マガジンのカバー画像

戦術動作アプローチ

13
サッカー戦術動作アプローチについて書いています。
運営しているクリエイター

記事一覧

キック動作のクセが強い問題

キック動作のクセが強い問題

サッカー戦術動作アプローチでは、受講中の方に対して講義内容及び動作に関する質問を随時受け付けている。
多くの場合その内容は指導者または選手たちに共有すべきものとなるため、回答はこのnoteにて記載することとしている。

今回は以下のような質問をいただきました。

はじめまして。1月からサッカー戦術動作アプローチの講座を受講しております。現在高校のサッカー部でコーチをしており、#4の上半身操作構造に

もっとみる
公式戦でだけ足が攣る問題

公式戦でだけ足が攣る問題

サッカー戦術動作アプローチでは、受講中の方に対して講義内容及び動作に関する質問を随時受け付けている。
多くの場合その内容は指導者または選手たちに共有すべきものとなるため、回答はこのnoteにて記載することとしている。

今回は足が攣るという問題について質問をいただいた。

一般的な対策に関しては今やネットでも取得できるが、フィジカルコーチがいるようなチームであれば多くの場合一般的な対策はなされてい

もっとみる
努力は選手の責任、努力の方向性は指導側の責任。

努力は選手の責任、努力の方向性は指導側の責任。

フィジカル。
サッカーに限らずスポーツ界でごく一般的に使われている言葉である。
そこには分野があり、そこには役割がある。
近年、多くの競技で”フィジカルの重要性”が説かれ、さまざまな方法論が開発されてきた。「世界との差はフィジカルの差」という表現も日本ではよく耳にしてきた人も多いと思う。
私自身もこれまで数多くのチームで”フィジカルコーチ”としての任を与えられてきた。時には日本代表のコーチとして”

もっとみる
同じ戦術練習をやってるのに差が生じる理由

同じ戦術練習をやってるのに差が生じる理由

チーム内に必ずいるであろう、”戦術実行レベルが低い”選手。
チームとして同じ練習をしてきているのに、なぜ彼らは他の選手よりも戦術が十分に実行できないのだろうか。

戦術を理解できていない?
状況把握ができていない?
判断が遅い?
そもそも技術が不足?

決してそれだけではないはずである。

戦術が実行できるか否に影響を与える要因は少なくとも大きく分けて『8つ』ある。
チームとしてその全ての要素と戦

もっとみる
フィジカルが勝利に結びつくための条件

フィジカルが勝利に結びつくための条件

サッカーの試合で勝つために必要な「フィジカルの要素」はどんなものがあるだろうか?
試しにピックアップしてみてほしい。
例えば「体幹の強さ」や「スプリント」などだ。

ちょっとサッカーのフィジカルに関心のある方でしたらかなりたくさん出てきたのではないだろうか。
普通にピックアップすると余裕で100は超えてくるほど、サッカーにおけるフィジカル要素は数多い。(というかフィジカルが関与しない競技動作は存在

もっとみる
トレーニング『方法』を排除すべき理由

トレーニング『方法』を排除すべき理由

そもそもの私の立場は、トレーニングを指導することが役割と考えられているフィジカルという分野に属する。
だからこれまで契約してきたチームでは大半がフィジカルコーチ(またはファンクショナルTRコーチ)という役割を担ってきた。
(狭い範囲だが)世の中にもそのように認知されていると思う。

フィジカル系のトレーニングに関しては、ほとんどが「方法」というキーワードを介して成立する。
私が出演・執筆依頼を受け

もっとみる
サッカーのための減速能力の話

サッカーのための減速能力の話

サッカーのゲームスピードの上昇に伴い、サッカーを構成する各要素も同様にスピードの上昇が生じている。
戦術がそのように進化している。
選手たちの能力の向上がそれを可能にしているとも言える。

激しいプレッシングの重要性はどんどん高まっており、戦術が要求するスピードでプレーできない選手は戦術から外されていく。

このような傾向のみならず、そもそもサッカーの競技特性上重要度が高いのが『スピードに関わる能

もっとみる
スポーツは無力であり大きな力を持つ

スポーツは無力であり大きな力を持つ

サッカーやフィジカルという切り口でこれまで繰り返し全体とパーツの話をしてきた。嫌になっている人もいるかもしれないが、まだまだ続ける。繰り返し表現し続けないと我々は知らず知らずのうちに要素還元的な視点に引っ張られてしまうから。

これらの表現にツッコミを千回ぐらい入れられなければ、要素還元的な視点から脱しきれていない。現代の社会は要素還元的な視点で溢れている。

サッカーという全体構造の中のパーツと

もっとみる
フィジカルトレーニングを信用してはいけない理由

フィジカルトレーニングを信用してはいけない理由

信じられないかもしれないが、トレーニングは指導する側が自由にタイトルや目的をつけることができる。

これらはトレーニング提供側がつけた「タイトル」である。
タイトルと効果の関係は保証されることなく、フィジカル担当者がその責任を問われることもほぼない。

タイトルの鵜呑みはリスペクトではない本来これはフィジカル分野の問題であり、”フィジカルブラックボックス”を生み出さないように全体とパーツの関係を維

もっとみる
いくら体幹が強くてもサッカーで通用しない理由

いくら体幹が強くてもサッカーで通用しない理由

戦術動作アプローチのプロセスはあらゆる競技の指導者にとって『フィジカルの取り扱いマップ』としての活用が可能であるが、その必要性が最も高くなるのが複雑な構造を持っている競技である。

なので誰よりも速く走る、遠くに投げる、などのシンプルな構造を持つ競技だと、戦術よりも身体能力の重要度の方が明らかに高い。d
サッカーは考え得る中で最高度に複雑度が高く、それゆえ戦術動作の重要度が非常に高い。裏を返すと「

もっとみる
フィジカルブラックボックス

フィジカルブラックボックス

戦術動作とは、戦術を実行するために必要となる動作能力のことである。
単なる身体能力ではなく、戦術の実行という優先順位の中で要求される動作を指す。
非常にシンプルだが、この知識に欠けると「なぜ戦術が実行できないのか」の分析に大きな欠落が生じる。

例えば急減速能力が不足(相手に劣る)しているだけで”急減速が関与する戦術”の実行レベルは低下する。

戦術実行の8要因戦術動作の生命線となる身体操作は、『

もっとみる
全体とパーツの”一方通行な”関係

全体とパーツの”一方通行な”関係

前回は、「誰にでも”サッカー選手が絶対やるべきトレーニング”を発信できてしまう「方法過剰供給状態の社会」においては、方法に目を奪われるのではなく選択能力の向上に努力をシフトチェンジしていく必要があると述べた。

「このトレーニングをすれば〇〇ができるようになる」今回は”誰でも発信できる状況”における、もう一つの重要な問題について触れたいと思う。それは構造の単純化と短時間化。
膨大な量のトレーニング

もっとみる
我々が『戦術動作』に目を向けるべき理由

我々が『戦術動作』に目を向けるべき理由

ご存知の通り、近年トレーニングの方法は溢れかえっている。
トレーニングに関心のある方なら分かると思うが、SNSに少し目をやれば毎日膨大な数のトレーニング方法が投稿されている。
(中でも日本のメジャースポーツであるサッカーと野球は”発信者”が多い)

皆さんはこの状況をどのように感じているだろうか。
特に選手や指導者の方々。

「こうすれば〇〇ができるようになる」
「サッカー選手が身に着けるべき正し

もっとみる