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ドライブインなみまシリーズ

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いらっしゃいませ! この『ドライブインなみま』は、オムニバス形式の小説でストーリー展開しています。お読みいただければ、とても嬉しく思います。
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記事一覧

ドライブインなみま|小説 カレーライス編

夜をひっかく雨の群れは春雷が連れて来た。ゴロゴロ言うてるわ、と思ったら盛大に降り始めて暗…

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ドライブインなみま|小説 かつ丼編

紙風船みたいな男だと思っていたら、本当に紙風船だった。それを膨らませて地面へ着地させない…

54

ドライブインなみま|小説 焼きめし編

夜が漣にゆれる。月光が照らす海面は、てらてらとたゆたい、そのほかは波音しか聞こえない柔ら…

ドライブインなみま|小説 プリン編

だいたい甘くてやわらかいものは、すぐに口の中から溶けてなくなるから信用ならない。アイスク…

ドライブインなみま|小説 うどん編

「はい!息を吸ってえ、吐いてえ、吸ってえ、はい!止めて息んでっ!」 助産師の伊藤さんに言…

ドライブインなみま|小説 ナポリタン編

言葉が螺旋を描きながら私のてのひらへ舞い降りてきた。温かい。触れた瞬間にそう思った。  …

ドライブインなみま|小説 中華そば編

魚の鱗が手の甲と腕にあった。それは透明な瘡蓋のようにピタリと皮膚へ貼り付いている。 「手の甲と腕に魚の鱗が付いてますよ。」 レジの前で僕がそう言うと老眼鏡を鼻の先へ乗せた由美子さんが 「え?どこよ?」 と、両腕をコサックダンスみたいにして目を凝らし、まじまじと手の甲や腕を見ているけれど見つけることが出来なかったので、僕は 「ほら、ここと、ここと、ここ。」 と、人差し指で示すと由美子さんは 「ああ、ほんまや。ありがとう。」 と、笑いながら鱗を剥がしていく。それは

ドライブインなみま|小説 オムライス編

──あーあ、恋に落ちた。 瞬間的にそう思った。幾分高熱に魘された時のように身体が浮遊して…

ドライブインなみま|小説 サンドイッチ編

「私の名前は林 雨桐(リン・ユートン)と言います。」 と、茶色のテーブルにある自分が書い…

ドライブインなみま|小説 ミックスジュース編

自分の抜け殻を見たような気がした。空蝉の硬質な殻の内側は、がらんどうになっているような。…