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元教師の憂鬱~離島の学校の現状~

 私は離島出身で、前職はその島の中学校教員でした。最近、実家に戻ったとき、教えていた生徒たちとバッタリ遭遇し、いろいろと世間話をしました。楽しい話をひとしきりした後、相談したいという内容が出てくる、出てくる。私自身が辞めるきっかけの1つとなった要因が、予想通り問題化しているのだと思いました。
※私が辞めるきっかけとなった内容については落ち着いてゆっくり執筆したいと思いますので、ここでは詳細を伏せさせていただくことをご了承ください。

【簡単な状況説明】
令和3年度まで地元の生徒による全校生数名(1ケタ)の公立中学校
令和4年4月から
   ・教師の8割が転出(校長・教頭も同時に転出)
   ・〇〇部の部員(市外の生徒を多数含む)が顧問とともに転入
 ※中学校で元々ある部活は陸上部です。
という大きな変化がありました。

地元の生徒を大切にしているのか?

その会話の中で、私が気になった話の内容を3つ、ピックアップしてみます。

①学校の情報発信について

 私の市では学校の教育活動をネットで保護者に情報発信しています。今年、陸上部(地元の生徒)が県大会出場することになり、2日間にわたって参加したそうです。初日は校長が応援に来て、その活動をネット配信をしましたが、2日目は誰も来ず、ネット配信もなかったそうです。強い〇〇部ではすべての大会の様子を配信しているらしいので、平等でないと感じたみたいです。
 ちなみに私が勤めていた頃は、離島から県大会出場となると大事で、バスを貸し切り全校生・全職員で応援に行っていましたが、コロナの影響で行わなかったのかもしれません。

②授業中の態度について

 〇〇部の生徒の一部は授業態度があまり好ましいものでなく、顧問の前だけは真面目にするそうです(これはよくあることですが…)。
授業を真剣に取り組みたい生徒たちが

「うるさくて集中できない」

と、担任(顧問)に相談したら、

「注意しているんだけど、難しいなぁ」

と、答えたそうです。それを聞いたときは私は愕然としました。
本来この質問に対して教師がしなければならない対応は、

「謝罪」「継続指導の約束」

さらに

「顧問が授業中に巡回する」
「最悪の場合、別室指導を視野に入れる」

などの対策を示し、安心して授業が受けられる環境を確保することです。

「注意しているんだけど、難しいなぁ」

という返答は、これ以上何もしない、何もできないと言っているのと同義です。生徒にとってこの返答は、これ以上、何を相談していいのかわからなくなるのは当然でしょう。小規模校の良さがなくなっていることについて、どのように考えているのか聞きたいところです。
 
 また、この発言で終了させてしまう教師は、いじめが起きた場合どのように対応するのでしょうか?

「授業中うるさくて集中できない」
というのが

「いじめがひどすぎて学校へ行けない」
という相談内容になったとき、

「注意しているんだけど、難しいなぁ」
と答えるのでしょうか。

 授業態度の指導といじめに対する指導では、いじめに対する指導のほうがはるかに重大で慎重に対応しなければなりません。授業態度の指導ですらそのような状況なのであれば、いじめに対する対応は不安しかありません。まずはせめて、進路を控える中学3年生に対する授業の質は最低限、保障してほしいものです。

③体育祭に披露する太鼓練習の中止について

 過去、体育祭において中学生は2つのチームに分かれてダンスを披露していましたが、近年、生徒数が激減し、5年ほど前から太鼓を演奏することになりました。そのために、
当時の音楽の先生が離島をイメージした新曲を作ったり、
体育の先生を中心に衣装や道具をそろえたりし、
そして、
生徒たちは夏休みの最終週から練習する
など学校一丸となって取り組み、新たな伝統となりました。
演奏後も「さすが中学生」と好評で、1つのイベントとして地域にも定着するようになりました。

 しかし、今年は、校長が夏休み最終週の練習を禁止したそうです。
そのことに対して生徒たちはきちんとした説明を受けておらず、

「本当に夏休みの練習はもうないのか」

「そもそも太鼓の披露自体があるのかどうか」

という疑心暗鬼を生じています。
 禁止の理由がコロナであれば、自由に〇〇部の活動を認めている状況に矛盾するため推測しにくいのですが、

「〇〇部の練習を優先するため」
(学校行事である太鼓の練習より柔道の練習をさせたい)

が、理由であるのならば校長の判断を疑わざるをえません(私自身も疑心暗鬼になりました)。まさか、生徒の不安の通り、
中学3年としての最後の太鼓を実施しない
という結果にならないことを祈るばかりです。

最後に

 以上3つの相談に対し、私はとにかく

「先生に理由を聞いて事実を把握すること」

「自分たちの思いや願いをまとめて伝えること」

「どうしようもないときは保護者に相談すること」

というありきたりなアドバイスしかできず、申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。

 もちろん、生徒たちの話だけなので、事実確認が必要かと思いますが、
問題は

このように感じてしまっている生徒がいて、
そのケアが十分にできていない現状であることです。

 教師を辞めて、完全に部外者となった私には何もできないので、せめてこの状況や悩みを少しでも多くの方に共感してもらいたい知ってもらいたいと思い、投稿しました。


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