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論文(自己測定を含む量子測定系)を書いてますが、 研究者ではありません。前世紀の化石の…

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論文(自己測定を含む量子測定系)を書いてますが、 研究者ではありません。前世紀の化石の物理ミーハーです。 大学や院は、個々人のためではなく、現代社会の維持・発展のためにあり、 奨学金も同様、その受益者は社会全体です。 実学だけにしてしまうと 高度産業文明を支える人がいなくなります

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  • 量子力学パラドックス集

    量子力学についてのパラドックスです。 専門家の方にも、うーんと唸って頂ければ うれしいです。

  • 堀田量子や堀田先生への質問

    堀田量子(入門/現代の量子力学)で気付いたことや Mondで堀田先生に質問です。 https://mond.how/ja/hottaqu

  • 前世紀の残務整理

    前世紀(主に昭和)の教科書や考え方の間違いです。

  • 清水明「新版 量子論の基礎」を解説(一部有料)

    いわゆる「清水本」を解説します「線形代数」の説明つき。 2章純粋状態・混合状態から、8章ベルの不等式とその破れまで。 数式導出の行間を「説明しながら板書していく動画」を付ける予定

  • 量子力学のための速習線形代数

    量子力学を理解するために、線形代数の要点をまとめました。 学部ではやらないヒルベルト空間(完備内積空間)の説明 をしています (量子力学に関係ないジョルダン標準形は入れていません)

記事一覧

もつれ状態の部分系の状態

測定の時のもつれ状態を、観測者から見た全体系は 例えば、スピンの↑・↓で、測定対象をs、測定器をdとするなら 全体系の状態=|↑s>|↑d> + |↓s>|↓d> という純粋状…

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1日前

[質問] 測定器を量子力学で扱うには?

量子力学での測定器は、射影測定でもPOVM測定でも、 測定対象の物理量が入って、測定結果の1つの値と それに対応した1つの状態(射影測定以外では一般に複数の状態) と…

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6日前
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第二量子化を波動関数の量子化だと思ってる方へ

場の理論を昭和の教科書で学んで、 量子力学のシュレーディンガ方程式と シュレーディンガ場(=非相対論のスカラー場)の方程式 であるシュレーディンガ方程式 とを同じと…

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1か月前
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[堀田量子] 隠れた変数理論では、もつれ対での確率分布を説明できない

堀田先生への質問: https://mond.how/ja/topics/aep4wm8wrq2dm0k で、隠れた変数理論は、 「相反する状態が 瞬間瞬間には確定しているが、 「あるランダムな作用」によ…

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1か月前
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[清水量子 放送大学編] 量子論を記述するための数学

主に線形代数のことですが、知らない方、忘れた方に説明します。 複素数zの複素共役 z* と書きます(p186の例12.5) 「虚数項の符号を逆にする」では、 複素数からなる…

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1か月前
1

[質問] 局所実在論で重ね合わせ状態はありえるか?

質問内容: 先生の「入門/現代の量子力学」の付録G.1の「隠れた変数理論」 についてですが、 どこかで「局所実在論であっても重ね合わせ状態はありえる」 旨、書かれていた…

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2か月前
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[清水量子 放送大学編] 古典論から量子論へ

古典物理学の限界 古典論の破綻には、テキストで取り上げられている「原子の安定性」以外に 「黒体輻射が紫外域で∞になる」 「比熱の低温での変化」 「光電効果」 があり…

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2か月前
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[清水量子 放送大学編] はじめに

「新版 量子論の基礎」の著者である清水明先生が、 放送大学で、今年4月から開講される「物理の世界」の 後半の「熱力学」3回と「量子力学」4回 を担当されます。 ここ…

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2か月前

[質問] 意識が収縮を起こす???

[質問内容] 堀田先生へのどなたかの質問:https://mond.how/ja/topics/808my2fjfxzi8fl/qhvts69h40sqaj6 で「意識が収縮を起こす」の意味は、 測定器dを含む系の状態(例…

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2か月前
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[前世紀の残務整理] 射影仮説は仮説でなく定理

清水明「新版量子論の基礎」要請5が「射影仮説」です。 昭和の教科書には、波動関数(状態)の収縮さえ認めてないものが ほとんどでした。 曰く「測定によって、系の状態は…

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2か月前
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[質問] 量子論と古典論との差異

[質問内容] >https://twitter.com/hottaqu/status/1762944866643030342 >「重ね合わせ」は量子特有の性質と見なせません は分かるのですが、古典論との差異がよくわかり…

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2か月前
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[前世紀の残務整理] 波動関数の定義が曖昧

連続固有値をもつ物理量qにおいて、 q表示の波動関数は、状態ベクトルの「物理量qの固有空間」 への射影、つまり  |q><q|ψ> = f(q)|q>  の f(q)が波動関数ψ(q) で…

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2か月前
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[前世紀の残務整理] xとpを同時測定すると

xとpを同時に測定した場合の 不確定性関係の式:ΔxΔp_x>h'/2 は、同一状態のアンサンブルに対し、 xでの測定、pでの測定を、自由意志でどちらかに 切り替えて行…

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2か月前
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[前世紀の残務整理] 粒子はどこかに居るとは言えない

波動関数ψ(x) の2乗:ψ*(x)ψ(x) は、確率分布を表し、 その全空間積分は1、つまり、必ず存在します。 しかし、この状況を 「粒子は、わからないだけで どこかの位置に…

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2か月前

[前世紀の残務整理] 電子や原子は非実在なのに

素粒子や原子、分子の物理量(自己共役演算子)には局所実在性はない ことは、ベルの定理の破れの実験(アスペの実験)から言えます。 量子力学は局所論ですから、量子力学…

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2か月前

[AIの限界] GoogleのGeminiを試してみました

・量子力学で、測定結果に意識は作用しますか? → 観測という行為が結果に影響を与えるという間接的な関与(正しい) ・量子力学に引き寄せ効果はありますか? → 科学的な…

kafukanoochan
3か月前

もつれ状態の部分系の状態

測定の時のもつれ状態を、観測者から見た全体系は
例えば、スピンの↑・↓で、測定対象をs、測定器をdとするなら
全体系の状態=|↑s>|↑d> + |↓s>|↓d>
という純粋状態の重ね合わせです。

1.観測者にとっての部分系の状態

全体系の密度行列=(|↑s>|↑d> + |↓s>|↓d>)(<↑s|<↑d| + <↓s|<↓d|)
=|↑s>|↑d><↑s|<↑d|+|↓s>|↓d><↓s|

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[質問] 測定器を量子力学で扱うには?

量子力学での測定器は、射影測定でもPOVM測定でも、
測定対象の物理量が入って、測定結果の1つの値と
それに対応した1つの状態(射影測定以外では一般に複数の状態)
となるブラックボックスです。
しかし、測定器は量子力学でも、物理的に「存在して」いますし
少なくとも古典的には、そのメカニズムを記述できます。
量子力学でブラックボックスにするのは、
量子的測定過程が、非線形な非ユニタリ過程なのと、

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第二量子化を波動関数の量子化だと思ってる方へ

場の理論を昭和の教科書で学んで、
量子力学のシュレーディンガ方程式と
シュレーディンガ場(=非相対論のスカラー場)の方程式
であるシュレーディンガ方程式
とを同じと思ったり、
場のxyz(パラメータ)と、位置表示の波動関数のxyz(物理量)
との違いがわからなかったり、
シュレーディンガ方程式は、量子力学の方程式
クライン-ゴルドン方程式やディラック方程式は場の理論
の方程式であると思っている方は

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[堀田量子] 隠れた変数理論では、もつれ対での確率分布を説明できない

堀田先生への質問:
https://mond.how/ja/topics/aep4wm8wrq2dm0k
で、隠れた変数理論は、
「相反する状態が 瞬間瞬間には確定しているが、
「あるランダムな作用」により猛烈な速さで入れ替わっている
(例えばプランク時間程度の時間で入れ替わり)
とすれば、測定での時間解像度では、区別できず
事実上『重ね合わせ』となる」
したがって、密度行列で考えると、
「確率

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[清水量子 放送大学編] 量子論を記述するための数学

主に線形代数のことですが、知らない方、忘れた方に説明します。

複素数zの複素共役
z* と書きます(p186の例12.5)
「虚数項の符号を逆にする」では、
複素数からなる複雑な式の場合、わけが分からなくなります。
全てのiを-iに置き換えると考えれば、式でもOKです。
式f(x) が与えられたとすると
f(x)内の全てのiをパラメータaにした式を g(a,x) とすると
f(x)=g(i, x

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[質問] 局所実在論で重ね合わせ状態はありえるか?

質問内容:
先生の「入門/現代の量子力学」の付録G.1の「隠れた変数理論」
についてですが、
どこかで「局所実在論であっても重ね合わせ状態はありえる」
旨、書かれていたと記憶しています。
(僕の勘違いなら、この質問は無視して下さい)

対象系の状態を密度行列ρで表すと 相反する状態の重ね合わせなら
(相反する状態からなる)干渉項が 必ず存在します
(ρ=(|a>+|b>)(<a|+<b|) では

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[清水量子 放送大学編] 古典論から量子論へ

古典物理学の限界

古典論の破綻には、テキストで取り上げられている「原子の安定性」以外に
「黒体輻射が紫外域で∞になる」
「比熱の低温での変化」
「光電効果」
があります。
ラザフォードの実験で、当時主流だった原子の「ぶどうパンモデル」
(ランダム運動する電子の「スープ」に原子が点在しているモデル)
は、否定されましたが、なぜ「ぶどうパンモデル」だったかと言うと
「電子が円運動すると電磁波が放射さ

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[清水量子 放送大学編] はじめに

「新版 量子論の基礎」の著者である清水明先生が、
放送大学で、今年4月から開講される「物理の世界」の
後半の「熱力学」3回と「量子力学」4回 を担当されます。
ここでは、この「量子力学」について解説します。
テキストは、放送大学教材「物理の世界」で、
たぶん、アマゾンで入手可能と思います。
内容は、
第11章 古典論から量子論へ
第12章 量子論を記述するための数学
第13章 量子論の定式化
第1

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[質問] 意識が収縮を起こす???

[質問内容]
堀田先生へのどなたかの質問:https://mond.how/ja/topics/808my2fjfxzi8fl/qhvts69h40sqaj6
で「意識が収縮を起こす」の意味は、
測定器dを含む系の状態(例えばスピンの測定の場合で、対象系をsとする)
|↑_s>|↑_d> + |↓_s>|↓_d> が、↑か↓かの1つになる(収縮する)ことでしょうか?
それなら、射影仮説は、小澤先生

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[前世紀の残務整理] 射影仮説は仮説でなく定理

清水明「新版量子論の基礎」要請5が「射影仮説」です。
昭和の教科書には、波動関数(状態)の収縮さえ認めてないものが
ほとんどでした。
曰く「測定によって、系の状態は予測不可能な擾乱を受ける」とか。
故人ですが、ある素粒子論の大家は、ホームページの文献に
「池の水をバケツに汲んできて、池の水が「収縮」したとは言わない」旨
書いておられました。
今の放送大学の「量子物理学」のテキストには波動関数(状態

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[質問] 量子論と古典論との差異

[質問内容]
https://twitter.com/hottaqu/status/1762944866643030342
>「重ね合わせ」は量子特有の性質と見なせません
は分かるのですが、古典論との差異がよくわかりません。
物理量が、数値(関数)なら、その測定値の分布は、
どんな場合も1つのデルタ関数。
古典論であっても、物理量が演算子なら、
その測定値の分布は、複数のデルタ関数とか連続関数に

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[前世紀の残務整理] 波動関数の定義が曖昧

連続固有値をもつ物理量qにおいて、
q表示の波動関数は、状態ベクトルの「物理量qの固有空間」
への射影、つまり  |q><q|ψ> = f(q)|q> 
の f(q)が波動関数ψ(q) です。
それがシュレーディンガ方程式に従って時間発展したり
測定によって、非ユニタリ発展し、ただ1つの固有関数になる
ということです。
固有関数が、位置のデルタ関数δ(x-x0) になる場合は、
位置x0 にある点

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[前世紀の残務整理] xとpを同時測定すると

xとpを同時に測定した場合の
不確定性関係の式:ΔxΔp_x>h'/2
は、同一状態のアンサンブルに対し、
xでの測定、pでの測定を、自由意志でどちらかに
切り替えて行った場合である。
本当に「xとpの同時測定」なら ΔxΔp_x>h' である
ことが、量子測定論から計算できます。
(新版 量子論の基礎p86)

[前世紀の残務整理] 粒子はどこかに居るとは言えない

波動関数ψ(x) の2乗:ψ*(x)ψ(x) は、確率分布を表し、
その全空間積分は1、つまり、必ず存在します。
しかし、この状況を
「粒子は、わからないだけで どこかの位置に居る」
と言うのは、間違いです。
まず、「粒子の運動量は、わからないだけで どれかの値をとる」
は、運動量についての混合状態の場合であり、
純粋状態の重ね合わせでは、これは言えません。
同様に、「粒子の位置は、わからないだけ

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[前世紀の残務整理] 電子や原子は非実在なのに

素粒子や原子、分子の物理量(自己共役演算子)には局所実在性はない
ことは、ベルの定理の破れの実験(アスペの実験)から言えます。
量子力学は局所論ですから、量子力学の範疇であるスピンも
位置も速度(運動量)も、実在していると言えないのです。
さらに、これらの粒子自体の存在に、実在性はないです。
https://twitter.com/hottaqu/status/16640748820434821

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[AIの限界] GoogleのGeminiを試してみました

・量子力学で、測定結果に意識は作用しますか?
→ 観測という行為が結果に影響を与えるという間接的な関与(正しい)
・量子力学に引き寄せ効果はありますか?
→ 科学的な根拠はありません(正しい)
・電子の位置は実在ですか?
→「実在する」とは言えません(結論は正しいのだけど、
  位置を正確に測定できないからというのは間違い)
・EPR論文での「実在」の定義は?
→ 局所的な測定によって値が確定し、

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