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鈴木の現象学

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記事一覧

疑問への疑問

私は何者なのか、そんな問いに答えはない。あるいは答えなんて分かりきっているとも言える。人間社会においては1998年に生まれた今は大学院生の男性で、就活もろくにせず他に何かしているというほどでもない生活をしている人間だ、と言えるし、科学っぽい言い方をすれば有機物の分子の集合体が膜の中に入ったり出たりしながらも形を保って24年間ウヨウヨしてきたものでもあるし、あるいは私という自意識にとって私だと思える

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有限恐怖症と怖いもの見たさ

左のもみあげに出来たにきびから血が流れている。それが借りてきた本に付かないように手を洗いつつも、久しぶりに見た自分の血に、少しの高揚感を感じる。唯一私が自由に流すことのできる血のはずである。

二日間風呂に入っていないので、体からも衣服からもどことなく獣のような匂いがする。これも当たり前のことでありながらどことなく新鮮で嬉しい。日々訳のわからないことで頭を悩ましながらも、実際には何もしていない人間

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持続可能な社会と、持続不可能な私

「持続可能な社会」、という訳語の日本語に違和感を感じる、という話もあるが、まあそれはさておき、持続可能な社会、という言葉に若干の空々しさを感じるのは何故だろうか。

持続可能、というのを文字通り受け取れば現状と同じ生活を保持できる、ということになると思うが、一方で世の中では持続可能な成長、というようなものを思い描いていることも多い。

しかし、成長し続けるなんてことは普通に考えてあり得ないだろう。

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習慣リスト

私たちが人生をより安定的によくしていく、あるいはよく保つことを目的にして生きているということはほとんど確かだろう。

その上で、もしも私達が理想の人生の全体像というようなものを今の時点で描けるとすれば、それを実現することができれば十分なのは言うまでもない。しかし、ことがそうはいかないのは、現時点では未来についての情報が足らず、全体像を描くということが難しいからである。

こういった、関数の全体像が

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女性差別?男性差別?

ジェンダーに関する問題というのは話を聞くたびになんだかよくわからなくなってしまう話の一つである。

基本的には今の世の中では男性が優位な構造になっていて、女性は不当な不利益を被っており、それを是正していかなければならないというスタンスで語られる。まず最もよく言われるのは仕事に関することで、男性の方が働く機会も多く与えられ、地位や収入も高くなりやすいということが問題であり、女性差別であるということが

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