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外国人特定技能制度の動向について-令和6年3月29日の閣議決定から

令和6年3月29日に閣議決定された特定技能の在留資格に関する制度の変更について、以下の要点をまとめます。

1. 受入れ見込数の再設定

特定技能制度では、各受入れ分野ごとに5年間の受入れ見込数を設定しています。この受入れ見込数は、大きな経済情勢の変化がない限り、1号特定技能外国人の受入れ上限として運用されています。

令和6年4月から次の5年間の受入れ見込数が再設定され、分野別運用方針に記載されました。

受入れ見込数の拡大に伴い、受入れ環境整備の進展が必要とされ、基本方針には地域における外国人との共生社会の実現への寄与が受入れ企業の責務であることが明記されました。

2. 対象分野等の追加

特定技能制度は、人材確保が困難な産業分野に限り、一定の専門性・技能を持つ外国人の受入れを認めています。

(1)新たに「自動車運送業」「鉄道」「林業」「木材産業」の4分野が対象分野として追加されました。

(2)既存の「工業製品製造業分野」「造船・舶用工業分野」「飲食料品製造業分野」に新たな業務が追加されました。

注釈
分野別運用方針と基本方針には、新たに追加された分野や業務区分の詳細が記載されています。

①「工業製品製造業分野」は名称が変更され、新たに7業務区分が追加されました。

「工業製品製造業分野」は、以前の「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業」から名称が変更されました。この変更は、分野の範囲をより広く、明確にするためのものと考えられます。

新たに追加された7業務区分

  1. 紙器・段ボール箱製造 - 紙や段ボールを使用した包装材料の製造業務。

  2. コンクリート製品製造 - 建築や土木工事で使用されるコンクリート製品の製造。

  3. 陶磁器製品製造 - 陶磁器の製造に関わる業務、これには日用品から美術品まで幅広い製品が含まれる。

  4. 紡織製品製造 - 繊維を原料とした衣料品やその他の紡織製品の製造。

  5. 縫製 - 衣類やその他の繊維製品の縫製作業。

  6. RPF製造(Refuse Paper & Plastic Fuel)- 廃紙やプラスチックを原料とした固形燃料の製造。

  7. 印刷・製本 - 書籍、雑誌、パンフレットなどの印刷および製本作業。

既存の業務区分への追加

既存の業務区分には、鉄鋼、アルミサッシ、プラスチック製品、金属製品塗装、包装関連の事業所が新たに含まれるようになりました。これにより、これらの分野での特定技能外国人の受入れが可能となり、業務の範囲が拡大しています。

目的と影響

この変更は、特定技能外国人の受入れを通じて、日本の工業製品製造業分野での人材不足を補い、生産性向上を図ることを目的としています。新たに追加された業務区分は、日本国内で人手不足が顕著な分野をカバーしており、これらの分野で即戦力となる外国人技能労働者の受入れが期待されます。

実施に向けて

これらの変更は、特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針及び分野別運用方針に記載され、実施に向けた具体的な方針が策定されています。企業や業界は、これらの変更を踏まえ、外国人技能労働者の受入れ準備を進める必要があります。

②「造船・舶用工業分野」では業務区分の再編と作業範囲の拡大が行われました。

③「飲食料品製造業分野」では特定技能外国人の受入れが可能な事業所が追加されました。

「飲食料品製造業分野」における特定技能外国人の受入れが可能な事業所の追加について説明します。

【追加された事業所の種類】

〇食料品スーパーマーケット及び総合スーパーマーケットの食料品部門
これまで、特定技能外国人の受入れが認められている事業所に、新たに食料品スーパーマーケット及び総合スーパーマーケットの食料品部門が追加されました。これにより、これらの場所で働く外国人労働者も特定技能の在留資格を得ることが可能になります。

〇受入れが可能となる業務内容

惣菜等の製造
特に、スーパーマーケット内での惣菜やその他食品の製造業務が対象となります。これには、生鮮食品の加工や調理、パッケージングなど、食品の製造・準備に関わる一連の作業が含まれます。

〇対象となる産業分類
日本標準産業分類に掲げる産業のうち、特定技能外国人が活動を行うことができるのは、主に以下の分野です。

食料品製造業 (09)
食品の加工や製造を行う業種。生鮮食品の加工から、加工食品の製造まで幅広い活動が含まれます。

清涼飲料製造業 (101)
清涼飲料、つまり冷たくして飲むための飲料の製造を行う業種です。

茶・コーヒー製造業 (103)
茶やコーヒーの製造を行う業種で、清涼飲料を除くものが対象です。これには、茶葉やコーヒー豆の加工から、製品としての茶やコーヒーの製造までが含まれます。

製氷業 (104)
氷を製造する業種。食品業界や医療業界など、さまざまな場面で使用される氷の製造が対象です。

特定の小売業における製造小売
特定技能外国人は、製造と小売を兼ねる以下の業種でも活動が可能です。

菓子小売業(製造小売) (5861)
菓子を製造し、その場で販売も行う業種。
パン小売業(製造小売) (5863)
パンを製造し、その場で販売も行う業種。
豆腐・かまぼこ等加工食品小売業 (5897)
豆腐やかまぼこなどの加工食品を製造し、その場で販売も行う業種。

〇目的と背景

人手不足の解消
飲食料品製造業分野、特にスーパーマーケットの食料品部門では、人手不足が深刻化しています。特定技能外国人の受入れを拡大することで、これらの業務における労働力不足を補い、業界全体の生産性向上を図ることが目的です。

多様な食文化の受入れ
外国人労働者の受入れにより、多様な食文化や調理技術が日本国内にもたらされることが期待されます。これは、消費者にとっても新たな食の選択肢を提供することにつながります。

〇実施に向けての影響

受入れ環境の整備
事業所では、特定技能外国人を受け入れるにあたり、適切な労働条件の提供、生活支援、言語教育など、受入れ環境の整備が求められます。

業務の質の維持・向上
外国人労働者の受入れにより、業務の効率化が進む一方で、食品安全管理や品質管理の観点から、業務の質の維持・向上にも注力する必要があります。

この変更は、飲食料品製造業分野における外国人労働者の受入れ範囲を拡大し、業界の持続可能な成長を支援することを目的としています。事業所は、新たな人材を迎え入れる準備として、適切な支援体制の構築が必要となります。

(3)各対象分野の詳細

各対象分野の詳細は、分野別運用方針に記載されており、以下のリンクから確認できます。

この変更は、日本の特定技能制度の運用を拡大し、多様な分野での外国人技能労働者の受入れを促進することを目的としています。

今後もこの制度の動向をしっかりと分析し、その影響を予測していく必要があると考えています。

次回に続きます。

日本は、将来の日本の社会のために、
より良いしくみを構築できるはずです。

3月もとてもお世話になりました。
ありがとうございました。


インドネシア料理レンダンです



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