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ケンヨウの階層

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自分自身に関わる文章を書きとめていきます。仕事のこと、生活のこと、いま夢中なことなど僕自身についてです。
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記事一覧

[ちょっとしたこと]気づけば春だったよ

[ちょっとしたこと]気づけば春だったよ

「春に疎い」のは、仕事柄、いや勤めている会社のせいだと思っている。なにせ一般的な会社と比べて会計期が3月で終わらない会社であるためである。それは仕方がない。晴れやかに迎える4月がないことは、季節感を失わせるには十分すぎる。
 今朝、電車に乗ると他人事の世界で新しく生きる新社会人を何人も見かけた。見ていて清々しい。他人事の世界ではフレッシュな人たちが大いに会社を盛り上げてくれるだろう。そんな自嘲を込

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[ちょっとしたエッセイとおしらせ]一寸先にある未来

[ちょっとしたエッセイとおしらせ]一寸先にある未来

 昨年末、1カ月ほど、ちょっとしたアルバイトをいた。年の瀬の週末だけの、なんだか特別な時間に働くのはなんだか悪くないといのが、働き終わっての感想だ。
 電車に乗って、各駅停車しか停まらない駅で降りる。仕事場は、住宅街の中にある古い木造の家で、ガラガラと扉を引くと、ミシンの音とシンナーの香りがした。仕事内容は至ってシンプルで、ハサミで革を切り、仮止めのためのテープを貼ったり、たぶん教えられれば誰でも

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[ちょっとしたエッセイ] 深夜に思い出すのはいつも

[ちょっとしたエッセイ] 深夜に思い出すのはいつも

 noteで詩を書く人の作品を読んでいると、7〜8割くらいの作品が「恋」や「愛」について書かれている、もしくはそれらを想起させる言葉が散りばめられている。男女問わず、いかに「恋」や「愛」が人の心をトリコにしているかがわかる。
 それらを読んでいると、時にはくすっとしてしまったり、時にはなんだか心をくすぐられたり、時には、自分とは正反対の方法におどろいたりと、人の恋というものは奇想天外で、自分とは違

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[ちょっとしたエッセイ] 渡り廊下とルサンチマン

[ちょっとしたエッセイ] 渡り廊下とルサンチマン

 記憶に残るものは、どんなことがあっても何かの拍子に思い出すことが必ずある。それがどんなに忘れたいことであっても、生きている限りは仕方ないのかなと思ったりもする。
 長かった、夏とも秋とも言えない季節が終わり、ようやく冬の兆しが見えてきた12月のある平日の夕方、家の近所にある学校の脇を歩いていると、学校の裏門と見受けられる場所で、3人の学生が1人の学生にカバンを振り回して当てている光景に出会した。

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[ちょっとした短歌を]2024年を迎えて

[ちょっとした短歌を]2024年を迎えて

風が吹き
見えた余白に傷痕が
残したくないあってよかった

時のスピードは、相も変わらず人の気も知れずに過ぎてゆく。
そんなことを思いながら1日が過ぎ、気がつけば年を跨ぐグラデーションは、あっという間に2024年の感じにシフトしている。もう数日過ごせば、もう完全に23年は過去になる。
40代も半ばを迎えて、改めて人生の後半戦を始めるにあたり、さて「どう生きるか」を少しずつ命題にすることが必要になっ

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[ちょっとしたエッセイ]光と闇と

[ちょっとしたエッセイ]光と闇と

 今年はいつもよりあたたかな12月で、つい先日まで本当に寒いと思える日はいつも以上に少なかったが、ここ1週間くらいは底冷えで、あ、いつもの冬がやってきたな感が出てきた。そのせいで、いつもより遅くなったが、クローゼットの奥からヒートテックのタイツを引っ張り出して、これでようやく冬の準備が完了したような気がした。そして、気がつけば今年も終わりつつある。
 この季節は寒さと相まって、いろいろと昔のことを

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[ちょっとしたエッセイ]寝ることが、もったいなかったあの頃

[ちょっとしたエッセイ]寝ることが、もったいなかったあの頃

 先日、久しぶりに食事をしながら眠ってしまった。とは言っても、一瞬意識を失った程度のもので、ガクンと目の前が上下する現象に見舞われてことなきを得た。しかし、食事をしながら寝落ちとは、学生時代の2徹明けの吉野家以来だった。
 とにかく、最近眠い。酒を飲もうことなら、すぐに酔い、横になった瞬間に寝られる自信がある。この週末も朝に起きられず昼まで寝て、起きてまたボーッとしていたら、夕方になっていた。天井

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[ちょっとしたエッセイ]メコンで泳ぐ、いつまでも

[ちょっとしたエッセイ]メコンで泳ぐ、いつまでも

 「今年は例年になく猛暑だった」と、方々のメディアで取り上げられ、確かに気温も数字として高くて、いつも以上に暑かったのだと思わせられる2023年の夏だった。ジリつく暑さは、暑いといった感情よりも、息苦しいとかそういった類の苦しさに近いもので、サウナの中にいるような(そんなにスッキリするようなものでもないが)、我慢を糧に生きるような日々だったように感じる。世界の人口は80億人を超え、僕が記憶している

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[ちょっとしたエッセイ]借りてでも浴びたい酒

[ちょっとしたエッセイ]借りてでも浴びたい酒

 先日、会社の同僚や後輩と仕事の後に飲みに行った。日頃からこういった会があるわけではなく、僕が勤めている会社は本当に小規模の会社で、新卒が毎年のように入ってくるわけでもないので、日常における関係性が近すぎるためか、会社の人と「飲みに行くほどでもない」関係になりつつある。酒の席で、あいつがああ言ったとか、そんな噂もすぐに風の便りで自分にも返ってきてしまうので、単に面倒だなと思うのも理由のひとつだ。

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[ちょっとしたエッセイ]忘れてもいい日に

[ちょっとしたエッセイ]忘れてもいい日に

 僕らは毎日さまざまな人の記憶をスルーして生きている。こう書くと聞こえが非常に悪いが、今日が、隣のあの人の記憶に残る日であっても、それを共有していない僕が、それに気がつくことはほぼ無理である。そう考えると、お互いに知らないことを前提に生きている。
 
 先日、友人とふたりで新宿三丁目で仕事終わりに一杯やっていた。40代のおじさん二人で、なんだか人生後半戦についてシメっぽい話をしていると、隣ではスー

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[ちょっとしたエッセイ]うれしさは伝染しやすい

[ちょっとしたエッセイ]うれしさは伝染しやすい

 毎朝、満員電車に乗りながら本を読むのを日課としている。ただ、扉の脇を陣取った時は、車窓の外を見ながらボーッとするのも悪くない。西東京の彼方に住んでいると、今日みたいなよく晴れた日には、富士山が見える。末広がりに延びる山肌には、白い雪化粧。同じ景色を見てる人がいるかもしれないと、辺りを見渡してもほぼほぼみんな目線は下にあり、スマートフォンに夢中になっている。そして漏れなくイヤホンもしている。キレイ

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[ちょっとしたエッセイ]六本木という街に騙される日々

[ちょっとしたエッセイ]六本木という街に騙される日々

 先日、久々に六本木を訪れた際、休憩にと駅前の喫茶店に入った。ここは駅前の割に、結構広くゆったりしているので、ちょっとした打ち合わせなどで長居するにはもってこいの場所だった。ただ、古い佇まいと、土地柄か、スーツの人とラフな私服の人のペアが多く、なんだか胡散臭いさは拭えない。でも、ひとりでゆったりするには良い場所だった。
 運ばれたコーヒーを飲みながら、あたりを見回していると、背筋をピンとしながら項

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[ちょっとしたエッセイ]30数年、歳月人を待たず

[ちょっとしたエッセイ]30数年、歳月人を待たず

 ふと、思い立って、歩道橋から僕はシャボン玉を吹いていた。
 時は夕方、これだけのために100均でキットを買って、ここまでやってきた。
 トントンと、吹き口を液体につけ、咥えてやさしく吹く。徐々に息を強めに出す。上手く吹けると、信じられないくらいにシャボン玉が連続して空へ舞い上がる。
 側道を歩く若い女性たちが、空に指を差しながらうれしそうな声をあげているが、こちらを見ると、目線を外してそのまま過

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[ちょっとしたエッセイ]反比例する夜に

[ちょっとしたエッセイ]反比例する夜に

 普段なら、寝る前にスマホを眺めていると急な眠気が襲ってくるのだが、この日は違った。見れば見るほどに、目が冴えてゆく。「あ、きたな」が僕の感想で、数カ月に一度やってくる眠れない夜が到来。こうなると、もうダメで、ひたすらに目を瞑って静かにするか、諦めて、眠くなるまで時が過ぎるのを待つしかない。
 幾分か時が過ぎたと思い、時計に目をやると午前3時。布団に入ってからすでに2時間が経過した。眠くない。眠れ

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