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客席からの眺め

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お箏の演奏会は楽しい! お箏の演奏会に行くといろんな曲、いろんな情景に出会うことが出来ます。 どんな物を聴いて、何を感じたのか。素人が聴きに行った演奏会の感想を、綴ります。
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「第三回川瀬露秋の会 ~懐い継なぐ~」

「第三回川瀬露秋の会 ~懐い継なぐ~」

紀尾井ホール小ホール。
生田流箏曲白秋会を率いるお家元の会。
江戸時代の曲を、箏・三味線・胡弓で演奏。

と聞くと、
堅苦しそう、かしこまって聞かなくてはならなくて、そして眠そう。
そんなイメージを持たれるかもしれません。
しかし、そのイメージが覆る「演奏会」ではなく「ライブ」でした。

幕開けは2面の長磯箏で「みだれ/京みだれ」
長磯箏は、豪華な装飾がなされたお箏です。
蒔絵や螺鈿、鼈甲で彩ら

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「箏と写ー生々流転」

「箏と写ー生々流転」

千葉県誕生150周年記念いちかわ芸術祭のイベントの一つとして、開催されたコンサートです。
市川市にある千葉商科大学の学生制作映像によるコラボレーション・コンサートとのことで、中山法華経寺本院大客殿にて開催されました。

会場は、お寺の大広間。
バックの襖には、河瀬 蛙友氏による水墨画「敦煌莫高窟・三危山」が描かれています。

演奏された5曲のうち3曲は、そのふすま絵に、曲に合わせて制作された映像

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「音のカタログVol.11」

「音のカタログVol.11」

邦楽器を使った曲を作る、西洋音楽の作曲家さん達のグループ、〈邦楽2010〉によるコンサートです。
前回は2021年10月に第10回が開催され、お邪魔しました。
いろんな曲が次から次へと登場し、とても楽しかったことを思い出し、今回も足を運びました。

作曲家の方は、普段は、ご注文があって初めて、曲を作るのでしょうか。
依頼者の意向や、制約の中で作曲されることが多いのかなあと思います。

この「音

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「野坂惠璃二十五絃箏リサイタル ~繋~」

「野坂惠璃二十五絃箏リサイタル ~繋~」

二十五絃箏を作られた野坂操寿さんの娘さんでいらっしゃる、惠璃さんのリサイタルです。
とても、とても、素敵でした。

「赤とんぼ」
右手の爪音からトンボが飛び回り、左手からは茜色から藍色に移り変わる空と秋の空気が立ち上ります。
「雪は降る」
音が鳴っているのに、雪に吸い込まれた無音の世界が広がります。
辺り一面、真っ白で、何も見えず、何も聞こえない世界。
音が鳴っているのに。
「胡哦」
美しい美し

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「明日佳ソロ琴ライブ「明日、佳人になれ #2」」

「明日佳ソロ琴ライブ「明日、佳人になれ #2」」

明日佳さんの、待望のソロ琴ライブ。
とても良かった!面白かった!楽しかった!
美しい和室で、PAもエフェクターも無し。
目の前で演奏される箏音をダイレクトに浴びるという、とても贅沢な時間でした。
明日佳さんのまっすぐな演奏は、とても清々しくて、心が洗われるようでした。

ポイントは3つ
1.箏の生音
2.アナログ
3.お客様

プログラムは、
前半は明日佳さんオリジナル曲で「世界を駆ける、お琴

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「第9回 山本亜美 箏 二十五絃箏リサイタル ~手繰る、みちしるべ~」

「第9回 山本亜美 箏 二十五絃箏リサイタル ~手繰る、みちしるべ~」

昨年行きそびれてしまった山本亜美さんのリサイタル。
ようやく行くことが出来ました。
今年のテーマは「手繰る、みちしるべ」
様々なご縁が繋がり実現したという、貴重なプログラムを披露してくださいました。

まずは何と言っても、「太助箏」
江戸時代の名工、菊岡太助が作った箏が、100年以上の時を超えて、舞台に登場しました。
美術館のコレクションになってもおかしくない、骨董品のような楽器です。
それが、

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「お茶の間サイズの現代音楽史♪ 作曲家山本和智 自作を語る」

「お茶の間サイズの現代音楽史♪ 作曲家山本和智 自作を語る」

山本和智さん作曲のウワサの「糸電話」が演奏される、と聞いて馳せ参じました。
公益財団法人うらやす財団主催「現代音楽レクチャーシリーズ お茶の間サイズの現代音楽史」(全6回)の最終回。

楽しそうなシリーズですが、その存在を知ったのが最終回、というのが悔やまれます。
それでも、とても聞きたかった「糸電話」ならぬ、「3人の箏奏者と室内オーケストラのための『散乱系』」を体感出来て、とても楽しかったです

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「The 箏 KOTO spin-off」

「The 箏 KOTO spin-off」

深海さとみさん、福永千恵子さん、吉村七重さん
大御所お三方による「The 箏 KOTO」の4回目の公演です。

サブタイトルはspin-off。
これまでは大曲が多かったのですが、皆さまの声にお応えして、「聴きやすい曲」にしてみたとのことです。
確かに、他の演奏会でも耳にしたことのある「聴きやすい曲」のラインナップです。
ですが、全然違います。

トップバッターは福永千恵子さん「鳥のように」

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「佐藤亜美 二十五絃箏リサイタル」

「佐藤亜美 二十五絃箏リサイタル」

2日前はオール長澤勝俊作品でしたが、今回はオール伊福部昭作品です。
長澤作品が「湿った日本の風土」だとしたら、この度の伊福部作品は「乾いた西アジアの風」。
演奏スタイルも、大合奏とは対照的に、お一人だけでの演奏です。
一音一音丁寧に紡ぎ出される音を聴いているうちに、いつの間にか伊福部ワールドに引きずり込まれていました。

プログラムは3曲ながら、いずれも大曲ばかり。
「胡哦(こが)」
「胡人のう

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「日本音楽集団第240回定期演奏会 長澤勝俊生誕100年~長沢勝俊の軌跡~」

「日本音楽集団第240回定期演奏会 長澤勝俊生誕100年~長沢勝俊の軌跡~」

長澤勝俊作曲「まゆだまのうた(尺八と箏のためのまゆだまのうた)」。
箏の波の活動を始める前に、箏とフルートの演奏で聴きました。
美しい旋律と演奏に魅了されて、いまでも忘れられない1曲です。

その後いろんな曲を聴いて、この曲素敵だな、と思うと長澤勝俊さんの曲ということが何度もありました。
日本音楽集団は、長沢勝俊さんが創設にも参加されたプロの和楽器オーケストラです。
その定期演奏会で、オール長澤

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「LEO 箏RECITAL 2023 GRID ON//GRID OFF」

「LEO 箏RECITAL 2023 GRID ON//GRID OFF」

今をときめく箏奏者、テレビ朝日「題名のない音楽会」でもお馴染みの、LEOさん東京でのリサイタルです。
チケットは完売。さすがです。

生LEOさんは2回目です。
前回は2021年2月25日。Hakuju Hallでした。
https://hakujuhall.jp/syusai/251.html
当時はまだ、学生さんでいらしたのですね。
こう言っては何ですが、ある意味「普通の」演奏会でした。

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「公園通りクラシックスProject 佐藤紀雄 公園通りプロデュース シリーズVol.17」

「公園通りクラシックスProject 佐藤紀雄 公園通りプロデュース シリーズVol.17」

連日の暑さで停滞気味の脳みそには、現代音楽の刺激が必要!
ということで、真昼の渋谷に行ってまいりました。

トロンボーンと二十五絃箏。
この組み合わせを聴くのは初めてです。
トロンボーンは村田厚生さん。
二十五絃箏は、実は密かに大ファンの木村麻耶さん。
木村さんは、演奏はもちろん、歌声も大好きなのです。

演奏された4曲、いずれも、曲も楽しく演奏も素晴らしく、とても楽しかったです。
一人でした

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「現代邦楽名作選ー創作の軌跡ー」

「現代邦楽名作選ー創作の軌跡ー」

2時と5時、内容の異なる2回公演。
両方欲張りたいところでしたが、5時の会に足を運びました。

興味深いプログラムはもちろん、今をときめく演奏家の皆さま方、あの方も、その方も、この方も聴ける!と気分が大いに盛り上がります。
チケットを取る前から楽しみにしていましたが、当日は期待以上、ものすごく面白かったです。

未知の世界である現代曲は、解説を先に読むか、あとで読むか悩みます。
今回は、まっさ

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「当道音楽会 第140回定期演奏会 ー未来へつなぐ伝統の音ー」

「当道音楽会 第140回定期演奏会 ー未来へつなぐ伝統の音ー」

当道音楽会は明治38年に設立された、箏・三絃・胡弓を伝承している団体です。
伝統文化の維持・継承をはかる団体であることに公益性を認められ、公益社団法人の認定を受けられています。
この度、第140回定期演奏会が、超豪華ゲストを招いて開催されるとのことで、足を運びました。

第1部は、ゲストの競演
「笹の露」
富山清琴さんの三絃と、菊原光治さんの箏、善養寺惠介さんの尺八です。
清琴さんと光治さんの掛

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