた。 カメラロールを見返すと、生後半年をすぎる頃にはボードブックを歯固めにしている息子が出てくる。 息子はよく絵本に反応する子で、私自身が本に目がないこと

          神様がたくさん宿った絵本たち

          もう一度、ABCから学びたい

          中学一年生の春からずっと、私は英語が嫌いだった。 それはもう、ほとんどアレルギーに近かった。 普段の会話で「私はクロキです、あなたは元気?」なんて言わないし、「私の出身は日本です」ともなかなか言わない。 自由に扱えるのが言語のいいところのはずなのに、英語では言いたいことのひとつも言えない。 帰国子女のクラスメイトがペラペラ喋るのに強い憧れを抱きつつ、 結局留学でもしないと話せるようにはならないんだろうなと無力感を抱きながら学んでいた。 何より私は、「受験科目としての英語」

          もう一度、ABCから学びたい

          人生で一番まずかったパスタ

          子どもの頃から、わりと料理は得意なつもりだった。 台所に立ち始めたのは小学一年に上がったとき。 母がハンカチを縫うパートに行き始めたのをきっかけに、いわゆる「鍵っ子」としてお米をといでご飯を仕掛けておくのが私の役割になった。 母は古風な人だったのか、父と二歳年上の兄は台所に入れなかった。そして代わりに私には、あれこれと手伝うようにしむけていった。 私もうまいこと母に乗せられたのだろう。 私の「担当」は徐々に、でも確実に増やされていった。 たとえば食事前にテーブルを拭く

          人生で一番まずかったパスタ

          嵐の日々に負けないように

          なんて酷い有り様だろう。 鏡に映る自分を見るたび、しみじみと思う。 シミなのかそばかすなのか、肌は全体的にもやーっとしていてツヤがない。 唇は血色が悪い上にパサパサに乾き、あちこちが剥けて赤くなっている。 眉はボサボサ、うっすらと口髭すら生えている。 最後に美容室に行ったのはもう半年以上前のこと。 短めのショートだったはずが、結べるくらいのミディアムになり、当たり障りないブラウンだった髪色は根元から半分近くまですっかり黒くなっている。 毛量が人よりかなり多いせいで、頭部全

          嵐の日々に負けないように

          特に心境の変化はないのですが、改名しました。「みずたま」と軽い気持ちで適当につけたハンドルネーム、 あまりしっくりきていなかったのもあり…。ついでにツイッターも作り直しました。 またポツポツ記事を書いたり読んだりできればと思っています。どうぞよろしくお願いします。

          特に心境の変化はないのですが、改名しました。「みずたま」と軽い気持ちで適当につけたハンドルネーム、 あまりしっくりきていなかったのもあり…。ついでにツイッターも作り直しました。 またポツポツ記事を書いたり読んだりできればと思っています。どうぞよろしくお願いします。

          つながっていると、信じていくこと

          小さい頃から、戦争や飢餓や温暖化や、とにかくその類のニュースが苦手だった。 「私たちが捨てているご飯を食べられれば、死なない子供がいます」 と言われると、お願いだからご飯をあげてと思ったし、 「温暖化で動物たちが死んでいきます」 と言われると、呼吸をして二酸化炭素を排出する権利が自分にはあるのかと、真剣に考えてしまうような子供だった。 どうして大人たちは、平然とニュースを聞いていられるんだろう。 そんな「居ても立ってもいられない」気持ちのまま大学生になった私は、国際協力

          つながっていると、信じていくこと