加賀田浩子

お天道様は必ず見ています

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最近の記事

第18回 日銀保有国債は返さなくていい?

これは財政支出を大盤振る舞いする際に、国債市場の需給バランスを壊さずに政府は財源を調達できるという趣旨でよく使われる。異次元緩和が始まる前の正常な金利のある世界を知らずに、日銀が国債を買うと言う金融調節が当たり前に行われる時代で花咲いた暴論である。日本政府が発行する国債残高は突出しており、それを気にする余り積極的な財政支出にブレーキがかかって経済成長できていない。ならば子会社である日銀が引き受けてしまえばいいではないかという趣旨だろう。これが永続的に続かないのは当たり前だが、

    • 第17回 債券のサ(その2)

      0.前書きしかし、当時は二桁経済成長が当たり前の世界で予算を組むのだが、見通し以上に税収が入って来るのだから、今のように税収を補填する国債を発行する必要がなかった。ところが、景気がスローダウンしてくると税収不足1000億円が明らかになる(当時の一般会計予算は僅か約3.6兆円!)。そして戦後初の特例国債(赤字国債)1972億円の発行に至る。    「万死に値する」と語ったのは三木武夫内閣のときの大平正芳蔵相である。オイルショックの後遺症が残る1975年、税収減を補うため赤字国債

      • 第16回 YCC修正って何でんねん?

        7月日銀決定会合が近づくにつれ急に風向きが変わってきた。この早川氏のリークインタビューとも思える記事は実はこの日4発目(MNI、日経、読売)である。かなりクサイ。 1.中央銀行の金融政策 従来型の中銀の金融政策は専ら短期の政策金利の誘導であった。ところがリーマンショック(Great financial Recession)以降、世界の中銀はその誘導目標を短期金利だけでなく長期金利にまで手を伸ばした(債券について理解が今一つと言う方は是非、第7回 債券の「サ」その1|加賀田浩

        • 第15回 昼売り&夜買いの結果

          1.散々たる結果 一部のフォロワーの皆さんはご存じだと思うが私は日経先物(ミニ)を使ってあるプログラム・トレード(というほど大したモノではないが)をやっている。ずっと暖めてきた相場の特性を掴んだもので何年も前からやっておけば良かったと思い、ついに今年度(22年4月)から開始した。よく若いのがペーパーでは勝つけど実戦スタートすると負けるのは何人も見てきたがマサカ自分がこの年になってこれほどの醜態を晒すとは思わなかった。まずは結果です。 詳細は後述しますが、日経先物を「寄りで

        第18回 日銀保有国債は返さなくていい?

          第14回 3月日銀決定会合プレビュー

          黒田総裁が任期を終え、新しく植田総裁が日銀総裁に就くことが決まった。異次元の超緩和策を長きに亘り続けてきた総裁が変われば昨今の世界的なインフレ・金利上昇を受けて日本もいよいよか?と政策変更を期待させる。さて、上の記事では3月には何もやらないというヨミが多いようだが、これは決算期末前に余計な混乱を起こしてくれるなと言う機関投資家の願望以外の何物でもない。3月がダメで6月ならよいという根拠はどこにもない。今回の会合でドラスティックなことはやらないにしても市場機能の回復を大義名分と

          第14回 3月日銀決定会合プレビュー

          第13回 日本人はカネを持ってない?

          マクロの視点とn=1の話 国民は現金を溜め込んでて使わないから景気が浮揚しないとか、一方で今の若者は本当にカネを持ってないと言う話はよく耳にする。両方とも事実であろうがマクロ経済のアナリストならば「n=1」の話はどうだっていいし、その解決が現金バラまけではお話にならない。AnalystとはAnalyze(分析)する人のことである。そんなコトから今回のネタを思いついた。 家計の現金資産は1,000兆円over 下図は日銀が四半期に一度発表する資金循環統計から家計分野の主な

          第13回 日本人はカネを持ってない?

          第12回 実質金利の影響

          以前、第7回で債券の「サ」その1という記事を投稿したがツイ界ではこの「サ」を知らない垢との格闘はモノ凄く疲れる。毎日炎上してるGDP=(G)を主張するツイッタランドきっての経済アナリスト()もそうであるが。そこで「その2」を作ろうとしたが、飛ばして今回はより踏み込んで実質金利の話。ナニソレという方はグラフだけ眺めても分かりやすいようにしてます。 実質金利って何でんねん? 今、米国債の金利が上がったの下がったのと言ってるその金利は名目金利と言う。実際に預金してて金利が付いた

          第12回 実質金利の影響

          第11回 YCC解除の可能性について

          今月1日に日銀から『債券市場サーベイ(11月調査)』が発表された。これは主な機関投資家アンケートであるが、相変わらずJGB村は温い。先行きの金利見通しはポジショントーク全開。10年債の見通しは来年9月末まで0.25%、そして2年債に至っては2024年まで0.00%。向こう1・2年では金融政策に大きな変化はないと思ってる。 10年間何もできなかった総裁 私は上記のアンケートとは全く違う立場を取る。来年3月までに何らかの金融政策の変更があると思っている。その根拠は以下の5点だ

          第11回 YCC解除の可能性について

          第10回 日銀の保有する債券

          多額の評価損で一躍脚光を浴びる日銀の保有債券。前回に引き続きもう少し詳しく見てみましょうということで下の表にまとめてみました。因みにどの利回り水準で買ったのかは不明なので額面ベースです。なお、15年変国と物価連動債は抜いてます。 特徴としては残存3年以下で35%、5年以下となると全体の55%を占め、残存期間が非常に短く金利の変動リスクはそれほど高くはありません。従って、日銀が公表している平均簿価利回り=0.221%としても平均Durationは6年強となってます。仮に1.0

          第10回 日銀の保有する債券

          第9回【緊急】日銀の債券評価損について

          本日、日経新聞に下記の記事が出ております。如何にもF巻さん界隈を煽る記事です。 これを踏まえて有頂天の大先生。斯様なツイを発せられてます。 さて、では調べて見ましょう。 日経の記事によれば日銀の債券評価損は8749億円です。対して日銀の総資産は724兆円あります。その比率はざっと0.1%しかありません。ではRBA(豪州中央銀行)はどうでしょうか? 「Other liability」というのが資産サイドにあるのがオカシイと思うでしょうがこれが債券評価損等に該当します。よっ

          第9回【緊急】日銀の債券評価損について

          第8回 日銀は利上げできない?

          御大F巻さん始め色んな言説が好き勝手飛び交うので一度きちんとしたデータを見て本当に利上げが出来ないのか?を見てみよう。利上げできないとしたら、中央銀行の役目を果たしていないのでそんなハズはないという結論に至るのだが普通は。しかし債務超過になった場合の取り決めが日銀法で定められていないことも不安を煽る原因でもあろう(後述)。 1.今はマイナス金利だから日銀は利子を払っていない? まず最初の嘘を暴く。よく散見されるのが散々言うだけ言っておいて一切データを示さない、もしくは読み

          第8回 日銀は利上げできない?

          第7回 債券の「サ」その1

          世界中で金利が上昇しているのでそろそろ0.43%マンが現れてくるだろうから、その前に予防線を張っておこうという企画。債券投資入門みたいな本を読めば分かることではツマラナイので債券の基本の「キ」ではなくその前段階のお話。「0.43%マンとの闘い」は6月頃、日銀が10年=0.25%の指値オペをやってた頃の私のツイを参考に。日銀が0.25%で買うって言ってるのに誰が0.43%で売るのか、誰も売るハズがないと言っても理解してもらえなかった。 そもそも債券とは? 読んで字のごとく債務

          第7回 債券の「サ」その1

          第6回 レイバーデイ明けに要注意

          「レイバーデイ明けに要注意」は本当か? 私は「レーバーデイ・アノマリー」にはまったく無頓着でそもそも9月のシーズナリティは弱いというくらいの意識でした。実は9月と言う月は1年の中で最も” 強くない”月です。” 弱い” ではなく強くないという言い方はヘンですが、9月は1年の中で月単位の成績がベストパフォーマーとなったことがありません(過去40年くらい)。ではレイバーデイ明けが何故弱くなるか?2013年の記事ですが下記記事をご参照ください。 これマジで言ってるんですかね?これ

          第6回 レイバーデイ明けに要注意

          第五回 日経積立投資やってみた(2)

          ならばリーマン後からならどうよ? 32年半でこの為体ですから今の若い人がアメ株に向かうのも仕方ありません。では、今、あなたは運よくリーマンショックのどん底にタイムスリップが出来るとします。そこからの積立ならば相当儲かってるんじゃないか?そう思うでしょう。では、161か月間の結果をご覧ください。 健全な右肩上がりですので、平成元年からよりはいいパフォーマンスが望めそうです。では平均簿価はどうなってるでしょうか。 14,882円(+77.4%)です。あれ?どっかで見たような数

          第五回 日経積立投資やってみた(2)

          第四回 日経積立投資やってみた(1)

          バブルのスッ天井から積立投資やってたら? あの平成バブルのスッ天井からコトもあろうか積立投資をやってたらどうなってるか、知りたくありませんかね?上は40,000円近く、下は7,000円と来世紀の経済学の教科書に絶対載るであろう歴史に残る30年間、毎月毎月定額を積立してたら?・・・というワケで調べて見ました。 平成元年とはどんな年だったか? 若い人でもこの年から消費税が導入されたことくらいは御存知でしょうが、手元にある資料の中からざっと拾って見ると...。 ・7-9月期G

          第四回 日経積立投資やってみた(1)

          第三回 金利差と為替の関係(2)

          為替相場に影響のあるフローを考える  前回は「ドル円相場は金利差で動くんですかそうですかへぇー」という斜め読み回。今回は大きめの下記フロー(実需)も併せて考えてみたい。 合計(貿易収支+第一次所得収支+対外対内証券投資+スペック) =外貨の買い超or売り超? まず最近賑やかな貿易収支(5月)。←財務省発表へのリンク ■総額(単位10億円) 輸出7,252 +15.8% 輸入9,637 +48.9% 差引▲2,385+1,019.9% 相手国としては中国(▲6,078億円)

          第三回 金利差と為替の関係(2)