何度も考えて動けなくなるより、2回だけ考えて動くほうがずっと良い(『論語』公冶長篇)
今回取り上げるのは『論語』公冶長篇からの言葉。
2度考えればそれで十分である、という意味。
念の為に確認するのは良いが、何度も確認してそれで時間がかかってしまってはもったいないということですね。
これは、孔子が季文子(きぶんし)という人物を評して語った言葉です。
魯国の宰相である季文子は、とても慎重な性格でした。
ある日のこと。
国使として晋国に赴くことになった季文子は、晋の君主である襄公が病気がちであることを知ります。
「もしかしたら、晋に到着したときには既に亡くなっているかもしれない」と考えた季文子は、喪にあった際の国使の礼について学ぶことにします。
そして、その他にも色々な状況を想定して何度も考え、できるだけの準備をしてから出発します。
果たして、晋国についたときには既に襄公は亡くなっており、季文子の準備は実を結ぶことになりました。
この話を知った孔子は、「そんなに何度も考えなくとも、2回考えればそれで良いではないか」と言ったわけです。
色々な準備をした結果、季文子は国使として立派に晋の襄公の喪に対応できました。
しかし、彼は出発までにかなりの時間をかけています。
もしかすると、手早く準備を済ませて出発していれば、晋の襄公が亡くなる前に間に合ったのかもしれません。
それを考えると、何度も繰り返し検討して準備をするよりも、2回検討してOKだったらそれで良しとするくらいがちょうど良いのかもしれません。
私もついつい何度も同じことを考えてしまうので、季文子の気持ちはよく分かります。
これで本当に大丈夫か?
見落としはないか?
不測の事態が起きたらどうするか?
などと色々考えてしまい、結局動き出すのが遅くなってしまうのです。
ですが実際のところ、何度も検討・確認したからといって見落としがなくなるわけではありません。
見落としてしまうものは何度検討しても見落としてしまいます。
見落とし防止用としてチェックリストがあるのであれば、それに従ってチェックできていれば大丈夫です。
一度確認したのに、それ以上確認する必要はありません。
結局のところ、「最初に検討し、もう一度確認する」ことができていれば、大体は大丈夫なのです。
不安になって何度も検討・確認して時間を失うくらいなら、1~2回しっかりチェックをして行動に移した方がずっと効率的だと思います。
行動すれば結果も得られますので、そこで振り返りをして改善していけば良いのです。
考えすぎて動けなくなるくらいなら、考えるのは2回までにしましょう。
最初の検討で1回。
確認用のもう1回。
これで2回です。
結果がどうなるかはやってみないと分からないので、2回考えたらあとは実際に行動してみましょう。
3回目の検討は振り返りの際に行えば大丈夫です。
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