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子ども以外の私の話

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子育て以外の記事をまとめています。
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3月、青い壺と銀だらの西京焼き

3月、青い壺と銀だらの西京焼き

3月、有吉佐和子の「青い壺」を読んだ。
同じ和歌山にゆかりがあると知っているのに、今まで一冊もこの作者のものを読んだことがなかった。面白かった。

近頃「本屋大賞」の本を読むと、ストーリーやキャラクターで読者を楽しませようとするものが多い。

「青い壺」はそういうものとは毛色が違う。

ある陶芸家が焼き上げた最高傑作の「青い壺」。その周辺を生きる人々を描く連作短編だ。
かなり多くの人物が登場するけ

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2024年にしたい10以上のこと。自分にいっぱい手をかけたい

2024年にしたい10以上のこと。自分にいっぱい手をかけたい

改めまして、明けましておめでとうございます。

ゆったりと過ごせる育休も残り半年近くになった。
私は辰年生まれの年女で、2024年はどの占いを見ても結構いい。

でも意識しすぎると荷が重くて、
「いい運気を活かせるような生き方をしていない!」
と、若干プレッシャーに感じてもいる。

私の今の生活は、ありがたいことに娘も割と穏やかで、こうしてnoteを書く時間も取れている。
とはいえ夜に2、3度は起

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自分のトリセツ、という形の自己紹介

自分のトリセツ、という形の自己紹介

最近、note上でトリセツをつくっているのをよく見かける。で、見ると読んじゃう。読むとどれもおもしろい。

で、ついついやりたくなって書いてみました。
これに気をつけて私を取り扱ってね、とは微塵も思わず、質問形式を使わせてもらっての自己紹介ということで。

元ネタは為末大さんのこちらのツイートみたいです。

「強み」
①息を吸うように「つい」やってしまうことは何か
人の家族構成を聞くこと。兄弟とか

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ちょっと頑張って、生筍と鰆の4月

ちょっと頑張って、生筍と鰆の4月

大学時代、1年だけファミレスでバイトをしていたことがある。
そこでは1回出勤すれば、メニューから1食賄いを食べさせてもらうことができた。

和風ハンバーグ定食、ミックスフライ、マグロのたたき丼・・・
ほとんど外食をしない家庭に育った私は毎回迷いに迷い、だけどワクワクしながら選んでいた。

「どれが一番美味しいですか?」
ある日、ランチどきを仕切っていた、ベテランパートさんに質問した。
彼女はたばこ

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9年ごしの失恋が、私に残していったもの

9年ごしの失恋が、私に残していったもの

学生だった頃。
「どんな人が好きか」という話になるたびに、私は「冷蔵庫みたいな人」だと答えていた。

背が高くて、どっしりと落ち着いていて、こちらが開けたい時に自由に扉を開けさせてくれる人。

その理想通りだったのかはさておき、ここではだから、その人のことを冷蔵庫と呼びたいと思う。

高校2年の秋、私は冷蔵庫のことを好きになった。

彼は高校のクラスメイトだった。
180センチを超える細身の長身。

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おべんとうが人生を回す

おべんとうが人生を回す

最近、夫の仕事が忙しすぎる。

朝は5時に起きて出ていき、夜は終電間近に帰ってくる。
家族第一で息子にメロメロ、休日だけは死守したいはずの夫がついに、先週末は土曜日出勤、日曜も家でパソコンを開いていた。

働きづめの夫を見ていると、「過労死」などという言葉が頭をよぎる。直接的でも間接的でも、そんなことは許せない。
せめてご飯だけはしっかり食べてよ、という話をしていて、はたと思った。お弁当を復活させ

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土足かもしれないと思っても

土足かもしれないと思っても

27歳だった12月の下旬、いよいよだと父から連絡を受けて、喪服を持って空港に向かった。

11月頃から毎週末、同じ道のりを帰省していた。
東京から和歌山、和歌山から東京。
新幹線でも飛行機でも深夜バスでも、どれでも同じようにとても遠くて、どうしようもなく苦かった。

そのころの私は、職場では、まだ転職して3ヶ月目の新人でもあった。

会社では、明るさ第一でシャキシャキと働き、楽しい上司や先輩たちか

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「美味しい田舎」が消えないように

「美味しい田舎」が消えないように

「どうにもこうにも目立たない県」、というのがたぶん日本にはいくつかあって、和歌山県はそのうちのひとつだと思う。

魅力度ランキングでも、都道府県駅伝でも、目立たない程度に下の方だし、「県民〇〇」といった類の番組にも、滅多に滅多に取り上げられない。

みかんと梅干し、もう少しご存知の方には、パンダと熊野古道。
これが一般的な和歌山のイメージだろう。

ちなみに、青森、島根、岐阜、あたりには、なんとな

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自由で、清々しくて、スリリングで、愉しい

自由で、清々しくて、スリリングで、愉しい

午前中の情報番組で、今日3月31日が「一粒万倍日」と「天赦日」と「寅の日」が3つ重なる大吉兆日だ、ときいた。
なんでもこの3つが重なるのは2021年で今日しかなく(その3つが一体どんな日なのか、詳しくはわからなかったけれど)、とにかく今日は、特に財布の新調に最高の日だという。

それを聞いた時に、「今日の午後、デパートに財布を買いに行こう」と思い立った。

財布はもともと欲しかった。
だけど、妊娠

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私も楽しく歌ってみたい

私も楽しく歌ってみたい

カラオケがとにかく苦手だ。
カラオケほど恐ろしい場所はない、と思っているし、だからカラオケの「カ」の字が聞こえてくるなり、いつもその場からすすすっと逃げ出してきた。

カラオケデビューは、中1になる春休み。
友人に誘われてノコノコついって行ったら、みんな流行りの曲をバンバン歌うのでびっくりした。
私の世代なので、SPEEDやらモー娘。やらSMAPやらB'zやら…だったと思う。多分。
多分、というの

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「書籍編集者」という憧れに、全力でぶつかって砕け散った話

「書籍編集者」という憧れに、全力でぶつかって砕け散った話

5年以上も前、私はひよっこ編集者だった。この頃の記憶は今もまだ生焼けで、上手くできなかった数々のことを思い出すと、苦々しい気持ちになる。

「はたらくってなんだろう」
未だにそう思う。砕け散ったのに、未練がないというと心が波立つ。

育休中のいま、輪をかけて、今後どんな風に働いていきたいのだろう、何がしたいのだろうと、立ち止まっているところがある。それを考えたくて書きます。



小さい頃から本

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その鬼門で、人間性を洗われる

その鬼門で、人間性を洗われる

「初めて行く美容室」が、とんでもなく苦手だ。

6年ほど前、自分の引っ越しと担当美容師さんの産休が重なって「美容室ジプシー」になって以来、年々、その苦手に拍車がかかっている。

初めて行く美容室では、なぜかすべてが敵に見える。
敵というか、大変悪いことは重々自覚しているのだけど、ついつい、すべてをジャッジ対象のように見てしまう。

予約時間ちょうどに行ったのに入口で20分待たされたとか、
シャワー

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江國香織でできている

江國香織でできている

最近朝起きると、夫がパソコンを起動させて、日中、私が彼のAmazon primeで「鬼滅の刃」が見られるようにセットしてくれている。
夫は7時前に出勤するので、私が起きた時にはもちろんいない。

私は寝ぼけ頭で9時くらいに起きて、しんとしたリビングで至れり尽くせりだな、と思う。ぼんやりしながらカフェインレスのコーヒーを淹れて、1日に何本かずつそのアニメを見る。
「鬼滅の刃」がすごく面白いか、みんな

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母の空席を守ってしまう

母の空席を守ってしまう

昨日の36週の検診で、子宮口がもう4センチ開いているといわれた。

4センチを、親指と人差し指でつくってみる。なかなか開いてるやん。

予定日より早く産まれるかもといいつつ、いざとなるとドキドキしてくる。陣痛が始まれば早く産まれそうなので気をつけてくださいとのこと。

くまさんのような院長先生は、診察の終わりしなに、「じゃあ、楽しみにしていますね」と言ってくれた。
ほっとした。
そうだよね、楽しみ

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