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【決定版】岸田首相の正体|政治初心者へ贈る岸田政権の教科書(2024/04 日米・日米比首脳会談追記)

岸田政権が誕生してから約2年。

発足当初は見えづらかった "岸田政権の政治" がよく見えるようになってきた。

岸田首相はこれまで、左右から叩かれ続けてきた。

あることないこと書き連ね安倍政権を攻撃してきたリベラル・左翼と呼ばれる勢力はもちろん、安倍政権時は左翼のウソを暴く立場にあったはずの保守・右翼までもが、岸田政権、岸田首相を叩いてきた。

政治団体「日本保守党」の百田尚樹代表を筆頭とし、右派論壇は、「岸田は媚中びちゅう・親中だ」との論調を展開し、保守・右翼が岸田首相を叩く流れをつくった。

しかし、よくよく考えてみてほしい。

岸田首相が本当に媚中なのであれば、なぜ中国寄りの言論をくり返すリベラル左翼が岸田首相を叩くのだろうか。

リベラル左翼による岸田首相への攻撃が、安倍晋三元首相への攻撃と被って見える。

そして、令和6年能登半島地震について、日本保守党が "岸田政権が中国に忖度して台湾の救助隊を拒否した" との論を展開し拡散したところ、台湾外交部(台湾政府)がこれを含む言説の否定声明を発出するという異例の大問題が起きた。

『国家政府が他国のネット言説を公式に否定する』というのは、本当に異例の事態だ。

(https://x.com/focustaiwanjapa/status/1742870794269827332?s=20)より引用

(台北中央社)能登半島地震で、内政部(内務省)消防署が被災地への派遣を準備していた救助隊の待機を解除したとの報道を巡り、インターネット上の一部で「日本が台湾を断った」とする言説が飛び交っている。これに関し、外交部(外務省)の劉永健(りゅうえいけん)報道官は4日、「台湾を断った」との言い方は「台日間の調整の事実とは合致せず、公平性を欠いている」とし、日本政府からは台湾の申し出に対して感謝が表明されたと明らかにした。

(中略)

また、台湾は日本政府の災害救助計画を十分理解・尊重しているとし、日本側と密なやりとりを続け、もし今後、日本側からのニーズがあれば台湾は全力で支援を提供すると語った。

能登半島地震/外交部、日本側が支援「断った」の言説は「台日間の調整の事実と合致しない」/台湾|フォーカス台湾 中央社 日本語版
(https://japan.focustaiwan.tw/politics/202401040008)より引用

台湾は1月13日に総統選挙を控えており、「蔡英文政権は日本と上手くいっていない」との根拠なき論が拡散されれば野党が有利(すなわち中国が有利)となるため、台湾政府の怒りが感じられる。

これに対して一般層や被災者を含めた人達が怒りをあらわにし、「災害をイデオロギーに利用するな」と右派論壇が批判されているのが現状だ。

もちろん、リベラル・左翼と呼ばれる層も、災害を利用して岸田政権を攻撃し、被災者や一般層の怒りを買っている。

ウソや週刊誌報道で安倍政権を攻撃し、国政を停滞させたリベラル左翼。

リベラル左翼と同調し、災害を利用し台湾にまで迷惑をかける右派論壇。

彼等は信頼に値するだろうか?

そろそろ、我々も真実と向き合う時だ。

本記事は、岸田無能論、岸田親中論に疑問を覚え始めたあなたに贈る、岸田政権の真の姿である  

文字数が約160,000字となっており、これは一般的な書籍に匹敵する文字数である。

もちろん、全編をお読みいただければこれ以上なく嬉しいことだが、目次を設定しているため、ご興味のある箇所のみお読みいただくことが可能だ。

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(2024/04/18)

小川榮太郎氏(総合安全保障シンクタンク:日本平和学研究所 理事長)のYouTube動画「【岸田総理米議会演説について再論】台湾危機は目前に迫っている。保守派言論人よ国防の最先端を担う覚悟を!」において、本記事をご紹介いただきました(9:45~)。

「【決定版】岸田首相の正体|政治初心者へ贈る岸田政権の教科書」というのが、次から次へと更新されております。21歳ということで、ちょっと文面を読むともう少し年上かなと思いますけど、いずれにしても、非常に詳細にデータがファクトべースで、こういうですね、匿名の人の方がまともな論壇やっちゃってるっていう、この状態よ今。これが時代の変わり目だと思う。

【岸田総理米議会演説について再論】
台湾危機は目前に迫っている。
保守派言論人よ国防の最先端を担う覚悟を!
|小川榮太郎の平和研チャンネル
(https://youtu.be/BhWM7SlVg9g?si=4-9yb7MwKVwtcNH5)より文字起こし

小川榮太郎氏は、岸田政権を真正面から評価されている数少ない保守言論人のお一人であり、私も X(旧Twitter)等をフォローさせていただいている。

この動画において小川氏は、「我が国は(国を守れる)憲法があって軍隊があって、言論界は(無責任に)商売をしていればいい、という国ではない。今、我が国の言論界は国家防衛の最前線であり、一心不乱に憲法改正を現実化しようとすべきではないのか」といった趣旨のご発言をされている。

まさに同意するところだ。

私は "言論人" と名乗れるほど立派な人間ではないが、少しでも我が国を守り、そして発展させていく一助になることができればと思い筆を握っている。

小川氏は現状として、真正面から岸田政権を評価されているので、ぜひご参考になさっていただきたいと思う。

小川氏の X(旧Twitter)はこちら
小川榮太郎(@ogawaeitaro)

小川氏のYouTubeチャンネルはこちら
➢ 小川榮太郎の平和研チャンネル

小川氏の当該動画はこちら
➢ 【岸田総理米議会演説について再論】台湾危機は目前に迫っている。保守派言論人よ国防の最先端を担う覚悟を!

小川榮太郎様

この度は本記事をご紹介いただき、ありがとうございます。

動画内においてお話しされていた内容ですが、まったく同意するところであります。

岸田政権を真正面から評価すれば嫌われる昨今の言論界ですが、小川先生のような、正確に論評される方こそが評価される言論界をつくっていくべく、微力ではございますが、事実に基づいた岸田政権の姿を紹介している次第です。

まだ何の力もない若輩者ではございますが、国家防衛の最前線を走っておられる小川先生を応援しております。

P.S. 私は本年(2024年)の6月10日に22歳を迎える、正真正銘の21歳でございます。

「文面を読むともう少し年上かなと思う」というのは褒め言葉として頂戴いたしましたので、どうぞよろしくお願いいたします(笑)

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憲法改正

岸田自民の動き

現行の日本国憲法はアメリカの占領下(主権剥奪中)において作成された憲法であり、「独立・主権国家である日本」の憲法として最適かと言えばそうではない。

特に、国民の命を守る「最大の福祉」、つまり国防に関する条文(第9条)が現実に即していなかったり、緊急時に国民の命を守るための条文(国家緊急権)が規定されていなかったりと、問題は多岐にわたる。

そのため、自民党をはじめ保守派は憲法改正を叫び続けてきたわけであるが、制定から78年間、日本国憲法は一度も改正されたことがない。

これは諸外国と比較しても異常なことで、たとえば同じ第二次世界大戦の枢軸国(敗戦国)であるドイツは、戦後、2022年時点で67回の憲法(ドイツ基本法)改正を行っている。

しかし、戦後長らく日本において憲法は聖域化されており、安倍晋三元首相が首相時代に改正を議論のテーブルに乗せてくださったものの、安倍政権の間には改正に至っていない。

これはやはり、リベラル左翼の野党によるボイコットやプロパガンダ等の妨害活動によるところが大きく、「国民投票で否決された」という歴史を残してしまえば、今後数十年は憲法改正がほぼ不可能となってしまうためだろう。

※現在では多くの国民が制定を求める "スパイ防止法" も、1985年に潰されて以降、制定が困難となっている(民意を得られなかった事実が残っているため)。

そんな日本国憲法の改正であるが、現在、憲政史上最も改憲に近い状態となっていることにお気づきだろうか。

まず第一に、自民党総裁が岸田文雄になってからというもの、憲法審査会が過去最多の水準で開催されるようになった。

【時事】岸田総理 実績情報整理 Vol.1
12.憲法審査会定例化|PULP 🐈‍⬛
(https://note.com/like_pulp/n/nd7500b41b90c#aeeafdc5-e90e-4611-a7a9-a4d90b895095)より引用

そして第二に、2023年の最終審査会において、「改憲案の起草機関の設置」が自民党より提案された。

衆議院憲法審査会が開かれ、大規模災害など緊急事態での国会議員の任期延長をめぐり、自民党が憲法改正の条文案の起草作業を行う機関を設置するよう提案したのに対し、立憲民主党は現時点で憲法に明記する必要はないと主張しました。

国会議員の任期延長 自民 憲法改正条文案の起草機関を提案|NHK
(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231207/k10014281041000.html)より引用

第212回国会 憲法審査会 第5号 議事録

これについて、提案した自民はもちろん賛成、その他、維新、公明、国民等が賛成寄りの姿勢を示しており、2024年の通常国会(1月下旬~6月下旬)において起草機関が設置され、憲法改正の発議が行われる可能性は非常に高い。

(2024/04)

立憲民主党の憲法審査会ボイコットにより、今国会での起草・発議が危ぶまれる事態となっている。

日本国憲法第96条には現行憲法が改正可能なこと、その是非は国民投票によって判断されることを定める条文がある(俗に言う「改憲条項」)。

憲法改正への賛否は自由であって然るべきだが、改憲勢力が国会の2/3を占める現在において憲法審査会をボイコットする(=国民投票の実施を妨害している)というのは、『立憲民主党は日本国憲法を軽視している』と言って過言ではないだろう。

憲法改正草案を無料解説

憲法改正について、自民党「日本国憲法改正草案(平成24年)」自民党「日本国憲法の改正実現に向けて(たたき台素案4項目)」国民民主党・日本維新の会・有志の会「緊急事態条項条文案」の3案を解説し、無料で公開した。

以下にまとめマガジンと各記事のリンクを貼っておくので、スキ(♡)やマガジンフォローをブックマークとして、ぜひご確認いただきたい。

※リンク先へ飛ぶ前に♡を押していただくと、後々、この記事を「スキした記事」欄から見つけることができ、見失うことがありません。

・まとめマガジン

・自民党改憲草案(平成24年)

・自民党たたき台素案4項目

・国民維新有志「緊急事態条項案」

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防衛力の抜本的強化

【前提】防衛力強化、なぜ今必要?

防衛力とは、その名の通り日本を防衛する(他国による侵略から国家国民を守る)ための実力である。

防衛力の強化は国のマッチョ化。

マッチョは喧嘩を仕掛けられづらく(この戦争抑止の力を『抑止力』と言う)、また仕掛けられても身を守ることができる。

この「防衛力」について岸田政権下では『抜本的な強化』が行われているが、なぜ今、日本政府は防衛力の強化に力を入れているのだろうか。

それは、「台湾有事」が2025~2030年の間に勃発する可能性が非常に高いとされているからだ。

>台湾有事

台湾と中国の歴史を簡単に説明すると、以下のようになる。

過去、日本と支那(現在の中国領)が支那事変日中戦争を戦っていたころ、支那では中国国民党が政権を握っていた(中華民国)。

その後、中国共産党(現在の中国政府)との内戦に敗れ、国民党が日本の併合が解除された台湾へ逃亡、台湾を中華民国領とする。

そして中国共産党が大陸領土を制圧、中華人民共和国(現在の中国)を建国したため、中国(中華人民共和国)と台湾(中華民国)の構図が誕生した。

中華人民共和国は台湾も統一しようと武力侵攻に着手するも、軍事力の問題から断念。

ただし、「台湾は元々中国の領土である」として、必ず統一するとの主張を続けている(「一つの中国」論)。

その後、台湾の政府は中国国民党ではなくなっていくが、中華人民共和国と台湾が存在する、「二つの中国」の状況は現在まで変わっていない。

そして近年、中華人民共和国が力をつけ、武力を行使してでも台湾を統一する構えを見せるようになったのだ。

習近平国家主席は、2013年、国際会議の場において「長期にわたる政治対立を次の世代へ引き継ぐわけにはいかない」と発言、自身の統治時代に台湾統一の意向を示す。

そして2022年、「最大の誠意と努力で平和的な統一を堅持するが、決して武力行使を放棄せずあらゆる必要な措置をとる選択肢を残す」と述べた。

この「 "一つの中国" を主張する中華人民共和国が、台湾を武力で統一しようとする侵略戦争」を『台湾有事』と呼び、近年、その発生の可能性が高まっているとされているのだ。

これを抑止するために、岸田政権は超スピードで防衛力の強化を進めている。

【前代未聞】防衛費の倍増

防衛費とは、その名の通り日本を防衛する(他国による侵略から国家国民を守る)ための国家予算である。

防衛力の強化は国のマッチョ化。

マッチョは喧嘩を仕掛けられづらく(この戦争抑止の力を『抑止力』と言う)、また仕掛けられても身を守ることができる。

岸田政権になってから、この防衛費について『GDP比2%(直前からの倍増)』が指針として決定された(前代未聞の増額幅)。

昨年12月に策定した防衛力整備計画の2年目となる令和6年度予算案の防衛費は、前年度比1兆1277億円増で過去最大の7兆9496億円を計上した。後年度負担分を含む契約ベースでは9兆3625億円に上る。防衛力を抜本的に強化するため、9年度までに契約する事業費43兆5千億円のうち、42%が5、6年度で手当てされることになり、防衛費の積み増しが進んでいる。

防衛費、過去最大7兆9496億円
スタンド・オフ能力を強化|産経新聞
(https://www.sankei.com/article/20231222-II2AOMX6IVM27LR6R4KF6XNBVY/)より引用

また、財源について「増税(俗に言う防衛増税)」が必要以上に騒がれたが、毎年度4兆円ほどの追加財源について、約3/4はさまざまな工夫により賄い、それでも不足する約1/4についてを増税で賄うことになる。

岸田首相が "増税メガネ" との「デマ+外見の揶揄」を投げつけられるようになった大きな理由として防衛増税が挙げられると思うが、少し冷静になってほしい。

まず第一に、過去に類を見ない桁違いの防衛費増額分の、3/4は増税によらない財源の確保工夫が行われている。

第二に、防衛増税の内訳は法人税、所得税、たばこ税となっているが、法人税は約96%の中小企業が対象外、所得税は復興特別所得税の一部転用であり国民負担は増加せず、たばこ税も1本当たり3円相当が喫煙者にのみ課される形となる。

つまり、「国民を守る防衛費」を「桁違い」に増額するにもかかわらず、『国民への負担は最小限度、多くの国民にはほぼ無風レベルに抑え込まれている』ということなのだ。

そのうえで、岸田政権および岸田自民は増税時期を先送りし、現在の公算では2026年度以降にずれ込むものと考えられている。

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【戦後初】反撃能力敵基地攻撃能力の保有
(新国家安全保障戦略)

反撃能力とは、我が国に対するミサイル攻撃が発生した場合等に、相手の領域内にあるミサイル発射地点等に反撃(ミサイル迎撃げいげきではなく敵国への攻撃)を加える能力を指す。

ミサイルの迎撃システムにも "100%" はなく、また飽和攻撃(一度に迎撃できる数を超えたミサイル攻撃)を行われた際、必ず国民に被害が生まれることとなる。

この「国民の被害を防ぐ」ために相手のミサイル発射地点等を叩き、そもそもミサイルを撃てなくする攻撃が「反撃」であり、この能力を「反撃能力」と言う。

反撃能力については、1956年2月29日に政府見解(鳩山一郎内閣総理大臣答弁船田防衛庁長官代読)として、憲法上、「誘導弾等による攻撃を防御するのに、他に手段がないと認められる限り、誘導弾等の基地をたたくことは、法理的には自衛の範囲に含まれ、可能である」とされていたものである。

しかし、政治判断により保有してこなかった能力なのだ。

これを岸田政権は、新たな国家安全保障戦略を策定し、「武力の行使の新三要件に基づき、攻撃を防ぐにやむを得ない "必要最小限度の自衛の措置" として、相手の領域に反撃を加える」ことを可能としたのである。

わが国への侵攻を抑止する上で鍵となるのは、スタンド・オフ防衛能力などを活用した反撃能力である。近年、わが国周辺のミサイル戦力は質・量ともに著しく増強される中、ミサイル発射も繰り返されており、ミサイル攻撃が現実の脅威となっている。こうした中、今後も、既存のミサイル防衛網を質・量ともに不断に強化していくが、それのみでは完全に対応することが困難になりつつある。このため、ミサイル防衛により飛来するミサイルを防ぎつつ、相手からの更なる武力攻撃を防ぐために、わが国から有効な反撃を相手に加える能力、すなわち反撃能力の保有が必要である。

4 わが国の防衛の基本方針(防衛目標と反撃能力の保有を含むわが国の防衛力の抜本的強化など) 2 第1のアプローチ:わが国自身の防衛体制の強化(1)わが国の防衛力の抜本的な強化
|令和5年版防衛白書
(http://www.clearing.mod.go.jp/hakusho_data/2023/html/n230204000.html)より引用

これは『憲政史上初』のことであり、我が国の安全保障が大きく前進した。

【有言実行】トマホークミサイルの購入

これに関し、岸田政権はトマホークミサイル(アメリカ)の購入を決定し、またその計画を前倒ししている。

木原大臣は、10月3日から6日まで米国を訪問。訪米中、オースティン国防長官と日米防衛相会談を行った。スタンド・オフ防衛能力を担う米国製巡航ミサイル「トマホーク」を、1年前倒しして令和7年度から取得することで一致しました。
政府が昨年末に策定した防衛3文書では、令和8年度から9年度に最新型のトマホーク「ブロックⅤ」を取得する計画でした。同期間にブロックⅤを取得しつつ、ブロックⅤの一部を「ブロックⅣ」に変更したことで、当初の計画より1年早く取得できるようにしました。

トマホーク前倒し取得、国民に丁寧な説明を
木原稔防衛大臣訪米の報告受ける|自民党
(https://www.jimin.jp/news/information/206797.html)より引用

この他にも、12式地対艦誘導弾(国産)、島嶼防衛用高速滑空弾(国産地対地ミサイル)を2026年配備から前倒し予定、極超音速誘導弾(国産)についても、まだ先にはなるが前倒し配備を計画している。

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【OSA】武器輸出の開始

武器輸出は、他国の防衛に関与することで味方(少なくとも敵ではない)を増やし、製造ラインを構築・保存し(自国の緊急事態に量産できる体制を維持)、防衛産業を潤わせる(自国の緊急事態にラインを動かす企業を守る)。

つまり、武器の輸出は抑止力(戦争を思い留まらせる力)と防衛力(日本国民の命を防衛する力)を高める政策なのだ。

政府安全保障能力強化支援Official Security Assistance(OSA)とは

 我が国が戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に置かれる中、力による一方的な現状変更を抑止して、特にインド太平洋地域における平和と安定を確保し、我が国にとって望ましい安全保障環境を創出するためには、我が国自身の防衛力の抜本的強化に加え、同志国の抑止力を向上させることが不可欠です。
 こうした目的を達成するため、開発途上国の経済社会開発を目的とする政府開発援助(ODA)とは別に、同志国の安全保障上のニーズに応え、資機材の供与やインフラの整備等を行う、軍等が裨益者となる新たな無償による資金協力の枠組み(「政府安全保障能力強化支援(OSA)」)を導入することとしました。本枠組みは令和4年12月16日に閣議決定された国家安全保障戦略においても記述されています。

政府安全保障能力強化支援(OSA:Official Security Assistance)|外務省
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/fp/ipc/page4_005828.html)より引用

>フィリピンへ『我が国初の完成防衛装備品移転』(OSA1例目納入)

このような中で、初の完成品移転案件として、2020年にフィリピン国防省と三菱電機㈱の間で同社製警戒管制レーダーを納入する契約が成立しておりましたが、今般、当該契約に基づく1基目のレーダーがフィリピン空軍に納入されました。引き続き、残りのレーダーの納入に向け、官民一体となり取り組んでまいります。

フィリピンへの警戒管制レーダーの移転について|防衛省
(https://www.mod.go.jp/j/press/news/2023/11/02d.html)より引用

>バングラデシュへ警備艇供与(OSA2例目)

11月15日(現地時間同日)、バングラデシュ人民共和国の首都ダッカにおいて、岩間公典駐バングラデシュ人民共和国日本国特命全権大使と、ワカル・ウズ・ザマン・バングラデシュ人民共和国首相府軍務局首席幕僚(Lieutenant General Waker-Uz-Zaman, SGP, psc, Principal Staff Officer, Armed Forces Division, Prime Minister’s Office of the People’s Republic of Bangladesh)との間で、5.75億円を供与額とする「政府安全保障能力強化支援(OSA)」に関する書簡の署名・交換が行われました。

バングラデシュ人民共和国に対する警備艇供与(「政府安全保障能力強化支援(OSA)」)に関する書簡の署名・交換|外務省
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press1_001617.html)より引用

>マレーシアへ警戒監視用機材供与(OSA3例目)

12月16日、東京において、岸田文雄内閣総理大臣及びアンワル・イブラヒム・マレーシア首相(H.E. Dato' Seri Anwar bin Ibrahim, Prime Minister of Malaysia)臨席の下、上川陽子外務大臣とモハマド・ハサン・マレーシア外務大臣(H.E. Dato' Seri Utama Haji Mohamad bin Haji Hasan, Minister of Foreign Affairs of Malaysia)との間で、4億円を供与額とする「政府安全保障能力強化支援(OSA)」に関する書簡の署名・交換が行われました。

マレーシアに対する警戒監視用機材供与(「政府安全保障能力強化支援(OSA)」)に関する書簡の署名・交換|外務省
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/fp/nsp/pageit_000001_00098.html)より引用

>フィジーへ警備艇等の供与(OSA4例目)

12月18日(現地時間同日)、フィジー共和国の首都スバにおいて、田中健一郎在フィジー共和国日本国臨時代理大使と、フィリモニ・ヴォサロンゴ内務、移民大臣代理(Hon. Filimoni W.R Vosarogo, Acting Minister for Home Affairs and Immigration of the Republic of Fiji)との間で、4億円を供与額とする「政府安全保障能力強化支援(OSA)」に関する書簡の署名・交換が行われました。

フィジー共和国に対する警備艇等の供与(「政府安全保障能力強化支援(OSA)」)に関する書簡の署名・交換|外務省
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/pressit_000001_00114.html)より引用

>パトリオット・ミサイルの輸出(三点パチンコ方式でウクライナ支援)

政府は、防衛装備品の輸出ルールを緩和し、地対空ミサイルシステム「パトリオット」をアメリカに輸出することにしています。速やかに対応するため、自衛隊が保有しているものを輸出することにしていて、年明け以降、アメリカ側と本格的な調整を行うことにしています。

政府は12月22日、「防衛装備移転三原則」の運用指針を改正し、外国企業から技術を導入し国内で製造する「ライセンス生産」の装備品について、ライセンス元の国に輸出することを全般的に可能としました。

自衛隊保有「パトリオット」輸出へ
年明け以降 米側と本格調整|NHK
(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231226/k10014299391000.html)より引用

【GCAP】日英伊で戦闘機共同開発

2022年12月、日英伊三ヶ国による「グローバル戦闘航空プログラムに関する共同首脳声明」が発表された。

日本、イタリア及び英国の首脳として、我々は法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を擁護することにコミットする。これらの原則が脅かされ、脅威や侵略行為が増大している昨今、かかる秩序を堅持する重要性はかつてないほど高まっている。我々の民主主義、 経済及び安全を守り、地域の安定を守ることはこれまで以上に重要であるため、信頼に足 る抑止力により裏打ちされ強化された、強固な安全保障・防衛パートナーシップが必要である。

我々3か国には、自由、民主主義、人権、法の支配といった共通の価値に基づく、長年にわたる緊密な関係がある。本日、我々は、深化する3か国間のパートナーシップを更に進める、2035年までに次世代戦闘機を共同開発するという壮大な事業である「グローバ ル戦闘航空プログラム(Global Combat Air Programme (GCAP))」を発表する。

グローバル戦闘航空プログラムに関する共同首脳声明 仮訳|外務省
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100432097.pdf)より引用

外務省の解説ページを貼っておくので、ご興味があればぜひ。

【戦闘機】「防衛装備移転三原則」運用指針改正

米国は、地域における抑止力を強化するための共同開発・生産を通じた協力を増進することになる、日本の防衛装備移転三原則及びその運用指針の改正を歓迎する。

日米首脳共同声明
「未来のためのグローバル・パートナー」
2024 年4月 10 日(仮訳)|外務省
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100652148.pdf)より引用

日米首脳会談後の共同声明においてこのように触れられた「防衛装備移転三原則及びその運用指針の改正」とは、以下の通りである。

日英伊で戦闘機を共同開発するにあたって、「防衛装備移転三原則」の運用指針が改正された。

 政府は、「防衛力整備計画について」(令和4年 12 月 16 日国家安全保障会議決定及び閣議決定)に基づき、我が国の安全を確保する上で中核となる次期戦闘機の英国及びイタリアとの共同開発(以下「グローバル戦闘航空プログラム」という。)を推進する中で、我が国の安全保障環境にとって必要な性能を満たした戦闘機を実現し、我が 国防衛に支障を来さないようにするためには、我が国からパートナー国以外の国に完成品を移転し得る仕組みを持ち、英国及びイタリアと同等にグローバル戦闘航空プログラムに貢献し得る立場を確保する必要があるとの認識に至った。

グローバル戦闘航空プログラムに係る完成品の
我が国からパートナー国以外の国に対する移転について
令 和 6 年 3 月 2 6 日 国家安全保障会議決定 閣議決定
(https://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/pdf/r60326_bouei7.pdf)より引用

今回の改正では、「防衛装備品・技術移転協定」を締結した15ヶ国のうち、戦闘が行われていない国に限り、次期戦闘機について、パートナー国以外の第三国に対する移転(輸出)を認めることが決定されたのだ。

ただし、実際に輸出を行う場合には、案件ごとの閣議決定を必要とする。

「防衛装備移転三原則」は、佐藤栄作総理大臣が国会答弁において触れた指針「武器輸出三原則」をルーツとし、安倍政権下において定められたもの。

今回はこれの運用指針を改正し、「殺傷能力のある完成品を第三国に輸出することが可能となった」のである。

これによって我が国は、戦闘機に巨額投資を行って防衛力を大幅に強化するとともに、完成した戦闘機を輸出することで利益をあげ、巨大投資を回収することが可能になったのだ。

また、この運用指針改正については「日本国憲法に違反するのではないか」と疑問視する声もあるが、実は戦後、我が国は1950年代後半から1960年代にかけて、ミャンマー(ビルマ)や南ベトナム、タイ、インドネシア、台湾、ブラジル、アメリカなどに殺傷能力のある武器を輸出しており、言うまでもなく、今回の運用指針改正は現行憲法に違反しない。

平和を維持するには力が必要であり、力をつけるには防衛産業を潤すことが必要不可欠。

そのうえ、「他国の安全保障に介入する」というのは『味方、少なくとも敵ではない国を増やす』ことでもあり、これも日本を守ることに繋がるのである。

キッシー、マジでGJ!

【沖縄】陸自第15旅団「師団」化へ

防衛省が、沖縄県を中心とした南西諸島防衛を担う陸上自衛隊第15旅団を師団に格上げする時期を令和8年度とする方向で調整していることが、分かった。政府関係者が24日、明らかにした。中国が東シナ海などで軍事活動を活発化させる中、台湾有事などに備えた南西地域の防衛体制強化の一環で、現在の1個普通科連隊を2個連隊とするのをはじめ、3千人規模に増強する。

<独自>陸自沖縄部隊の師団化、令和8年度に
 政府、南西防衛強化急ぐ|産経新聞
(https://www.sankei.com/article/20231024-BHMI2QKE4ZJ7LF4RYYFDO4WLWY/)より引用

沖縄は台湾有事等を想定した場合に重要拠点となる地域であるが、ここの陸上自衛隊第15旅団を、師団に格上げして3000人規模を展開する予定なのだという。

この師団化に伴って司令官が陸将補から陸将に格上げされ、沖縄県に司令部を置く米海兵隊第3海兵遠征軍の司令官(中将)と階級を揃え、より密接な連携を図るそうだ。

【国有化】弾薬等のサプライチェーン強化

防衛省は12日、国内防衛産業を支援する生産基盤強化法に基づく施策を実行するための基本方針を発表した。装備品に関し「国産を追求する」と明記。弾薬や艦船は戦闘継続や整備の観点から、国産が不可欠とした。

防衛装備品「国産を追求する」と明記
 産業支援へ防衛省が基本方針発表|産経新聞
(https://www.sankei.com/article/20231012-VGA6Z3N6JVMAPMBHD7GQRRXOPQ/)より引用

「【OSA】武器輸出の開始」の節において「武器輸出は、他国の防衛に関与することで味方(少なくとも敵ではない)を増やす」と述べたが、これは「日本→他国」のみならず「他国→日本」においても成り立つ。

つまり、弾薬等を含めた防衛装備品(武器)の生産を他国に依存することは、安全保障、ひいては国策としての方向性について『首根っこを掴まれている』ことを意味するのである。

日本の防衛産業が壊滅してしまえば、この『首根っこを掴まれる』状況へと追い込まれてしまうのだ。

成立した防衛産業強化法では、装備品の製造企業が撤退する場合、他の方法がなければ、政府が生産ラインを買い取って国有化できるようになる。

ここについて、ようやく、ようやくである。

これまで日本の防衛産業(軍需産業)は撤退・ジリ貧を続けてきたが、ようやく金が突っ込まれ、国家として安定した生産・供給への道が開けた。

ここは長年にわたっての課題であって、本当に岸田政権に感謝しかない。

【え?】自衛隊員の血液備蓄へ

防衛省は21日、島嶼部などでの有事に負傷した自衛官への輸血を目的に、血液型を問わず投与でき、止血効果がある血小板を含む「全血」の血液製剤を独自に製造する方針を明らかにした。混乱する前線で不適合輸血のリスクを避けるとともに、血液型検査などを省いて輸血できるようにすることで救命措置の迅速化を図る。

(中略)

また、同省は通常の赤血球製剤よりも使用期限の長い凍結赤血球製剤の製造・備蓄も始める。

防衛省が全血液型対応の製剤を製造へ
 有事の輸血を迅速化|産経新聞
(https://www.sankei.com/article/20240221-JRF2TCGEVNIWXFAIMIZ62ADTBE/)より引用

これは少し怖い情報。

「血液」は人間の生存に必要不可欠な存在だ。

実際の戦場においても、死因の多くを占めるのは失血死であるという。

これまでの日本は自衛官の血液について日本赤十字社からの製剤調達で備えてきたが、ここにきて、全血製剤の製造や凍結赤血球製剤の製造に乗り出すというのだ。

しかも、現在の日本において全血製剤は薬事承認されておらず、自衛隊の例外的運用を厚労省と調整してまで、これの導入を目指すとのこと。

たとえば防衛費を増やすとか、反撃能力を保有するとか武器の性能を向上させるとか、これらは「抑止力」としての側面も大きいものだが、「血液の確保」は明らかに『戦闘が発生した後の話』であり、前者とは全く性質が異なる。

台湾有事や朝鮮有事の危険性が一層高まっており、日本の周辺情勢は、これまでとは一線を画す段階に入っていることが想像できる。

【日台連携】現役防衛省職員台湾常駐化

日本の防衛省が、台湾との窓口機関「日本台湾交流協会」の台北事務所に「背広組」の現役職員を常駐させたことが分かった。中台の緊張が高まる中、日本は台湾との距離を徐々に縮めており、軍事を含めた情報収集や当局との意思疎通を強化する。事情を知る関係者4人が明らかにした。

日台間には国交がなく、台北事務所が査証発給など実務業務を担う日本の在外公館として事実上機能している。同関係者らによると、防衛省はこの職員を出向の形で派遣。以前から駐在する退役自衛官と2人体制にした。

防衛省、台湾に現役職員を常駐
 意思疎通や情報収集強化=関係者|REUTERS
(https://jp.reuters.com/world/us/X4JBMXSZYZNR3PVUY2ZPLWUOBQ-2023-09-12/)より引用

【改革】常設統合司令部設置

防衛省は、サイバーや電磁波など、陸・海・空の自衛隊どれかに収まらない分野に日頃から対応する必要性が高まっているとして、来年度、各自衛隊を一元的に指揮する常設の「統合司令部」を240人程度の規模で設置する方針です。

自衛隊を一元的に指揮する常設の「統合司令部」設置へ 防衛省|NHK
(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230822/k10014169631000.html)より引用

現在の自衛隊では、有事の際などに陸自・海自・空自を一元的に指揮する必要がある場合、「統合任務部隊」を臨時的に設置することとなっている。

しかし、自衛隊が発足してから数十年、防衛分野の拡大はとどまることを知らず、宇宙やサイバー・電磁波などの分野に日頃から対応する必要性が高まっているため、常設の「統合司令部」を設置することを目指すと決定されたのだ。

これについては、2024年4月の日米共同声明においても触れられている。

米国は、日本が自国の国家安全保障戦略に従い、2027 日本会計年度に防衛力とそれを補完する取組に係る予算をGDP 比2%へ増額する計画、反撃能力を保有する決定及び自衛隊の指揮・統制を強化するために自衛隊の統合作戦司令部を新設する計画を含む、防衛力の抜本的強化のために日本が講じている措置を歓迎する。

日米首脳共同声明
「未来のためのグローバル・パートナー」
2024 年4月 10 日(仮訳)|外務省
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100652148.pdf)より引用

現在の体制では、制服組の統合幕僚長が防衛大臣の補佐と作戦指揮を同時に担う構造となっているが、この「統合司令部」を設置することにより、作戦指揮を統合司令部が担うことになり役割分担ができるようになる。

【米軍】横浜ノースドックに陸軍輸送中隊

米軍施設「横浜ノースドック」(横浜市神奈川区)は、オフィスビルや商業施設が立ち並ぶ横浜みなとみらい21地区から、1キロほど海を隔てた対岸にある。先月8日、ここで米陸軍の小型揚陸艇部隊「第5輸送中隊」の運用が始まった。

横浜みなとみらいの対岸に米陸軍が新部隊
 中国念頭に輸送力を強化|朝日新聞
(https://www.asahi.com/articles/ASS3Y4667S3MULOB015.html)より引用

【初】沖縄本島に地対艦ミサイル連隊

中国は台湾や尖閣諸島、日本のシーレーンを脅かしている。

そのような現状に対し、日本は陸上自衛隊の強化を実施した。

沖縄本島で初となる地対艦ミサイル連隊が発足した陸上自衛隊勝連分屯地(沖縄県うるま市)で30日、記念式典が開かれた。鬼木誠防衛副大臣が「戦後最も厳しく複雑な安全保障環境にある中、南西地域の防衛体制の強化は喫緊の課題だ」と訓示した。尖閣諸島(同県石垣市)周辺では中国海警局の船2隻が領海内に入るなど緊張が続いている。

沖縄本島初の地対艦ミサイル連隊発足で記念式典
 中国は領海入りで牽制か|産経新聞
(https://www.sankei.com/article/20240330-BXHF5DVVNROD7CJF6Y776EWVXY/)より引用

岸田政権は防衛費を前代未聞の倍増、戦後初めて反撃能力を保有し、防衛力の抜本的強化に乗り出している。

防衛力の強化は中国に武力行使を思いとどまらせる『抑止力』となり、それを証明しているのが次節だ。

中国がキシダにブチ切れ

防衛の倍増というのは前代未聞の政策であり、総理大臣が岸田文雄でなければ "肝いり" と言われていたことだろう。

しかし岸田首相はこれをいとも簡単にやってのけ、それに対し、台湾有事を目論む中国がお怒りだ。

2024年度の防衛費は、防衛力強化の方針に伴って1兆1300億円ほど増えた7兆9496億円となり過去最大となりました。中国外務省は29日の会見で「日本は防衛予算を年々増額し、軍事発展の突破口を模索してきた」と指摘しました。そのうえで、日本に対して「近隣諸国の安全保障上の懸念を尊重すべきだ」と強調しました。

日本の防衛費が過去最大
 中国外務省「近隣国の懸念を尊重すべき」
|テレ朝news
(https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000342961.html)より引用

「キシダは媚中」「キシダは習近平の犬」というのは、日本保守党周辺を中心に未だに根強い主張だが、これが "犬" なら習近平・中国国家主席はあまりに間抜けだろう。

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スパイ防止法と
セキュリティ・クリアランス(SC)

まず第一に、「スパイ防止法」の制定はほぼ不可能である。

1985年6月、「国家秘密に係るスパイ行為等の防止に関する法律案(自民党議員による議員立法)」が提出され、同年の第103回臨時国会で審議未了廃案となっている。

国会において否決・廃案になったということは「民意を得られなかった」ことを意味し、これを再度提出して法制化することは非常に困難であると言える。

しかし、スパイを防止する・取り締まる法律が存在しなければ、「スパイに機密情報を盗まれる」「スパイの混入を警戒した他国との連携ができなくなる」等、日本国民にとって重大な問題が発生するのだ(既に発生し続けている)。

そのため、「スパイ防止法」は制定できなくとも、安倍政権下において「特定秘密保護法」が制定され、岸田政権は「セキュリティ・クリアランス(SC)」の法制化に向けて動いている。

JAUKUS構想

2024年4月8日、アメリカ・イギリス・オーストラリアから、安全保障枠組み「AUKUSオーカス」の先端技術分野において、日本との協力を検討しているという共同声明が発表された。

アメリカのオースティン国防長官は8日、イギリス、オーストラリアの国防相とともに共同声明を発表し、3か国でつくる安全保障の枠組み「AUKUS(オーカス)」の柱の1つである先端技術の分野で、日本との協力を検討していると明らかにしました。

米英豪の安全保障「AUKUS」
先端技術分野で日本との協力を検討|NHK
(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240409/k10014416341000.html)より引用

AUKUSは「オーストラリアへの原子力潜水艦の配備」と「AIや極超音速ミサイルの共同開発など先端技術分野での協力」を掲げており、日本とは後者での協力を検討しているとのことだ。

そしてこれは、日米首脳会談後の共同声明においても触れられている。

日本の強み及び AUKUS 諸国との間の緊密な二国間防衛パートナーシッ プを認識し、AUKUS 諸国 ― 豪州、英国及び米国 ― は AUKUS 第2の柱における先進能力プロジェクトに関する日本との協力を検討している。

日米首脳共同声明
「未来のためのグローバル・パートナー」
2024 年4月 10 日(仮訳)|外務省
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100652148.pdf)より引用

これに反発しているのが中国であり、中国の外交部・報道官は以下のように述べている。

 関連の報道には留意している。米、英、豪が地域諸国と国際社会の核拡散リスクに対する普遍的な懸念を顧みず、いわゆる「三カ国間安全保障パートナーシップ」の参加国拡大のシグナルを絶えず発し、一部の国家を仲間に引き入れ、アジア太平洋地域の軍備競争を激化させ、地域の平和と安定を破壊していることを、中国は深刻に懸念している。われわれは関係国が排他的な「小グループ」を作って陣営間の対抗を生み出すことに反対する。日本はとりわけ歴史の教訓を深くくみ取り、軍事・安全保障分野で言行を慎むべきだ。

日本のAUKUS参加検討を深刻に懸念
 中国外交部|新華社
(https://jp.news.cn/20240409/f40d01761d554073b27328b7b6894042/c.html)より引用

台湾や我が国の存立を脅かし、秩序への挑戦を試みる中国を牽制する意味でも、そして純粋に日本の技術力向上および世界への貢献の意味でも、AUKUSとの協力・連携強化は非常に喜ばしいことであると言える。

このAUKUSとの接近に大きく関係していると考えられるのが、高市早苗経済安全保障担当大臣が推進する「セキュリティ・クリアランス(SC)」である。

セキュリティ・クリアランス

衆議院・本会議で先ほど、経済安全保障分野における機密情報の取り扱いを有資格者のみに認める、「セキュリティ・クリアランス制度」を創設する法案が与党と立憲民主党などの賛成多数で可決しました。

【速報】セキュリティ・クリアランス法案 衆院を通過
|TBS NEWS DIG
(https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/1103683?display=1)より引用

この法案では、漏洩ろうえいが起きると日本の安全保障に悪影響を及ぼす情報を「重要経済安保情報」に指定し、機密情報を取り扱うことができる者を、国が「適性評価」を行って認定された者に限定する。

SCは多くの西側諸国が設定している制度であり、日本にはこれまでこれが存在しなかったことにより、機微な情報の共有が必要とされる諸外国との共同研究、諸外国政府からの受注などにあたって、日本企業が非常に不利な目に遭ってきたという。

現在でも特定秘密保護法(安倍政権時に制定)による情報保護制度は存在するが、これは対象者が主に公務員(と一部民間職員)であり、民間において機微に触れる情報を保護する制度が存在しなかったのだ。

そのため、同盟国・同志国との国際共同研究に大きな支障をきたしており、企業や経済団体からも法制化を求める声が挙がっていたのである。

これを解決するのが今回の法案であり、実際、SCが衆議院を通過する見通しとなり、協議を行うべき日米首脳会談の直前となったタイミングで、米英豪から協力検討の共同声明が発表されたのだ。

また、SCについて「キシダの妨害に負けず通した高市さん素晴らしい!」といった珍論を展開する右翼がいるのだが、高市氏を経済安保大臣に任命し、野党から集中攻撃を受けた際、「信用できないなら質問しないで」と危うい答弁をした際も交代させず、「権限」を高市氏に与え続けたのは、他でもない岸田首相である。

目を開けながら寝言を言うのは、一種の超能力なのだろう。感服する次第だ。

※「政務三役」が対象者となっていないこと、「性的行動についての節度(ハニートラップ対策)」に関する調査項目がないことを問題視する声もあるが、第一に、首相を含む閣僚、副大臣、政務官は、大臣規範によって守秘義務を課されている。

政務三役への罰則強化を望むのであれば、民間が主な対象となるセキュリティ・クリアランスではなく、大臣規範もしくは別の仕組みによって対応すべきではないだろうか。

ただし、高市大臣は以下のように説明している。

"「政務三役についてでございますが、任命の段階で、まず内閣の一員として任命される段階で必要な考慮がなされるということで、適正評価の対象外としたものでございます」

高市大臣は記者会見でこのように述べたうえで、政務三役が重要経済安保情報を漏らした場合でも「最大5年以下の拘禁刑という罰則が及ぶということには変わりはない」と強調しました。"


第二に、私も中国などのハニートラップには対策が必要と考えるが、民間が対象となるセキュリティ・クリアランスにおいて、個人の性行動を調査することが適切であるのか、これについては議論が必要ではないだろうか。

【は?】マスコミ労組「経済安保法廃案」声明

日本マスコミ文化情報労組会議は12日、衆院を通過した「重要経済安保情報保護・活用法案」に関し、表現の自由を著しく脅かす恐れがあるとして、廃案を求める声明を出した。

マスコミ労組、経済安保法廃案に
 表現の自由を脅かすと声明|共同通信
(https://nordot.app/1151405536443662463)より引用

「重要情報の流出を防ぎや他国による情報泥棒(スパイ行為)を防ぎ、日本の安全を守ると同時に、民間企業のビジネスチャンスを拡大するセキュリティ・クリアランス(SC)」であるが、マスコミ労組がこれに反対する声明を出している。

これは1980年代に「スパイ防止法」が潰された際と同じ動きであり、警戒する必要があると言えるだろう。

スパイ防止法は国際的に見ても標準的な法律であると言え、SCと同じく「スパイ行為を働いていない者には反対する理由がない」ものであるが、当時、第二東京弁護士会や日弁連、日本民間放送連盟、日本社会党、公明党、民社党、日本共産党、社会民主連合などが強固に反対、廃案となったのだ。

「民意を得られなかった」という形式になった以上、「スパイ防止法」を提出することは非常に困難となってしまった。

しかし、スパイ行為を規制する法律がなければ日本の安全は守れず、その被害を受けるのは他ならない日本国民である。

そのため、自民党は「スパイ防止法」を『特定秘密保護法(安倍政権)』や『セキュリティ・クリアランス(岸田政権)』などに分解して法制化し、"実質的にスパイ防止法を形づくり、スパイ行為から国民を守る" ことを目指しているのだ。

SCは衆議院を通過したが参議院での審議を控えているわけで、ここで国会がマスコミ労組におもねった場合は否決・廃案にされてしまう。

そうなった場合、日本の重要情報は常に中国(国家情報法により人民のスパイ活動を義務付けている)などの脅威に晒されることになり、民間企業はビジネスチャンスを逃し続けることになってしまうわけだ。

そのため、SCが衆議院を通過したことに安心するのではなく、マスコミ各社の動向、野党の動向、そして国会審議の動向に注意する必要があると忘れてはならない。

しかし、「スパイ行為を働いていない者には反対する理由がないスパイ防止法やSC」について、マスメディアが反対する理由はいったい何なのだろうか。

【は??】新聞労連「経済安保新法廃案」声明

マスコミ労組に続き、新聞労連も「重要情報の流出を防ぎや他国による情報泥棒(スパイ行為)を防ぎ、日本の安全を守ると同時に、民間企業のビジネスチャンスを拡大するセキュリティ・クリアランス(SC)」を潰せと言い始めた。

経済安全保障に関する機密情報を取り扱う資格を政府が与える「セキュリティー・クリアランス(適性評価)」制度を導入する新法案を巡り、新聞労連は15日、記者らが刑事責任を問われる懸念を拭えず「市民の知る権利の制限や報道の自由の萎縮につながりかねない」として、廃案を求める声明を発表した。

「市民の知る権利制限」
 経済安保新法案の廃案を―新聞労連|JIJI.COM
(https://www.jiji.com/jc/article?k=2024041500738&g=soc#goog_rewarded)より引用

「職務に関係のない機密情報を知ろうとする国民」は、その情報を使って何をしようとしているのだろうか。

「国民を守る法律が制定されると刑事責任を問われるかもしれない記者」は、いったいどのような活動をしているのだろうか。

マスコミ労組新聞労連も、「日本の安全を守り、民間企業のビジネスチャンスを拡大する法律を潰そうとした団体」として、未来永劫、語り継いで差し上げたいと思う。

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外交の岸田

中国は現在、「台湾有事」を画策している。

これがどういったものかについては本記事をお読みいただければわかると思うが、簡単に言えば「中国が起こす台湾侵略戦争(日米も巻き込まれる)」である。

これを念頭に、岸田政権は抑止力(中国に戦争を思い留まらせる力)を強化するため、そして防衛力(実際に台湾有事が起きても国民を守るための力)を強化するために、味方・仲間を増やし、中国のことを封じ込めている(中国包囲網)。

以下、岸田外交の主な成果。

日英同盟事実上の復活(2023年10月15日~)

9月15日(現地時間同日)、英国・ロンドンにおいて、「日本国の自衛隊とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国の軍隊との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間の協定(日・英部隊間協力円滑化協定)」(本年1月11日署名)の効力発生のための外交上の公文の交換が行われました。これにより、この協定は、本年10月15日に効力を生ずることとなります。

日・英部隊間協力円滑化協定の効力発生のための外交上の公文の交換|外務省
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_009786.html)より引用

日豪準同盟の発足(2023年8月13日~)

1月6日(木曜日)、岸田文雄内閣総理大臣とスコット・モリソン・オーストラリア連邦首相(The Hon. Scott Morrison, MP, Prime Minister of the Commonwealth of Australia)との間で、日本国の自衛隊とオーストラリア国防軍との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とオーストラリアとの間の協定(日豪円滑化協定)への署名が行われました。

日豪円滑化協定の署名|外務省
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/a_o/ocn/au/page4_005481.html)より引用

日韓連携強化

韓国は、従軍慰安婦・徴用工強制連行のウソ、日韓請求権協定の反故、天皇陛下(現上皇陛下)への謝罪要求、国際法違反の李承晩ライン設定、日本人漁師の違法な拿捕・虐殺、竹島の不法占拠等々、反日的な言動が激しいが、現在の尹錫悦ユンソンニョル政権は親日的であり、また台湾有事が起きた際に北朝鮮が同調して日本を攻撃しないよう、ある意味での盾となってもらう必要がある。

>ホワイト国復帰

 経済産業省は27日、7月21日から韓国を安全保障上問題がない国として輸出手続きを簡略化する「グループA(ホワイト国)」に再指定すると発表した。復帰は2019年8月以来、約4年ぶり。韓国の復帰により、ホワイト国は米英など計27カ国になる。

韓国を7月21日から輸出「ホワイト国」に再指定
4年ぶり復帰へ|朝日新聞
(https://www.asahi.com/articles/ASR6W61V4R6WUTFK006.html)より引用

>日韓スワップ再開

令和5年12月1日、日本国財務大臣の代理人たる日本銀行と韓国銀行は、令和5年6月29日に開催された第8回日韓財務対話の合意に基づき、第3次二国間通貨スワップ取極を締結しました。本取極は、日本及び韓国の当局が、相互に自国通貨と米ドルを交換することを可能とするものです。交換上限額は100億米ドルです。

日=韓国間の第3次二国間通貨スワップ取極を締結しました(令和5年12月1日)|財務省
(https://www.mof.go.jp/policy/international_policy/financial_cooperation_in_asia/bsa/Pressrelease/20231201.html)より引用

>韓国の横暴には毅然と

岸田文雄首相が先月28日の日独首脳会談で、ドイツの首都ベルリン市ミッテ区に設置されている慰安婦像の撤去を要請していたことが分かった。

首相が像撤去を直接要請するのは異例だ。

〈独自〉岸田首相、独首相にベルリンの慰安婦像撤去を要請
|産経新聞
(https://www.sankei.com/article/20220510-MW2XXJQC6BLVBGIT4TOGB4LJF4/)より引用

 上川陽子外相は8日の記者会見で、韓国のソウル高裁が元慰安婦や遺族らの損害賠償請求を認め、日本政府に請求全額の支払いを命じた判決が同日、上告期限を迎えたことに関し、「(国家は外国の裁判権に服さないとされる)国際法上の主権免除の原則から日本国政府が韓国の裁判権に服することは認められない。上告する考えはない」と述べた。

 上川氏は、昭和40(1965)年の日韓請求権・経済協力協定などを念頭に、「今回の判決は国際法、日韓間の合意に明らかに反するもので、断じて受け入れることはできないと韓国側に申し入れをしている。引き続き韓国側が適切な措置を講ずることを求めていく」と語った。

慰安婦問題 韓国判決「上告しない」
 上川外相が明言|産経新聞
(https://www.sankei.com/article/20231208-VPXG64EL6ZMCLP6JSMYY4HVKF4/)より引用
太字化は國神による。

NATO首脳会合に参加(招待・日本首相は初)

現地時間6月29日午後、スペインを訪問中の岸田文雄内閣総理大臣は、NATO首脳会合に出席したところ、概要は以下のとおりです。

北大西洋条約機構(NATO)
岸田総理大臣のNATO首脳会合出席(結果)
|外務省
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/erp/ep/page4_005633.html)より引用

ウクライナ支援

ロシアによる侵略戦争を受けるウクライナは、西側諸国の大きな関心事となっている。

ここを支援するのは西側諸国に恩を売ることを意味し、また「武力による一方的な現状変更を認めない」との姿勢を世界に明示する  つまり台湾有事においても同じ考えの適用を西側諸国に迫る  ことを意味する。

ロシア軍によるウクライナでの多数の無辜の民間人の殺害は重大な国際人道法違反であり、戦争犯罪です。断じて許されず、厳しく非難するものです。こうした残虐な行為の真相は徹底的に明らかにされなければならず、 ロシアは戦争犯罪の責任を問われなければなりません。

ロシアによるウクライナ侵略を踏まえ、日本は様々な支援や措置を採ってきました。本資料は、新たに実施された直近の主な支援・措置並びに これまでの打ち手に関わる更新事項をまとめています。

直近の主な支援・措置令和5年10月19日更新版|首相官邸
(https://www.kantei.go.jp/jp/content/jp_stands_with_ukraine_jpn.pdf)より引用

・ 緊急人道支援
 ➢保健、医療、食料、保設(2億ドル)
 ➢人道支援、復旧・復興支援(約9億ドル、令和4年度補正予算)
・ウクライナ情勢の影響を受けた中東・アフリカ諸国等を対象とした食料関連支援(約2.5億ドル、うちウクライナからの穀物輸出促進支援等は2,200万ドル)
・ウクライナ政府が無償で提供したウクライナ産小麦のソマリアヘの輸送、現地での配布支援(1,400万ドル)
・ウクライナに対する財政支援(6億ドル)
・ウクライナに対する債務救済措置(債務支払猶予方式)(約7,000万ドル、 約78億円)
・北大西洋条約機構(NATO)のCAP信託基金に対しての拠出(3,000万ドル)
・国際機関拠出金及び二国間支援(5億ドル、令和4年度二次補正予算)
・JICA及び国際機関(UNDP)を通じたエネルギー分野等の支援(4.7億ドル)
・ウクライナ南部における洪水被害に対する緊急無償資金協力の実施(500万ドル)
・世銀を通じた財政支援グラント(5億ドル)
・世銀への信用補完を通じた財政支援融資(50億ドル) 
・ウクライナ避難民支援のためポーランド政府系金融機関が発行するサムライ債にJBICが930億円規模の保証
・国際機関を通じた越冬支援
 ➢発電機及びソーラー・ランタンを供与(約257万ドル)
 ➢ウクライナ国家警察へ反射材及びカイロを供与(約55万ドル)
・カンボジアと協力したウクライナ非常事態庁職員への研修を含む地雷・不発弾対策支援
・ウクライナ公共放送局への放送機材供与
・希望する在留ウクライナ人の在留延⾧を許可
・ウクライナから日本への避難民の受入れ
・ウクライナに対するエネルギー分野への越冬支援(7,000万ドル)
・ウクライナ公共放送局への本邦研修及び技術移転の実施
・農業生産力回復のための種子配布、本邦研修及び技術移転の実施
・東日本大震災の経験・知見に基づくがれき処理に関する研修及び技術移転の実施
・ドローン・防弾チョッキ・ヘルメット・防寒服・天幕・カメラ・衛生資材・非常用糧食・双眼鏡·照明器具・医療用資器材・民生車両(バン)等の提供
・避難民支援のための物資協力、自衛隊機によるUNHCRの人道支援物資の輸送協力、医療・保健等の分野における人的貢献
・100台規模のトラック等の自衛隊車両、約3万食の非常用糧食を提供 
・ウクライナ負傷兵の自衛隊中央病院への受け入れ

直近の主な支援・措置令和5年10月19日更新版|首相官邸
2国間・国際機関等を通じた支援(1)(2)(https://www.kantei.go.jp/jp/content/jp_stands_with_ukraine_jpn.pdf)より引用

この他の措置については、以下をご参照。

➢ 直近の主な支援・措置令和5年10月19日更新版|首相官邸

安倍晋三元首相の国葬儀実施と弔問外交

国葬儀決定までの日程(暗殺から6日)

7月8日   安倍晋三元首相の暗殺
7月9日  選挙戦最終日
7月10日 投開票
7月11日 関係者通夜
7月12日 安倍元首相の葬儀
7月13日 国葬儀の方針発表

この後、苛烈な反対運動を受けても屈さず決行し、弔問外交も実施した。

>弔問外交リスト

・スイス連邦(会談)
・ガボン共和国(会談)
・アラブ首長国連邦(表敬)
・タンザニア連合共和国(会談)
・エストニア共和国(会談)
・ルーマニア(会談)
・フィリピン共和国(表敬)
・ベトナム社会主義共和国(会談)
・インドネシア共和国(表敬)
・アメリカ合衆国(表敬)
・パプアニューギニア独立国(会談)
・EU欧州理事会議長(会談)
・シンガポール共和国(会談)
・ヨルダン・ハシェミット王国(会談)
・オーストラリア連邦(会談)
・フランス共和国(会談)
・インド(会談)
・モロッコ王国(会談)
・カンボジア王国(会談)
・ドイツ連邦共和国(会談)
・レソト王国(会談)
・大韓民国(表敬)
・パレスチナ(会談)
・キューバ共和国(会談)
・スリランカ民主社会主義共和国(会談)
・トーゴ共和国(会談)
・ジンバブエ共和国(表敬)
・トルクメニスタン(会談)
・セルビア共和国(会談)
・バーレーン王国(会談)
・英国(会談)
・コソボ共和国(会談)
・ブータン王国(会談)
・モンゴル国(会談)
・イタリア共和国(会談)
・コモロ連合(会談)
・モルドバ共和国(会談)

以下の首相官邸ページより抜粋。
故安倍晋三国葬儀参列者との二国間会談等(1)
(https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202209/26kaidan1.html)
故安倍晋三国葬儀参列者との二国間会談等(2)
(https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202209/27kaidan2.html)
故安倍晋三国葬儀参列者との二国間会談等(3)
(https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202209/28kaidan3.html)
故安倍晋三国葬儀参列者との二国間会談等(4)
(https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202209/28kaidan4.html)
故安倍晋三国葬儀参列者との二国間会談等(5)
(https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202209/28kaidan5.html)

G7広島サミット

出席者
(1)G7 日:岸田総理(議長)、伊:メローニ首相、加:トルドー首相、仏:マクロン大統領、米:バイデン大統領、英:スナク首相、独:ショルツ首相、EU:ミシェル欧州理事会議長、フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長

(2)招待国(8か国)豪州:アルバニージー首相、ブラジル:ルーラ大統領、コモロ(アフリカ連合(AU)議長国):アザリ大統領、クック諸島(太平洋諸島フォーラム(PIF)議長国):ブラウン首相、インド(G20議長国):モディ首相、インドネシア(ASEAN議長国):ジョコ大統領、韓国:尹(ユン)大統領、ベトナム:チン首相

(3)招待機関(7国際機関)国連:グテーレス事務総長、国際エネルギー機関(IEA):ビロル事務局長、国際通貨基金(IMF):ゲオルギエヴァ専務理事、経済協力開発機構(OECD):コーマン事務総長、世界銀行:マルパス総裁、世界保健機関(WHO)(オンライン参加):テドロス事務局長、世界貿易機関(WTO):オコンジョ=イウェアラ事務局長

(4)ゲスト国 ウクライナ:ゼレンスキー大統領

G7広島サミット(概要)|外務省
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/ecm/ec/page4_005920.html)より引用

【大転換】比が日米頼りに一帯一路を脱退

フィリピン政府は、国内の主要な3件の鉄道建設プロジェクトについて、中国からの資金援助を白紙に戻す意向を公式に示した。領有権問題などで両国の関係がぎくしゃくしていることが背景にあるが、フィリピン政府はアメリカや日本が主導する機関など、中国以外からの支援が確保できると自信を持っている

イタリアに続きフィリピンも、中国「一帯一路構想」を離脱する意向
|Newsweek
(https://news.yahoo.co.jp/articles/d16cce8abd79b18614c6684fa103ea80fe61f146)より引用
太字は國神による。

日比準同盟へ議論開始

フィリピンへの防衛装備品移転に加え、日比間でも日英・日豪と同じ準同盟を結ぼうとしている。

岸田総理大臣から、政府安全保障能力強化支援(OSA)による沿岸監視レーダーの供与を着実に実施するとともに、今回署名された海上保安機関間の協力覚書も踏まえつつ、海上保安能力向上に係る協力を更に強化したい旨述べました。マルコス大統領から、OSAによる支援に謝意が示されるとともに、両首脳は、部隊間協力円滑化協定(RAA)交渉の早期妥結や海上保安機関間の協力強化に向け、引き続き連携していくことで一致しました。

フィリピン共和国
日・フィリピン首脳会談|外務省
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/s_sa/sea2/ph/pageit_000001_00115.html)より引用

バラマキ外交

「キシダが海外に血税をばら撒いてきたぁ!」と、「日本人が汗水垂らして稼ぎ、納めた税金を、カッコをつけるため、また忠犬として褒められるため外国に差し出してきた」というニュアンスの言説を目にしたことがある方も多いだろう。

これは安倍政権の頃から言われているもので、安倍外交に対する「バラマキ!」との言説を批判していた層までもが、なぜか岸田政権になった途端に「バラマキ!」側に回り、この声が大きくなってしまっている。

ではなぜ、安倍首相や岸田首相は、ここまで非難を受けながらも海外へお金をばら撒いてくるのだろうか。

それは、ひとことで言えば「日本にとって良い国際環境を構築するため」である。

経済・軍事的な二国間関係の強化、資源およびそれを輸送するシーレーンの安定的確保、国際的地位の維持・向上、それによる国連・国際機関選挙等での我が国の立場への支持など、日本の利益を獲得するため、海外への援助を行っているのだ。

また、他国のインフラ発展に干渉することで日本企業のビジネスチャンスを創出したり、何かあった場合に在留邦人・日本企業の安全確保がスムーズになったりと、直接的に国民の利益となる場合も多くある。

この "バラマキ!" との声は主に「ODA」と呼ばれる「政府開発援助」に向けられることが多いのだが、この財源の多くは税金ではない箇所から確保されており、これは首相官邸のページにおいても説明されている。

もっと豊かな日本のために 世界をもっと豊かに
|首相官邸
(https://www.kantei.go.jp/jp/headline/oda/index.html)より引用

また、もちろん場合によるが基本的にタダでお金をばら撒いているわけではなく、「円借款えんしゃっかん」と呼ばれる貸付(金利有り)による利益もあがる。

もっと豊かな日本のために 世界をもっと豊かに
|首相官邸
(https://www.kantei.go.jp/jp/headline/oda/index.html)より引用

もちろん外交関係においてすべてが上手くいくことはなく、債務免除による損失が発生する場合もあるため個別検証は必要であるが、総論として「ODAは "バラマキ" で国益を毀損する」とするのは明らかな誤りと言えるだろう。

また、日本のODAは中国の一帯一路構想( "債務の罠" を仕掛けて相手国にデフォルトを起こさせ、インフラを占拠、実質的に支配下に置く)に対抗する有効な手段であり、肥大化する中国の脅威を削ぐ効力もあるのだ。

スリランカは中国の巨大経済圏構想「一帯一路」関連の投資を受けて対中債務が増加。返済に行き詰まり、2017年に南部ハンバントタ港の運用権を中国側に99年間貸与することとなった。22年には、新型コロナウイルス感染拡大で外貨獲得の主力産業だった観光業が影響を受けて外貨不足に陥り、デフォルト(債務不履行)状態となった。

中国の「債務のわな」解決へ協議
 日スリランカ首脳会談|産経新聞
(https://www.sankei.com/article/20230525-Y2GZ2WB3MNNIBEPXTHTLOSIVWE/)より引用

金も武力もない外交は "話し合いで解決" との妄想にほかならず、非現実的理想論であるこれを主張するリベラル左翼は、ロシアによるウクライナ侵略戦争の勃発後、一般にも嘲笑の対象となった。

そして、国葬儀に世界中の要人が駆けつけ、日本の国際的地位を圧倒的に高めた安倍晋三元首相の外交が、「バラマキ」とリベラル左翼から言われていたことも忘れてはならない。

【初】天皇誕生日レセプションに台湾総統

「天皇誕生日」は本来は『天長節』というのだが、本題ではないので詳細は割愛する(ちなみに建国記念の日は「紀元節」、勤労感謝の日は「新嘗祭」)。

2024年(皇紀2684年)の天長節天皇誕生日に、台湾において蔡英文総統や賴清德副総統(次期総統)が祝辞を述べてくださったのだという。

26日夜、台湾で開かれた天皇誕生日の祝賀レセプションに、蔡英文総統と頼清徳副総統が出席しました。1972年の日本との断交後、現職の総統と副総統が出席したのは初めてで、近年の日台関係の緊密化を反映した形です。

台湾総統ら天皇誕生日の祝賀レセプション出席
断交後 現職で初|NHK
(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240226/k10014371601000.html)より引用
太字化は國神による。

「天長節を祝うレセプションに台湾の総統と次期総裁が出席した」というのは中国にとって非常に都合が悪い話で、これを実行できたのは、「岸田首相がいわゆる "チャイナスクール" と揶揄される外務官僚を抑え込んでいるからだ」と見る向きが強い。

また、これを「天皇の政治利用ではないか」と疑問視される方もいらっしゃるかと思うが、これはまったく逆の話で、「第三国への配慮によって友好地域の方に天長節を祝ってもらえない」という方がおかしいのである。

蔡英文総統と賴清德副総統に心より感謝を申し上げるとともに、"我が国はまっとうな国家になりつつあるのだなぁ" と感動を覚える次第だ。

アメポチのキシダ

岸田首相については、「習近平(中国)の犬」のみならず「アメリカのポチ」との声も根強い。

そんなアメポチのキシダが米議会で演説を行った(「【歴代5例目】国賓待遇で訪米(2024/04)」の章で解説)ところ、アメリカの政策に影響を与えてしまった。

20日の討論では共和、民主両党の複数議員が、「米国の指導力は必要不可欠」との岸田文雄首相の米議会演説を引用して予算案への支持を訴えた。「自由世界のために立つ」米国の信任は崩壊寸前で保たれた。

米議会、迷走半年 翻弄されたウクライナ支援と米指導力
岸田首相演説を複数議員が引用|産経新聞
(https://www.sankei.com/article/20240421-7HAXXZEBQNNS3GWEJTQI6FAMY4/)より引用

ウクライナ支援に積極的な民主党のみならず、モンロー主義(孤立主義)寄りな共和党の議員までもが、複数名、岸田首相の米議会演説を引用してウクライナ支援への支持を訴えたというのだ。

「アメリカのポチ」とは。

むしろアメリカのケツを蹴り上げているではないか。

無論、イランのイスラエル攻撃などの要因も大きいため「岸田首相がひとりでアメリカを動かした」とは言わないが、民主・共和党の両党議員が岸田首相の演説を引用して訴えている以上、岸田首相の演説が影響を与えていることは否定しようのない事実と言える。

岸田首相の米議会演説(歴代2例目)は、確実に『歴史の転換点』となった。

もしトラの麻生

政治をウォッチしていると目にすることの多い「もしトラ」。

これが何を指しているかと言えば、「もしドナルド・トランプ前大統領が大統領に再選したら」である。

そして、なぜ最近になってこの「もしトラ」がここまで話題になっているかと言えば、アメリカの大統領選挙が2024/11/05に実施されるからだ。

ここで勝利した大統領候補が、2025/01/20に大統領に就任する。

ドナルド・トランプ氏は "アメリカ・ファースト" を掲げ、モンロー主義・孤立主義と呼ばれる「他国の争いから距離を置く」とのスタンスに回帰しようとする勢力の代表格と言える。

しかし、台湾有事の危機が目の前に迫る日本にとって、アメリカのモンロー主義回帰は到底受け入れられないものであって、だから「もしトラ」対策が重要視されているというわけだ。

「【歴代5例目】国賓待遇で訪米(2024/04)」の章においてご紹介する、米議会を動かした歴史的な岸田首相の演説も、この「もしトラ」を意識したものと考えてよいだろう。

そして2024/04、麻生太郎・自民党副総裁がアメリカへ飛んだ。

自民党の麻生副総裁がアメリカ政府の要人らと会談するため、ニューヨークへ向け出発しました。トランプ前大統領との面会も調整しています。

きょう午前、羽田空港からニューヨークへと向かった麻生氏。25日まで4日間の日程でアメリカ政府の要人らと意見交換を行います。なかでも注目されているのが…

アメリカ トランプ前大統領(今年3月)
「我々はアメリカを再び偉大にする、かつてないほどに」

調整が続く、トランプ前大統領との会談です。

「全く下品」麻生副総裁の渡米にバイデン政権関係者が不快感
“もしトラ”備えトランプ前大統領との面会を調整|TBS NEWS DIG
(https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/1129352?display=1)より引用

重鎮かつ政治感覚に優れていて、かつ閣外である麻生太郎氏が、トランプ前大統領との会談を予定している。

これに対し、なんとしてでも岸田政権を貶めたいTBSは『「全く下品」麻生副総裁の渡米にバイデン政権関係者が不快感』とのタイトルをつけていらっしゃる。

これではまるで、岸田政権、岸田自民、麻生太郎氏がおかしなことをしているようではないか。

TBSのことなので "バイデン政権関係者" が実在するのかも疑問だが、実際として、バイデン政権関係者がこれを快く思っていないことは事実だろう。

しかし、我が国はバイデン政権のポチでも奴隷でもない。

我が国は我が国の国益を追及するのが当然だ。

トランプ前大統領の再選に備えるのは、我が国として当然のリスクヘッジ。

これはバイデン政権側にとっても「当然の動き」でしかなく、露悪的なタイトルをつけるTBSには辟易する。

そして、我が国がこのような「狡猾な外交」をできるようになったことは、大変喜ばしく、歓迎したい。

泥を被ってくださった麻生太郎・自民党副総裁、そしてこれを企画した岸田自民に感謝申し上げる。

事実系インフルエンサー

岸田外交については、是非ともメディアの煽り記事ではなく、以下のお二方をフォローし、発信される情報を確認してみてほしい。

PULP(@like_pulp)
PULP(note)

エビデンスの鬼、PULP氏
(https://twitter.com/like_pulp)

Chum(ちゃむ)(@ca970008f4)

早い・正確・可愛いChumさん
(https://twitter.com/ca970008f4)

以上のお二方は、岸田政権を事実に基づいて評しており、外交についても正しい情報を共有してくださる。

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LGBT理解増進法

まず、"LGBT法案" には2種類が存在した。

実際に法制化された「LGBT理解増進法」と「LGBT差別禁止法」である。

出典がWikipediaで申し訳ないが、正確な情報が図に表されているものをこれしか存じ上げないため、こちらをご紹介する。

性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律 |Wikipedia (https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%80%A7%E7%9A%84%E6%8C%87%E5%90%91%E5%8F%8A%E3%81%B3%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%BC%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%87%E3%83%B3%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%86%E3%82%A3%E3%81%AE%E5%A4%9A%E6%A7%98%E6%80%A7%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E5%9B%BD%E6%B0%91%E3%81%AE%E7%90%86%E8%A7%A3%E3%81%AE%E5%A2%97%E9%80%B2%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E6%B3%95%E5%BE%8B)より引用

"超党派合意案" が「LGBT差別禁止法案」
"与党修正案" が「LGBT理解増進法案」
"維新国民独自案" が「LGBT理解増進法案を受けた修正案」
"自公維国再修正案" が「制定されたLGBT理解増進法」

LGBT差別禁止法は「LGBT差別解消法」や「LGBT平等法」などとも呼ばれていたが、立憲民主党、日本共産党、社会民主党等の左翼政党がLGBTについて主張している内容を考えれば、その先に何を見据えていたのかは明白だ。

そのうえで、LGBT理解増進法について、リベラル左翼は以下のように述べている。

左翼と活動家の声

LGBT法案について、自民党が了承したこと受け、「内容的にはわれわれは全く理解しがたい、改悪」「超党派で合意されたものから、大きく後退している。そのことについて何の説明も受けていない」と述べました。

財務大臣不信任決議案、LGBT法案などについて発言
岡田幹事長会見|立憲民主党
(https://cdp-japan.jp/news/20230516_6070)より引用

また、立憲民主党の泉健太代表はLGBT理解増進法を「当事者に寄り添わない政権与党の問題」のひとつとして挙げ、岸田内閣不信任決議案を提出した。

さらに、当事者団体(という名の活動家団体)などは以下のように。

修正が加えられた「LGBT理解増進法案」は性的少数者への差別を助長するとして、当事者や支援団体が14日夜、東京・永田町の参院議員会館前で、参院で15日に予定される法案審議に抗議する集会を開いた。

修正されたLGBT法案 参院での審議に反対
当事者たちが抗議活動|朝日新聞
(https://www.asahi.com/articles/ASR6G71VVR6GUTFL00R.html)より引用

同性婚実現を目指すマリッジ・フォー・オール・ジャパンの理事で、地元の石川県でパートナーシップ制度創設などを働きかけてきた松中権さんは「一歩ずつ進めてきた活動が崩れてしまう」と懸念した。

LGBT法、当事者「現状後退」
多数派配慮の追加条項に抗議|共同通信
(https://www.47news.jp/9466473.html)より引用

連合の芳野友子会長は15日の記者会見で、LGBTなど性的少数者への理解増進を図る法案が16日に成立する見通しになったことについて「超党派議員連盟の合意から後退した内容で国会審議が進み、極めて遺憾だ」と批判するとともに、連合としては性的少数者への差別禁止規定を明記した法改正や法律の制定を今後働きかける考えを示した。

連合会長、LGBT法案「内容後退で遺憾」
差別禁止規定求める|産経新聞
(https://www.sankei.com/article/20230615-LQVQNNXXG5LAVHFKNFHBRMBMP4/)より引用

性的少数者に対する理解を広めるための「LGBT理解増進法案」が13日に衆院本会議で可決されたことを受け、当事者らによる全国組織「LGBT法連合会」が「私たちの求めてきた法案とは真逆の内容であり、当事者にさらなる生きづらさを強いるものである内容となっている」と批判する声明を同日付で発表した。

(中略)

さらに、「当事者の差別や困難をなくす取り組み自体を『規制』する動きに対して、正統性や法的根拠を与えるものとなる。これは断じて看過することはできない。このまま可決されることは、決して許されない」と記した。

「さらなる生きづらさを強いる」
LGBT法、当事者団体が強く批判|朝日新聞
(https://www.asahi.com/articles/ASR6G55ZGR6GUTIL00Y.html)より引用
太字は國神による。

この太字がカギである。

多くの当事者からも嫌われるLGBT活動家の暴走はもはや説明するまでもないが、その活動家が「私たちの取り組みが規制される!」と叫んでいる。

「LGBT理解増進法」は『過激な差別禁止法を封じ込め、左翼・LGBTQ活動家の暴走に歯止めをかける法律』なのだ。

さすが歯止めをかけられる側、よく理解している。

LGBT理解増進法の本質

LGBT理解増進法は以下のような法律である。

・理念法で罰則はない

・左翼推進で過激な「差別禁止法」を封じ込めた

・白人仕草が止まらない西側諸国の外圧が国内に浸食し、左翼と連帯し差別禁止法プロパガンダが打たれる事態を防いだ(白人ならやりかねない)

・大法廷決定にもある通り、「身体的外観に基づく男女の区別」は今後も認められる

ここで言う「大法廷決定」とは、次のものを言う。

大法廷決定

性同一性障害の人が戸籍上の性別を変更する際に生殖能力をなくす手術が必要だとする法律の規定の合憲性が争われた家事審判の特別抗告審で、最高裁大法廷(裁判長・戸倉三郎長官)は25日、規定を「違憲」と判断した。裁判官15人全員一致の結論。4年前に「合憲」とした最高裁判断を変更。国は規定の見直しを迫られることになる。最高裁が法令を違憲としたのは12例目。

生殖不能手術要件は「違憲」
性別変更規定巡り最高裁が初判断、4年前から変更
|産経新聞
(https://www.sankei.com/article/20231025-PHRZXWXMHBPZTB3MDTZENUM3CE/)より引用

「平成十五年法律第百十一号 性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」(特例法)の第三条一項における「性別の取扱いの変更の審判」の規定の合憲性が争点となった裁判である。

第三条 家庭裁判所は、性同一性障害者であって次の各号のいずれにも該当するものについて、その者の請求により、性別の取扱いの変更の審判をすることができる。

 十八歳以上であること。

 現に婚姻をしていないこと。

 現に未成年の子がいないこと。

 生殖腺せんがないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること。

 その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること。

2 前項の請求をするには、同項の性同一性障害者に係る前条の診断の結果並びに治療の経過及び結果その他の厚生労働省令で定める事項が記載された医師の診断書を提出しなければならない。

性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律
(平成十五年法律第百十一号)
|e-GOV法令検索
(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=415AC0100000111)より引用

ここで、本大法廷決定において違憲とされたのが、「特例法第三条一項四号 生殖せんがないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること。」である。

1審と2審では四号の規定を理由に性別変更を認めず、五号については判断しない形をとっていた。

これに対し、大法廷は四号の規定について違憲(憲法13条に違反)と判断し、五号の規定については憲法適合性を判断せず、審理を2審(高裁)に差し戻したのだ。

第十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

日本国憲法(昭和二十一年憲法)|e-GOV法令検索
(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=321CONSTITUTION)より引用

これがどういうことかと言えば、「手術要件そのもの」が違憲と判断されたわけではなく、「生殖不能となる手術要件」が違憲とされ、「変更後の性別の性器に似た外観を備えるための手術要件」については審理差し戻しになった、ということである。

よって、今回の大法廷決定を以て「男性器のついた人間が女性浴場を利用できるようになる」とは言えない。

そして、この大法廷決定ではLGBT理解増進法とそれに係る通知に触れられており、「身体的な外観に基づく男女の区分」が合憲・合法であると認められている。

また、本件の地裁・高裁判決はLGBT理解増進法制定よりも前に下されており、「LGBT理解増進法のせいで違憲判決が出た」というのは誤りである(そもそもLGBT理解増進法は「法律」であり「最高法規たる憲法」よりも下位存在)。

大法廷決定にある記述

令和5年6月には、性的指向及びジェンダーアイ デンティティの多様性に寛容な社会の実現に資することを目的として、「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」が制定された。

令和2年(ク)第993号 性別の取扱いの変更申立て却下審判に対する抗告棄 却決定に対する特別抗告事件 令和5年10月25日 大法廷決定
理由第2 (4)「性同一性障害を有する者を取り巻く社会状況等」(5ページ)
(https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/446/092446_hanrei.pdf)より引用

事業者が営む施設について不特定多数人が裸になって利用するという公衆浴場等の性質に照らし、このような身体的な外観に基づく男女の区分には相当な理由がある。厚生労働大臣の技術的助言やこれを踏まえた条例の基準も同様の意味に解され (令和5年6月23日付け薬生衛発第0623号厚生労働省医薬・生活衛生局生活 衛生課長通知参照)、上記男女の区分は、法律に基づく事業者の措置という形で社会生活上の規範を構成しているとみることができる。

令和2年(ク)第993号 性別の取扱いの変更申立て却下審判に対する抗告棄 却決定に対する特別抗告事件 令和5年10月25日 大法廷決定
裁判官三浦守の反対意見 2 5号規定について(3)ア(17ページ)
(https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/446/092446_hanrei.pdf)より引用

また、上記のような身体的な外観に基づく規範の性質等に照らし、5号規定 がなかったとしても、この規範が当然に変更されるものではなく、これに代わる規範が直ちに形成されるとも考え難い。

令和2年(ク)第993号 性別の取扱いの変更申立て却下審判に対する抗告棄 却決定に対する特別抗告事件 令和5年10月25日 大法廷決定
裁判官三浦守の反対意見 2 5号規定について(3)イ(18ページ)
(https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/446/092446_hanrei.pdf)より引用

しかし、その場合でも、上記規範の性質等に照らし、性別変更審判を受けた者を含め、上記規範が社会的になお維持されると考えられることからすると、これを前提とする事業者の措置がより明確になるよう、必要に応じ、例えば、浴室の区分や利用に関し、厚生労働大臣の技術的な助言を踏ま えた条例の基準や事業者の措置を適切に定めるなど、相当な方策を採ることができ る。

令和2年(ク)第993号 性別の取扱いの変更申立て却下審判に対する抗告棄 却決定に対する特別抗告事件 令和5年10月25日 大法廷決定
裁判官三浦守の反対意見 2 5号規定について(3)イ(18ページ)
(https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/446/092446_hanrei.pdf)より引用

第二に留意すべきことは、全ての許容区域は、これを公衆の用に供することを業として行う者の管理下にあるという点である。したがって、5号規定が違憲とされる社会に直面した許容区域の管理者は、①厚生労働大臣が各地方公共団体にする技 術的助言及びこれを踏まえた許容区域の性別区分を定める諸条例においていうとこ ろの「男女」の解釈(なお、現行の上記技術的助言(令和5年6月23日付薬生衛 発0623第1号)は「男女」の区分は専ら身体的な特徴によってなされるべきであるとしている。)や、②当該許容区域の利用者の意見等を勘案した上で、5号要 件非該当者の当該許容区域への入場を禁止するか、許容するか(日時や曜日を限っ て入場を許容することなども考えられる。)、あるいは、その中間的な措置を講ずるか(無償又は有償で貸与する水着を着用することを条件として入場を許容するこ となども考えられる。)、いずれにせよ何らかのルールを利用規則として定める必要に迫られることになるであろう。

令和2年(ク)第993号 性別の取扱いの変更申立て却下審判に対する抗告棄 却決定に対する特別抗告事件 令和5年10月25日 大法廷決定
裁判官草野耕一の反対意見 4(29ページ)
(https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/446/092446_hanrei.pdf)より引用

令和5年6月23日付け
薬生衛発第0623号
厚生労働省医薬
・生活衛生局生活衛生課長通知

裁判官三浦守の反対意見の2、5号規定について(3)ア(17ページ)、イ(18ページ)、裁判官草野耕一の反対意見の4(29ページ)において触れられている「令和5年6月23日付け薬生衛発第0623号厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生課長通知」は理解増進法可決にあたり発出されたものであり、以下の内容となっている。

これらの要領でいう男女とは、風紀の観点から混浴禁止を定めている趣旨か ら、身体的な特徴をもって判断するものであり、浴場業及び旅館業の営業者は、 例えば、体は男性、心は女性の者が女湯に入らないようにする必要があるものと考えていますので、都道府県、保健所設置市及び特別区におかれては、御了知の 上、貴管内の浴場業及び旅館業の営業者に対する周知や指導等について御配慮 をお願いいたします。

令和5年6月23日付け薬生衛発第0623号厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生課長通知
公衆浴場や旅館業の施設の共同浴室における男女の取扱いについて
(https://www.mhlw.go.jp/content/001112500.pdf)より引用
(太字は國神による)

その他参考にすべき記事

その他、「安倍晋三元首相が反対していたのではないか」「党内議論が無視されたのではないか」などの疑問については、以下の記事をご確認いただきたい(本記事にこれ以上を書くと文字数が手に負えなくなるため)。

【全文】性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律(令和五年法律第六十八号)

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外国人政策

「売国奴のキシダは外国人に国を売り渡そうとしている!」との論調は感情右翼を中心に根強いが、岸田政権の外国人政策は、感情右翼が神格化する安倍首相のそれよりも強烈で厳格である。

【なぜ外国人労働者が必要?】

我が国において「移民」「外国人」として問題となるのは、主に「外国人労働者」についてであろうと思う。

第三 外国人労働者の定義
この指針において「外国人」とは、日本国籍を有しない者をいい、特別永住者並びに在留資格が「外交」及び「公用」の者を除くものとする。また、「外国人労働者」とは、外国人の労働者をいうものとする。
 なお、「外国人労働者」には、技能実習制度において「特定活動」の在留資格をもって雇用関係の下でより実践的な技術、技能等の修得のための活動を行う者(以下「技能実習生」という。)も含まれるものである。

外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針|厚労省
(https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/gaikokujin13/sisin01.html)より引用

我が国には『郷に入っては郷に従え』という各共同体が共存共栄するための叡智があるが、これはあくまで "日本の常識" であって、先進国・発展途上国を問わず、これを持たない国・民族は多い。

無論、そのなかにもこれを理解できる個人は存在するが、ほとんどの外国人はそうではない(先進国の白人をここで見落とす者は多いが、キリスト教的発想を各国に押しつけようとしているのは白人諸国だ)。

これは仕方のない話で、文化が異なるのだからそうなって当然なのである。

しかし、文化の違いは "仕方がない" としても、それを理由に我々の生活が脅かされるのであれば話が違う。

これが、外国人労働者に関する「問題」として浮き彫りになっているのが近年の日本だ。

ではなぜ、我が国はその問題が発生することは明白であるにもかかわらず、外国人労働者の受け入れを進めているのだろうか。

その理由は「少子高齢化」にある。

・少子高齢化

少子高齢化はその名の通り「子どもが減って高齢化が増える」といった現象であるが、ここで問題となるのが「生産年齢人口の減少」である。

・生産年齢人口の減少

「生産年齢人口」とは、15~64歳の人口を指す(15歳未満は年少人口、65歳以上は老年人口)。

そしてこのうち、労働の意思と能力を持っている人口が「労働力人口」と呼ばれるのだ。

日本の人口の推移としては、以下のようになる。

・江戸時代初期     約1200万人(推定)
・中期~末期      約3000万人(推定)
・明治6年(1873年)   約3340万人
・昭和42年(1967年) 1億人超

社会の発展により人口が増え、人口の増加により社会が発展し……と相互作用的に発展の道を歩んできたのが近代の日本史である。

この頃は当然、外国人労働者を受け入れる必要などなかったのだ。

しかし、1990年代半ばを境に、生産年齢人口の減少が始まった。

人口減少していく日本
|財団法人国土技術研究センター
(https://www.jice.or.jp/knowledge/japan/commentary05)より引用

そして現在、厚生労働省が2023/09/17に公開した資料では、我が国の高齢化率(総人口に占める高齢者人口の割合)が29.1%で過去最高となり、この数値は右肩上がりである。

統計トピックス No.138
統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-
|総務省(https://www.stat.go.jp/data/topics/pdf/topics138.pdf)より引用

この「高齢化率29.1%」は世界で最も大きい値であり、我が国は世界で最も少子高齢化が進んだ『超高齢社会』となっているのだ( 7%~「高齢化社会」、14%~「高齢社会」、21%~『超高齢社会』)。

これに加えて日本は総人口の減少も始まっており、経済活動を維持して生活水準や安全保障を維持するには、労働者の数を増やす必要がある。

もちろんDXによる生産性の向上等も重要であるが、このままのペースで少子高齢化が進んだ場合、もはやその程度ではカバーが不可能となるため、外国人労働者の受け入れが進められているのだ。

【外国人に関するデータ】

・在留外国人数

令和5年末の在留外国人数は、341万992人(前年末比33万5,779人、10.9%増)で、過去最高を更新

令和5年末現在における在留外国人数について|入管庁
(https://www.moj.go.jp/isa/publications/press/13_00040.html)より引用

※日本人の人口は約1億2000万人

・国籍および地域別

(1)中国821,838人(+60,275人)
(2)ベトナム565,026人(+75,714人)
(3)韓国410,156人(- 1,156人)
(4)フィリピン322,046人(+23,306人)
(5)ブラジル211,840人(+ 2,410人)
(6)ネパール176,336人(+36,943人)
(7)インドネシア149,101人(+50,236人)
(8)ミャンマー86,546人(+30,307人)
(9)台湾64,663人(+ 7,369人)
(10)米国63,408人(+ 2,604人)

令和5年末現在における在留外国人数について|入管庁(https://www.moj.go.jp/isa/publications/press/13_00040.html)より引用

・>国防動員法

個人的に「国防動員法」の影響を受ける中国人の人数は減少させたいところであり、これはキシダガー右翼も懸念しているところであろうと思うが、ならば「どのような法・立法を根拠としてそれを行うのか」が問題である。

我が国が自由主義国家である以上、これは簡単な話ではないと思う。

 当時の私が最も懸念していたのは、2010年2月26日に公布され、7月1日に施行された中国の『国防動員法』でした。

 『国防動員法』は、第49条で「満18歳から満60歳までの男性公民及び満18歳から満55歳までの女性公民は、国防勤務を担わなければならない」とし、第26条では「必要な予備役要員を確保する」としていました。

 外国在住の中国人も免除対象とはしておらず、国防勤務の対象者です。

 また、企業経営者には予備役出身者が多いと聞いており、仮に日中間に軍事的対立が起きた場合には、中国資本系企業の日本事務所も中国の国防拠点となり得ますし、莫大な数の在日中国人が国防勤務に就くことになる可能性があります。

安全保障と土地法制に関する10年余の取組|高市早苗
(https://www.sanae.gr.jp/column_detail1296.html)より引用

中国は共産党が国家よりも上位に位置する独裁国家であり、在外中国人が本土に残した家族はある種の人質ともなり得るため、国防動員法の性質は我々自由民主主義国家のそれとは異なると考えるべきだろう。

この点は大きな懸念事項として残るが、だがしかし「中国人の入国・在留を狙い撃ちで制限しろ、でなければ総理不支持」とすることは、些か暴論であると考えている。

現状の日本としてできることは、自由経済的な人口流動は制限せず、セキュリティ・クリアランスによって情報を保護し、重要施設周辺の土地取得を制限し、かつ防衛力を強化して中国による日本の攻撃を抑止することくらいではないだろうか。

・在留資格別

(1)永住者891,569人(+27,633人)
(2)技能実習404,556人(+79,616人)
(3)技術・人文知識・国際業務362,346人(+50,385人)
(4)留学340,883人(+40,245人)
(5)特別永住者281,218人(- 7,762人)

令和5年末現在における在留外国人数について|入管庁(https://www.moj.go.jp/isa/publications/press/13_00040.html)より引用

※日本人の人口は約1億2000万人(120,000,000人)

・>特別永住者とは

特別永住者とは、1991年11月1日に施行された「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法(入管特例法)」に定められた、在留資格を有する者を指す。

日本が大東亜戦争に敗戦するまで、台湾と朝鮮半島は日本の領土であり、台湾人と朝鮮人は同胞(日本人)とされていた。

戦後、サンフランシスコ平和条約によって台湾と朝鮮半島の併合が解除され、台湾人と朝鮮人は日本国籍から離脱。

この台湾人と朝鮮人について、これ以前に日本列島へ移り住んでいた者とその子孫を「特別永住者」とし、我が国への永住が許可されている。

「永住者」と「特別永住者」の違いとしては、「永住者」には審査基準として「素行が善良であること」「独立の生計を営むに足りる資産または技能を有すること」などがあるが、「特別永住者」はこれが免除されていることなどが挙げられる。

・難民

「難民」とは、基本的に以下に該当する者を指す。

(a)人種、宗教、国籍若しくは特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由に、迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有すること

(b)国籍国の外にいる者であること

(c)その国籍国の保護を受けることができない、又はそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まない者であること

難民 国内における難民の受け入れ
1 難民条約上の難民(条約難民)(1) 条約難民とは
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/nanmin/main3.html)より引用

詳細は以下から確認いただきたい。

難民 国内における難民の受け入れ|外務省

日本の難民受け入れ状況は、以下の通り。

難民を知る
なんで日本は認定が厳しいの?|難民支援協会
(https://www.refugee.or.jp/refugee/)より引用

日本は「難民」をほとんど認めておらず、2023年は13,823件の申請に対して認定されたのは303人(2.19%)。

日本の難民認定数は、国際的に見ても極少数である。

日本の難民認定はなぜ少ないか?
-制度面の課題から|難民支援協会
(https://www.refugee.or.jp/refugee/japan_recog/)より引用

一般に、日本の難民認定が少ない理由は「出稼ぎ目的の『偽装難民』が多いから」と言われている。

・準難民

改正入管法(2023/06)によって定義された「準難民」について、入管庁は以下のように説明している。

・ 紛争避難民など、難民条約上の難民ではないものの、難民に準じて保護すべき外国人を「補完的保護対象者」として認定し、保護する手続を設けます。
・ 補完的保護対象者と認定された者は、難民と同様に安定した在留資格(定住者)で在留できるようにします。

入管法改正案について 4 入管法改正案の概要等
(1)保護すべき者を確実に保護|入管庁
(https://www.moj.go.jp/isa/policies/bill/05_00007.html)より引用

この「補完的保護対象者」が「準難民」を指しており、ウクライナ等の紛争地から避難してきた外国人を保護する制度となっている。

改正前までの入管法では、難民認定の基準を国連難民条約の要件に限定しており、紛争地からの避難民を受け入れることができなかった。

これに対して国際的な非難も少なくなかったが、ウクライナ支援が決定打となったのだろう、準難民の制度が整備された。

出入国在留管理庁は26日、難民に準じて受け入れる「補完的保護」として、2月末までに647人を認定したと明らかにした。出入国管理法改正で2023年12月に運用が始まった制度で、認定者は大半がウクライナ避難民だった。

「準難民」647人認定
 入管庁、大半がウクライナ避難民|日本経済新聞
(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE2624U0W4A320C2000000/)より引用

【入管法改正(2023/06)】

「少子高齢化により外国人労働者の受け入れは必須」となっている現在だが、だからといって不良外国人を野放しにするわけにはいかない。

これまではなかなか実効的な手が打たれてこなかった我が国であるが、岸田政権下において、とうとう入管法の改正が行われた。

改正入管法では、以下の内容が重要と言えるだろう。

・3回目以降の申請者、3年以上の実刑前科者、テロリスト等については、難民認定申請中であっても送還が停止されない(改正前は一律に送還停止)

・ 退去を拒む自国民を受け取らない国の者、航空機内で送還妨害行為に及んだ者について、罰則付きの退去等命令制度を創設

・「補完的保護対象者」認定制度を創設し、ウクライナ避難民等を「準難民」として保護

以下は和田政宗参議院議員の説明

・1回の審査に3年かかっていたところを6ヶ月に短縮
・実質2アウト制のため最長でも1年で強制送還できる

正直な感想を言えば、「今までよくこんなガバガバの法で運用してきたな」である。

今回の改正は「締めるべきは締め、守るべき者は守る」といったものであり、感情右翼は「準難民の抜け穴で外国人に国を売る売国奴ー!」と騒ぐが、そもそも日本の難民認定は厳しいわけで。

「不良外国人は国外へ叩き出し、守るべき外国人の生命は守る」というのは、まさに人道に則った、我が国としてあるべき姿ではないだろうか。

改正入管法の詳細は以下をご参照。


➢ 入管法等改正法の概要等|入管庁

【日本版ESTAエスタ

入管法を改正して不法滞在者の強制送還を実施しやすくした岸田政権だが、ここで止まらないのがバーサーカー・岸田文雄。

あくまでまだ報道ベースであることに留意は必要だが、次は日本へ入ってくる前に問題のある外国人を遮断しようとしているというのだ。

米国がテロ防止などの目的で入国前に義務づけている電子渡航認証(ESTA=エスタ)を参考に、「日本版エスタ」として訪日客を6000万人に伸ばす目標達成年である2030年までの運用開始を目指す。

外国人の入国者、日本渡航前に事前審査へ
…「日本版エスタ」不法就労やテロ阻止|読売新聞
(https://www.yomiuri.co.jp/politics/20240410-OYT1T50105/)より引用

「アメリカとかは厳しいから日本へ」なんて言われていた我が国だが、ようやく国辱の時代が終わりを迎えそうだ。

この「日本版ESTA」では、短期ビザ免除の外国人を対象に、入国前段階で活動内容や滞在先などを出入国在留管理庁(俗にいう "入管" を管理する庁)に申告させ、審査官がブラックリストと照合、問題があると判断した場合は航空機搭乗を拒否し、不法就労やテロ行為目的の入国を阻止するという。

これが現在の制度では、航空会社から離陸後に搭乗者情報が提供され、それをリストと照合するため、着陸後に退去命令を受けた外国人が逃走するなどの問題が発生しているそうだ。

なぜ「短期ビザ免除の外国人」を対象にするのかと言えば、不法滞在者7万9,113人(令和6年1月1日現在)のうち、62.9%にあたる49,801人が短期滞在の資格だからである。

人数が多い不法残留者の資格上位5つは、以下の通り。

1、短期滞在49,801人
2、技能実習11,210人
3、特定活動8,189人
4、留学2,288人
5、日本人の配偶者等1,880人

➢ 本邦における不法残留者数について(令和6年1月1日現在)|入管庁

また、「日本版ESTA」の導入には制度構築の時間を要するが、記事によれば、「搭乗手続きをした際に搭乗者情報が入管庁に送られる仕組みも24年度中に構築する予定」とのこと(iAPI)。

現在は離陸後にリスト照合を行っているが、これを2024年度中に出発前のリスト照合を可能にし、"問題" と判断した場合に搭乗を阻止できるようにするというわけだ。

外国人留学生

外国人留学生については、なぜか「日本人は苦労して大学に通うのに、外国人留学生はタダで通っていておかしい!」との論調が定期的に拡散される。

"タダ" なのは「国費留学生」だけである。

これらの国費留学生に対しては往復航空券のほか、大学院、学部、高等専門学校の各レベルに応じて奨学金が支給され、授業料も免除されることとなっている。また、財団法人日本国際教育協会を通じて、渡日一時金の支給、宿舎費補助、医療費補助等の援助措置が講じられている。

三 留学生受入れ制度|文科省
(https://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/others/detail/1318577.htm)より引用

「留学生」には国費留学生の他、外国政府派遣留学生(派遣国の奨学金による留学生)、私費留学生(自らの意志と経済的負担による留学生)の種類がある。

ネット上の外国人留学生論では、これらの3種類についてが混同されている場面をよく見かけるように思う。

・外国人留学生数(割合)

2022(令和4)年度外国人留学生在籍状況調査結果
|独立行政法人 日本学生支援機構
(https://www.studyinjapan.go.jp/ja/statistics/enrollment/data/2312181130.html)より引用

2023年度のデータが見当たらないため2022年度のデータであること、またコロナ禍の影響を受けているであろうことにはご留意いただきたい。

そのためグラフの折れや右上がり・右下がり等には触れないが、全体的なバランスとしては、私費留学生が圧倒的に多く(94.8%)、次いで国費留学生(3.8%)、最少が外国政府派遣留学生(1.3%)となっている。

※()内は2022年度の数値

・中国人が大半?

おそらく多数の問い合わせがあったのだろう、文科省のページに「Q 国費外国人留学生制度においては、中国人留学生が大半を占めているのではないですか。」との項目があった。

○ 国費留学生総数は、令和2年5月現在で8,761人です。このうち中国籍の国費留学生は834人と国費留学生全体の9.5%程度であり、国費外国人留学生制度の予算の大半を中国人留学生に支給しているということはありません。

○ なお、国別の留学生総数と、そのうち国費留学生数の割合についても中国は0.7%であり、全体の平均(3.1%)と比しても低い割合となっています。

国費外国人留学生の受入人数について
Q 国費外国人留学生制度においては、中国人留学生が大半を占めているのではないですか。|文科省
(https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/ryugaku/1338568.htm)より引用

この下に嬉しい情報があったため、こちらも共有。

・台湾人留学生

Q 台湾の学生は国費外国人留学生制度の対象外ですか。

○ 国費外国人留学生制度の対象者は、「日本政府と国交のある国の国籍を有すること」が条件であるため、台湾の学生は対象外です。

○ しかし、台湾からの留学生には公益財団法人日本台湾交流協会を通じて、昭和48年度から国費外国人留学生制度による支援と同額の支援を実施しています。

国費外国人留学生の受入人数について
Q 台湾の学生は国費外国人留学生制度の対象外ですか。|文科省
(https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/ryugaku/1338568.htm)より引用

日台の友好は、こういった分野においても大切にされているのだ。

・デマ&ミスリード

「自分の国に留学してもらうために金を払うなんて馬鹿なことをやっているのは日本だけ」とか「留学生がアルバイトをできるのは日本だけ」とか、救いようのないデマはもう取り上げないぞ。

・>毎年約380万円を返済不要で支給

「日本人学生には約450万円貸して約600万を返済させ、外国人留学生には毎年約380万円を返済不要で支給してることは不公平そのものです!奨学金を仕切ってる文科省の外局、日本学生支援機構はただの金貸し、日本人学生を支援する気など全くありません!」

くつざわ亮治氏「日本人学生には約450万円貸して約600万を返済させ、外国人留学生には毎年約380万円を返済不要で支給してることは不公平そのものです!」|Share News Japan
(https://sn-jp.com/archives/58997)より引用

誤:奨学金を仕切ってる文科省の外局、日本学生支援機構
正:日本学生支援機構(JASSO)は主管独立行政法人

誤:日本人学生には約450万円貸して約600万を返済させている
正:約600万は上限金利計算で実際の金利は大幅に低い(JASSO事務局も否定)

誤:外国人留学生には毎年約380万円を返済不要で支給
正:存在するプランの最大でも年額96万円(月額8万円、8日以上12ヶ月以内)

・>日本人予算70億、留学生予算180億

以前に「日本人への給付型奨学金の予算が70億円、国費留学関係の予算が180億円」との情報が拡散されたが、これはそれぞれ2017年度(平成29年度)の数値である。

・(独)日本学生支援機構に基金を造成し、制度を安定的に運用することで、学生等への支援を確実に実施(70億円)

平成29年度文部科学関係予算(案)のポイント(P9)|文科省
(https://warp.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/11293659/www.mext.go.jp/component/b_menu/other/__icsFiles/afieldfile/2017/01/12/1381131_01_1.pdf)より引用

文科省 増子高等教育局長答弁

「外国人留学制度につきましては、平成29年度の決算額が約180億円だったところ、令和2年度の決算額は155億円、令和4年度の予算額は184億円となっている」

下記動画の1時間15分45秒〜

現在は日本人への給付型奨学金が圧倒的に増加しており、2022年度の数値としては、給付型奨学金が2,525億円、国費留学関係の予算が184億円となっている。

授業料等減免:2,671億円、給付型奨学金:2,525億円、地方分も合わせて5,601億円

令和4年度 文教及び科学振興費について
2-4.高等教育(大学等)
2-4-1.高等教育の無償化(修学支援新制度)等|財務省
(https://www.mof.go.jp/public_relations/finance/202203/202003f.html)より引用

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ウクライナ訪問(2023/03)

2022年2月24日、ロシアがウクライナに対する "特別軍事作戦" を実行、「ロシアによるウクライナ侵略戦争」が開始された。

日本はその直後からロシアへ経済制裁を課し、ウクライナへの支援を開始。

そして、時は2023年3月である。

【戦後初】戦地を電撃訪問

岸田首相は、2023年3月19日~21日の間に、インドを訪問。

インド世界問題評議会(ICWA)において、「インド太平洋の未来~『自由で開かれたインド太平洋』のための日本の新たなプラン~“必要不可欠なパートナーであるインドと共に”」と題する政策スピーチを行い、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」のための新たなプランを発表した。

「自由で開かれたインド太平洋」の構想は安倍晋三元首相が提言されたものであり、これが現在は西側諸国の重要政策となっている。

これは明確な "安倍路線" の継承である。

そして来たる3月21日、岸田首相はウクライナを電撃訪問。

日本の首相が戦争当事国の戦地へ足を踏み入れるのは、戦後の歴史では初めてのことである。

安全確保の概念が抜け落ちている立憲民主党などが国会の事前承認が必要だと騒いでいたが、まさに "ステルスキシダ" を発揮し、「電撃訪問」となった(秘匿されていたこの情報を直前ですっぱ抜いた銭ゲバメディアは大問題だ)。

もちろんだが、戦火のど真ん中へ足を踏み入れるわけなのだから、自衛隊の警護などはつかない。

己が身を危険に晒してウクライナへ乗り込んだ岸田首相に、心からの賞賛と感謝を贈りたい。

そして、岸田首相はキーウ郊外のブチャ市を訪問。

「ブチャの虐殺」の犠牲者への献花を行った上で、悲惨な体験をされた方々から話を聞き、また、その後の復旧状況についても話を聞いたとのこと。

さらに、日本政府から越冬支援として供与された発電機の視察も行ったという。

その後、岸田首相はキーウ市内の戦死者慰霊記念碑において、ロシアによる侵略における犠牲者等への献花を行った。

日宇首脳会談・共同声明

日宇首脳会談および共同会見において岸田首相は、「特別なグローバル・パートナーシップに関する共同声明」を発表。

岸田総理大臣から、ゼレンスキー大統領のリーダーシップの下で、祖国と自由を守るために立ち上がっているウクライナ国民の勇気と忍耐に敬意を表する、日本は、一貫してロシアを強く非難し、厳しい制裁を行うと共に、ウクライナに寄り添った支援を行ってきた旨述べました。

日・ウクライナ首脳会談
令和5年3月22|外務省
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/erp/c_see/ua/page4_005820.html)より引用

その上で、昨年から進めてきた総額約16億ドルの人道・財政支援に加え、ロシアによる侵略から1年の機会に、改めて約55億ドルの追加財政支援を行うことを決定したと発表。

今後、これらの総額71億ドルの支援を着実に実施し、電力、地雷処理、農業など、さまざまな分野でウクライナを支えていくと述べた。

さらに、エネルギー分野などへの新たな二国間無償支援等を4.7億ドル供与すること、また、NATOの信託基金を通じた殺傷性のない装備品支援に3千万ドルを拠出することを決定したとも発表した。

そして、日本とウクライナが昨年外交関係樹立30周年を迎え、ウクライナへの連帯と支援により、二国間の協力が深化・拡大しているとし、両首脳は、基本的価値を共有するウクライナとの関係を、「特別なグローバル・パートナーシップ」に格上げすることで合意。

また、ゼレンスキー大統領は、我が国が昨年末に策定した「新たな国家安全保障戦略」に対して、称賛する旨の発言をしている。

その上で、両首脳は、「東シナ海および南シナ海における力による一方的な現状変更の試みへの深刻な懸念」を共有し、「台湾海峡の平和と安定の重要性」や、「世界のいかなる場所においても力による一方的な現状変更の試みは認められない」ことについて一致した。

さらに、両首脳は、北朝鮮の核・ミサイル活動の活発化への深刻な懸念を共有し、拉致問題を含む北朝鮮への対応において、緊密に連携していくことを確認した。

日宇と中露

この「キシダのウクライナ訪問」が起こっている裏で、実は中国の習近平国家主席がロシアのモスクワを訪問していた。

つまり、同じタイミングで「日本 - ウクライナの連携」と「ロシア - 中国の連携」が明確になったということだ。

これは歴史的な瞬間であると言えよう。

「キシダのウクライナ訪問」は、第二次世界大戦の "枢軸国" であった日本が、ようやく "連合国側" に所属したことを知らしめ、ロシアと中国が新たな "枢軸国" となったことをはっきりさせたのである。

(https://twitter.com/uamemesforces/status/1638255223842959408?s=20)より引用

「自由と平和を愛する日本 ⇔ 独裁と軍国主義を擁護する中国」という対比を、世界中に知らしめたのだ。

これは日本史、そして世界史に残る出来事と言えよう。

【は?】キシダのしゃもじ

このような歴史的訪宇において、岸田首相は地元の名産品である「必勝しゃもじ」をゼレンスキーに贈ったというのである。

遂にとち狂ったか、岸田文雄。

"なぜ岸田首相がしゃもじを贈ったのか" を紐解くには、日露の歴史を振り返る必要がある。

日本とロシアの関係を語る上では、さまざまな出来事・問題があると言えよう。

大東亜戦争末期、ソ連が一方的に日ソ中立条約を破棄して侵攻してきたこと  侵攻開始時は日ソ中立条約の効力期間内だった  

大東亜戦争後、日本人を不法に拉致し、強制労働に就かせたこと  シベリア抑留  

大東亜戦争後から現在にわたって、日本固有の領土である北方領土を、ロシアが不法に占拠していること  択捉えとろふ島、国後くなしり島、色丹しこたん島および歯舞はぼまい群島が、現在もロシアに不法占拠されている  

etc……

しかし、なんと言っても大きい出来事がこれだ。

日露戦争

1904年2月から1905年9月にかけ、大日本帝国とロシア帝国との間で「日露戦争」が勃発した。

ロシアの南下政策に伴う、朝鮮半島と満洲の権益をめぐる争いが原因とされる。

当時、ロシア帝国と大日本帝国との間には大きな戦力差が存在したが  日本が圧倒的に不利  、大日本帝国陸軍が陸戦を制圧、海軍が日本海海戦においてバルチック艦隊世界最強艦隊を撃破し、日本の勝利で幕を閉じた。

この日露戦争において、日本では「とあること」が行われていた。

「しゃもじの奉納」である。

日本人は広島県宮島・厳島神社にしゃもじを奉納し、「敵を召しとる」としてゲン担ぎを行っていたのだ。

そして、日本はロシアに勝利した。

これが「広島の必勝しゃもじ」なのである。

つまり、「必勝しゃもじ」は「日露戦争における日本勝利の象徴」とも言えるのだ。

特級呪物「キシダのしゃもじ」

我らが岸田文雄は、我が国がロシアとの戦争に勝った象徴である「必勝しゃもじ」を、ロシアと戦争中のウクライナに贈ったというのだ。

これ以上ない外交メッセージであると言えよう。

しかも、「必勝 岸田文雄」と自身の名前を明確に書いて渡したというのだから、あまりにきもわり過ぎている。

我々は岸田首相を、「ステルスキシダ」から「煽りのキシダ」と命名し直すべきかもしれない。

さらに、だ。

恐ろしいことに、このゲン担ぎは日露戦争からではなく、日清戦争のころから行われていたのだ。

ご存じの通り、日清戦争においても日本は勝利している。

つまり岸田首相は、ウラジーミル・プーチン大統領(ロシア)と習近平国家主席(中国)という日清・日露戦争の敗戦国の将が一堂に会するタイミングで、「日清・日露戦争における日本勝利の象徴」をロシアと戦争中のウクライナに贈ったというのである。

しかも、ロシアとの関係が深いインドを経由し、「自由で開かれたインド太平洋」を強調、「インドは我々と共にある」と示した上で、だ。

なんと恐ろしいことか。

イギリス人と京都人を凌駕する煽りの才である。

煽りのキシダ、GJ!

これ以上の外交メッセージはない。

さらに言えば、この「必勝しゃもじ」には素晴らしい逃げ道が存在している。

それは、「へ?地元の民芸品をプレゼントしただけですが?なにか?」と言える点だ。

これほど強烈な対露メッセージで中国とロシアを煽り倒しながら、文句を言われれば「ただの特産品だ」と逃げることができる。

ここまで計算され尽くした外交があるだろうか。

天才か?岸田文雄。

ロシアの砲撃

この必勝しゃもじが効いたのかそもそもの訪宇が効いたのか、ロシアが千島列島にミサイルを配備したそうだ。

ロシアが22日、日本と隣接したクリル列島にミサイルを配備したと明らかにした。米国がアジア太平洋地域でロシアと中国に対抗して軍事力を増強しているとして取った措置だ。日本の岸田文雄首相が中国とロシアの首脳会談の日にウクライナを訪問した翌日に下された決定だ。

ロシア、日本と隣接するクリル列島にミサイル配備
…中国と対立起こす米国も牽制|中央日報
(https://s.japanese.joins.com/JArticle/302372?sectcode=A00&servcode=A00)より引用

とはいえ、これは煽りのキシダ(非武力)に対する報復・威嚇・牽制でしかないので、撃ってくる確率は限りなく低いだろう。

ロシアが今、日本を撃つメリットはゼロだ。

ただでさえウクライナの攻略に1年もかけて苦戦しているのに、日米同盟を結んでおり、ウクライナよりも強烈なアメリカの支援を受けるであろう日本と事を構え、ニ正面、下手をすれば三正面作戦を展開する余裕など、現在のロシアにあるはずがない。

、、、、撃たれた。

日本がロシアに撃たれた。

遺憾砲を。

プッチン・プーチン

一方で国営タス通信は、岸田氏がウクライナ訪問時、ゼレンスキー大統領に「必勝」と書かれた広島名物のしゃもじを贈ったことを紹介した。日本の報道などを引用して「日露戦争時の兵士のお守り」と強調。現地メディアはロシアへの挑発と捉えたもようで「奇妙なプレゼント」と不快感をもって伝えた。

岸田首相のウクライナ訪問に論評
 広島名物「必勝しゃもじ」は挑発―ロシア |JIJI.COM
(https://www.jiji.com/jc/article?k=2023032400839&g=int)より引用

つまり、少なくとも「ロシアは "必勝しゃもじ" の意味を理解した」ということである。

そもそも、現代国家のインテリジェンス能力をもってすれば、この程度のことを理解するのは造作もない。

しかし残念なことに、言語も文化も異なるロシアですら理解している「必勝しゃもじ」に込められた "外交メッセージ" を、日本の野党は理解できていなかったようである。

さらに「税金を使って支援するわけだから、大切なのは地元の名産をアピールすることではない。民生に役立つものを支援しているとアピールするのが国民に報いることだ。緊張感のなさを露呈した」とも述べた。

立民・泉代表、しゃもじ贈呈を批判「緊張感なさ露呈」|産経新聞
(https://www.sankei.com/article/20230324-IUOYFJ7FWBMZFL4MSYR2ZVANSU/)より引用

立憲民主党の蓮舫参院議員は24日、自身のツイッターで、岸田文雄首相がウクライナのゼレンスキー大統領に「必勝しゃもじ」を贈ったことについて、「選挙と戦争の区別がつかないとしか思えない」と疑問を呈した。

立民・蓮舫氏、必勝しゃもじ疑問視「選挙と区別つかない」|産経新聞
(https://www.sankei.com/article/20230324-6UNGTAIHQRMEVKQYNWU2QHJHCA/)より引用

馬場氏は「生きるか死ぬかの戦いをやっている、そのサポートを向こうは求めている。そういう場に地元の名産ですとしゃもじを持っていくのは、ちょっとお気楽すぎるんじゃないか。私なら怒ります」と語った。

維新・馬場代表、しゃもじ贈呈は「お気楽すぎる」|産経新聞
(https://www.sankei.com/article/20230324-KDUHSXIG7BLWVMEJVMD7BDWXEQ/)より引用
山添拓 日本共産党参議院議員
(https://twitter.com/pioneertaku84/status/1639191361923731456?s=20)より引用

ロシアが理解したということは、おそらく中国も理解したということだ。

そしてロシアが触れたということは、世界各国が理解したということだ。

つまり、「必勝しゃもじに込められた外交メッセージ」を理解できなかったのは、世界で「日本の野党とその支持者」のみであるということなのである。

これが、我が国における立法府の現状だ。

「世界に対して強烈な外交メッセージを発し、かつ "地元の名産品ですけど?なにか?" でかわせる岸田文雄」と、「日本の歴史に由来した外交メッセージを理解できず、"シャモジガー!" を国会で行ってしまう野党」の対比が、あまりにも、なんというか……

今後、岸田首相がウクライナと会談等を行うことがあれば、その際はぜひ「正露丸征露丸」を贈ってほしいものだ。

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【重要知識】台湾有事

くどいようだが、昨今の政治を見るうえで「台湾有事」の存在は前提かつ重要な知識となるので、ここで一章を使って、簡単にご説明しようと思う。

台湾の歴史

台湾と中国の歴史を簡単に説明すると、以下のようになる。

過去、日本と支那(現在の中国領)が支那事変日中戦争を戦っていたころ、支那では中国国民党が政権を握っていた(中華民国)。

その後、中国共産党(現在の中国政府)との内戦に敗れ、国民党が日本の併合が解除された台湾へ逃亡、台湾を中華民国領とする。

そして中国共産党が大陸領土を制圧、中華人民共和国(現在の中国)を建国したため、中国(中華人民共和国)と台湾(中華民国)の構図が誕生した。

中華人民共和国は台湾も統一しようと武力侵攻に着手するも、軍事力の問題から断念。

ただし、「台湾は元々中国の領土である」として、必ず統一するとの主張を続けている(「一つの中国」論)。

その後、台湾の政府は中国国民党ではなくなっていくが、中華人民共和国と台湾が存在する、「二つの中国」の状況は現在まで変わっていない。

そして近年、中華人民共和国が力をつけ、武力を行使してでも台湾を統一する構えを見せるようになったのだ。

習近平国家主席は、2013年、国際会議の場において「長期にわたる政治対立を次の世代へ引き継ぐわけにはいかない」と発言、自身の統治時代に台湾統一の意向を示す。

そして2022年、「最大の誠意と努力で平和的な統一を堅持するが、決して武力行使を放棄せずあらゆる必要な措置をとる選択肢を残す」と述べた。

この「 "一つの中国" を主張する中華人民共和国が、台湾を武力で統一しようとする侵略戦争」を『台湾有事』と呼び、近年、その発生の可能性が高まっているとされているのだ。

アメリカの"あいまい戦略"

この台湾有事は、せいぜい中華人民共和国・台湾・日本・朝鮮半島程度にしか影響を及ぼさないようにも見えるが、なぜかアメリカをはじめとする西側諸国が出張ってきている。

これは、世界の勢力図を考えるとわかりやすい。

現状として、世界の覇権・主導権を握っているのはどこだろうか。

これは明らかにアメリカである。

そして、そのアメリカに西側諸国(主に白人諸国)が追従している形だ。

そのアメリカの覇権に、「我が中国こそが世界の "中" 心の "国" である(中華思想)」とする中華人民共和国が挑戦しようとしている。

ここで、中華人民共和国付近の地図を見てみよう。

「逆さ地図」で見る、中国にとって邪魔な日本
|東洋経済ONLINE
(https://toyokeizai.net/articles/-/70361)より引用

これは「逆さ地図」と呼ばれ、中華人民共和国付近の地図を上下反転させたものである。

アメリカは太平洋の覇権を握っており、中華人民共和国がこれに挑戦するには、地理的に自国を閉じ込める形となるフィリピン、台湾、尖閣諸島、沖縄を突破する必要がある。

反対に言えば、アメリカはこのフィリピン~沖縄の「中国封じ込めライン」を死守せねばならないのだ。

よってアメリカは、中国が台湾へ武力行使した場合の対応を明確にせず、あいまいな立場をとることで、中国の行動を抑止する戦略をとっている。

これを「あいまい戦略(戦略的曖昧さ)」と言う。

アメリカは中華人民共和国と国交を結び、「一つの中国」の主張を認識する(acknowledge)が、その一方で「台湾関係法」(1979年4月10日制定)を制定・維持している。

この台湾関係法は、「平和手段以外で台湾の将来を決定しようとする試みは、いかなるものであれ、地域の平和と安全に対する脅威である」とし、自衛のための兵器を台湾に供給することや、台湾に危害を加える行為に対抗しうるアメリカの能力を維持することを定めている。

ただし、アメリカによる台湾の防衛義務は定められていない。

このような "曖昧さ" を維持することにより、「アメリカは軍事介入するかも知れないしぃ、しないかも知れないよぉ?」とし、中国による台湾侵攻、そして台湾が独立を目指し緊張を高める事態を抑止しているのだ。

逆さ地図と第一列島線、第二列島線

先ほどの「逆さ地図」によって、フィリピン~沖縄が中国を閉じ込めているとわかった。

そして、中国はこの「中国封じ込めライン」に対し、「第一列島線」と「第二列島線」を設定している。

「逆さ地図」で見る、中国にとって邪魔な日本
|東洋経済ONLINE
(https://toyokeizai.net/articles/-/70361?page=3)より引用

南シナ海からフィリピン、台湾、尖閣諸島、沖縄を「第一列島線」とし、日本から小笠原諸島、グアムを「第二列島線」とした。

中国はまず第一列島線内の制海権を確保し、その後に第二列島線内の制海権を確保、そうして太平洋へと進出することを目論んでいる。

この第一列島線と第二列島線は我が国にも大きくかかわる考え方であり、そろそろ国民の間で共有せねばならない時期に来ていると思う。

我が国の台湾に関する立場

岸田政権は「我が国の台湾に関する立場は、1972年の日中共同声明にあるとおりであり、この立場に一切の変更はない」としている。

>日中共同声明

日中共同声明において、明確に台湾に触れているのは第三項。

三 中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。日本国政府は、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する。

日本国政府と中華人民共和国政府の共同声明|外務省
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/china/nc_seimei.html)より引用

これは一般に、以下のように解される。

日本は「台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部である」とする中国の立場を「十分理解し、尊重する」が、この主張を「承認」するものではない。

そして「ポツダム宣言第八項に基づく立場」とは、以下のカイロ宣言における領土条項の履行を指す。

右同盟国の目的は日本国より1914年の第一次世界戦争の開始以後に於て日本国が奪取し又は占領したる太平洋に於ける一切の島嶼を剥奪すること並に満洲、台湾及澎湖島の如き日本国が清国人より盗取したる一切の地域を中華民国に返還することに在り日本国は又暴力及貪欲に依り日本国の略取したる他の一切の地域より駆逐せらるべし

カイロ宣言|外務省
(https://www8.cao.go.jp/hoppo/shiryou/pdf/gaikou06.pdf)より引用
(太字は國神による。)

「中華民国」はカイロ宣言当時の中国であり(④台湾海峡の平和と安定 >台湾有事 参照)、日中共同声明第ニ項において、日本は中華民国に代わり、中華人民共和国を「中国の唯一の合法政府であることを承認」した。

よって、カイロ宣言の「中華民国」は「中華人民共和国」と読み替えるのが一般的だ。

そのため、日本は「台湾および澎湖諸島の中華人民共和国への返還」を受け入れることとなる。

この「ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する」というのは、前段のみで中国が納得しなかった場合の第ニ案であったという  そして案の定、この第二案を採用することとなった  

※「中国が前段のみで納得しなかった」ということが、「日本国政府は、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し」が「承認」を意味しないことを証明している。

また、「④台湾海峡の平和と安定」のアメリカの "あいまい戦略" からもわかる通り、アメリカは中国の主張をacknowledge認識するに留めており、当時の日本がアメリカよりも踏み出すことは有り得なかったため、日中双方の落としどころがここで限界だったのだろう。

ここで留意が必要なのが、「台湾の最終的地位は未解決である」ということだ。

「中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し」とし、「承認する」としなかった理由はここにある。

日本は「台湾を中華人民共和国に返還すること」に異議を唱えない。

しかし、「台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であること」を承認するものではない。

よって、中華人民共和国と台湾の話し合いで台湾が統一される場合は「国内問題」であるが、中国が武力による統一を試みるのであれば、これはまた話が違うぞ、ということになるなのだ。

ただし、日本は中華人民共和国に台湾を返還しているので、「台湾の独立」を支持する意思はない。

「いったい何を言っているのか」と思うだろう。

私もそう思う。

だがしかし、外務省の「台湾に関する日本の立場はどのようなものですか」に対する返答を見れば、日本政府が上に説明した通りの立場をとっていることがわかるのだ。

台湾との関係に関する日本の基本的立場は、日中共同声明にあるとおりであり、台湾との関係について非政府間の実務関係として維持してきています。政府としては、台湾をめぐる問題が両岸の当事者間の直接の話し合いを通じて平和的に解決されることを希望しています。

問10.台湾に関する日本の立場はどのようなものですか。|外務省
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/comment/faq/area/asia.html#10)より引用

日中共同声明において、「台湾の中華人民共和国への返還」を認めている。

しかし、「台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であること」は認めていないので、非政府間で独自の交流を継続している。

そして、台湾をめぐる問題について、「話し合いを通じて平和的に解決されること」を願っていると。

以前、物議を醸した麻生太郎氏のご発言にも、この認識が表れている。

自民党の麻生副総裁は訪問先の台湾で講演し、中国が軍事的な圧力を強める中、台湾海峡の平和と安定の重要性は世界の共通認識になりつつあるとした上で、日本や台湾、アメリカなどが「戦う覚悟」を持つことが地域の抑止力になると強調しました。

自民 麻生副総裁“「戦う覚悟」が地域の抑止力に” 台湾で講演|NHK
(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230808/k10014156921000.html)より引用

日本は日中共同声明に基づき「台湾の独立」は支持しないが、同時に「武力による統一」も認める立場ではない。

そのため、「独立せよ」とは言わないが、「戦う覚悟が必要だ」となるのである。

このような経緯を鑑みるに、「我が国の台湾に関する立場は、1972年の日中共同声明にあるとおりであり、この立場に一切の変更はない」とは、「我が国は台湾に対する支配を放棄し、中国唯一の正当な政府である中華人民共和国に返還し、『一つの中国』の主張を尊重するが、武力による台湾統一も台湾の一方的な独立も認めない」であると言えるだろう。

素直に読めば非常に無理筋な屁理屈であるように思うが、こうでなければ、日本は台湾周辺のシーレーンを諦めることになり、それは海洋国家として死を意味する。

台湾を中華人民共和国に返還しなければ、戦後処理の不履行にもなるし、日中国交正常化も叶わなかった。

しかし、「一つの中国」論を承認してしまえば、台湾への武力侵攻が「反乱軍に対する制圧行動(国際法上の内戦)」となり、日本が口を挟む余地を失ってしまう。

そのような難しい立場でのこの決断であり、そして現状として、日本政府は上記ままの行動をとっているのだ。

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日中首脳会談(2023/11)

11月16日、APEC 首脳会議に出席するため米国・サンフランシスコを訪問中の岸田首相は、中国の習近平国家主席と首脳会談を行った。

(https://x.com/kishida230/status/1725413844296909127?s=20)より引用

現地時間11月16日17時40分(日本時間17日10時40分)から、APEC 首脳会議に出席するため米国・サンフランシスコを訪問中の岸田内閣総理大臣は、習近平中国国家主席と首脳会談(約65分、同時通訳)を行ったところ、概要以下のとおり。

日中首脳会談|外務省
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/a_o/c_m1/cn/page1_001916.html)より引用

大前提として、中国の習近平国家主席と会談をしたからと言って、日中間の問題が解決することは有り得ない。

日中双方の利益が相反している以上、日本側が折れれば話が別だが、そうでもしなければ問題解決を望むことはほぼ不可能だ。

アメリカやその他の同志国との首脳会談は「問題解決と調整、国際社会へのアピール」と考えるべきだが、中国など利益が相反している国家との首脳会談は、あくまで「国際社会へのアピールと相手国への圧力をかける場」と認識すべきである。

そのうえで、外務省発表のページを読むに、今回の日中首脳会談において岸田首相は、以下の8つを中国に突きつけたと理解できる。

①尖閣諸島・東シナ海情勢について深刻な懸念
②日本のEEZに設置されたブイの即時撤去
③中露連携含む軍事活動の活発化等への深刻な懸念
④台湾海峡の平和と安定が極めて重要である旨強調
⑤我が国の台湾に関する立場に一切の変更はない
⑥中国における邦人拘束事案について、早期解放
⑦処理水放出に科学的根拠に基づく冷静な対応要求
⑧日本産食品輸入規制の即時撤廃を改めて要求

日中首脳会談|外務省
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/a_o/c_m1/cn/page1_001916.html)より抜粋・要約

①尖閣諸島・東シナ海情勢

外務省のページには、以下のようにある。

岸田総理大臣から、5月の日中防衛当局間の海空連絡メカニズムの下でのホットラインの運用開始を歓迎しつつ、安全保障分野における意思疎通の重要性を述べた。また、尖閣諸島を巡る情勢を含む東シナ海情勢について深刻な懸念を改めて表明し、日本のEEZに設置されたブイの即時撤去を求めた。

日中首脳会談|外務省
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/a_o/c_m1/cn/page1_001916.html)より引用
太字化は國神による。

外務省発表にある「日中防衛当局間の海空連絡メカニズムの下でのホットラインの運用開始」とは、以下を指す。

・>日中防衛当局間ホットライン

「日中防衛当局間ホットライン」とは、日中の防衛当局どうしが直接連絡を取り合う仕組みを指す。

設置は2023年3月1日だが、5月16日に16時30分から約20分間、浜田防衛大臣が李尚福中国国防部長と初回の通話を実施した(防衛省発表)ため、外務省発表の「5月」はこの件を指していると考えられる。

この仕組みは、自衛隊と中国人民解放軍の偶発的な衝突を防ぐために設置されたものであり、決して "友和の証" などではなく、『緊張感の高まり』を表していると言えよう。

台湾・尖閣有事を目論む中国政府にとっても、その有事対応を念頭に置く日本政府にとっても、偶発的な軍事的衝突による有事開始は望むものではない。

可能な限り有事を避けたい日本にとってはもちろんのこと、準備を万全に整えて戦争に臨みたい中国にとっても、それは避けたい事態なのだ。

そのため、お互いに情報を交換できる状態にしておき、"すれ違い" が起きないようにしている。

それがこの「ホットライン」なのである。

5月16日の初回通話では、日中の両大臣が、ホットラインを含む「日中海空連絡メカニズム」が、日中間の信頼醸成及び不測事態の回避といった重要な役割を担っていること、今後、ホットラインを適切かつ確実に運用していくことを確認している(防衛省発表)

そのうえで、浜田防衛大臣(当時)が、東シナ海情勢等の日中間における安全保障上の懸念の存在について言及している(防衛省発表)

・領海領空侵犯とスクランブル発進

このホットラインが象徴するように、日中間の緊張は大きく高まっており、その原因は中国にある。

東シナ海における中国の暴挙をまとめているとキリがないが、対日本に対する横暴のみに絞っても、以下のような惨状であるのだ。

尖閣諸島周辺海域における中国海警局に所属する船舶等の動向と我が国の対処|海上保安庁(https://www.kaiho.mlit.go.jp/mission/senkaku/senkaku.html)より、
「中国海警局に所属する船舶等による尖閣諸島周辺の接続水域内入域及び領海侵入隻数(日毎) (平成24年9月以降)」の画像を引用

上記のグラフでは青い折れ線グラフが接続水域内確認隻数を指し、赤い棒グラフが領海侵入延隻数を指す。


領海……領海の基線からその外側12海里(約22km)の線までの海域で、沿岸国の主権は、領海に及びます。ただし、すべての国の船舶は、領海において無害通航権を有します。
接続水域……領海の基線からその外側24海里(約44km)の線までの海域(領海を除く。)で、沿岸国が、自国の領土又は領海内における通関、財政、出入国管理(密輸入や密入国等)又は衛生(伝染病等)に関する法令の違反の防止及び処罰を行うことが認められた水域です。

領海等に関する用語|海上保安庁海洋情報部
(https://www1.kaiho.mlit.go.jp/ryokai/zyoho/msk_idx.html)より引用
(太字は國神による)

そして、2023年11月の状況は、21日時点で接続水域入域が21日(76隻)、領海侵入が6日(19隻)となっている(海上保安庁発表)  2023年10月は接続水域入域が31日(108隻)、領海侵入が3日(8隻)(海上保安庁発表)  

これが海の現状だ。

そして、日中の間には海のみならず、空がある。

2022年度の緊急発進(スクランブル発進)回数は778回であり、推定を含め、緊急発進回数の対象国・地域別の割合は、中国機約74%、ロシア機約19%、 その他約7%だった(防衛省統合幕僚監部発表)

台湾・尖閣諸島を中心として、中国機の動きは活発化している。
(https://www.mod.go.jp/js/pdf/2023/p20230418_02.pdf)より引用

上記の画像からもわかる通り、近年、中国機の活動範囲は東シナ海のみではなくなり、太平洋や日本海にも拡大している。

そして、2013年度以降、年度全体のスクランブル発進回数は700回を超え続けている(防衛省統合幕僚監部発表)

・>緊急発進(スクランブル発進)とは

空自は、わが国周辺を飛行する航空機を警戒管制レーダーや早期警戒管制機などにより探知・識別し、領空侵犯のおそれのある航空機を発見した場合には、戦闘機などを緊急発進(スクランブル)させ、その航空機の状況を確認し、必要に応じてその行動を監視している。さらに、この航空機が実際に領空を侵犯した場合には、退去の警告などを行っている。

令和5年版防衛白書第III部
防衛目標を実現するための3つのアプローチ
第1章 わが国自身の防衛体制
第3節 力による一方的な現状変更やその試みへの対応
2 わが国の主権を侵害する行為に対する措置
1 領空侵犯に備えた警戒と緊急発進(スクランブル)
(http://www.clearing.mod.go.jp/hakusho_data/2023/html/n310302000.html)より引用

つまり、スクランブル発進とは「領空侵犯の恐れのある航空機に対して自衛隊機が緊急的に発進し、行動を監視、警告などを行うこと」を言うのである。

・結論

日中間における尖閣諸島・東シナ海の情勢には、このように多くの、そして大きな問題が存在する。

これに、日本側は可能な限りの対応をしたうえで、岸田首相は首脳会談という公の場で、「尖閣諸島を巡る情勢を含む東シナ海情勢について深刻な懸念」を改めて表明したのである。

「口先だけ」と言う感情右翼もいるが、ではこれ以上どうしろと言うのだろうか。

おそらく「領空侵犯機を撃墜、領海侵犯船を撃沈せしめよ」と言うのだろう。

私も感情的にはまったくの同意見だが、今、この情勢下において先に直接的な武力を行使することは悪手でしかない。

そのため、独立・主権国家としてスクランブル発進等の対応を継続すると共に、世界が注目する「日中首脳会談」という、公で対外的な場において、中国による横暴を指摘し続けるのが最善であると言えよう。

②日本のEEZ内に設置された中国ブイ

外務省発表には、以下のようにある。

岸田総理大臣から、5月の日中防衛当局間の海空連絡メカニズムの下でのホットラインの運用開始を歓迎しつつ、安全保障分野における意思疎通の重要性を述べた。また、尖閣諸島を巡る情勢を含む東シナ海情勢について深刻な懸念を改めて表明し、日本のEEZに設置されたブイの即時撤去を求めた

日中首脳会談|外務省
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/a_o/c_m1/cn/page1_001916.html)より引用
(太字は國神による。)


EEZとは……排他的経済水域(EEZ:Exclusive Economic Zone)とは、漁業をしたり、石油などの天然資源を掘ほったり、科学的な調査を行ったりという活動を、他の国に邪魔されずに自由に行うことができる水域です。海に面している国は、自分の海(領海)の外側に決められた幅を超えない範囲で排他的経済水域を設定することができます。海に面している国は、これらの活動を行うほかは、排他的経済水域を独り占めしてはならないことになっています。たとえば、他の国の船が通ったり、飛行機が上空を飛とんだり、他の国が海底にパイプラインを作ったりすることを禁止することはできません。

(キッズ外務省)ちょっと知りたい言葉の意味!
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/kids/q_a/imi.html)より引用

この「日本のEEZに設置されたブイ」とは以下のものを指す。

松野博一官房長官は19日の記者会見で、中国が尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の日本の排他的経済水域(EEZ)内で新たに海上ブイを設置したことが確認されたと明らかにした。政府は中国側に抗議し、ブイの即時撤去を求めた。松野氏は「EEZでわが国の同意なく構築物を設置することは国連海洋法条約上の関連規定に反する」と批判した。

中国、日本のEEZ内に海上ブイ設置 松野長官明らかに
|産経新聞
(https://www.sankei.com/article/20230919-ZJEI3ZJLSBK2RKIKVKVSIIF6H4/)より引用

この中国ブイには「中国海洋観測浮標QF212」とあり、明確な目的は判明していないが、気象観測や、軍事目的で海中データ収集を行っているのではないかとされている。

岸田首相はこの不法なブイの撤去を中国側に求めたわけだが、国内では「なぜ撤去しないのか」との声も尽きない。

これについては、高市早苗経済安保大臣がわかりやすく解説してくださっているので、そちらを引用しようと思う。

・高市大臣による説明

高市大臣のYouTube動画によると、以下の通り。

・2023年7月、海上保安庁が日本のEEZ内にブイを発見
・同15日、海上保安庁が航行警報を発令(船舶の安全確保)
・他国のEEZ内に無許可で構造物の設置は不可(国際海洋法条約)
・日本政府は中国政府にブイの即時撤去を要請
・条約上、違法設置物の撤去が適法か確認中(撤去の条文がない)

【高市早苗に聞く】即時撤去を求める、中国のブイ問題
(https://youtu.be/4AAh84OuJ7A?si=MF-7D_ewCzWmVUOe)より抜粋・要約

・結論

「①尖閣諸島・東シナ海情勢」の「結論」において述べたことにも通ずるが、今、日本は安易にブイを撤去するべきではない。

EEZ(排他的経済水域)内へのブイ設置は明確な国際海洋法条約違反であり、また日本の主権を軽視し害する行為に他ならないので、設置はもちろん、その放置も是とはできない。

これは大前提だ。

しかし、条約上の根拠が不明瞭な状態(=撤去後、予想される中国の外交戦に明確な反論ができない状態)で、領海外のブイについて安易に撤去へ踏み切ることも、これまた是とできないのである。

今、日本は有事対策に最大限のリソースを注ぎ込むべきであって、無用な争い、外交戦にリソースを割くべきではない。

また、「理はこちらにある」としても、反論根拠が不明確な状態では、外交戦に敗北する可能性だって大いにある  理がこちらにある従軍慰安婦・徴用工強制連行の歴史戦で押し負けて来たことを忘れてはならない  

そのため、今は慎重に条約の確認を行うと共に中国へ撤去を要請すること、即ち岸田政権の行動そのものが正解であると言えるのだ。

・P.S. 安倍政権下における中国ブイ

岸田政権の中国ブイに対する姿勢を非難するキシダガーの中には、「安倍さんが生きていたら……」とする者が少なからず存在する。

では、安倍政権下における中国ブイの対応はどうなっていたのだろうか。

少なくとも2013、2016年、2018年にも中国による海洋ブイの設置(EEZ内)は確認されているが、いずれも日本側によって撤去された事実はない。

中国が平成25年、28年にも日本の排他的経済水域(EEZ)でアンテ ナを多数備え付けたブイを設置し、同じ条約違反活動を何度も繰り返してい ることは尖閣諸島を行政区域としている当市議会として看過できない。

尖閣諸島周辺海域における中国によるブイ設置に対する抗議と 即時撤去を求める要請決議
|石垣市議会(平成30年10月17日)
(https://www.city.ishigaki.okinawa.jp/material/files/group/33/10-g19-y.pdf)より引用

そして当然ながら、2013年、2016年、2018年と、時の政権はすべて安倍政権である。

私は安倍晋三支持者であるが、いや、あるが故に、事実を歪曲し、「安倍さんが生きていたら……」と妄想を垂れ流して岸田政権を攻撃する行為を許すわけにいかない。

・P.S. ブイ撤去のキシダ

皆が「弱腰媚中の検討メガネ」と岸田首相を揶揄しているなか、私は首相を「武闘派広島ヤクザ」と呼んできたのだが、武闘派ヤクザがEEZ内への無断ブイ設置を是とするはずがないのだ。

岸田文雄首相は22日の衆院予算委員会で、尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の日本の排他的経済水域(EEZ)に中国当局が設置した大型ブイに関し、「ブイの撤去も含め、可能かつ有効な対応を関係省庁で連携して検討していく」と語り、撤去に踏み切る可能性に言及した。

岸田首相、尖閣周辺の中国のブイ「撤去も含め検討」
|産経新聞
(https://www.sankei.com/article/20231122-XZNGNKN2KJOXJJEA4PKYBXA4RY/)より引用

岸田政権は「無断設置ブイの放置」を是としているわけではなく、あくまで「撤去するための根拠確認」を行っているに過ぎない。

③軍事活動の活発化

外務省発表には、以下のようにある。

また、ロシアとの連携を含む中国による我が国周辺での軍事活動の活発化等についても深刻な懸念を改めて表明した。

日中首脳会談|外務省
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/a_o/c_m1/cn/page1_001916.html)より引用

「我が国周辺での軍事活動の活発化」については、「①尖閣諸島・東シナ海情勢」や「②日本のEEZに設置された中国ブイ」で触れた内容、また台湾への圧力や日本EEZ内へのミサイル着弾なども含まれることだろう。

そして①、②と異なるのが、「ロシアとの連携を含む」という点だ。

・>日本EEZ内へのミサイル着弾

記憶にない方もいらっしゃるかと思うが、2022年の8月、中国が発射したミサイル5発が日本のEEZ内に着弾している。

中国は、本日15時頃から16時過ぎにかけて9発の弾道ミサイルを発射した模様です。そのうち5発が我が国の排他的経済水域(EEZ)内に落下したものと推定されます。

中国弾道ミサイル発射について|防衛省
(https://www.mod.go.jp/j/press/news/2022/08/04d.html)より引用

そしてこのミサイルは沖縄県の与那国島から数十kmの近海に着弾しており、「与那国への攻撃(即ち日本領土への攻撃)を想定した訓練ではないか」と分析する向きもある。

中国が4日に台湾周辺海域に発射した弾道ミサイルのうち5発が日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下した問題で、中国軍の目標が沖縄・与那国島のレーダーなど日本への攻撃を想定したものだと台湾当局が分析していることが5日、分かった。

<独自>中国のEEZ落下弾は日本攻撃を想定
台湾当局が分析、与那国島など目標|産経新聞
(https://www.sankei.com/article/20220805-AUATBO6E3VKYFMEGEKP4BTACBU/)より引用

・中露の連携

2022年2月にロシアがウクライナへ軍事侵攻を開始し、未だロシアによるウクライナ侵略戦争が継続されているのは、世界的に周知の事実となっている。

これに対し我が国は、「力による一方的な現状変更」を許さず、ロシアの行為を非難する立場を明確にしている。

しかし、中国は我が国および西側諸国と立場を同じくせず、「客観的かつ公正な立場」を主張しつつも、以下のような親露的言動をくり返している。

・露宇戦争の原因は西側諸国の「冷戦思考」にある旨を主張
・安全保障における露の合理的な懸念を理解するとの見解
・対露制裁や欧米諸国によるウクライナへの装備供与を批判
・互いの核心的利益にかかわる問題への強力な支持を表明
・習近平国家主席が訪露しプーチン大統領と会談、共同声明
・ウクライナとの対話を再開する用意のロシアを肯定的に評価
・国連安保理を経ない制裁に反対(安保理は露の拒否権で機能不全)

令和5年版防衛白書を参考

そのうえで、中国は実際に、ロシアへ軍事的な協力をしているものとして考えられている。

【ワシントン=時事】米情報機関を統括する国家情報長官室は27日公表された報告書で、「中国はおそらく、ロシアに軍事転用が可能な物品を供与している」と指摘した。ロシアのウクライナ侵攻以降、西側諸国は中国にロシアへの武器支援をしないよう要求しており、中国も武器の提供を否定している。

中国、ロシアに軍事転用可能な物品供与か 米情報当局
|日本経済新聞
(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR287QM0Y3A720C2000000/)より引用

【ワシントン=時事】米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は21日、昨年2月のロシアのウクライナ侵攻以降、中国がロシアに総額1200万ドル(約16億円)以上の無人機とその部品を供与したと報じた。ロシアは無人機を使ってウクライナの重要インフラなどを攻撃しており、欧米などから対中批判が強まる可能性がある。

中国がロシアに無人機16億円分供与 侵攻以降、米紙報道
|日本経済新聞
(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB221LX0S3A320C2000000/)より引用

【ワシントン共同】ロシアが侵攻したウクライナの戦場で中国製弾薬の使用を米政府が確認したことが18日分かった。ロシア側が使用したとみている。米政府当局者が明らかにした。中国が供与したのかなど入手経路は不明。中国製を使用する第三国経由の可能性もあり、米政府は分析を進める。

ロシア、中国製弾薬を使用か|REUTERS
(https://jp.reuters.com/article/idJP2023031801001053)より引用

中露協力の姿勢については情報戦の真っ只中でもあり、情報の精査は非常に難しいのだが、少なくとも中国はロシア寄りの姿勢を堅持しており、また西側諸国は中露が密接な関係にあると見ていることは事実である。

そのうえで、以下は言い逃れのできない事実であり、中露が密接な関係にあることを明確に示す事項と言える。

(https://www.mod.go.jp/j/surround/pdf/rus_ch_coop_202305.pdf)より引用

・結論

力による現状変更を認めることは、台湾有事(=力による現状変更)を容認し、発生の確率を高める行為にほかならない。

そのため、日本政府(岸田政権)はウクライナと協力、ロシアを非難して制裁を課し、そのうえで連携する中国に深刻な懸念を改めて表明、国際社会へ日本の立場を明確にしているのだ。

④台湾海峡の平和と安定

外務省発表には、以下のようにある。

また、台湾海峡の平和と安定が我が国を含む国際社会にとっても極めて重要である旨改めて強調するとともに、(先方から台湾に関する立場を述べたのに対し、)我が国の台湾に関する立場は、1972年の日中共同声明にあるとおりであり、この立場に一切の変更はない旨述べた。

日中首脳会談|外務省
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/a_o/c_m1/cn/page1_001916.html)より引用
太字化は國神による。

これを理解するには「台湾有事」について知っておく必要があるため、「【重要知識】台湾有事」の章をご確認いただきたい。

・結論

「【重要知識】台湾有事」の章をご確認いただければわかるが、中華人民共和国は歴史的にも別存在(中華人民共和国が台湾を実行支配した歴史はない)である台湾の存立を脅かし、また周辺諸国にも牙を剝いている状態なのだ。

台湾海峡の平和と安定が崩れることは、関係諸国の安全のみならず、世界の秩序すら崩壊させてしまうことを意味する。

そのため、日本政府(岸田政権)は「台湾海峡の平和と安定が我が国を含む国際社会にとっても極めて重要である」とし、中国に自制を求め、かつ日本の立場を明確にしているのである。

⑤我が国の台湾に関する立場

外務省発表には、以下のようにある。

また、台湾海峡の平和と安定が我が国を含む国際社会にとっても極めて重要である旨改めて強調するとともに、(先方から台湾に関する立場を述べたのに対し、)我が国の台湾に関する立場は、1972年の日中共同声明にあるとおりであり、この立場に一切の変更はない旨述べた

日中首脳会談|外務省
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/a_o/c_m1/cn/page1_001916.html)より引用
(太字は國神による。)

本節についても、「【重要知識】台湾有事」の章(「我が国の台湾に関する立場」以降)をご確認いただきたい。

・結論

日中台の歴史を鑑みるに、日中首脳会談における「我が国の台湾に関する立場は、1972年の日中共同声明にあるとおりであり、この立場に一切の変更はない」とは、「我が国は台湾に対する支配を放棄し、中国唯一の正当な政府である中華人民共和国に返還し、『一つの中国』の主張を尊重するが、武力による台湾統一も台湾の一方的な独立も認めない」であると言えるだろう。

素直に読めば非常に無理筋な屁理屈であるように思うが、こうでなければ、日本は台湾周辺のシーレーンを諦めることになり、それは海洋国家として死を意味する。

台湾を中華人民共和国に返還しなければ、戦後処理の不履行にもなるし、日中国交正常化も叶わなかった。

しかし、「一つの中国」論を承認してしまえば、台湾への武力侵攻が「反乱軍に対する制圧行動(国際法上の内戦)」となり、日本が口を挟む余地を失ってしまう。

そのような難しい立場でのこの決断であり、そして現状として、日本政府は上記ままの行動をとっているのだ。

今回の日中首脳会談では、日中共同声明に基づき「武力による台湾統一を認めない」との立場を、今一度、中国に対して突きつけた形になる。

⑥中国における邦人拘束事案

※本節は性質上、不確定な情報を含みます。

外務省発表には、以下のようにある。

また、岸田総理大臣から、中国における邦人拘束事案について、邦人の早期解放を改めて求めた。

日中首脳会談|外務省
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/a_o/c_m1/cn/page1_001916.html)より引用
(太字は國神による。)

近年、中国において邦人(日本人)が拘束される事案が相次いでいる。

中国の国内法として「反スパイ法」(中華人民共和国反間諜法)が施工された翌年の2015年以降、「スパイ行為への関与」として、少なくとも17人の日本人が当局に拘束されてきた。

2023年3月にも、大手製薬会社の日本人男性が中国国家安全局によって拘束され、居住監視措置を経た後、10月19日に逮捕された。

そして先日、2019年に反スパイ法違反で逮捕された50代の日本人男性に対し、懲役12年の判決が確定。

現状として情報を整理すると、おそらく中国は公安調査庁をスパイ組織として扱っているようで、たとえスパイ行為を働き中国の主権・国益を害したわけでなくとも、公安調査庁との接触が確認されただけで逮捕された事例もあるようだ。

この反スパイ法は今年7月に改正され、「国家の安全や利益に関わる文書、データ、資料、物品」を窃取・偵察・買収・提供する行為がスパイ行為として追加された。

しかし、この「国家の安全や利益」がなにを指すかは国家安全当局が決定するため、恣意的な運用余地の拡大に西側諸国も大きな懸念を示している。

中国はまぎれもない独裁国家であり、独裁国家の法というのは、やはり恣意的に運用されてしまうものだ。

改正前の反スパイ法は40条だったのが、改正後には71条にまで内容が追加されている。

だが、あくまで立て付けは「中国の国内法」であり、これに対して日本政府ができることは非常に限られているのだ。

このような事案について、日本政府(岸田政権)は邦人の即時解放を中国に求めている  現状、日本政府としてこれ以上にできることはない  

・P.S. 高市早苗コラム

高市早苗大臣のコラムに改正反スパイ法の条文が掲載されているので、ご紹介まで。

⑦ALPS処理水の海洋放出

外務省発表には、以下のようにある。

さらに岸田総理大臣から、ALPS処理水の海洋放出について、科学的根拠に基づく冷静な対応を改めて強く求めるとともに、日本産食品輸入規制の即時撤廃を改めて求めた。

日中首脳会談|外務省
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/a_o/c_m1/cn/page1_001916.html)より引用
(太字は國神による。)

現状、日本は福島第一原発事故において発生した汚染水を処理した、いわゆる「処理水」を海洋放出している。

この海洋放出は日中首脳会談までに3度行われており、1度目は2023年8月24日~9月11日、2度目は10月5日~10月23日、3度目は11月2日~11月20日に実施された。

このALPS処理水の海洋放出について、世界で2つ、科学的根拠に基づかず非難する勢力がある。

中国と日本の左翼である。

・>ALPS処理水とは

ALPSアルプス処理水とは、3.11東日本大震災の津波被害に伴う福島第一原発事故において発生した汚染水を、Advanced Liquid Processing System(多核種除去設備)によって処理した、安全基準を満たす水である。

経済産業省 資源エネルギー庁によると、ALPSの多核種除去では、トリチウムを除いた62種類の放射性物質を除去することができるのだそう。

汚染水は複数の設備で浄化処理がおこなわれていますが、中でもカギとなっているのは、「多核種除去設備(advanced liquid processing system、ALPS)」と呼ばれる除去設備です。ALPSは、「多核種除去設備」という名称があらわす通り、62種類の放射性物質を取り除くことができます。

安全・安心を第一に取り組む、福島の“汚染水”対策①「ALPS処理水」とは何?「基準を超えている」のは本当?
|経済産業省 資源エネルギー庁
(https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/osensuitaisaku01.html)より引用

以前はセシウム以外の放射性物質を除去することができなかったそうだが、ALPSが開発され稼働した2013年以降、発生した汚染水を高い基準で処理できるようになったのだとか。

・>トリチウムとは

このように、汚染水はALPSによって処理水となり、「安全」であるとして海洋放出されているわけだが、1つ気になる点がある。

それは、「トリチウムは現在の技術では除去できない」という点だ。

つまり、現在、海洋放出されている処理水の中にはトリチウムが含まれているということであり、これは我々の健康や資源、海で繋がる諸外国に影響を及ぼさないのだろうか。

ここで、「トリチウム」について簡単に触れておこう。

トリチウムは水素の仲間(三重水素)で、日々自然に発生しているものです。
そのため、水道水や雨水、私たちの体の中にも含まれており、「自然界にも広く存在する放射性物質」です。

トリチウムが出す放射線のエネルギーは非常に弱く、紙1枚でさえぎることができます。

トリチウムは、世界中の多くの原子力施設から海に放出されていますが、施設周辺からは、トリチウムが原因とされる影響は見つかっていません。

トリチウムって何?|ALPS処理水
(METI/経済産業省)
(https://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/hairo_osensui/shirou_alps/no2/)より引用

トリチウムが出す放射線は紙1枚で遮れる程度のものであり、外部から被ばくすることは考えづらい。

また、トリチウムが体の中へ入った場合も、三重 "水素" なので水と一緒に排出(10日で半分程度が排出)され、内部から被ばくする影響も、極めて小さいのだそう。

「放射性物質」と聞くとおどろおどろしいイメージをもってしまうかもしれないが、自然界にもさまざまな放射性物質が存在しており、我々は常にそれらに曝されている。

それに、レントゲン撮影やCT検査等においても、我々は多少なりの被ばくをくり返している。

重要なのは「放射性物質が与える影響の大きさ」なのであって、この観点から考えれば、トリチウムはさほど危険な物質とは言い難いのだ。

メチル水銀のような「生物濃縮」を心配する声もあるが、そのほとんどが生物の体外へ排出され、体内に蓄積されないことから、水の状態のトリチウムが生物濃縮を起こすことは確認されていない。

そのうえで、国の定めた安全基準の1/40(WHO飲料水基準の約1/7)未満へ海水で薄めた後に処分するという。

東京電力福島第一原子力発電所で増え続けるトリチウムなど放射性物質を含む処理水を、海へ放出する方針を決めたことに関連して、麻生副総理兼財務大臣は、閣議の後の会見で、処理水について、WHO=世界保健機関が示す飲料水の基準を下回る濃度まで薄めるとしていることを踏まえ、「飲めるんじゃないですか。普通の話ですよね」と述べました。

処理水「飲めるのでは 普通の話」麻生副総理|NHK
(https://www.nhk.or.jp/politics/articles/statement/58323.html)より引用

麻生太郎氏が「飲める」と発言し波紋を呼んだのが2021年。

放射性物質に着目すれば飲めることは明白なのだから、通常の海水を飲料水とするように、塩分を除去した後に浄水処理を行えば、なんら問題なく飲用できるはずだ。

文句があるなら私が飲むので、是非、塩分を除去して浄水処理した処理水を持ってきてほしい。

常飲するから。

また、「安全ならなぜ飲料水やその他の活用をせず海洋放出するのか」との声もあるが、飲料水への加工や活用のための運搬にかかるコストを考えれば、海洋放出に行きつくのは当然のことである。

・IAEAとは

ここで、処理水関連でよく耳にする「IAEA」という組織についても触れておこう。

IAEAは「国際原子力機関(International Atomic Energy Agency)」といい、原子力の平和利用促進、原子力の軍事転用防止を目的とした、国際的で中立的な機関である。

2023年1月現在、加盟国は176ヶ国であるという。

国際原子力機関(IAEA)は、原子力の平和利用を促進し、核技術が軍事転用されないように核査察などの保障措置を行う国際機関です。
保障措置の実施は、IAEAと各国で結ばれる協定に従って行われます。その内容は、大別して施設に関する設計審査書の提出と核物質の移動や変化に関連する記録の保持と報告です。IAEAはこれらの記録や報告が事実と相違ないか確認する核査察の権限を持っています。

国際原子力機関(IAEA)|原子力基本用語集
|国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
(https://www.jaea.go.jp/glossary/%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E6%A9%9F%E9%96%A2%EF%BC%88IAEA%EF%BC%89)より引用

原発処理水の海洋放出にはIAEAが深く関わっており、日本の正当性を科学的な立場から証明している。

・中国によるイチャモン外交

科学的に安全性が証明されているALPS処理水の海洋放出であるが、これに対し中国は、科学的見地に基づかない批判・非難をくり返している。

9月7日に駐日中国大使館ホームページへ掲載された、ALPS処理水の海洋放出に関するコメントについて、経済産業省と外務省が回答したものがあるので、抜粋してご紹介しよう。

中「日本はIAEA事務局に核汚染水サンプルの分析と実験室比較を委託したが、中国は招待されなかった」

日「IAEAで行われるモニタリングにおいて、いかなる国のいかなる分析・研究機関が参加するかは、IAEA自身が選定するものであり、日本に関与できるものではない」

中「日本側が提供したサンプルに基づく実験室比較活動では、日本側の検査結果の信頼性を十分に証明することはできない」

日「ALPS処理水の海洋放出に関するモニタリングは、IAEAが日本の分析手法の適切性をレビューしており、IAEAと第三国機関は日本と共同でサンプルを採取、分析を行い、日本側の適切性を確認している」

駐日中国大使館ホームページで掲載された、
ALPS処理水の海洋放出に関するコメントについて、
中国政府に対して回答を行いました|経済産業省
(https://www.meti.go.jp/press/2023/09/20230914001/20230914001.html)より抜粋・要約

この他にも、8月28日の駐日中国大使館コメントへの回答(外務省)ALPS処理水放出開始を受けた各種事案についての中国側への申入れ(外務省)ALPS処理水に関する日中外交当局間のやり取り(在中国日本国大使館)等々、日本政府の苦労が見える事例が多々存在する。

さらに、外務省の海外安全ホームページでは、「中国:ALPS処理水の海洋放出開始に伴う注意喚起」として、以下の内容が呼びかけられている。

●ALPS処理水の放出開始後、日本関係機関に対して多数の抗議、嫌がらせの行為や電話が発生しています。中国への滞在・渡航を予定している方や滞在中の方はこうした抗議や嫌がらせに十分に注意してください。

●特に以下の点に留意していただきますようお願いします。
(1)外出する際には、不必要に日本語を大きな声で話さないなど、慎重な言動を心がける。
(2)日本の大使館や総領事館、日本人学校を訪問する必要がある場合は、周囲の様子に細心の注意を払う。
(3)万が一抗議活動等の場に遭遇した場合には決して近づかないようにし、その様子をスマートフォン等で撮影する等の行為も行わない。

中国:ALPS処理水の海洋放出開始に伴う注意喚起
|外務省 海外安全ホームページ
(https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcspotinfo_2023C043.html)より引用

このような、科学的見地に基づかない主張をくり返している国は中国のみであり、日本政府は中国に対して、正確な情報を発信するよう求め続けている。

高市氏に先立ち、中国は演説で「福島の核汚染水の海洋放出は原子力の安全性を巡る大きな問題だ」と主張した。高市氏は演説で、中国の主張は科学的証拠に基づいていないと反論。「IAEAに加盟しながら事実に基づかない発信をし、突出した輸入規制をとっているのは中国だけだ」と述べ、正確な情報発信を中国に求めていく考えを強調した。

IAEAのグロッシ事務局長は、海洋放出に関してIAEAが「独立した監視」を実施していると説明した。

高市氏「最後まで安全を」
処理水放出、IAEA総会|産経新聞
(https://www.sankei.com/article/20230926-GKH35MPQDNKRDMPFTSTTBKJFJE/)より引用

・結論

日本のALPS処理水海洋放出は科学的に「安全」と確認されており、IAEA等の国際的機関からもそれは認められている。

そのため世界各国は処理水放出に理解を示しており、科学的根拠に基づかず日本を非難する、まさに「イチャモン外交」と呼ぶべき言動をくり返しているのは、ほぼ中国くらいとなっている。

この中国のイチャモン外交に対し、日本政府(岸田政権)はさまざまな場において、科学的根拠に基づく冷静な対応を求め、それを発信し続けている。

従軍慰安婦や徴用工強制連行などの歴史戦に敗北してきた日本であるが、今回の処理水海洋放出については、日本のロビー活動の勝利と言ってもよい。

・P.S. 左翼による風評被害(風評加害)

私は本章の冒頭で、以下のように書いた。

このALPS処理水の海洋放出について、世界で2つ、科学的根拠に基づかず非難する勢力がある。

中国と日本の左翼である。

中国によるイチャモン外交も酷いものであるが、国内で同じようなことをくり返している左翼勢力も、中国と同じか、国内であるだけ中国よりも酷いものである。

現在の日本において、政党でいえば立憲民主党、日本共産党、社会民主党、れいわ新選組等が「左翼」とされるが、彼等による風評加害は枚挙に暇がない。

これに対して、石垣氏は「汚染水」という表現を強調して政府の対応を批判した。

「結論ありきでこのアルプスをして処理された汚染水の海洋放出を強行したことに対して断固として私も反対の声を上げたい」
「これは福島第1原発事故に由来する汚染水の処理の問題だ」

立憲・石垣のりこ氏、「汚染水」連呼で政府批判
またも「謀反」に幹事長は何を思う|J-CASTニュース
(https://www.j-cast.com/2023/08/29467809.html?p=all)より引用

立民の一部議員が党の公式見解である「処理水」と異なる「汚染水」との表現を用いていることなどに関しては、「党で決まったことはしっかり守ってもらう必要がある」としつつ、「だからといって個々の議員が(意見を)言えなくなるようなことにはしたくないというのが私の信念だ」と語った。

一般議員の「汚染水」発信を立民・岡田氏は容認の構え
|産経新聞
(https://www.sankei.com/article/20230912-T3HPSU3JTBNAHCKSEJTWD73KYE/)より引用
(太字は國神による。)

つまり、立憲民主党は(表では)「処理水」を公式見解としつつも、個々の議員が「汚染水」との表現を用いて風評被害を助長することについて、これを党として認めるということだ。

東京電力福島第一原発にたまる処理水の放出をめぐって、原発事故当時、官房長官だった立憲民主党の枝野 前代表は、地元関係者の理解を得るプロセスをはじめ政府の対応が不十分だと批判しました。

立民 枝野前代表 “処理水放出のプロセスに深刻な問題”と批判|NHK
(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230827/k10014175881000.html)より引用

地元関係者が恐れているのはまさに「風評被害」であり、風評被害を煽っているのは立憲民主党をはじめとする左翼陣営。

自身で風評を煽っておいてそれを政争の具とする姿勢、これを「マッチポンプ」という。

一、岸田政権は、24日にも東京電力福島第一原発の汚染水(アルプス処理水)の海洋放出を行うことを決定した。

汚染水の海洋放出を中止せよ
2023年8月22日 日本共産党委員長 志位和夫
(https://www.jcp.or.jp/web_policy/2023/08/post-963.html)より引用

立憲民主党に頭を悩ませていると、党本体として、党代表の名で「汚染水」との表現を用いる日本共産党が現れた……

社民党の福島みずほ党首は8月23日、参院議員会館で会見し、福島第1原発
からの汚染水の海洋放出について、岸田政権や東京電力を厳しく批判した。

 岸田政権の決定により、24日にも汚染水の海洋放出が開始されることについて、福島党首は「とんでもない。強く抗議をしたい」と憤った。

【8月23日の福島党首会見】
汚染水の海洋放出を批判~責任を放棄する国と東京電力
|社会新報(社民党)
(https://sdp.or.jp/sdp-paper/toushu-14/)より引用

社会民主党も公式に処理水を「汚染水」と呼び、風評被害を助長している。

8月22日の関係閣僚会議において、
岸田首相は福島第一原発の処理後の汚染水を8月24日から
海洋放出(海洋投棄)すると表明した。

【声明】「汚染水」の海洋投棄を撤回し議論のやり直しを求める
(2023年8月23日 れいわ新選組)
(https://reiwa-shinsengumi.com/comment/18546/)より引用

処理水を「汚染水」と呼んだうえ、海洋放出を「海洋投棄」とするれいわ新選組。

れいわ新選組 山本太郎代表は、これに留まらず福島県および県民に対し「差別」と言うべき言動をくり返している。

>動画の中で、秘書から国会でお昼の弁当が出る、と告げられると「ベクレてる(放射能汚染されている)んやろなぁ、国会議員に出すお弁当は」などと語ったからだ。

>ベクレてる、というのは放射能汚染されているという意味で使っています

>12年12月に衆院選に出馬して落選したときに円形脱毛症になったことを聞かれ「被ばくの影響でしょう」と答えた。

>12年6月には放射能から逃れるためフィリピンに家族で移住する計画があることをツイッターで明かし、12年3月には「東京の放射能汚染が深刻」として大阪への引っ越しを計画。

>13年2月には大阪の母親が体調不良になったのは「震災がれき焼却のせい」などと主張している。

山本太郎議員「国会議員に出す弁当はベクレてる」
西日本、九州、海外から食材「お取り寄せ」
|J-CASTニュース
(https://www.j-cast.com/2013/10/25187245.html?p=all)より引用

上記4党および所属議員、そして支持者による風評被害の助長(風評加害)、福島ヘイト・差別はあまりに下劣で、あまりに卑劣だ。

そのうえで「私たちは(自分たちが煽る風評を恐れる)福島の漁師さんたちの味方です!」というような主張を展開するのだから、その姿は醜悪そのものであり、同じ人間とも思いたくないレベルである。

⑧日本産食品輸入規制の即時撤廃

外務省発表には、以下のようにある。

さらに岸田総理大臣から、ALPS処理水の海洋放出について、科学的根拠に基づく冷静な対応を改めて強く求めるとともに、日本産食品輸入規制の即時撤廃を改めて求めた

日中首脳会談|外務省
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/a_o/c_m1/cn/page1_001916.html)より引用
(太字は國神による。)

「⑦ALPS処理水の海洋放出」に関連して、中国は「日本産食品輸入規制」を行っている(イチャモン外交の1つ)。

・中国の輸入規制の概要

中国による日本産食品の輸出に係る原発関連の規制について
1.輸出される食品等に関する輸入規制について
|農林水産省
中国の輸入規制措置の概要(2023年8月24日~)(PDF : 217KB)
(https://www.maff.go.jp/j/export/e_shoumei/attach/pdf/china_shoumei-7.pdf)より引用

これにより、日本の水産物関係は大きな打撃を受けている状況だ。

東京電力福島第一原発の処理水の放出に反発して中国が日本産の水産物の輸入を停止するなか、農林水産省は7日、ことし9月の中国向けの水産物の輸出額が前の年の同じ月を90%余り下回ったと発表しました。

9月の中国向け水産物輸出額
前年同月比90%余減 輸入停止受け|NHK
(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231107/k10014249581000.html)より引用

これに関連し、今年9月、櫻井よしこ氏の新聞広告が話題となった。

・櫻井よしこ氏の広告が炎上

(https://x.com/hosono_54/status/1699235580885008686?s=20)より引用

8月末に中国が日本産海産物の輸入規制を開始したことに対し、櫻井よしこ氏が「日本の魚を食べて中国に勝とう」との新聞広告を配信した。

これが炎上したのだ。

このように。

(https://x.com/akatachikako/status/1699332755249844241?s=20)より引用

私の観測範囲ではこのポストが最もエンゲージを集めていたのだが、同様・似た趣旨のポストが多く見られた。

しかし、『日本に、食費を「いつもより1000円ちょっと多く」自由に使えるおうちがどれだけある』とのことだが、広告の本文を読めば「 "年間" 1,000円ちょっと多く」であることがわかる。

1600億÷1億2千万=1333.33……
1600÷1.2=1333.33…(1年あたり)
1333÷12=111.08(1ヶ月あたり)
111÷30=3.7(1日あたり)

おそらく「いつもより1000円ちょっと多く」との文言に脊髄反射的に反応し、それが1日あたりなのか1週間あたりなのか、1ヶ月あたりなのか1年あたりなのかを考えない者が多くいたのだろう。

1日や1週間あたりであれば1,000円を多く払うことが困難な家庭は多くあるだろうが、1ヶ月や1年あたりでそれが難しい家庭は少ないだろう。

また、1,000円の捻出が難しい場合、他の娯楽品の購入を多少抑えれば、1,000円と少しの全額を加算する必要もない。

そして、「勝ち負けの概念が全くわからん」とのことだが、「嫌がらせに負けるな。勝とうじゃないか!」というのは、そんなにおかしな考え方であろうか。

「なんでも勝ち負けで考えるなんて下品」などの意見も多く目にしたが、嫌がらせに対して勝とうとするのは当然のことであり、そもそも下品なのは、イチャモン外交によって不当に日本産海産物の輸入規制を開始した中国である。

・負けない日本

このような、卑劣なイチャモン外交に晒されている日本であるが、日本人を舐めてもらっては困る。

この状況を黙って見ている日本ではない。

中国が日本の水産物の輸入を全面的に停止し影響が広がる中、稚内市の水産加工会社からインドネシアに向けてホタテの出荷が始まりました。宗谷地方のホタテがインドネシアに輸出されるのは初めてです。

稚内のホタテをインドネシアへ初輸出
中国以外に販路拡大|NHK
(https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20231116/7000062542.html)より引用

エマニュエル氏は東日本大震災で日本を支援するため米軍が行った「トモダチ作戦」の第2弾だと強調し、米軍はまず日本産ホタテ約800─900キロを購入し、取引対象を全ての日本産水産物に拡大すると説明した。

米軍が日本産ホタテ購入へ長期契約、
「中国の経済的威圧に対抗」と米大使|REUTERS
(https://jp.reuters.com/world/security/26CTVBRQSRLWNBX3ARZ77URLUU-2023-10-30/)より引用

一方、香港向けは86・9%増の126億円。ホタテも調製品を中心に48・8%増の17億円に上った。香港は福島、宮城など10都県の水産物について輸入を規制しているが、対象外の北海道などから輸出が増えたとみられる。

9月の中国向け水産物輸出、
主力のホタテ・ナマコがゼロに|読売新聞
(https://www.yomiuri.co.jp/economy/20231107-OYT1T50194/)より引用

一方、ことし1月から9月までの農林水産物と食品の輸出総額は、前の年の同じ時期より5.8%多い1兆531億円となりました。

アメリカなどへの輸出が堅調で、中国向けの輸出の落ち込みを補っているということで、1兆円の大台を超えるのは、去年よりも1か月早く、これまでで最速のペースだということです。

農林水産省は引き続き新たな輸出先の開拓の支援などに取り組んでいくことにしています。

9月の中国向け水産物輸出額
前年同月比90%余減 輸入停止受け|NHK
(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231107/k10014249581000.html)より引用

特に中国へ輸出が多かったのがホタテだ。主産地である北海道・青森県を応援する動きがスーパーのみならず、外食、コンビニにも広がっている。例えばワタミ、くら寿司、銚子丸、崎陽軒、セブン-イレブン・ジャパン、ローソンといった企業が取り組みを発表した。

 北海道庁の地下食堂でも「食べて応援!北海道」として、9月12日~10月31日のランチタイムに「ホタテフライ定食」「ホタテ竜田揚定食」を、期間限定で1日100食・各600円で提供。一般市民も利用可能で、高級品のホタテがお手頃な価格で食べられることから、正午ごろには売り切れる日も多く好評であった。

「10日で1万食」「来春までに130トン」
収まらないホタテショックの裏で、
どんな支援が広がっているのか|ITmediaビジネスONLINE
(https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2311/23/news024.html)より引用

日本政府(岸田政権)はもちろんのこと、日本企業までが総力を挙げて対応にあたっているのだ。

もちろん中国のマーケットは巨大なので補填は簡単ではないが、日本および日本人が負けることはない。

・>ホタテ続報(2024/04)

ホタテはわが国の農林水産物・食品輸出で主力産品の一つです。その輸出額が、着実に回復しています。農林水産省が発表した統計によると、今年2月のホタテ輸出額は昨年同月比で9パーセント増となり、中国による輸入停止措置から約半年で、新たな販路開拓といった取り組みが実を結びつつあります。政府与党では引き続き、海外でのプロモーション活動等に力を入れています。

ホタテ輸出が回復米国向け輸出量が急増|自民党
(https://www.jimin.jp/news/information/208001.html)より引用

・結論

このような中国のイチャモン外交に対し、日本政府(岸田政権)は日本産食品輸入規制の即時撤廃を求め続けている。

岸田文雄首相は17日(日本時間18日)、訪問先の米サンフランシスコで会見し、あらゆる機会をとらえて中国に日本産食品の輸入規制の即時撤廃を強く働きかけていくと述べた。

中国の輸入規制、あらゆる機会で即時撤廃働きかける
=岸田首相|REUTERS
(https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/HACAVXVKARKNXOCJQIYC3GN5UE-2023-11-18/)より引用

このイチャモン外交、輸入規制の問題は、我が国の経済的損失に留まらない。

本件は「相手国の経済を人質に、不当な主張を押し通そうとする」という、まさに「経済的威圧」と言えるだろう。

これは、G7においても問題とされている行為だ。

今回の会合は、経済的な影響力を強める中国を念頭に、輸出入の規制などで、相手国に圧力をかける「経済的威圧」への対応などをテーマに議論が行われ、閣僚声明を採択し、閉幕しました。

G7貿易相会合 中国念頭
不必要な貿易制限撤廃求める声明を採択|NHK
(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231029/k10014241191000.html)より引用

我々が中国の経済的威圧に屈さず、販路を開拓して経済を立て直すことができれば、「結束して対抗すれば、中国の経済的威圧など恐れるに足りない」というメッセージを世界に発信することができる。

これは、中国の経済的威圧に屈する(=中国の勢力として組み込まれてしまう)国を減らすことに繋がり、大局的に見れば、まさに「対中国包囲網」の形成・強化に繋がる重要な事柄なのである。

余談:国辱のキシダ

以下の画像を根拠として、「自信満々の習近平と岸田文雄首相」として、岸田総理を「国辱」とする向きがある。

島田洋一さんのポスト

ふんぞり返る習近平にペコペコ歩み寄る岸田の姿は「歩く国辱」そのものだった。

もう外遊すべきでない。

【話題】『ふんぞり返る習近平にペコペコ歩み寄る岸田の姿は「歩く国辱」そのものだった… もう外遊すべきでない』
|Share News Japan
(https://sn-jp.com/archives/145193)より引用

上記の記事は、島田洋一氏が記事見出しの画像を引用し、岸田首相を「歩く国辱」とするポストを紹介している(当該ポストは削除済み)。

主に日本保守党支持者と層が被っているキシダガーに上記のような主張が多いのだが、これには2つの問題点がある。

ひとつは、「政策議論ではなく印象論である」という点。

習近平国家主席との写真を引用し、「中国に対して下手に、ペコペコする国辱・岸田文雄」とするポスト。

しかし、本記事において解説したような岸田首相の外交政策を見て、岸田首相を「国辱」と言えるだろうか。

理不尽に毅然と対応し、国際社会へと訴え、出来うる限りの最大限を尽くしているのが岸田外交だ。

そのような岸田首相に対して、一瞬の切り取りに過ぎない画像を用いて「国辱」といったイメージを植え付けようとするのは、決して健全な政権批判とは言えない。

もうひとつは、さらに酷い。

なぜならば、引用されている画像は今回の日中首脳会談におけるものではなく、昨年に撮影されたものだからだ。

日中首脳会談
中国の軍事的活動に深刻な懸念伝える 岸田首相
|NHK(2022年11月18日)
(https://www.nhk.or.jp/politics/articles/statement/92121.html)より引用

この画像を引用する者もいる。

【詳報】世界のリーダー集った「外交ウィーク」
米中、日中首脳会談も |朝日新聞(2022年11月18日 12時36分)
(https://www.asahi.com/articles/ASQCC63MYQCBUHBI040.html?iref=pc_photo_gallery_bottom)より引用

あまりに卑劣だ。

また、政策でない部分に関しても、岸田首相が「歩く国辱」ではないことが報じられている。

・恫喝のキシダ

処理水の海洋放出を巡り科学的な対応を求めた際には、右手でつくった握りこぶしで机をたたきながら厳しい表情で繰り返し習氏に迫った。

日中首脳会談
懸案事項で隔たり、確認事項でも微妙な温度差
|産経新聞
(https://www.sankei.com/article/20231117-5NDLS3AKXVPMHDFUCUGTNSBE2U/)より引用

私は皆が「媚中の弱腰メガネ岸田文雄」と言っている間、「武闘派広島ヤクザの岸田文雄」と言い続けた。

日中首脳会談という対外的な公の場において、「握りこぶしで机を叩く」というのは、これはまさに「武闘派広島ヤクザ」と言うべきではないだろうか。

関係者は「気合が入ったときの動き」と言うが、気合いが入ったからといって、公の外交の場で机は叩かないだろう、普通は(笑)

さすが武闘派広島ヤクザの岸田文雄、我らが誇る、日本の総理大臣だ。

私はこの、理不尽に屈さず闘う広島ヤクザを、全力で支持していく所存である。

まとめ

岸田首相は、決して日本側の立場を譲歩せず、真正面から上記を叩きつけてきた。

中国がブイを撤去しないことや、中国船舶の行動等をもって首脳会談の成果を否定せんとする者もいるが、あまりに政治を単純化して考えすぎだ。

日本保守党の有本香事務総長
(https://x.com/arimoto_kaori/status/1725740296741560346?s=20)より引用

日中首脳会談を実施したからといって、中国側が簡単に態度を軟化させるはずがない。

首脳会談で中国の態度をどうこうできると言うならば、それこそ「話し合いで解決」とする左翼と同じ主張をしていることになる。

ここでは、「日本は譲歩しない」という姿勢を、中国、そして国際社会へと見せつけることに大きな意味があるのだ。

「日本は中国の思い通りにはならない」と中国共産党に示し、「我が国は対中国の最前線として、覚悟をもって闘っている」と国際社会に示すことに意味があるのだ。

これが中国に対する抑止力となり、国際社会へ支援を呼びかける際のプラスにもなる。

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【歴代5例目】国賓待遇で訪米(2024/04)

岸田首相は4月8日~14日、「国賓待遇」でアメリカを公式訪問した。

日本の首脳が国賓待遇で公式訪米するのは、2015年の安倍首相(当時)以来、9年ぶりとなる。

また、日本の首相が国賓待遇で訪米したのは、確認できる限り今回の岸田首相を含めて5例のみだという(中曾根康弘首相(1987年)、小渕恵三首相(1999年)、小泉純一郎首相(2006年)、安倍晋三首相(2015年)、岸田文雄首相(2024年))。

「アメリカ様に認められた!」とシッポを振るわけではないが、「日米同盟の米が日を国賓待遇で招待した」というのは日米同盟の強さ・濃厚さを国際社会へ示すことになり、これは間違いなく『抑止力』として機能することだろう。

とくに、前回の国賓待遇が安倍晋三元首相であり、各国に対して「同盟国であるアメリカが、Fumio Kishida を Shinzo Abe と同じレベルで扱っている」というメッセージを発することにもなり得るため、関係が深くない国に対しても「岸田文雄」の存在をアピールすることができる。

※SNS等では「他国の国賓訪米時と対応が違う!キシダは舐められている!」とのミスリードを発信するアカウントが多く見られる。

このカラクリは単純であり、「国賓」とは基本的に「国家元首」を指し、我が国の「国家元首」は、明文化はされていないものの「天皇陛下である」とするのが国際的な常識なのだ。

よって国家元首ではない総理大臣は「国賓」とはなり得ず、その総理大臣を最大の高待遇でもてなしてくださるのが今回の『 国賓"待遇" 』なのである。

そのため、細々とした箇所に違いをつくらなければ「他国の元首および天皇陛下に失礼」となるわけであり、「他国の国賓訪米時と対応が違う!キシダは舐められている!」というのは悪質なミスリードと言える。

SNSには国籍明示の義務がなく、SNSによる情報戦が現代戦争の一手段となっていることは米大統領選や宇露戦争において明確になっており、メディアのみならずSNSの情報にも注意が必要だ。

「日本がアメリカをサポートする時代」
(戦後レジームからの脱却)

これを「国賓待遇訪米における岸田政権の成果」に含めるべきかは悩むところであり、事実関係の検証も困難である。

しかし、岸田首相の言動や政策を見れば確度の高い情報であると考えられ、また国際的な日本の立場を考えるうえで重要な話であると思うので、ここでご紹介しておきたい。

岸田首相は22日夜、東京都内で行った会食で、4月に控えた訪米について、「今までの日米関係は、いろいろ助けられていたが、日本がアメリカをサポートしていく時代に入ったことを考えたい」と意気込みを強調した。

岸田首相「日本がアメリカをサポートする時代に入った」
 4月訪米を前に意気込み示す|FNNプライムオンライン
(https://www.fnn.jp/articles/-/675194)より引用

これまで、戦後からの日米関係というのは「対米従属」と揶揄されるなど、明らかに「アメリカが上、日本が下」といった関係値であった。

これは日本にとって「アメリカに一方的に守ってもらえる」というメリットもあったが、「だからこそアメリカ様に逆らえない」という側面も間違いなくあったと言えるだろう。

そして、安倍政権になって集団的自衛権の行使を限定的に容認、我が国の存立にかかわり、武力行使の新三要件を満たす場合において、日本がアメリカと共に血を流すことができるようになった。

「ただアメリカに守ってもらう」という関係から「日本もアメリカと共に戦う」という関係値にかわり、"日米対等" に近づく、つまり「"アメリカ様の仰せの通りに" ではない」という関係に近づいたのだ。

この集団的自衛権の限定行使容認からわかる通り、「日米対等」は安倍晋三元首相が目指された日米関係であって、"戦後レジームからの脱却" のなかでも重要なものであると言えるだろう。

これがようやく、「アメリカをサポートできるようにならなければならない」ではなく、「アメリカをサポートしていく時代に入った」と日本の総理大臣が口にできる時代となり、そして岸田首相がここを意識しているということが明確となったのだ。

岸田首相が「安倍晋三と反目しており、安倍政治を壊した」かのように言う言論人、自称保守層もいるが、本記事においてご紹介している政策、そしてこの精神性、米議会演説を見れば、「岸田首相は安倍路線の継承者である」と断言できる。

>櫻井よしこ氏のキシダ評

この発言については、保守言論人として一目置かれる櫻井よしこ氏も絶賛されている。

櫻井氏は、以下のように語った。

画期的なことだと思います。ものすごく大きな意味があると思いますよ。これはアメリカが望んでいることでもあると思う。

アメリカは中国が主な脅威、だけれどロシアとも向き合わねばならない、中東とも向き合わなきゃいけない。

核に関して言えば、アメリカの今の核の能力で、ロシアの核と向き合うことはできても、5年以内に中国の核とも向き合うことができなくなるかもしれない。核の二正面作戦をアメリカは今の力でできないんですよ。これは軍事的にはっきりしていますよね。

アメリカは今まで、グローバルに展開するスーパーパワーだった。今、グローバルに展開する国として中国が出てきている、ロシアもあのようなことになっている、だから世界中が一緒にやってくれという姿勢にアメリカはなっていますよね。

ヨーロッパはNATOに主軸を置きたい。そしてアジアは『日本』なんですよ。東南アジアとかASEANとか、こういったところをきちんと秩序を保ってよい方向に守っていく力をやっぱり日本が発揮すべきなんですね。

アメリカはやっぱりアジアとの歴史は浅いですし、よくわかっていないところがある、中国についても日本こそが、それこそ2000年の歴史で、ヨーロッパに対しても中国の脅威を気づかせたのが安倍さんですよ。

アメリカにもそうですよ。トランプさんなんて何も知らなかったわけですから。

だから「日本がアメリカをサポートしていく時代に入った、そのことを考えたい」と岸田さんが仰ったのであれば、これはすごいことだと思いますね。

スルスルスルっとこういう重要なことをおっしゃってしまうんですよね(笑)

以上、櫻井氏のコメントを、多少の要約を加えてご紹介した。

#櫻井よしこが "ステルスキシダ"に気づいているぞ

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【日米首脳会談】

2024年4月10日、米国・ワシントンDCにおいての岸田首相とバイデン大統領による日米首脳会談が行われた。

・☆尖閣諸島に日米安保条約第5条適用☆

他の首相であればこの一点のみでも記事を作成したいレベルの成果だが、岸田首相は上げる成果の数とレベルが桁違いなので、本記事の一節のみでお許し願いたい。

バイデン大統領はまた、日米安全保障条約第5条が尖閣諸島に適用されることを改めて確認した。我々は、尖閣諸島に対する日本の長きにわたり、かつ、平穏な施政を損なおうとする行為を通じたものを含む、中国による東 シナ海における力又は威圧によるあらゆる一方的な現状変更の試みにも強い反対の意を改めて表明した。我々は、日米の抑止力・対処力を強化するため、南西諸島を含む地域における同盟の戦力態勢の最適化が進展していることを歓迎し、この取組を更に推進することの重要性を確認する。

日米首脳共同声明
「未来のためのグローバル・パートナー」
2024 年4月 10 日(仮訳)|外務省
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100652148.pdf)より引用
太字化は國神による

今回の訪米において行われた日米首脳会談の結果として発表された「日米首脳共同声明」では、中国が領有権を主張している我が国の固有の領土「尖閣諸島」について、日米安保条約(日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約)の第5条が適用されると明言された。

第五条
 各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する。
 前記の武力攻撃及びその結果として執つたすべての措置は、国際連合憲章第五十一条の規定に従つて直ちに国際連合安全保障理事会に報告しなければならない。その措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全を回復し及び維持するために必要な措置を執つたときは、終止しなければならない。

日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約|外務省
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/hosho/jyoyaku.html)より引用

つまり、「尖閣諸島に対する攻撃は、日米安保条約に基づいた防衛措置の対象となる」ということが、改めてアメリカの公式声明として発表されたわけである。

これは、我が国の固有の領土である尖閣諸島について正当性なく領有権を主張し、また領海・領空侵犯をくり返す中国に対して、「日米は中国の横暴を決して許さず、断固たる措置をとる用意がある」と示したことになるのだ。

尖閣諸島に対する安保5条の適用は以前から不安定かつ不明瞭だったので、このタイミングでアメリカの公式声明として引き出せたことは大変喜ばしく、これを引き出した岸田首相は称賛に値する。

・「防衛装備移転三原則」運用指針改正

米国は、地域における抑止力を強化するための共同開発・生産を通じた協力を増進することになる、日本の防衛装備移転三原則及びその運用指針の改正を歓迎する。

日米首脳共同声明
「未来のためのグローバル・パートナー」
2024 年4月 10 日(仮訳)|外務省
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100652148.pdf)より引用

日米首脳会談後の共同声明においてこのように触れられた「防衛装備移転三原則及びその運用指針の改正」とは、以下の通りである。

日英伊で戦闘機を共同開発するにあたって、「防衛装備移転三原則」の運用指針が改正された。

 政府は、「防衛力整備計画について」(令和4年 12 月 16 日国家安全保障会議決定及び閣議決定)に基づき、我が国の安全を確保する上で中核となる次期戦闘機の英国及びイタリアとの共同開発(以下「グローバル戦闘航空プログラム」という。)を推進する中で、我が国の安全保障環境にとって必要な性能を満たした戦闘機を実現し、我が 国防衛に支障を来さないようにするためには、我が国からパートナー国以外の国に完成品を移転し得る仕組みを持ち、英国及びイタリアと同等にグローバル戦闘航空プログラムに貢献し得る立場を確保する必要があるとの認識に至った。

グローバル戦闘航空プログラムに係る完成品の
我が国からパートナー国以外の国に対する移転について
令 和 6 年 3 月 2 6 日 国家安全保障会議決定 閣議決定
(https://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/pdf/r60326_bouei7.pdf)より引用

今回の改正では、「防衛装備品・技術移転協定」を締結した15ヶ国のうち、戦闘が行われていない国に限り、次期戦闘機について、パートナー国以外の第三国に対する移転(輸出)を認めることが決定されたのだ。

ただし、実際に輸出を行う場合には、案件ごとの閣議決定を必要とする。

「防衛装備移転三原則」は、佐藤栄作総理大臣が国会答弁において触れた指針「武器輸出三原則」をルーツとし、安倍政権下において定められたもの。

今回はこれの運用指針を改正し、「殺傷能力のある完成品を第三国に輸出することが可能となった」のである。

これによって我が国は、戦闘機に巨額投資を行って防衛力を大幅に強化するとともに、完成した戦闘機を輸出することで利益をあげ、巨大投資を回収することが可能になったのだ。

また、この運用指針改正については「日本国憲法に違反するのではないか」と疑問視する声もあるが、実は戦後、我が国は1950年代後半から1960年代にかけて、ミャンマー(ビルマ)や南ベトナム、タイ、インドネシア、台湾、ブラジル、アメリカなどに殺傷能力のある武器を輸出しており、言うまでもなく、今回の運用指針改正は現行憲法に違反しない。

平和を維持するには力が必要であり、力をつけるには防衛産業を潤すことが必要不可欠。

そのうえ、「他国の安全保障に介入する」というのは『味方、少なくとも敵ではない国を増やす』ことでもあり、これも日本を守ることに繋がるのである。

キッシー、マジでGJ!

・極超音速滑空兵器の衛星網整備で日米協力

我々はまた、米国の産業との協力の可能性を含め、極超音速滑空体(HGV)等のミサイルのための地球低軌道(LEO)の探知・追尾のコンステレーションに関する二国間協力も発表する。

日米首脳共同声明
「未来のためのグローバル・パートナー」
2024 年4月 10 日(仮訳)|外務省
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100652148.pdf)より引用

日米首脳共同声明において、日米が「極超音速滑空兵器(HGV)を探知・追尾する衛星網の整備」において協力すると発表された。

極超音速滑空兵器(HGV)は、マッハ5(音速の5倍)以上で低空を飛行し、機動性があるため、探知や迎撃が困難であると言われている。

アメリカはこれの追尾を目的として、多数の小型衛星を連携させる「衛星コンステレーション」の構築を進めており、共同声明では、日本が低軌道で衛星網を構築することについて、アメリカが協力すると明記された。

この "協力" においては、打ち上げ試験や情報共有、分析での連携も行われるという。

また、中国やロシアが他国の衛星を攻撃する衛星(キラー衛星)を開発していることを踏まえ、宇宙空間の監視でも協力することが確認された。

・2025年~定期的な日米英合同軍事演習

英国防省は10日、日本、米国、英国が2025年からインド太平洋地域で定期的に合同演習をすると発表した。25年は英軍が空母「プリンス・オブ・ウェールズ」を中核とする空母打撃群を派遣する。海洋進出を強める中国を念頭に結束を示す。

日米英、25年から定期的に合同演習
 英は空母打撃群派遣|日本経済新聞
(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR1103C0R10C24A4000000/)より引用

日本、アメリカ、イギリスによる三ヶ国共同訓練を、2025年(来年)から、インド太平洋地域において、定期的に実施することが発表された。

これについては、日米首脳共同声明においても触れられており、その重要性と注目度の高さが窺える。

米英間の大西洋宣言及び日英間の広島アコードにおける コミットメントを認識し、また、インド太平洋地域及び欧州・大西洋地域がかつてないほど相互に関連している中で、我々は、共通のかつ揺るぎない安全保障を強化するに当たり、2025 年から開始される定期的な日米英三か国共同訓練の発表を歓迎する。

日米首脳共同声明
「未来のためのグローバル・パートナー」
2024 年4月 10 日(仮訳)|外務省
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100652148.pdf)より引用

他国の軍との合同演習では、軍事関係における連携の強さを各国に見せつける効果はもちろん、実際に有事となった場合の連携をスムーズにする効果や、互いの技術・練度に新たな要素を取り入れる効果を期待できる。

これをインド太平洋地域で実施するということは、まさにこの地域の覇権を狙って横暴をくり返す中国への牽制に他ならないのであって、また、実際に中国が行動を起こした際の予行演習ともなるのだ。

・自衛隊と米軍の連携強化

岸田政権は防衛力強化の一環として「統合作戦司令部」を自衛隊に新設する計画を進めているが、これに加え、日米両軍の指揮統制の連携を強化することで合意した。

地域の安全保障上の課題が展開する速度を認識し、日米の二国間同盟体制がこうした極めて重要な変化に対応できるようにするため、我々は、作戦及び能力のシームレスな統合を可能にし、平時及び有事における自衛隊と米軍との間の相互運用性及び計画策定の強化を可能にするため、二国間でそれぞれの指揮・統制の枠組みを向上させる意図を表明する。より効果的な日米同盟の指揮・統制は、喫緊の地域の安全保障上の課題に直面するに当たり、抑止力を強化し、自由で開かれたインド太平洋を促進していく。我々は、日米それぞれの外務・防衛担当省庁に対し、日米安全保障協議委員会 (日米「2+2」)を通じて、この新しい関係を発展させるよう求める。このビジョンを支えるに当たり、我々はまた、日米共同情報分析組織(BIAC)を通じたものを含め、情報収集、警戒監視及び偵察活動における協力並びに同盟の情報共有能力を深化させるという目標を改めて確認する。

日米首脳共同声明
「未来のためのグローバル・パートナー」
2024 年4月 10 日(仮訳)|外務省
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100652148.pdf)より引用

具体的な内容については2+2による議論・調整が行われることとなった。

「2+2」(ツー・プラス・ツー)とは……

国と国が、外交担当閣僚と国防担当閣僚単位で、安全保障問題について協議する閣僚級会合の通称。

また、この連携強化に「自衛隊が米軍の指揮下に入るということか」との不安も挙がっているが、林芳正官房長官は以下のように回答しており、これは日本が主権国家であることからも当然と言えるだろう(日米地位協定等の問題もあるが、「今から隷属的関係を新たに結ぶ」ことは困難と言える)。

林芳正官房長官は11日の記者会見で、日米両首脳が自衛隊と米軍の指揮統制の連携強化で合意したことに関し、「自衛隊と米軍はおのおの独立した系統に従って行動している。(今年度中に発足させる)自衛隊の統合作戦司令部が米軍の指揮統制下に入ることはない」と説明した。

自衛隊、米軍指揮下に入らず
 林官房長官「独立して行動」|JIJI.COM
(https://www.jiji.com/jc/article?k=2024041100624&g=pol)より引用

あくまで「連携の強化」である。

・マイクロソフトが4400億円の対日投資

 訪米中の岸田文雄首相は9日、首都ワシントンで米IT大手マイクロソフト(MS)のスミス社長の表敬を受けた。スミス氏は、生成AI(人工知能)の基盤強化のため、日本に2年間で29億ドル(約4400億円)を投資すると正式に表明した。

(中略)

 MSによると、日本にある同社のデータセンターにAI向け半導体を導入し、処理能力を大幅に強化するほか、東京に研究開発拠点を新設する。AIを活用できる人材の育成や、日本政府とのサイバーセキュリティー分野での連携強化も図る。

日本に4400億円投資
 米MS社長、岸田首相表敬で正式表明|JIJI.COM
(https://www.jiji.com/jc/article?k=2024041000181&g=int#goog_rewarded)より引用

外資企業の進出には否定的な声もあり、私もあまり産業を売り飛ばすべきではないと考えるが、マイクロソフトのAIおよび人材育成や、TSMCの半導体関連事業を日本に呼び込むことは産業の活発化につながる。

岸田政権に入って活発化している、日本が遅れをとっている半導体や、今後に伸びるであろう生成AI等について先進国各国と連携をとる動きは、私はこれを歓迎する。

さらに、これらの動きは「他国が日本の防衛に積極的に参加する理由」を増やそうとしているとも解釈でき、また実質としてそのような働きをし得る動きである。

本当に抜け目がない。

また、この対日投資については日米首脳共同声明においても触れられており、期待度の高さが窺える。

日米両国は、マイクロソフト社の日本における AI、クラウドインフラ、人材育成及び研究所への 29 億ドルの投資並びにトヨタ自動車の最近のバッテリー生産向けの 80 億ドルの追加投資を含むノースカロライナ州における累計 139 億ドルの投資等、相互投資を通じた強固な経済・商業関係を歓迎する。

日米首脳共同声明
「未来のためのグローバル・パートナー」
2024 年4月 10 日(仮訳)|外務省
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100652148.pdf)より引用

岸田政権は先進・重要産業への投資を重要視しており、今後の日本経済を考えれば、非常に重要な分岐点を迎えているのだと思う。

日本政府の半導体産業への支援が米欧より手厚くなっている。3年間で3.9兆円と、国内総生産(GDP)比で0.71%に相当する。

日本の半導体支援、GDP比で米欧上回る
 3年で3.9兆円|日本経済新聞
(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA08AHH0Y4A400C2000000/)より引用

・中国ブチ切れ

中国外務省は11日、対中抑止の強化を確かめた10日の日米首脳会談に反発した。毛寧副報道局長が記者会見で、日米の台湾問題の対応を巡り「重大な内政干渉だ」と批判した。「強い不満と断固反対」を表明した。

中国、日米首脳会談「強い不満」
 台湾問題干渉に反対|日本経済新聞
(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM119XY0R10C24A4000000/)より引用

「キシダは媚中」「キシダは習近平の犬」というのは、日本保守党周辺を中心に未だに根強い主張だが、これが "犬" なら習近平・中国国家主席はあまりに間抜けだろう。

・輪島塗だよ、ジョー

今回の国賓待遇訪米において、岸田首相は「輪島塗」の工芸品をジョー・バイデン大統領に贈った。

この美しい「輪島塗」は石川県の伝統工芸であり、石川県は2024/01の能登半島地震において甚大な被害を受けた被災地である。

当時、私は上記の首相官邸のポストを引用してご紹介したのだが、「認知の歪み」「被災地をパフォーマンスに利用するな」「被災地を見捨てたくせに」といったニュアンスで非難された。

しかし数日後、彼らにとっては予想だにしなかった、私にとっては予想通りの事態が報じられたのだ。

そして今回のことをきっかけに、国内外から商品への注文が殺到しているといいます。

「予想以上の注文数で、今で2年近くお待ちいただくような状況になっていて、かなりみなさんからの反響が大きかったのかなと思います」
「輪島塗の魅力をたくさんの人に知ってもらって能登に注目してもらったり輪島に注目してもらうことで復興に貢献できたらなと思っています」

輪島塗 ホワイトハウスへ
…バイデン大統領に贈られたコーヒーカップとボールペン
|テレビ金沢NEWS
(https://news.ntv.co.jp/n/ktk/category/society/kt4db342680d1240339a46abd7fb1be80c)より引用

岸田首相が「輪島塗」をバイデン大統領夫妻に贈り、日本国民、そして世界の人々にその美しさを見せつけた結果、注目が殺到し、被災地の産業を潤すことに繋がったというのである。

「ウクライナ訪問(2023/03)」の章において触れた "しゃもじ外交" もそうであるが、岸田外交は隅々まで計算され尽くしている。

キシダガーと呼ぶべき層から叩かれたしゃもじ外交はロシアはじめ各国に外交メッセージを発し、キシダガーと呼ぶべき層から叩かれた輪島塗外交は被災地の復興にブーストをかけた。

"見事" と言うほかない。

バイデン夫妻に贈られた「輪島塗 青ぼかしカップアンドソーサー」の公式サイトはこちら。

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【米議会演説(9年ぶり2例目)】

岸田首相は今回の国賓待遇訪米において、アメリカ議会での演説を行った。

日本の首相が上下両院の合同会議で演説するのは、2015年の安倍首相(当時)から9年ぶり2例目。

これについて安倍晋三元首相を支持する言論人のなかには、「岸田首相の訪米は安倍総理の訪米を上書きして消す行為だ」とする者もいた。

安倍晋三元首相を支持する身として、本当に恥ずかしい限りだ。

岸田首相は議会演説の冒頭、次節全文の太字化した部分において、安倍元首相の訪米、議会演説について触れている。

忘れていた者に思い出させ、知らなかった者に知らせ、"安倍晋三" を、米議会に深く刻み込んだのだ。

そもそも、安倍晋三元首相が暗殺された際、「国葬儀」を決定、実行し、日本の歴史と世界の歴史に "安倍晋三" を刻み込んだのは誰だと心得ているのか。

・全文

 議長、副大統領、連邦議会議員の皆様、御来賓の方々、皆様、

 ありがとうございます。日本の国会では、これほど素敵な拍手を受けることはまずありません。

 そして、ギャラリーにいる妻の裕子を御紹介します。私が裕子と結婚したという一事をもって、私の決断全てが正しいものであると、皆様に信用いただけるのではないでし ょうか。

 民主主義の本丸であるこの議場で、そして米国国民の代表である皆様の前で、こうしてお話しできることを大変光栄に存じます。

 9年前、私の盟友であった故・安倍元総理が、まさにこの壇上で、「希望の同盟へ」 と題した演説を行いました。私は当時、安倍内閣の外務大臣として両国間の絆を目の当 たりにし、深く感銘を受けました。

 幼少期からずっと、私は米国とのつながりを感じてきました。おそらく、小学校の最初の3年間をニューヨークのクイーンズにある公立小学校である PS20 と PS13 で過ごし たからでしょう。日本人は私一人でしたが、同級生達は私を親切に受け入れてくれ、お 陰で新しい文化に溶け込むことができました。

 そうしてニューヨークにやって来た私たち家族は、1963 年の秋から数年間にわたり、 米国人と同じような生活を送りました。父は通商担当官として、職場のマンハッタンまで地下鉄で通っていました。私たちは、メッツやヤンキースを応援し、コニーアイラン ドでホットドッグをほおばり、休日には、ナイアガラの滝や、ここワシントン D.C.まで出かけたものです。

 そして今も思い出すのは、日本の少年にとってはもの珍しく面白かったアニメ「フリントストーン」。

 今でもあの番組を懐かしく感じます。ただ、「ヤバダバドゥー」の意味を日本語訳することはできませんでしたが。

 あれから 60 年の歳月を経て、クイーンズの善良なる皆様にメッセージがあります。 私の家族と私をあれほど温かく迎えてくださって、ありがとうございました。あの時代のことを、私は一時も忘れたことはありません。

 だからこそ、私は本日、米国の長く、親しい友人として、皆様にお話しさせていただきます。

 米国国立公園局が、タイダル・ベイスンの再生プロジェクトを実施中と承知しています。日本は友情の証として、米国の建国 250 周年に先立ち、タイダル・ベイスンに植えられる予定の桜 250 本を贈呈させていただきます。

 当時のことを憶えている方もいらっしゃるかもしれませんが、1964 年の世界博覧会は、 クイーンズで開催されました。シンボルは巨大な球体のモニュメントで、テーマは「相互理解を通じた平和」でした。

 しかし、今の私たちは、平和には「理解」以上のものが必要だということを知っています。「覚悟」が必要なのです。

 米国は、経済力、外交力、軍事力、技術力を通じて、戦後の国際秩序を形づくりました。自由と民主主義を擁護し、日本を含む各国の安定と繁栄を促しました。

 そして必要なときには、より良い世界へのコミットメントを果たすために、尊い犠牲も払ってきました。

 およそ人類は、権威主義的な国家に抑圧されるような、つまり、追跡され、監視され、 自己の内心の表現を否定されるような生き方はしたくない - 米国の政策はそのような 前提に基づいていました。

 米国は、自由こそが人類にとっての酸素のようなものだと信じていました。

 この世界は、米国が引き続き、国際問題においてそのような中心的な役割を果たし続けることを必要としています。

 しかし、私は今日、一部の米国国民の心の内で、世界における自国のあるべき役割について、自己疑念を持たれていることを感じています。

 この自己疑念は、世界が歴史の転換点を迎えるのと時を同じくして生じているようです。ポスト冷戦期は既に過ぎ去り、私たちは今、人類史の次の時代を決定づける分かれ目にいます。

 米国が何世代にもわたり築いてきた国際秩序は今、新たな挑戦に直面しています。そしてそれは、私たちとは全く異なる価値観や原則を持つ主体からの挑戦です。

 自由と民主主義は現在、世界中で脅威にさらされています。

 気候変動は、自然災害、貧困、そして地球規模での避難民を引き起こしています。新型コロナウイルスのパンデミックでは、全人類が苦しみました。

 AI 技術の急速な進歩により、AI の本質をめぐり、その将来性と危険性との狭間で、 攻防が繰り広げられています。

 経済力のバランスは変化しています。グローバル・サウスは、課題と機会の双方に対処する上で一層重要な役割を果たし、より大きな発言力を求めています。

 日本の近隣諸国に目を向けると、現在の中国の対外的な姿勢や軍事動向は、日本の平和と安全だけでなく、国際社会全体の平和と安定にとっても、これまでにない最大の戦略的な挑戦をもたらしています。

 中国からのこのような挑戦が続く中で、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序や、 平和を守るというコミットメントは、引き続き決定的な課題であり続けます。

 広島出身の私は、自身の政治キャリアを「核兵器のない世界」の実現という目標に捧げてきました。NPT 体制の再活性化と、国際的機運の向上に長年取り組んでまいりました。しかし、東アジアでは、核兵器拡散の差し迫った危険が存在します。北朝鮮による 核・ミサイル計画は、直接的な脅威です。北朝鮮による拉致問題は、引き続き重大な問題です。

 北朝鮮による挑発は、地域を越えたインパクトをもたらしています。北朝鮮は、ウクライナに対する侵略戦争を支援するための弾道ミサイルをロシアに輸出し、その結果、 ウクライナの人々の苦しみを大きく増大させています。

 ロシアのウクライナに対するいわれのない、不当で残酷な侵略戦争は3年目を迎えました。私がよく申し上げているとおり、今日のウクライナは明日の東アジアかもしれません。さらに、ロシアは核による威嚇を継続しており、核兵器の惨禍が実際に再び繰り返されるのではないかと世界が懸念しています。このような現実の中で、日米同盟の抑止力の信頼性と強靱性を維持するために、日米間の緊密な連携がこれまで以上に求めら れています。

 新しい形の抑圧が、世界で見られるようになっています。デジタル技術を通じた自由の抑圧も行われています。ソーシャルメディアは検閲され、監視され、そしてコントロールされています。

 経済的威圧や、いわゆる「債務の罠」外交と呼ばれる、国家の経済的依存を悪用し、 武器化する事例が増加しています。

 このように急速に変化する困難に直面し、私たちは、私たちが共有する価値をいかに守り続けるのでしょうか。

 ほぼ独力で国際秩序を維持してきた米国。そこで孤独感や疲弊を感じている米国の国民の皆様に、私は語りかけたいのです。

 そのような希望を一人双肩に背負うことがいかなる重荷であるのか、私は理解しています。

 世界は米国のリーダーシップを当てにしていますが、米国は、助けもなく、たった一人で、国際秩序を守ることを強いられる理由はありません。

 もちろん、米国のリーダーシップは必要不可欠です。

 もしも米国の支援が無かったら、モスクワからの猛襲を受けたウクライナの希望は、 どれほど前についえ去ってしまっていたことでしょう。

 もしも米国の存在が無かったら、インド太平洋地域はどれほど前に、より厳しい現実にさいなまれていたことでしょう。

 皆様、米国の最も親しい友人、トモダチとして、日本国民は、自由の存続を確かなものにするために米国と共にあります。それは、日米両国の国民にとどまらず、全ての人々のためにであります。

 私は、これを米国への強い愛着から述べているのではありません。私は理想主義者であると同時に、現実主義者です。自由、民主主義、法の支配を守る。これは、日本の国益です。

 日本国民は、これらの価値に完全にコミットしています。人権が抑圧された社会、政治的な自己決定権が否定された社会、デジタル技術で毎日が監視下にある社会を、私は我々の子供たちに残したくありません。

 皆様も同じく感じておられますよね。これらの価値を守ることは、日米両国、そして世界中の未来世代のための大義であり、利益でもあるのです。

 今この瞬間も、任務を遂行する自衛隊と米軍の隊員たちは、侵略を抑止し、平和を確かなものとするため、足並みをそろえて努力してくれています。

 私は隊員たちを賞賛し、感謝し、そして、隊員たちが両国から感謝されていることが、 私たちの総意であると知っています。

 「自由と民主主義」という名の宇宙船で、日本は米国の仲間の船員であることを誇りに思います。

 共にデッキに立ち、任務に従事し、そして、なすべきことをする、その準備はできています。

 世界中の民主主義国は、総力を挙げて取り組まなければなりません。

 皆様、日本は既に、米国と肩を組んで共に立ち上がっています。

 米国は独りではありません。

 日本は米国と共にあります。

 日本は長い年月をかけて変わってきました。第二次世界大戦の荒廃から立ち直った控えめな同盟国から、外の世界に目を向け、強く、コミットした同盟国へと自らを変革し てきました。

 日本は国家安全保障戦略を改定しました。インド太平洋地域の将来の安定に関する不確実性が、私たちの政策、さらには考え方自体を変える契機となったのです。私自身、 日米同盟を一層強固なものにするために、先頭に立って取り組んできました。

 2022 年、日本は、2027 年度までに防衛予算を GDP の2%に達するよう相当な増額を 行い、反撃能力を保有し、サイバーセキュリティーを向上させることを発表しました。 今日、日米同盟の抑止力は、かつてなく強力であり、それは米国の日本への拡大抑止に よって強化されています。

 日本は、ロシアによるウクライナ侵略を受け、強力な対露制裁を実施しています。ウ クライナに対し、対無人航空機検知システムを含む 120 億ドル以上の援助を表明してき ました。このシステムの供与は、NATO による支援策の一環であり……そう、日本は、地球の裏側にある NATO とも協力しているのです。

 さらに、2月、荒廃したウクライナがこの苦難の時を乗り越えることを支えるべく、 私はウクライナの経済成長と復興のための会議を主催しました。日本はこれからもウク ライナと共にあります。

 地政学的な状況が変化し、自信を深めるにつれ、日本は米国の最も近い同盟国という枠を超えて、視野を広げてきました。日本はかつて米国の地域パートナーでしたが、今 やグローバルなパートナーとなったのです。日米関係がこれほど緊密で、ビジョンとア プローチがこれほど一致したことはかつてありません。

 今日、両国のパートナーシップは二国間にとどまりません。例えば、米国、日本、韓 国、豪州、インド、フィリピンによる三か国間や四か国間の協力、さらには G7 を通じた協力や、ASEAN との協力が挙げられます。日米韓の首脳は、三か国のパートナーシッ プの新時代の幕を開くため、昨夏、キャンプ・デービッドに集いました。

 このような様々な取組から、多層的な地域枠組みが生まれ、日米同盟はその力を増強 させる役割を果たしています。そして、同志国と共に、「自由で開かれたインド太平洋」 の実現を目指しています。

 こうした努力に対し、ここ米国連邦議会では、超党派の強力な支持がいただけるのではないでしょうか。

 日本は米国のリーダーシップを信じています。そして、米国の経済を信じています。

 日本は世界最大の対米直接投資国です。日本企業は、約 8,000 億ドルを投資し、米国内で約 100 万人の雇用を創出しています。これらは良質な雇用であり、製造業だけで 50 万人の雇用を生んでいます。

 日本国内では、私は日本経済を牽引するために「新しい資本主義」という取組を推進しています。現下の課題や取組を成長の力へと変化させるために官民が連携しています。 賃上げ、設備投資、株価。全てが 30 年ぶりの高い水準に達しました。日本経済は現在、 いまだかつてない大きな変化を力にして、前進しています。成長志向の日本経済は、米 6 国への更なる投資にもまた拍車をかけることでしょう。そして、日米両国は今後、世界経済を後押しし、力強い成長軌道へと導くことでしょう。

 つい昨日、バイデン大統領と私は、AI、量子、半導体、バイオテクノロジー、クリー ン・エネルギーといった次世代の新興技術の発展において、日米両国が世界をリードすることへのコミットメントを示したところです。

 そしてまた、両国間の協力分野は宇宙にも広がっています。これは、明るく希望に満ちた明日への道を照らしています。1969 年のアポロ 11 号による月面着陸のテレビ中継は、今でも私の記憶に焼き付いています。1月に、日本の月探査機は、史上初の月面へ のピンポイント着陸を達成しました。昨日、バイデン大統領と私は、アルテミス計画の 将来ミッションにおいて、日本人宇宙飛行士が米国人以外として初めて月面に着陸することとなると発表しました。

本日は、2名の宇宙飛行士に来ていただいています。星出さん、タニさん、御起立いただけますでしょうか。

 星出彰彦氏は、これまでに3回、宇宙に飛び立たれてきました。また、2021 年には国 際宇宙ステーションの船長を5か月間務められました。

 隣にいらっしゃるのはダニエル・タニ氏です。タニ氏は、船外活動を6回経験した日 系米国人の元宇宙飛行士で、2回のミッションでは、なんと 5,000 万マイル以上のフライトを達成しました。

 ものすごい大量のマイレージ・ポイントになりますね。

 星出氏とタニ氏は、宇宙における日米協力の象徴的存在です。両国は今後も、このような協力をもっともっと将来にわたって築いていきます。 お二人ともありがとうございました。

 最後に、一言述べて締めくくらせていただきます。日本が米国の最も近い同盟国とし ての役割をどれほど真剣に受け止めているか。このことを、皆様に知っていただきたいと思います。

 私たちは共に大きな責任を担っています。日米両国は、平和にとって、自由にとって、 そして繁栄にとって、必要不可欠な存在です。そう私は信じます。

 信念という絆で結ばれ、私は、日本の堅固な同盟と不朽の友好をここに誓います。

 「未来のためのグローバル・パートナー」。今日、私たち日本は、米国のグローバル・パートナーであり、この先もそうであり続けます。

 本日の御招待、皆様のおもてなし、そして米国が世界で果たしている役割に感謝します。

米国連邦議会上下両院合同会議における岸田総理大臣の演説
「未来に向けて ~我々のグローバル・パートナーシップ~」
(令和6年4月 11 日)|外務省
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100652739.pdf)より引用

・意訳

民主主義の本丸であるこの場所で、共に世界をリードする仲間であるみんなの前で話せること、本当に嬉しいよ。

9年前、ボクの盟友だったシンゾー・アベが、まさにこの壇上で、「希望の同盟へ」 と題して演説したんだよね。

ボクはその安倍内閣の外務大臣を務め、みんなが信じた安倍政治を発展させてる(だからボクと日本を信じてくれ)。

ボクは小学校低学年を、アメリカで、みんなと同じように過ごし、同じアニメを楽しみ、アメリカとの繋がりを感じて人生を過ごしてきたんだ。

みんなと時を同じくした時代のことを、ボクは一時も忘れたことがない。

今日は、アメリカの長く、親しい友人として、みんなに話がしたい。

そうそう、日米友好の証として大切にされてきた桜が植え替えを迎えるんだってね。アメリカ建国250周年を祝い、日本から250本の桜をプレゼントするよ。これからもよろしくね。

さて。ボクたちは、平和には「覚悟」が必要だと知っているはずだよね。

アメリカは、総力を挙げて、戦後の国際秩序を形づくり、自由と民主主義を擁護し、 ボクら日本を含む各国の安定と繁栄を促してくれたよね。

必要なときには、より良い世界のため、尊い犠牲も払ってきた。

そんなみんなの努力を、ボクは知っているし感謝している。

およそ人類は、権威主義的な国家に抑圧されるような、つまり、追跡され、監視され、 自己の内心の表現を否定されるような生き方はしたくない - 米国の政策はそのような前提に基づいていた。ボクは知ってるよ。

そして世界は、アメリカが引き続き、国際問題においてそのような中心的な役割を果たし続けることを必要としているんだ。

だけどね、一部の米国国民が、孤立主義への回帰を望んでいると感じるんだよ。

ポスト冷戦期は既に過ぎ去り、ボクたちは今、人類史の次の時代を決定づける分かれ目にいる。 

みんなが何世代にもわたり築いてきた国際秩序は今、 世界中で脅威にさらされている。

AI 技術の急速な進歩により、その将来性と危険性との狭間で、 攻防が繰り広げられている。

経済力のバランスは変化し、かつての小国は、より大きな発言力を求めている。

さらに、日本の周辺では、中国が国際社会全体の平和と安定を破壊しようと目論んでいるんだ。

中国の暴挙が続く中で、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序や、 平和へのコミットメントは、重大な課題であり続けるはずだよね。

ボクは唯一の被爆国の、被爆地域である広島出身なんだ。ボクが一方の長を務める日米は、核による恫喝、核の使用を絶対に許さない。

だけど中国や北朝鮮は、核兵器によって国際秩序を乱そうとしている。

我が国の国民を拉致して返還しない犯罪国家・北朝鮮は、侵略戦争を行うロシアに軍事支援を行い、ウクライナ人を殺している。

「今日のウクライナは明日の東アジア」かもしれない、ロシアによって核兵器の惨禍が実際に再び繰り返されるかもしれないと、世界は懸念しているんだよね。

こんな現実の中で、ボクたち日米には、これまで以上に緊密な連携が求められているはずだ。

中国は、デジタル技術を通じて自由を抑圧し、ソーシャルメディアを検閲し、監視し、中国共産党によってコントロ ールされている。

中国は各国を経済的に威圧し、まるで闇金のような「債務の罠」外交を行い、新たな形による侵略を行っている。

このように急速に変化する困難に直面するなか、ほぼ独力で国際秩序を維持し、孤独感や疲弊を感じているアメリカのみんなに、ボクは寄り添いたいんだ。

(口説きモード突入)

希望を一人で背負うことがどれほどの重荷か、ボクは理解しているよ。

世界は君を当てにするけど、君は、助けもなく、たった一人で負担を背負う必要はないんだ。

安心してほしい。君が頑張っている姿を、ボクはずっと見ている。

もし君がいなかったら、ウクライナ君はどうなっていたか。

もし君がいなかったら、ボクたちのグループはどうなっていたか。

安心してほしい。ボクは君のそばにいるよ。君の努力は、多くの人を救ってきたんだ。

(ここからケツを叩くDVモード突入)

ボクは、これをアメリカへの強い愛着から言ってるんじゃないんだ。

ボクは理想主義者で あると同時に、現実主義者なんだよ。

自由、民主主義、法の支配を守る。これは、日本の国益であり、ボクは日本の未来を背負って、日本の代表者としてここにいるんだ(その重みはわかるよな?)。

日本国民は、中国が目指すような、人権が抑圧された社会、政治的な自己決定権が否定された社会、デジタル技術で毎日が監視下にある社会を、子供たちに残したくない。

みんなも同じだよね?中国から秩序を守ることは、日米両国、そして世界中の子どもたちのための大義であり、利益でもあるんだ。

今この瞬間も、自衛隊と米軍の隊員たちは、侵略を抑止し、平和のため、協力して努力してくれている。 

日本国民は、アメリカのみんな、そして米軍のみんなに感謝しているよ。

ねぇみんな!日本は既に、米国と肩を組んで共に立ち上がっているということを伝えたい!

アメリカは独りじゃないんだ。

日本はみんなと共にあるんだ。

まさかみんな、ここで怖気づくような真似をするはずがないよね?

ボクら日本は第二次世界大戦の荒廃から立ち直り、防衛予算を倍増し、反撃能力を保有し、サイバーセキュリティーを向上させ、強力な対露制裁を実施し、ウクライナに対無人航空機検知システムを含む 120 億ドル以上の援助を行い、地球の裏側にある NATO とも協力し、ウクライナの経済成長と復興をも背負っている。

今日、両国のパートナーシップは二国間にとどまらない。例えば、米国、日本、韓国、豪州、インド、フィリピンによる三ヶ国間や四ヶ国間の協力、さらには G7 を通じた協力、ASEAN との協力が挙げられる。

ボクたちの日米同盟は、これらの力を増強させる役割を果たしているよね。そして、同志国と共に、「自由で開かれたインド太平洋」 の実現を目指している。

こうした努力に対し、みんなは、超党派で、アメリカ国民の代表として、強力に支持してくれるはずだよね?(圧)

日本はアメリカのリーダーシップを信じているんだ。そして、アメリカの経済を信じているんだ。

日本は世界最大の対米直接投資国だよ(それを一方的に搾取なんてしないよねぇ?)。

日本企業は、約 8,000 億ドルを投資し、米国 内で約 100 万人の雇用を創出している。これらは良質な雇用であり、製造業だけで 50 万人の雇用を生んでいるんだ。

日本国内では、ボクは日本経済を牽引するために「新しい資本主義」を掲げ、成長のために官民が連携している。

その結果、賃上げ、設備投資、株価。全てが 30 年ぶりの高い水準に達したんだ。

日本経済は現在、 いまだかつてない大きな変化を力にして、前進している。成長志向の日本経済は、アメリカへの更なる投資にもまた拍車をかけるだろうね(その恩恵を無視しないよな?)。

そして、日米両国は今後、世界経済を後押しし、力強い成長軌道へと導くことだろう(俺たちは隷属関係ではなく"仲間"なんだ)。

つい昨日、バイデン大統領とボクは、AI、量子、半導体、バイオテクノロジー、クリーン・エネルギーといった次世代の新興技術の発展において、日米両国が世界をリードすることへのコミットメントを示したところだ。

そして、両国間の協力分野は宇宙にも広がっている。

1969 年のアポロ 11 号、月面着陸は、今でもボクの記憶に焼き付いているよ(アメリカを褒める)。

1月に、日本の月探査機は、史上初の月面へのピンポイント着陸を達成しました(日本の技術もアピール)。

昨日、バイデン大統領とボクは、アルテミス計画の将来ミッションにおいて、日本人宇宙飛行士がアメリカ人以外として初めて月面に着陸する こととなると発表したよ☆

(ここで日本人宇宙飛行士を紹介)

宇宙における日米のパートナーシップが、もっともっと将来にわたって続いていくことを期待しているよ。

最後にひとこと。

日本が米国の最も近い同盟国としての役割をどれほど真剣に受け止めているか、これをみんなに認識してほしい。

ボクたちは共に大きな責任を担っている。

日米両国は、平和にとって、自由にとって、 そして繁栄にとって、必要不可欠な存在なんだ(アメリカに世界秩序の責任を押し付けることなく、俺たち日本は共に世界を背負い、共に歩む覚悟がある)。

信念という絆で結ばれ、日本の堅固な同盟と不朽の友好をここに誓う。

「未来のためのグローバル・パートナー」。今日、ボクら日本は、アメリカのグローバル・パートナーであり、この先もそうであり続ける(日本はここまでしてるんだ、誇りあるアメリカがこれを裏切るなんてしないよな?)。

本日の御招待、みんなのおもてなし、そしてアメリカのみんなが世界で果たしている役割に感謝して終わるよ、ありがとう。

・【総評】先の大戦「反省」触れず
(戦後レジームからの脱却)

私は今回の岸田首相の演説を受けて、「この漢が今、我が国の総理大臣として国を背負っているのか…!」と、もはや感動を覚えた。

まず第一に、岸田首相は今回の米議会演説において、「先の戦争の反省」について一切の言及をしなかった。

これは事前に報道されていた通りだ。

 岸田文雄首相は米議会の上下両院合同会議で11日に行う演説で、先の大戦に関する「反省」に言及しない方針を固めた。

(中略)

 外務省幹部は過去の歴史への「反省」に関し、「一区切りが付いている。今回の演説で触れることはない」と明言した。

岸田首相、先の大戦「反省」触れず
 米議会演説、日米貢献訴え|JIJI.COM
(https://www.jiji.com/jc/article?k=2024040300943&g=pol#goog_rewarded)より引用

これと対比し、安倍首相(当時)は2015年の米議会演説において、以下のように触れている。

戦後の日本は、先の大戦に対する痛切な反省を胸に、歩みを刻みました。自らの行いが、アジア諸国民に苦しみを与えた事実から目をそむけてはならない。これらの点についての思いは、歴代総理と全く変わるものではありません。

米国連邦議会上下両院合同会議における安倍総理大臣演説
「希望の同盟へ」
(2015年4月29日(米国東部時間))|外務省
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/na/na1/us/page4_001149.html)より引用

私は安倍晋三支持者であり、日本首相として初めて上下両院合同会議演説を行い、"希望の同盟" と題して感動を呼び、日米の関係を世界に位置付けた安倍首相(当時)の演説を否定するつもりはない。

ただ、「安倍首相(当時)が触れた『先の大戦に対する反省』について、岸田首相は触れなかった」というのは事実であり、2015年から9年間、安倍政権、菅政権、岸田政権と移り行くなかで、"戦後レジームからの脱却" が進んでいることが窺える。

我が国は戦後の荒廃から復興し、為すべき謝罪と賠償を済ませ、今では経済・防衛ともに世界の一員として重要な地位を務めるようになった。

ナチス・ドイツを生み出したドイツや同じ枢軸国であったイタリアが今や国際社会の一員として活躍する現在、日本だけがいつまでも卑屈な姿勢を貫き、中国やその他反日的国家から謂れもない外圧を受け続ける必要などない。

日本に求められてるのは卑屈な姿勢ではなく、国際社会の一員として、誇りと責任をもって活躍する姿である。

それを、岸田首相は内外に示したのだ。

そしてその宣言は、大東亜戦争を戦う敵国であったアメリカの議会において、なんら責められることなく、反対に称賛を受ける結果となった。

そのうえで、岸田首相の米議会演説の内容を見れば、「アメリカに寄り添って頭を撫でながら、アメリカを鼓舞してケツを蹴り飛ばす」ものになっているように感じるのだ。

現在、アメリカでは「他国の争いに干渉せず、自国のことだけに集中しよう」という孤立主義、モンロー主義への回帰を主張する勢力が一定の力を持ち、ドナルド・トランプ前大統領が再選をすれば、国策としてその傾向が反映される恐れがある。

そうなれば日本をはじめとする西側諸国は「アメリカの力をにした安全保障」から一気に方向転換を迫られることになり、岸田政権は既にその方向で安全保障政策を転換しているが、台湾有事の危機が目前の今、このタイミングでのアメリカの離脱を受け入れることはできない。

岸田首相はその孤立主義への回帰について、その主張を否定するわけではなく、根底にあるプレッシャーや痛みについて、「希望を一人双肩に背負うことがいかなる重荷であるのか、私は理解しています」と寄り添って見せた。

そのうえで、「米国のリーダーシップは必要不可欠」としてアメリカの功績を認め、「自由、民主主義、法の支配を守る。これは、日本の国益です」として、日本は国家意思として主体的に共に闘うことを示した。

「今この瞬間も、任務を遂行する自衛隊と米軍の隊員たちは、侵略を抑止し、平和を確かなものとするため、足並みをそろえて努力してくれています」と直接的に米軍を労い、かつ自衛隊を対等に並べた。

そして岸田政権が進めた具体的に安全保障改革を挙げ、「日本は既に、米国と肩を組んで共に立ち上がっています。 米国は独りではありません。 日本は米国と共にあります」と、直接的に「日本はアメリカの仲間であり、パートナーである」と示して見せた。

日米が「宗主国アメリカと属国日本」から『対等かつ強固なパートナー』へと変化したことを、アメリカの議会において、これ以上ないほどはっきりと示して見せたのだ。

そのうえ、岸田首相は中国を名指しで痛烈批判し、その横暴さと危機の存在を世界へとアピールしてのけた。

【中国を名指し】

「日本の近隣諸国に目を向けると、現在の中国の対外的な姿勢や軍事動向は、日本の平和と安全だけでなく、国際社会全体の平和と安定にとっても、これまでにない最大の戦略的な挑戦をもたらしています」

中国からのこのような挑戦が続く中で、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序や、 平和を守るというコミットメントは、引き続き決定的な課題であり続けます」

【中国を示唆】

「デジタル技術を通じた自由の抑圧も行われています。ソーシャルメディアは検閲され、監視され、そしてコントロールされています」(中国のインターネットはグレートファイアウォールによって中国共産党の管理下におかれている)

「経済的威圧や、いわゆる「債務の罠」外交と呼ばれる、国家の経済的依存を悪用し、 武器化する事例が増加しています」(「債務の罠」は中国の一帯一路構想を指す際に多く用いられる)

「私がよく申し上げているとおり、今日のウクライナは明日の東アジアかもしれません」(「今日のウクライナは明日の東アジア」は中国が目論む台湾侵略戦争=台湾有事を指す標語)

私は岸田首相を高く買っていると思うのだが、その期待を平然と、簡単に超えた成果をあげてくる岸田文雄、ここまで痛快な総理大臣は他にいないと言えるだろう。

・米議員の反応

この演説について、産経新聞は以下のように報じている。

トランプ前大統領が所属する共和党

ステファニー・バイス下院議員
「米市民が聞く必要があるメッセージだ」

フレンチ・ヒル下院議員
「米国のリーダーシップは不可欠だが、米国だけでやる必要はない」とのメッセージは、「米外交が80年もの間望んできたものだ」
「見事な演説で素晴らしかった」
「日米の安全保障、外交、経済における関係は力強い超党派の支持で築かれている」

マイク・ジョンソン下院議長
「安全で安定したインド太平洋地域に向けたビジョンを聞けて光栄だ」

バイデン現大統領が所属する民主党

クリス・クーンズ上院議員
「われわれ(議会)は今、政治的な分断や相違を抱えている」
「非常にタイムリーで力強かった」

シーラ・ジャクソン・リー氏
「これまで聞いた日本の指導者の演説で最も印象的だった」

➢ 岸田首相演説を米超党派が称賛 国際秩序に貢献「待望のメッセージ」、16回立ち上がり拍手|産経新聞

また、演説後数十分にわたって握手とサインを求められ、議場を去ることができなかった様子も報じられている。

・アメポチのキシダ

岸田首相については、「習近平(中国)の犬」のみならず「アメリカのポチ」との声も根強い。

そんなアメポチのキシダが米議会で演説を行ったところ、アメリカの政策に影響を与えてしまった。

20日の討論では共和、民主両党の複数議員が、「米国の指導力は必要不可欠」との岸田文雄首相の米議会演説を引用して予算案への支持を訴えた。「自由世界のために立つ」米国の信任は崩壊寸前で保たれた。

米議会、迷走半年 翻弄されたウクライナ支援と米指導力
岸田首相演説を複数議員が引用|産経新聞
(https://www.sankei.com/article/20240421-7HAXXZEBQNNS3GWEJTQI6FAMY4/)より引用

ウクライナ支援に積極的な民主党のみならず、モンロー主義(孤立主義)寄りな共和党の議員までもが、複数名、岸田首相の米議会演説を引用してウクライナ支援への支持を訴えたというのだ。

「アメリカのポチ」とは。

むしろアメリカのケツを蹴り上げているではないか。

無論、イランのイスラエル攻撃などの要因も大きいため「岸田首相がひとりでアメリカを動かした」とは言わないが、民主・共和党の両党議員が岸田首相の演説を引用して訴えている以上、岸田首相の演説が影響を与えていることは否定しようのない事実と言える。

岸田首相の米議会演説(歴代2例目)は、確実に『歴史の転換点』となった。

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【初】日米比初の首脳会談(2024/04)

2024年4月12日、アメリカの首都ワシントンで行われた日米比首脳会談は、この3ヶ国での初めての首脳会談となった。

まさに歴史的な瞬間である。

 我々、日本、フィリピン及び米国の首脳は、本日、三か国間で初めての首脳会合のために会談した。三つのインド太平洋の海洋民主主義国家として、日比米三か国及び我々が代表している5億人の国民は、歴史的な友好の絆、強固で成長している経済関係、そして自由、民主主義、人権の尊重及び法の支配という共有された基本的価値に対する誇り高く確固たるコミットメントによって互いに結ばれている。我々は今日、対等なパートナー及び信頼できる友人としてワシントンに集い、自由で開かれたインド太平洋と国際法に基づく国際秩序という我々が共有するビジョン、つまり、今後数十年にわたり、 共に発展させていくことを誓うビジョンによって団結している。我々は、協働することによって、我々自身の国々、インド太平洋地域、そして世界の安全と繁栄を促進できると根底から信じている。

日比米首脳による共同ビジョンステートメント(仮訳)|外務省
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100652839.pdf)より引用

フィリピンが日米を頼りに一帯一路構想(中国が中心の枠組み)から離脱すると発表して以降、日米比の結びつきが急激に強化されるようになった。

昨年に岸田首相がフィリピン議会で演説(日本首脳として初)を行った後、多くの方々に囲まれて議会を去ることができなかった姿は記憶に新しい。

そして日本はフィリピンへレーダーを納入しており(我が国初の完成防衛装備品移転 OSA1例目)、日比準同盟への議論を開始、日米比での安全保障協力が強まることとなった。

【大転換】日米比で安全保障協力を強化

我々は、海洋協力を促進するための協調と集団的対応を強化するため、日比米海洋協議の立上げを発表する。

日比米首脳による共同ビジョンステートメント(仮訳)|外務省(https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100652839.pdf)より引用

我々は、先日完了した日本、フィリピン、米国及び豪州間の海上協同活動のような、日米比三か国間及びその他のパートナーとの間の海軍種間の共同訓練・演習を通じ た協力や、フィリピンの国防近代化の優先事項に対する米国及び日本の支援を連携させ ることにより、三か国間の防衛協力を推進することを決意する。我々は、2025年に 日本周辺において海上における訓練を実施することを予定している。

日比米首脳による共同ビジョンステートメント(仮訳)|外務省(https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100652839.pdf)より引用

日米比首脳会談では、中国による南シナ海での横暴や、東シナ海での「一方的な現状変更の試み」について深刻な懸念を共有したうえで、海洋安全保障分野での協力を強化していくことで一致した。

これまで「中国寄り」とされてきたフィリピンだが、中国の一帯一路構想から脱退するのみならず、我が国およびアメリカとの協力を強化する方向へと舵を切ったことになるわけだ。

私はこの動きを歓迎すると共に、フィリピンに働きかけ、機を逃さなかった日米両政府の動きを支持する。

年内にも南シナ海で日米比共同訓練

また、今後一年以内に、日米比三か国の海上保安機関は、相互運用性を向上し、海洋安全及び保安を推進するため、インド太平洋において三か国間海上 合同訓練及びその他の海上活動を実施する予定である。

日比米首脳による共同ビジョンステートメント(仮訳)|外務省(https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100652839.pdf)より引用

日米比の3ヶ国は首脳会談において、年内にも共同訓練を行う方向を示した。

前節においてご紹介した安全保障枠組みの一環として、米比両軍の南シナ海での共同訓練またはパトロール活動に、日本の海上自衛隊も参加する方針だという。

中国が台湾有事を目論み、南シナ海への進出(軍事拠点化)を進めている現状において、共に中国の隣国である日本とフィリピンの連携を強め、そこに日本と同盟関係にある軍事大国・アメリカが噛むことは、明確に抑止力を強化することになり、連携が強化されることは防衛力の強化に繋がる。

また、沿岸警備隊レベルでは、2023年6月に3カ国合同訓練(日本からは海上保安庁が参加)を行っている。

日米比で重要鉱物サプライチェーン強化

日本、フィリピン及び 米国は、重要鉱物資源のための強じんで信頼できるグローバル・サプライチェーンを促進する方法として、三か国全てにおける重要鉱物資源産業を支援する。

日比米首脳による共同ビジョンステートメント(仮訳)|外務省(https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100652839.pdf)より引用

日米比の3ヶ国は、首脳会談での共同声明にニッケルを含む重要鉱物のサプライチェーン(供給網)強化を盛り込んだ。

ニッケルは電気自動車(EV)の電池等に使われる重要な鉱物で、中国が獲得を強化している。

これに対し、世界有数の生産国であるフィリピンと日米が連携することにより、安定供給の確保を目指す形だ。

かっこええなおい(笑)

「日比米首脳による共同ビジョンステートメント」の最後の言葉が以下だ。

本日、日米比三か国の新たな三か国協力の章が始まる。

日比米首脳による共同ビジョンステートメント(仮訳)|外務省(https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100652839.pdf)より引用

かっこええなおい(笑)

中国が公使を呼び出しブチ切れ

中国外務省は12日、日米フィリピン3カ国による11日の首脳会談などを巡る日本の対応が「後ろ向きだ」と抗議した。同省の劉勁松アジア局長が在中国日本大使館の横地晃首席公使を呼び出し「深刻な懸念と強い不満」を伝えた。

中国、日米比首脳会談に抗議
 日本の首席公使呼び出し|日本経済新聞
(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM1293Z0S4A410C2000000/)より引用

「キシダは媚中」「キシダは習近平の犬」というのは、日本保守党周辺を中心に未だに根強い主張だが、これが "犬" なら習近平・中国国家主席はあまりに間抜けだろう。

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令和6年能登半島地震(2024/01)

2024年1月1日、元日である。

日本の能登地方を震源とする、マグニチュード7.6・最大震度7の巨大地震が発生。

能登半島の地下16kmにおいて発生したこの地震は、内陸部で発生する地震としては日本でも稀な大きさの地震であったという。

まずは、この地震の犠牲となられた方々のご冥福をお祈り申し上げ、被災された方々の、1日も早い復興をお祈り申し上げる。

このような災害を「岸田政権の実績・功績を解説する記事」に記載することは気が進まないのだが、プロパガンダ戦争かと思うほどのデマ・ミスリードが拡散されていたため、事実の確認として本章を設けさせていただく。

「災害を利用した反政権運動」に対抗するファクトチェックであるため「間違ったことはしていない」と断言するが、ご不快に思われる方がいらっしゃれば、それは申し訳ないと思う。

1月1日の対応

16:06 石川県で震度5強の揺れ
16:06 総務省消防:消防庁災害対策本部を設置
16:06 石川県  :災害対策本部設置
16:08 総務部消防:石川県に対し適切な対応及び被害報告について要請
16:10 石川県で震度7の揺れ
16:10 新潟県  :災害対策本部設置
16:10 富山県  :災害対策本部設置
16:10 総務省消防:消防庁長官を長とする消防庁災害対策本部へ改組
16:11 総理官邸 :官邸対策室設置
16:15 総理官邸 :石川県を震源とする地震に関する総理指示
16:22 山形県  :災害対策本部設置
16:30 防衛省  :第2航空団(千歳)航空機2機による航空偵察
16:45 石川県  :馳知事より自衛隊に災害派遣要請
16:45 防衛省  :馳知事からの陸自第10師団長(守山)要請受諾
17:06 総理官邸 :官房長官記者会見(1)
17:09 石川県  :馳知事が官邸入り
17:16 総理官邸 :岸田総理が官邸入り
17:17 総理官邸 :岸田総理、報道各社インタビュー
17:19 総理官邸 :岸田総理、官房長官や防災担当大臣他と面会
18:25 総理官邸 :岸田総理、官房長官や防災担当大臣他と面会
17:30 総務省消防:消防庁長官、複数の都道府県及び市に対し出動指示
17:32 石川県  :富山県防災ヘリにより、情報収集等の活動を実施
18:00 国土交通省:被害と対応について(第1報)
18:08 総務省消防:消防庁長官、複数の都道府県及び市に対し出動指示
18:30 石川県  :第01回災害対策本部員会議
18:35 総務省消防:京都市消防局ヘリの指揮支援隊、石川県に向かう
18:56 総務省消防:名古屋市消防局ヘリの統括指揮支援隊、石川県に向かう
18:58 防衛省  :防衛大臣臨時記者会見
19:02 総理官邸 :官房長官記者会見(2)
19:03 総務省消防:消防庁長官、複数の都道府県及び市に対し出動指示
19:15 総務省消防:消防庁長官、複数の都道府県及び市に対し出動指示
19:25 総務省消防:大阪市消防局ヘリの指揮支援隊が石川県に向かう
19:30 国土交通省:被害と対応について(第2報)
20:00 新潟県  :第2回災害対策本部会議
20:00 内閣府防災:特定災害対策本部会議第1回
20:30 国土交通省:被害と対応について(第3報)
22:00 内閣府防災:災害救助法の適用について発表
23:00 国土交通省:被害と対応について(第4報)
23:36 総理官邸 :総理会見(1)
23:45 石川県  :第02回災害対策本部員会議
不明  DMAT   :石川県庁にてDMAT派遣要請

【時事】能登半島地震初動対応 情報整理|PULP 🐈‍⬛
(https://note.com/like_pulp/n/nd147135b53ad)より引用

16時10分に震度7の揺れを観測して1分後、岸田政権は官邸対策室を設置(これはオートメーション化されている)。

そして16時15分、対策室設置から4分、揺れの観測からわずか5分で、岸田首相から指示が出された。

その後、16時30分に第2航空団が航空偵察を実施、16時45分に石川県知事からの災害派遣要請を受理。

この際の活動内容は以下の通り。

○ 空自輪島分屯基地へ、避難を要する住民を最大約1,000名を受け入れ。
〇 内閣府調査チーム、各県からの応援部隊(消防・警察)の輪島市内等への航空機による輸送支援。
○ 輪島分屯基地の隊員が、基地付近で倒壊しているビルにおいて、要救助者全員(3名)を救助。
〇 輪島市内の病院から、人工透析を必要とする患者の輸送を実施。

令和6年能登半島地震に係る災害派遣について
令 和 6 年 1 月 2 日|防衛省
(https://www.mod.go.jp/js/pdf/2024/p20240102_01.pdf)より引用

初動対応の速度

岸田政権の能登半島地震対応について「初動が遅い!」との声がSNS等において拡散されたが、上記の事実に基づき、私は「初動対応は爆速だった」と断言する。

私は関西に居住しており南海トラフ地震が想定されるが、いざ発災した際、この速度で時の政権に対応してもらえるのであれば非常に安心できる初動対応だ。

「初動が遅い!」との言説が中途半端に説得力を纏ってしまったのは、おそらく自衛隊の投入数が少ないように見えてしまったからだろう。

特に熊本地震の場合と比較して「熊本地震では初動で1万人体制だったのに今回は1,000人」との論調が多く見られたが、事実としては「①熊本地震では近隣の基地に号令をかけた、②その結果1万人の数字となったが、それは現場に投入された数ではない、③能登半島付近には熊本規模の基地数がない」が答えである。

「号令がかかった周辺基地の総人員数(熊本地震)」と「実際に現場へ投入された人員数(能登半島地震)」とを比較するのは、そもそも比較対象として間違っているのだ。

また、「戦力の逐次投入」も大きく非難されたが、これは災害対応と戦闘を混同して考えている者による言説と言えるだろう。

自衛隊や軍隊において「戦力の逐次投入」は否定的に語られる場合が多いが、それは『各個撃破されるから』であって、災害対応は撃破されるものではない。

そのうえ、今回は能登半島の地理的要因上、陸海空路のほとんどが寸断されており、一度に大量投入を行うことが困難だった。

インフラ断絶の環境においては、投入できる箇所から逐次投入し、同時にインフラの復旧を行うことがベストであり、今回の対応はこれに則っている。

以下、和田政宗参議院議員による防衛大臣会見の解説。

(https://x.com/wadamasamune/status/1743514048497586607)より引用

特定非常災害と激甚災害指定

1月7日に特定非常災害指定、1月8日に激甚災害(本激)指定が行われた。

これについても、「遅い」「棄民」「見捨てた」等の言説がSNSを飛び交っていた。

まず、特定非常災害と激甚災害指定について整理しよう。

「特定非常災害」は「特定非常災害特別措置法」に基づく措置であり、指定されると様々な許認可の有効期間の延長、届け出期限の猶予など主に行政手続きについての特例が設けられる。

「激甚災害」は「激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律」に基づく措置であり、自治体への財政支援や、様々な補助制度での補助率のかさ上げなどの、主に金銭面についての特例が設けられる。

主に「激甚災害」指定について "遅い!" との言説が溢れていたが、これは被害額の概算を算出してからの指定であり、東日本大震災等の大規模災害を除いて時間がかかるものなのだ。

新年会

1月5日、岸田首相が「新年会」へ出席したことがニュースになり、これもSNS等において大きく非難を受けた。

「被災者は苦しんでいるのに、総理大臣がこのタイミングで新年会をやるのか!棄民総理!国賊キシダ!」といった言説がこれでもかと拡散されたが、これはメディアや言論人が誤解を煽った結果と言える。

岸田首相が参加した "新年会" は正確には「新年互礼会」などと呼ばれ、多くの方が想像したような宴会・飲み会ではなく、仕事の一環なのである。

総理大臣の仕事は災害対応のみではないのであって、また経済界のおじいちゃん達に顔を見せ、「御上があないに被災地支援をしとるんや!ワシも男を見せんとのぉ!」を煽ることも被災地復興へと繋がるのだ。

また、岸田首相が新年会の挨拶時につけていた胸のブローチにも非難が殺到したが、あれは主催側の識別記号のようなものであり、「地震が起きたから変更しろ」というのは無茶な話である。

加えて、「地震が起きたから花のブローチなど祝うニュアンスのあるモノは自粛しろ」というのは、新春の経済活性化を阻害し、国力への影響も考えられる話であり、推奨されるべきではない。

予備費40億円

岸田政権が「能登半島地震について予備費から40億円を支出する」と発表した途端、「金額が少なすぎる!棄民総理!国賊キシダ!」といった論調がSNSに蔓延した。

この40億支出は「予備費」であって、「まずは40億出すから、初期対応に使ってくれ」というもの。

その後、岸田政権は令和6年度予算案を修正して閣議決定、国会では政府案の通りに可決された。

ここでは、補正予算を組むよりも柔軟に対応できる予備費として、5,000億円が追加計上されている。

令和6年1月1日に発生した能登半島地震で被災された方々の命を守り、生活・生業の再建をはじめ被災地の復旧・復興に至るまで切れ目なく対応できるよう、令和6年度の一般予備費について5,000億円を増額(一般予備費として計1兆円を計上)。

令和6年度予算政府案
令和6年度予算のポイント|財務省
(https://www.mof.go.jp/policy/budget/budger_workflow/budget/fy2024/seifuan2024/45.pdf)より引用

被災地支援支出

「岸田政権は被災地を見捨てた!」と言われるが、以下の通り、順次、被災地に対して支出を行っている。

・2024/01/09 47億4千万円
・2024/01/26 1553億円
・2023/03/01 1167億円
・2023/04/23 1389億円

2024/04/25現在
合計:4156億4千万円

なぜ見捨てた土地に対して、4ヶ月で4000億もつぎ込むのか。

なぜ予備費?

「なぜ補正予算を組まずに予備費で対応するのか、チビチビ出してケチるな」との主張も多く見られる。

そもそも「予備費」とは、行政(内閣)の裁量で、素早く、柔軟に使うことができる予算であり、国会での審議が必要な上、用途を細かく定め、一度決定すれば変更が不可能である「補正予算」を組む合理的な理由があるだろうか。

安倍政権も新型コロナウイルス対策として10兆円の予備費を計上しており、この際、安倍首相(当時)は以下のように説明している。

参議院厚生労働委員会で、立憲民主党などの会派で社民党の福島党首は、第2次補正予算案に計上された10兆円の予備費について「東日本大震災で8000億円リーマンショックが1兆円だが、10兆円というのはなんなのか。財政民主主義を踏みにじるものではないか」とただしました。

これに対し、安倍総理大臣は「それは違う。新型コロナウイルスについて、今後の長期戦を見据え、状況の変化に応じて臨機応変にかつ時機を逸することなく対応することが必要であり、今後の対応に万全を期すために10兆円を追加した」と述べました。

10兆円予備費の使いみち“緊急要する経費限定”
|NHK政治マガジン(2020/06/04)
(https://www.nhk.or.jp/politics/articles/statement/38889.html)より引用
太字化は國神による。

能登半島地震の被災地に対して、柔軟かつ迅速に支援を行うための、予備費1兆円計上なのである。

予備費は行政の裁量による支出が行われるため、その内容が恣意的になっていないかの検証は必要であり、その可能性を指摘して予備費対応に反対するのは理解できるが、「遅い」や「ケチ」との批判は謎である。

なりわい支援パッケージ

岸田政権は、「なりわい支援」と題して、被災者の生活を守るパッケージを設計した。

(https://x.com/kishida230/status/1753404360019911011)より引用

ポストにおいて挙げられている「輪島塗に代表される伝統的工芸品産業」に大きく関係する箇所のみでも、以下のような支援が用意されている。

・なりわい再建支援事業(施設復旧に補助率3/4等、石川は最大15億円)
・小規模事業者持続化補助金(災害支援枠:補助率2/3等、最大200万円)
・商店街の再生支援(補助率:石川3/4、富山、福井、新潟1/2)
・被災中小企業が入居する集合型仮設施設整備に定額支援
・伝統的工芸品産業の事業継続に費用補助(補助率: 3/4、最大1,000万円)
・被災酒類業者に被災酒類に係る酒税相当額の還付、被災酒蔵等へ技術支援
・コロナ債務返済負担軽減策(ゼロゼロ融資の追加保証料ゼロ等)
・資金繰り支援(別枠3億円、金利0.9%引下げ、無利子貸付等)
・能登半島産品の販路拡充支援(特設ウェブサイト、販促イベント)


「被災者の生活と生業(なりわい)支援のためのパッケージ」の詳細については、以下の画像およびページをご参照。

被災者の生活と生業(なりわい)支援のためのパッケージ
令和6年1月25日 令和6年能登半島地震非常災害対策本部(https://www.bousai.go.jp/pdf/240125_shien.pdf)より引用

「被災者の生活と生業(なりわい)支援のためのパッケージ」令和6年1月25日 令和6年能登半島地震非常災害対策本部

岸田首相の被災地訪問

能登半島地震の発災から約2ヶ月後の2月24日、岸田首相が被災地を訪問。

 総理は、石川県穴水町の避難所で穴水町の吉村光輝(こうき)町長及び社会福祉協議会職員を激励し、続いて、避難所を視察しました。その後、輪島市で白米千米田(しろよねせんまいだ)、応急仮設住宅、輪島港及び輪島市朝市地区の視察を行い、次に、輪島塗事業者の被災状況説明を受けた後、車座対話を行い、最後に本日の視察等について会見を行いました。

令和6年能登半島地震による被災状況視察のための石川県訪問|首相官邸
(https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202402/24sisatsu.html)より引用

これについて、「なぜすぐに行かないんだ」「行くのが遅い」「被災地を見捨てた証拠だ」などの言説も拡散されたが、私は岸田首相の訪問時期を適切であったと見ている。

災害対策基本法において総理大臣は「総責任者」となっており、岸田首相は非常災害対策本部の本部長を務めていた。

ここで岸田首相が行う仕事は「岸田首相にしかできない仕事」であるが、能登半島へ岸田首相が訪問し、この仕事を遅滞させてでも行うべきことが果たして存在するだろうか。

現地の情報は現地の部隊から伝達されるし、インフラ寸断によって救助隊もまともに投入できていない現地にSPを大量に引き連れた総理大臣が訪問し、現地の対応スタッフ等リソースを消費すべきではないだろう。

当時、被災地は自治体からも「救助隊の邪魔になるから来ないでくれ」と発されていた状況で、(れいわ新選組の山本太郎代表はここに松葉杖をついて被災地訪問パフォーマンスを行っていたが)首相はじめ議員・政治家が訪問すべき状態ではなかったのだ。

事実、自民、公明、立民、維新、共産、民民の6党は、1月5日の党首会談において、所属国会議員による被災地視察を当面自粛することを申し合わせている。

※山本太郎のパフォーマンスに関して「アベも東日本大震災の被災地に行っていただろ、ダブスタのネトウヨめ」といった言説もあったが、安倍晋三元首相(民主党政権当時は野党議員)が福島に支援物資を運んだのは2011年3月26日、東北自動車道が一般車両に開通された日である。

混乱する被災地に松葉杖で乗り込んで、現地の貴重な食料を頬張った山本太郎とはわけが違う。ふざけるのも大概にしろ。

日台離間陰謀論

能登半島地震の当時、日本政府はすべての国に対して人的・物的支援を要請していなかった(輸送路の断絶により国内レスキューすら満足に投入できない地理的要因のため)。

在日米軍が支援を行うとの報道もあったが、日本政府としては協議中であり、その事実はなかった(その後、状況の変化によって在日米軍の受け入れ開始)。

これに付随して、以下のニュースが報じられた。

(台北中央社)内政部(内務省)消防署は3日、石川県能登地方を震源とする地震の発生を受けて派遣の準備をしていた捜索救助隊について、同日午後2時に待機を解除したと発表した。災害の範囲が広がっておらず、外交部(外務省)が日本側に連絡をしたところ、支援のニーズがないことを確認したとしている。

能登半島地震/能登半島地震 台湾の救助隊、待機を解除 支援のニーズなしと確認
|フォーカス台湾 中央社 日本語版
(https://japan.focustaiwan.tw/politics/202401030007)より引用

これは、台湾の国営通信社「中央通訊社」が運営する日本語サイト、「フォーカス台湾」において報じられた記事である。

このニュースを受け、日本保守党を名乗る政治団体の百田尚樹代表、所属議員である小坂英二区議をはじめ、右派論壇から『岸田政権が中国に忖度して台湾の救助隊を拒否した』との陰謀論が展開された(本記事冒頭にも記した)。

そしてこれらの陰謀論は、台湾外交部(日本の外務省にあたる)、つまり台湾政府公式の声明によって否定された。

(台北中央社)能登半島地震で、内政部(内務省)消防署が被災地への派遣を準備していた救助隊の待機を解除したとの報道を巡り、インターネット上の一部で「日本が台湾を断った」とする言説が飛び交っている。これに関し、外交部(外務省)の劉永健(りゅうえいけん)報道官は4日、「台湾を断った」との言い方は「台日間の調整の事実とは合致せず、公平性を欠いている」とし、日本政府からは台湾の申し出に対して感謝が表明されたと明らかにした。

劉氏は中央社の取材に対し、日本側からは感謝が示されるとともに、すでに数千人の自衛隊員など大量の人力を緊急投入して救助活動を進めているとの説明があったと紹介。台湾を含む各国から示された救助支援の意向に対しては、被災状況に応じて海外の援助を受け入れるかその可能性を検討すると伝えられたと明かした。

また、台湾は日本政府の災害救助計画を十分理解・尊重しているとし、日本側と密なやりとりを続け、もし今後、日本側からのニーズがあれば台湾は全力で支援を提供すると語った。

能登半島地震/外交部、
日本側が支援「断った」の言説は「台日間の調整の事実と合致しない」/台湾
|フォーカス台湾 中央社 日本語版
(https://japan.focustaiwan.tw/politics/202401040008)より引用

台湾外交部が、日本保守党および右派論壇の陰謀論を含むネット言説を、公式の声明によって否定したのだ。

もちろん、台湾政府の声明は「岸田政権が中国に忖度して台湾の救助隊を拒否した」という右派論壇の陰謀論を狙い撃ちしたものではなく、「それを含むネット言説」を否定したものである。

これは当然のことで、日本政府内に忖度の意思があったか否かなど台湾政府にわかるはずもなく、またそこまで言及するのはさすがに踏み込み過ぎているからだ(統治内言論への言及ではなく、統治機構そのものへの言及になってしまう)。

しかし、『民主主義国家が他国のネット言説を公式に否定する』というのは異例の事態である。

右派論客の支持者は「岸田政権が台湾に気を遣わせた」などと意味不明なことを喚いているが、「おかしなことを言われて日本政府さんも大変やな、私らで否定しておいてあげよう」などということは、常識的にあり得ない

なぜならば、ネット言説は国内の問題であって、国内を管理するのは日本政府の役割だからだ。

「他国のネット言説に口を出す」ということは、『相手国政府の顔メンツを潰す』ということに他ならない。

日本と台湾は友好関係にある。

「友好国政府の顔を潰す」など、常識的に考えれば行われるはずのないことだとわかるはずだ。

しかし、現実として行われた。

なぜか。

台湾総統選が1月13日に控えていたからだ。

(台北中央社)13日に投開票が行われた第16代総統・副総統選で、3期目を迎えることが決まった与党・民進党の幹部は同日、同党公認の総統候補、頼清徳(らいせいとく)副総統と副総統候補、蕭美琴(しょうびきん)前駐米代表(大使に相当)のペアの勝利は、8年間にわたる蔡英文(さいえいぶん)政権への評価の表れだと分析した。

総統選/民進党幹部「8年間の蔡政権への評価の表れ」 頼氏が勝利 総統選/台湾
|フォーカス台湾 中央社 日本語版
(https://japan.focustaiwan.tw/politics/202401140001)より引用

右派論壇が発した「岸田政権が中国に忖度して台湾の救助隊を拒否した」との陰謀論は、以下のような影響を台湾人に与える可能性があった。

蔡英文さいえいぶん政権(現台湾政府)は日本と上手くいっていないのか
 →後継である賴清德候補も同じなのだろう
 →野党に賭けるしかないか

・日本に期待してもダメそうだな
 →中国と仲良くするしかないか
 →現政権よりも対中姿勢が温和な野党に投票しよう

「現政権(民進党)こそが正義で野党(国民党・民衆党)は親中の売国奴」と言うつもりはないが、対中、対米に関しては民進党の方が信頼できる政党である。

台湾 馬英九前総統
「中台関係でいえば、習近平氏を信用しなければならない。習近平氏が台湾統一を推し進めていると考えていない」

 馬英九前総統は10日放送のドイツメディアの単独インタビューでこのように述べました。

台湾・馬英九前総統「習近平氏を信用すべき」
国民党候補が“火消し”|テレ朝NEWS
(https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000332112.html)より引用

馬英九前総統は国民党所属であり、過去、国民党政権において中国との距離が近くなったことも事実である。

対して賴清德氏を候補とする民進党は「現状維持」の立場であり、対中国を考えた際、民進党が最適であるとの考えが主流だ。

右派論壇が発した陰謀論は、このような民進党・賴清德候補を不利に追い込む危険性があったのだ。

だからこそ、台湾政府がブチ切れて公式声明を出した、と見るのがと正しいと言えるだろう。

実際、小坂英二荒川区議(日本保守党)は、台湾人の方に「こういう言い方は台湾近期の総統選挙に対するの干渉と捉えますので、ご注意ください」とまで言われている。

(https://x.com/GandamuSan/status/1742751408326324425?s=20)より引用

この陰謀論には、自民党議員が相当な怒りを表明しており、これは又聞き情報で申し訳ないが、「現役閣僚含む日本の国会議員がマジギレしており、以前から議論されていたディスインフォメーション(虚偽情報)対策の決定打となった」との話もある(後段はファクトチェックにかけていないので悪しからず)。

さらに、台湾政府が準備していた救助隊について、「日本政府が拒否した。中国への忖度だ」とSNS等で拡散されたが、これもまったくの誤情報である。私が昨日午後、政府に確認したところ、拒否した事実はないということが判明しSNSで発信した。

台湾政府もこうした言説は誤りであることを昨晩、公式に表明した。現在、自衛隊等関係機関が全力で救援、支援にあたっており、政府は状況に応じて外国からの援助隊を受け入れることとしており、拒否した事実はまったくない。

台湾救助隊を「日本政府が拒否」はまったくの誤情報
|和田政宗(Hanadaプラス)
(https://hanada-plus.jp/articles/1453?page=2)より引用

台湾総統選は親米・親日である与党・民進党の賴清德らいせいとく氏が勝利する結果に終わり、日台関係がより強固になることが予想される。

これが賴清德候補の敗退に終わっていれば、我々日本国民はいくら台湾に頭を下げても許されるべきでなく、また我が国もシーレーンを失い、餓死者が出るような事態に陥っていたかもしれない。

台湾には感謝するとともに大変申し訳なく、また日本国民としてSNS上のデマ・陰謀論に対する意識の強化が必要不可欠であると感じた出来事である。

東日本は3ヶ月でガレキ撤去したのに!

との言説がSNS上にチラホラ見られるが、デマである。

復興外交

2024/04の国賓待遇訪米において、岸田首相は「輪島塗」の工芸品をジョー・バイデン大統領夫妻に贈った。

この美しい「輪島塗」は石川県の伝統工芸であり、石川県は2024/01の能登半島地震において甚大な被害を受けた被災地である。

当時、私は上記の首相官邸のポストを引用してご紹介したのだが、「認知の歪み」「被災地をパフォーマンスに利用するな」「被災地を見捨てたくせに」といったニュアンスで非難された。

しかし数日後、彼らにとっては予想だにしなかった、私にとっては予想通りの事態が報じられたのだ。

そして今回のことをきっかけに、国内外から商品への注文が殺到しているといいます。

「予想以上の注文数で、今で2年近くお待ちいただくような状況になっていて、かなりみなさんからの反響が大きかったのかなと思います」
「輪島塗の魅力をたくさんの人に知ってもらって能登に注目してもらったり輪島に注目してもらうことで復興に貢献できたらなと思っています」

輪島塗 ホワイトハウスへ
…バイデン大統領に贈られたコーヒーカップとボールペン
|テレビ金沢NEWS
(https://news.ntv.co.jp/n/ktk/category/society/kt4db342680d1240339a46abd7fb1be80c)より引用

岸田首相が「輪島塗」をバイデン大統領夫妻に贈り、日本国民、そして世界の人々にその美しさを見せつけた結果、注目が殺到し、被災地の産業を潤すことに繋がったというのである。

「ウクライナ訪問(2023/03)」の章において触れた "しゃもじ外交" もそうであるが、岸田外交は隅々まで計算され尽くしている。

キシダガーと呼ぶべき層から叩かれたしゃもじ外交はロシアはじめ各国に外交メッセージを発し、キシダガーと呼ぶべき層から叩かれた輪島塗外交は被災地の復興にブーストをかけた。

"見事" と言うほかない。

バイデン夫妻に贈られた「輪島塗 青ぼかしカップアンドソーサー」の公式サイトはこちら。

噓つくのやめてもらっていいっすか?

ひろゆき「岸田首相は外交でカッコいいことしても、輪島塗りという日本の文化が亡くなることに何もしてない人ですよ」

(https://x.com/hirox246/status/1780258673069084869)より引用

まさに、「なんだろう、ウソつくのやめてもらっていいっすか?」案件である。

まず第一に、岸田政権は能登半島地震の被災者に対して、「なりわい支援」を行っている。

第二に、岸田首相は「国賓待遇訪米」という注目度の高い外交の場において輪島塗の美しさを世界に発信し、国家予算とは別に富裕層の金を復興へと流した。

第三に、「予約2年待ち=確実に利益があがる」となれば、銀行等の融資も受けやすくなる。

そのうえ、岸田首相は以下の車座対話において「仮設工房ですが、いち早く仕事を再開いただくために、4月中のオープンを目指します」と明言し、実際に4月1日から入居が開始されている。

能登半島地震で工房が損壊するなどして仕事の継続が難しくなっている輪島塗の職人を支援しようと、石川県輪島市に仮設の工房が完成し、1日から職人たちの入居が始まりました。

輪島市で輪島塗の仮設工房が完成し利用開始|NHK
(https://www3.nhk.or.jp/lnews/kanazawa/20240402/3020019769.html)より引用

岸田支持者だから云々を抜きにしても、ここまで完璧な文化保全があるだろうか。

少なくとも、大谷翔平選手(メジャーリーガー)について適当なことを言って非難を浴び、謝罪へ追い込まれた直後にまた適当なことを言うひろゆき氏とは、比べ物にならないほど文化保全に貢献していることだろう。

能登半島地震初動対応 情報整理|PULP 🐈‍⬛

本記事においても引用した記事だが、1月2日以降の動きや災害対策基本法、DMATディーマットなどについても詳しく解説されているため、ぜひご一読いただきたい。

P.S.デマバスター

能登半島地震の発災後、私を含む岸田支持者のフォロワーが増加した。

あまりにデマ・ミスリードが投稿・拡散されたため、前節のPULP氏を筆頭に、「事実系インフルエンサー」と呼ばれるアカウントに注目が集まったのだ。

(https://x.com/CAO_BOUSAI/status/1742803718553407753)より引用

流言は智者に止まる

愚かな人々は、根も葉もないうわさ話を次から次へと広めていくが、賢明な人は、そういうことに興味を示さないから、風評もそこでとどまってしまうことをいう。

流言は智者に止まる | 会話で使えることわざ辞典
|情報・知識&オピニオン imidas
(https://imidas.jp/proverb/detail/X-02-C-42-8-0002.html)より引用

政府機関がここまで直接的かつ強い言葉を用いるのは、異例の事態と言ってよいのではないだろうか。

私は本章の冒頭において「プロパガンダ戦争かと思うほどのデマ・ミスリードが拡散されていたため、事実の確認として本章を設けさせていただく」としたが、誇張なくそうなのである。

本記事をお読みいただければ岸田首相の存在がどこの国にとって疎ましいものかお分かりいただけるかと思うが、本気で某国統一戦線工作部等の干渉を疑ってしまうレベルでデマ・ミスリードが拡散されていた。

日本政府がカウンター発信(デマに対する正しい情報の発信)を強化するとの情報もあり、"日本版Cofacts" の創設を望む声もある。

今後、SNS上での情報戦激化は必至であり、災害はもちろん、他国や近隣・自国での戦争などについても、デマ・ミスリードには強い警戒が必要となることだろう。

台湾東部地震支援

2024年4月3日、悲しいことに台湾の東部において地震が発生した。

日本でも沖縄に津波警報が発表されるなど、その大きさたるや相当なものと言えるだろう。

台湾は日本の安全保障、シーレーンを考えたとき戦略的に重要な地点であると同時に、かつては同胞であり、戦後も友好関係を築いてきた大切な友好国、大切な友人でもある。

まずは、犠牲になられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災者のみなさまにお見舞いを申し上げ、1日も早い復興をお祈り申し上げる。

他国の "地震" という自然災害への対応を我が国政権の功績として取り上げることには心理的抵抗感が拭えないが、友好国との結束を強めること、また戦略的重要地点への影響を強めることは間違いなく政治の重要な役割だ。

そのため、本地震についての岸田政権の動きをご紹介しよう。

台湾語で声明を発表

日本時間の3日午前8時58分ごろ、台湾東部の花蓮県沖およそ25キロを震源とする、マグニチュード7.2の地震が発生。

これについて岸田首相は、官邸で行われた会議の中で、津波警報が発表された沖縄に加え、台湾についても「政府として情報収集と必要な対応に万全を期してまいります」と述べ、お見舞いとともに「要請に応じた早急な支援」についての言及した。

そのうえで、岸田首相は X(旧Twitter)に繁体字と日本語でメッセージを投稿、台湾を「大切な友人」としてお見舞いを伝えるとともに、「日本としては必要な支援を行う用意があります」とした。

(https://x.com/kishida230/status/1775375488837689742?s=20)より引用
(https://x.com/kishida230/status/1775375493430456669?s=20)より引用

これには台湾の蔡英文さいえいぶん総統や賴清德らいせいとく副総統(次期総統)、外交部公式アカウントなどが反応してくださっている。

(https://x.com/iingwen/status/1775410521409540495?s=20)より引用
(https://x.com/ChingteLai/status/1775412931381105111?s=20)より引用
(https://x.com/MOFA_Taiwan/status/1775405953019703336?s=20)より引用

※「尊敬する岸田首相」としてくださった賴清德氏に対して「多くの日本人は尊敬していません」などと失礼なリプライをした参政党支持者が、日本人アカウントから大ひんしゅくを買っていたことをメモしておく。

(https://x.com/KyogokuTenpuu/status/1775414064208068677?s=20)より引用

以前の平宏治氏のリプライ(下記)もそうだが、日本保守党や参政党周辺の限界右翼は、台湾人をバカにしているように感じる。

古谷圭司氏の訪台をポストしてくださった善意、「尊敬する岸田首相」としてくださった善意を踏みにじり、能登半島地震の際には台湾総統選に干渉しかねない陰謀論を拡散していた。

同じ日本人として恥ずかしい限りである。

参考→
「右派論壇は死んだ。|國神貴哉」(https://note.com/kunigami_takaya/n/n203f5c05d70e)

(https://x.com/KojiHirai6/status/1746453309710553497?s=20)より引用

閑話休題。

この岸田首相のメッセージに関しては、台湾の国営通信社「中央通訊社」が運営する「フォーカス台湾」も取り上げてくださっている。

(台北中央社)蔡英文(さいえいぶん)総統は3日、X(旧ツイッター)で、台湾東部での地震発生を受けて岸田文雄首相が投稿したお見舞いのメッセージに反応し、「台湾にいる私たちの心に温もりを届けてくれました」として日本語で感謝を表明した。台湾を応援するメッセージが日本の人々から書き込まれているのを目にしたとし、「改めて台湾と日本の友好を感じました」とつづった。

台湾東部地震/蔡総統、岸田首相からのお見舞いに反応
「改めて台湾と日本の友好感じた」|フォーカス台湾
(https://japan.focustaiwan.tw/politics/202404030010)より引用

友好国の非常時に相手国の言語を交えてメッセージを発し支援を表明することは、絆を深め関係を強化するうえで非常に重要なことであると言える。

緊急無償資金協力1億5000万円

(台北中央社)日本の外務省は5日、台湾での地震発生を受け、台湾に対して100万米ドル(約1億5000万円)規模の緊急無償資金協力を行うと発表した。外交部(外務省)は同日、報道資料を通じ、日本政府が示した思いやりや支援に「心から感謝する」と表明した。

上川陽子外相は同日の記者会見で、「日本と台湾はこれまでも大切な友人として、コロナ禍も含め、困難に向き合うだびに互いに支え合ってきた」と言及。能登半島地震の際にも台湾から多大な支援が寄せられたとして「心から感謝する」と述べた。

台湾東部地震/日本政府、台湾に緊急無償資金協力
約1億5000万円 外交部「心から感謝」|フォーカス台湾
(https://japan.focustaiwan.tw/politics/202404050004)より引用

岸田政権は台湾に対し、約1億5000万円の無償資金協力を決定した。

同時に上川外務大臣の発言が外務省の X アカウントから発表され、資金協力や発表について、蔡英文総統や賴清德副総統(次期総統)、台湾外交部などが X 上でも反応をしてくださっている。

この資金協力については、「能登半島地震で台湾は25億円を支援してくれたのに、日本は1億5000万円しか支援しないのか!」というポストが X(旧Twitter)上に溢れたが、これは完全なミスリードである。

台湾政府が能登半島地震について支援してくださったのは約6000万円、台湾の「民間」から支援してくださったのは約25億円、日本政府が台湾東部地震に支援を決定したのは1億5000万円、日本の「民間」からの支援はこれから。

災害の規模や必要な復興支援など、条件が異なるので単純な比較はできないが、少なくとも「25億もらったのに1億5000万円だけなのか」という批判にあたらないことは間違いない。

ミスリード的ポストを行っているアカウントには支持政党や自身の政治的肩書を明記したものも少なくなく、『災害を利用し、ミスリードによって政権を攻撃する』というのはあまりに醜悪であるとしか言えない。

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増税メガネ

増税メガネの根拠

岸田首相が「増税メガネ」と呼ばれるにあたり、根拠とされるのは主に以下の5点であろうか。

・インボイス
・保険料
・森林環境税
・扶養控除縮小
・防衛増税

これらについては、簡単に否定できてしまう。

・インボイス

安倍政権時に決定(平成28年度税制改正)。

・保険料

①「増税」ではない
②少子高齢化により政権に関係なく上がる

・森林環境税

安倍政権時に決定。

・扶養控除縮小

児童手当と合わせ実質手取りは増える計算。

・防衛増税

①毎年度4兆円の追加財源の約1/4程度

②法人税は約96%の中小企業が対象外、所得税は復興特別所得税の一部転用であり国民負担は増加せず、たばこ税も1本当たり3円相当が喫煙者に課されるのみ。

③つまり大企業とヤニカス以外に影響はほぼない(筆者はヤニカスゆえ涙が止まらない)

さらに岸田政権は、防衛増税を先送りにして実質的に殺している。

よって、以上の5点をもって「増税メガネ」と言うのは無理があると言えよう。

また、税金とはまったく関係ない事柄を指して "ステルス増税" などと揶揄する者もいるが、それはあまりにこじつけが酷すぎるだろう。

物価上昇

現在、ロシアによるウクライナ侵略戦争の影響から、世界的な物価上昇が発生している。

ヨーロッパでは電気代が3倍になる国が出るほどの事態となっているが、日本は岸田政権が補助金を出すなどしてそこまでには至っていないものの、物価上昇の影響は少なからず受けている。

これは致し方ない側面が強く、誰が総理大臣をやっても支持率が下がるタイミングであろうと思う。

岸田政権はかなりよくやってくれていると思うのだが。

国民負担率

国民負担率は、岸田首相が総理大臣に就任(2021年10月4日)した翌年から見て、48.4%(2022年実績)→46.1%(2023年見込み)→45.1%(2024年見通し)と減少している。(➢財務省

※これまでは基本的に右肩上がり、1年で2%の減少は14年ぶり。

かつ、そもそも2021年時点で日本の国民負担率はOECD36ヶ国中22番目であり、決して高い数値とは言い難いのだ。

国民負担率の国際比較(OECD加盟36ヵ国)|財務省
(https://www.mof.go.jp/policy/budget/topics/futanritsu/sy202402c.pdf)より引用

株価

そして、株価は2024年2月22日にバブル水準まで上昇。

22日の東京株式市場、日経平均株価は、バブル期の1989年12月29日につけた終値としての史上最高値を更新して3万9098円68銭まで上昇しました。

日経平均株価がバブル絶頂期の水準を超えたことで、日本経済がバブル崩壊後、失われた30年と呼ばれた低迷期を本格的に脱することができるかが焦点となります。

日経平均株価 バブル期につけた史上最高値を更新|NHK
(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240222/k10014367121000.html)より引用

賃上げ

2024年の賃上げは連合で33年ぶり、全労連で25年ぶりの高水準。

大手企業を中心に高い水準の賃上げの妥結が相次いだことしの春闘について、労働組合の中央組織の「連合」や労働団体の「全労連」が回答状況を発表しました。賃上げ額は連合では33年ぶりに5%を超えたほか、全労連では25年ぶりの高い水準だということです。

春闘2024 賃上げ額の状況 連合33年ぶり
全労連25年ぶりの水準 日銀の判断は|NHK
(https://www.nhk.or.jp/shutoken/newsup/20240315d.html)より引用

増税という増税をせず、政権下で数十年ぶりの高水準をいくつも記録する岸田首相に「増税メガネ」のレッテルが貼られているのは、物価上昇の影響が大きいのだろう。

その他の税制については以下をご参照。

【時事】岸田政下の税制(PULP)

実質賃金

安倍政権~岸田政権の経済政策について言及すると、必ずと言ってよいほど「実質賃金が下がっているだろ!」との声が挙がる。

実質賃金について、安倍政権時は保守派がアベガーの誤りを正していたわけだが、岸田政権になってからというもの、自称保守層までもがアベガーに同調しているのだから救えない。

実質賃金には、実は2つの種類がある。

「1人あたり実質賃金」と「時間あたり実質賃金」である。

実質賃金算出の元になる名目賃金は、「労働時間が短く賃金が平均よりも低い雇用者数」が増加すると低下してしまう。

働き方が多様化し、パート・アルバイトに出る主婦も増え、その他さまざまな雇用・労働形態の浸透が進む今、「1人あたり実質賃金」は "下がって当然" とも言えるのだ。

実際、アメリカ等では既に「1人あたり」ではなく『時間あたり』の賃金データで測られるのが一般的となっているという。

では、我が国の「時間あたり実質賃金」の推移はどのようになっているのだろうか。

実質賃金に対する誤解
~米国のように時間当たりで見れば、既往ピークを更新~
|株式会社第一生命経済研究所
(https://www.dlri.co.jp/report/macro/202761.html)より引用

2022年までのデータで申し訳ないが、安倍政権以降の我が国では、「時間あたり実質賃金」が右肩上がりとなっている(2020年あたりの下降はコロナ禍の影響を受けたものだろう)。

あまり長々と解説しても仕方ないので、詳細は以下の記事をご参考になさってほしい。

減税メガネ発動(2024/03)

1人当たり4万円の定額減税などを盛り込んだ2024年度税制改正関連法が28日の参院本会議で可決、成立した。6月以降に所得税3万円、個人住民税1万円をそれぞれ減税し、物価高による家計の負担を和らげる。

定額減税、6月に1人4万円
 来年度税制改正法が成立|JIJI.COM
(https://www.jiji.com/jc/article?k=2024032800947&g)より引用

以前から言われていた通り、所得税&住民税の減税が行われることとなった。

今回の減税では、納税者だけでなく、配偶者を含めた扶養家族の分についても減税されるという。

ロシアによるウクライナ侵略戦争を起因として世界中が物価高に苦しむなか、国内の物価上昇をここまで抑え込み、補助金を出し、株価をバブル水準まで上げ、減税までやってのける岸田政権。

増税メガネとは。

自民党広報まとめ

(https://x.com/jimin_koho/status/1778921037683663269?s=46&t=8OBGksEMu57EHr6c6YFJEg)より引用
(https://x.com/jimin_koho/status/1778921538827526268?s=46&t=8OBGksEMu57EHr6c6YFJEg)より引用
(https://x.com/jimin_koho/status/1779283423028486622?s=46&t=8OBGksEMu57EHr6c6YFJEg)より引用
(https://x.com/jimin_koho/status/1779283926931874192?s=46&t=8OBGksEMu57EHr6c6YFJEg)より引用
(https://x.com/jimin_koho/status/1779645815637921918?s=46&t=8OBGksEMu57EHr6c6YFJEg)より引用
(https://x.com/jimin_koho/status/1779646314826920291?s=46&t=8OBGksEMu57EHr6c6YFJEg)より引用
(https://x.com/jimin_koho/status/1780008203150876833?s=46&t=8OBGksEMu57EHr6c6YFJEg)より引用
(https://x.com/jimin_koho/status/1780370594909061453?s=46&t=8OBGksEMu57EHr6c6YFJEg)より引用
(https://x.com/jimin_koho/status/1780371090449236455?s=46&t=8OBGksEMu57EHr6c6YFJEg)より引用
(https://x.com/jimin_koho/status/1780732982094880826?s=46&t=8OBGksEMu57EHr6c6YFJEgより引用
(https://x.com/jimin_koho/status/1780733478327271473?s=46&t=8OBGksEMu57EHr6c6YFJEg)より引用
(https://x.com/jimin_koho/status/1781095362477851007?s=46&t=8OBGksEMu57EHr6c6YFJEg)より引用
(https://x.com/jimin_koho/status/1781095865970823277?s=46&t=8OBGksEMu57EHr6c6YFJEg)より引用

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既得権益の破壊

【日本学術会議】

大前提として、「日本学術会議」がどのような組織であるのかについて確認しておこう。

日本学術会議は、科学が文化国家の基礎であるという確信の下、行政、産業及び国民生活に科学を反映、浸透させることを目的として、昭和24年(1949年)1月、内閣総理大臣の所轄の下、政府から独立して職務を行う「特別の機関」として設立されました。

日本学術会議とは|日本学術会議
(https://www.scj.go.jp/ja/scj/index.html)より引用

日本学術会議とは、「科学が文化国家の基礎であるという確信の下」、「行政、産業及び国民生活に科学を反映、浸透させることを目的として」、「内閣総理大臣の所轄の下」に設立された機関であって、「科学の中立性や自由の確保のため」に設立された機関ではないとわかる。

そして「行政、産業及び国民生活に科学を反映、浸透させる」ために、「内閣総理大臣の所轄の下」に存在する機関であり、年間10億円余りの国家予算を受けて運営される以上、「国益に資する活動を行うこと」は大前提と言える。

そうでないならば、わざわざ総理大臣所轄の下に国家予算を原資とするのではなく、各研究機関の自費によって自由に運営すればいい話であろう。

では、この学術会議は、これまで日本の国益に資する活動を、年間10億円もの国家予算に見合う活動を行ってきたのだろうか。

・軍事的安全保障研究に関する声明

「国家における "科学" の役割」というのは多岐にわたるが、国家機関として科学を扱うのであれば、その最大の使命と言うべきは『国家安全保障への寄与』ではないだろうか。

「軍事・兵器の進歩」は「科学の進歩」と切っても切れない関係にある。

「軍事・兵器」と言うとおどろおどろしく感じてしまう日本国民もいることだろうが、本記事において何度も触れた『抑止力』は兵器によって発揮され、『防衛力』も兵器によって発揮される。

この『抑止力』と『防衛力』は国家が国民を守るにおいて必要不可欠と言えるものであるが、学術会議が我が国の安全保障を妨害してきた証拠として、「軍事的安全保障研究に関する声明」をご紹介しよう。

 日本学術会議が 1949 年に創設され、1950 年に「戦争を目的とする科学の研究は絶対にこれを行わない」旨の声明を、また 1967 年には同じ文言を含む「軍事目的のための科学研究を行わない声明」を発した背景には、科学者コミュニティの戦争協力への反省と、再び 同様の事態が生じることへの懸念があった。近年、再び学術と軍事が接近しつつある中、 われわれは、大学等の研究機関における軍事的安全保障研究、すなわち、軍事的な手段に よる国家の安全保障にかかわる研究が、学問の自由及び学術の健全な発展と緊張関係にあることをここに確認し、上記2つの声明を継承する。

平成 29 年(2017 年)3月 24 日
第 243 回 幹 事 会
軍事的安全保障研究に関する声明
|日本学術会議
(https://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-23-s243.pdf)より引用

これは「2017年」の声明である。

戦後すぐの、軍事アレルギーが全盛であった頃の声明ではない。

各国が科学によって軍事技術を発展させ、我が国の近隣諸国が着々と力をつけていくなか、我が国の、年間10億円もの国家予算を拠出されている科学研究機関は、「軍事目的のための科学研究を行わない声明を踏襲する」と主張していたのだ。

無責任にも、ふざけているにも程があるだろう。

特定のイデオロギーを持つ極左活動家が、「総理大臣所轄組織」の看板を利用し、国家に影響を及ぼそうとしているのが現在の日本学術会議なのだ。

・中国と日本学術会議

日本学術会議の問題は、これだけに留まらない。

学術会議は「軍事目的のための科学研究を行わない」とし、大学等の研究機関に対して「軍事的安全保障研究と見なされる可能性のある研究」について自制を求め(密接関係にある権力体からの自制要求は実質的な禁止と言える)ながら、一方で大学等では『中国の軍事技術開発を担う国防七校』からの留学生を受け入れているのだ。

大学等の各研究機関は、施設・情報・知的財産等の管理責任を有し、国内外に開かれた自由な研究・教育環境を維持する責任を負うことから、軍事的安全保障研究と見なされる可能性のある研究について、その適切性を目的、方法、応用の妥当性の観点から技術的・倫理的に審査する制度を設けるべきである。学協会等において、それぞれの学術分野の性格に応じて、ガイドライン等を設定することも求められる。

軍事的安全保障研究に関する声明(2017年3月24日)|日本学術会議
(https://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/gunjianzen/index.html)より引用
太字化は國神による。

以下は参政党・神谷宗幣議員の質問主意書である。

私は陰謀論や似非科学等を理由に参政党を支持しないが、このような質問で斬り込む姿勢は素直に評価したい。

 このように日本学術会議の声明を受け、内規で防衛装備庁への応募を禁止する大学もある一方で、中国の国防七校からの留学生を受け入れ、我が国の大学で軍民両用技術を研究させて、帰国後に軍事転用が行われていることは、中国の軍事研究に間接的に協力していると言えるのではないか。

 以上を踏まえ、以下質問する。

一 文部科学省は、令和二年度に国防七校から前文で示した我が国の大学に何名の留学生が派遣されたかを把握しているか。把握している場合は、各大学の留学生の人数を回答されたい。

(中略)

三 我が国の大学が国防七校からの留学生を受け入れていることは、日本学術会議が軍事研究は行わないとした声明と矛盾する。日本学術会議が声明を堅持するのであれば、国防七校との提携を破棄することを声明すべきであると考えるが、政府の見解を示されたい。

(後略)

質問第八一号
我が国の防衛技術開発を忌避する日本学術会議が中国の軍事技術開発を担う国防七校と我が国の大学機関との共同研究等の提携を不問にしている矛盾に関する質問主意書
右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。
  令和五年五月二十三日
神谷 宗幣|参議院
(https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/211/syuh/s211081.htm)より引用
太字化は國神による。

そして、以下がこれに対する答弁書である。

一について

 文部科学省が実施した「大学における教育内容等の改革状況調査(令和二年度実績)」によると、御指摘の「前文で示した我が国の大学」に対しては、北京航空航天大学から徳島大学に九人、南京航空航天大学から東北大学に四人、千葉大学に二人及び高知大学に五人、西北工業大学から千葉大学に二人、ハルビン工業大学から新潟大学に一人、名古屋大学に一人及び会津大学に一人、北京理工大学から千葉大学に三人及び東京工業大学に二人並びに南京理工大学から京都情報大学院大学に一人及び福岡工業大学に八人の留学生が派遣されていると承知している。

(中略)

三について

 御指摘の「声明」については、日本学術会議が独立して行う職務の一環として発出されたものであり、お尋ねについてお答えすることは差し控えたい。

(後略)

内閣参質二一一第八一号
  令和五年六月二日
内閣総理大臣 岸田 文雄|参議院
参議院議員神谷宗幣君提出我が国の防衛技術開発を忌避する日本学術会議が中国の軍事技術開発を担う国防七校と我が国の大学機関との共同研究等の提携を不問にしている矛盾に関する質問に対する答弁書
(https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/211/touh/t211081.htm)より引用

つまり、「『中国の軍事技術開発を担う国防七校』からの留学生が日本へ来ている」ことは政府も把握している事実であり(政府もキャッチオール規制やガイダンスによって制限をかけているが、完全に規制するのは困難)、学術会議は「政府から独立して職務を行う特別の機関」との建前のもとに設立されたため、日本の軍事研究を妨害する「声明」に対して政府から口出しはできないというのである。

日本学術会議は、どれほど我が国の安全保障を脅かせば気が済むのだろうか。

・【談話】ロシアによるウクライナ侵略

2022年2月24日にロシアがウクライナへ軍事的侵略を開始、その4日後、日本学術会議が「会長談話」を発表した。

ここでその談話のをご紹介するので、少しが、ご容赦いただきたい。

日本学術会議会長談話
「ロシアによるウクライナへの侵攻について」

 このたびのロシアによるウクライナへの侵攻は、世界の平和と安全を脅か し、国際秩序の根幹を揺るがす行為であり、到底、受け入れられるものではありません。このような事態が、人びとの安寧と、世界と日本における学術の発展及び学術の国際的な連携に及ぼす影響を深く憂慮し、対話と交渉による平和的解決を強く望みます。

令和4年2月 28 日
日本学術会議会長 梶田 隆章

日本学術会議会長談話
「ロシアによるウクライナへの侵攻について」
|日本学術会議
(https://www.scj.go.jp/ja/head/pdf/20220228.pdf)より引用

以上だ。以上ですべてだ。

是非ともリンク先を覗いていただきたいのだが、「隣国が侵略を開始した4日後に、国家予算10億円/年によって運営される機関が発出した会長談話」は、ペライチにたっぷりの余白を残した、わずか5行のポエムだったのである。

➢ 日本学術会議会長談話 「ロシアによるウクライナへの侵攻について」

軍事的安全保障に寄与せず、中国に貴重な技術をくれてやり、戦争が起きればペライチ5行ポエムを「談話」として発出するような機関に、年に10億円もの国家予算が拠出されてきたのである。

こんな馬鹿げた話があるだろうか。

・学術会議時系列

このような日本学術会議は保守派から「日本のガン」などと言われてきたが、菅義偉氏が総理大臣であった2020年10月頃から、この学術会議の改革が開始された。

2020/10 菅首相が学術会議推薦6/105人を任命拒否(制度上初)
  同   菅首相「法に基づいて適切に対応した結果」と回答
  同   野党合同ヒアリング
  同   私大教職員組合が声明「歴史に残る汚点」
  同   学術会議「6人の任命要望書」正式決定
  同   マスコミ労組「社会全体委縮させかねない」
  同   日本社会学会「自由闊達な研究活動を委縮させる」
  同   映画人有志が抗議声明
  同   河野行政改革大臣「学術会議は改革対象」
  同   海外科学誌が批判「学問の自由侵害」
  同   首相宛てインターネット署名(14万人超)
  同   複数弁護士会が抗議声明
  同   首相が学術会議会長と会談
  同   首相「推薦通りの任命必ずでない、法解釈変更はない」
2020/11 首相「既得権益のようになっているのでは」
  同   人文・社会科学系226学協会が任命求める声明
  同   自民・下村 「軍事研究否定なら行政機関から外れるべき」
  同   首相「欠員補充、当方から要請はしない」
  同   内閣府「補充要請しないが再推薦の排除はしない」
  同   科学技術相が学術会議若手会員と意見交換
  同   科学技術相が「国の機関からの切り離し」提案
2020/12 自民PT「2023/09までに政府から独立」提言

2021/01 学術会議「任命拒否候補6人、4月総会までに任命を」
  同   官房長官、学術会議の要求に「手続き終了している」
2021/04 97歳元学術会議会員「任命拒否撤回を」6万2000人署名提出
  同   「任命拒否6人の速やかな任命求める」学術会議が声明
  同   学術会議が改革案を決定(法人化には否定的)
  同   任命拒否された6人が国に理由開示請求
2021/05 学術会議のあり方について政府有識者会議が初会合
2021/12 学術会議会長「岸田首相との対話で解決を図る」
  同   学術会議が会長との早期会談求める首相宛て要望書決議
2022/01 岸田首相が学術会議会長と面談
  同   政府有識者会議が提言「既存の体制前提とせず検討を」
2022/08 政府が法人化見送り
2022/12 政府が推薦の仕組み改革の法改正案提出方針

  同   学術会議が法改正案に反発
  同   学問と表現の自由を守る会が政府方針撤回要望
2023/01 科学系学会などの6団体が政府方針の再考求める声明
2023/02 学術会議の歴代5会長が政府改革案に反対声明
2023/04 内閣府が学術会議に改正法案の概要を説明
  同   学術会議が法案提出思い留まるよう政府に勧告
  同   政府が改正案の今国会提出を見送り
2023/06 政府が有識者懇談会設置へ

2023/08 政府有識者懇が初会合、国からの独立案も
2023/09 学術会議・梶田隆章会長が退任
2023/10 政府が学術会議候補全員を任命
  同   日本学術会議新会長に光石衛・東大名誉教授
2023/12 政府有識者懇が「学術会議法人化」報告書
2024/02 任命拒否過程の文書不開示は違法と166人が国提訴

國神まとめ

・粘り勝ちのキシダ

このように、菅首相(当時)が法に則り任命を拒否したことで学術会議が反発、SCにも反対したマスコミ労組はじめ学術会議側の組織が抗議、その後、「政府からの切り離し」まで話が進んだ。

首相が岸田文雄氏になってから「法人化提案→見送り」を二度くり返し、その間、学術会議は英文で声明を出すまでして抵抗、そして現在、ようやく岸田政権が学術会議の心をへし折った。

日本学術会議の在り方を検討している政府の有識者懇談会は15日、学術会議を現在の「国の特別機関」ではなく国から独立した法人とするため、「組織・制度」および「会員選考」に関する作業部会をそれぞれ立ち上げた。同日には「組織・制度」に関する作業部会が初会合を開き、出席した政府関係者によると、学術会議側は法人化に反対しない姿勢を明言したという。

日本学術会議は法人化に反対せず
「組織・制度」作業部会の初会合で明言と政府関係者|産経新聞
(https://www.sankei.com/article/20240415-PJ7QGVGFIBLHNKNHZE2VBVC3DI/)より引用

岸田政権には、是非ともこのまま押し切っていただきたい。

この闘いは、菅  岸田ラインによる、「年間10億円に見合った働きをしない戦後レジーム既得権益の代表格」との死闘だったと言えるだろう。

安倍政権ですらメスを入れられなかった日本学術会議。

菅首相、岸田首相の死闘に感謝申し上げる。

【基金廃止】

漢・岸田文雄、多くの既得権益者からの恨みを一身に受ける代わりに、5400億円余りの埋蔵金を掘り当てた。

国の基金に基づく事業の見直しをめぐり、政府は、すでに役割を終えたとして15の事業を廃止する方針を固めました。また、合わせて5400億円余りを使う見込みがなくなったとして基金から国庫に返納させるとしています。

行財政改革の一環として、政府は、国の基金に基づく200の事業すべてを対象に、むだがないかなどを点検してきました。

その結果、円高当時、企業の設備投資の支援を目的に設けられたものや、環境対応車の普及を図るものなど、合わせて15の事業について、すでに役割を終えたと判断されるとして、廃止する方針を固めました。

また、各事業のために、これまで計上された基金の総額のうち、およそ5400億円余りを、今後、使う見込みがなくなったとして、国庫に返納させるとしています。

さらに基金自体のあり方について、対象事業の終了時期が設定されず、必要性も十分検討されないまま存続され、行政の透明性や効率性の低下につながった可能性もあるとして、今後は、事業に原則10年の期限を設け、効果を検証する仕組みもつくるとしています。

国の基金 15事業を廃止へ
5400億円余を国庫に返納 政府|NHK
(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240418/k10014425951000.html)より引用

岸田政権は5400億円余りの埋蔵金を国庫に入れるだけに留まらず、今後も10年の期限を設けて効果を検証、行政の透明性や効率性を向上させるという。

これはまさに既得権益の破壊であって、どれほどの恨みが向けられるかはかり知れない。

『漢・岸田文雄』としか言いようがないだろう。

【マイナ保険証】

岸田政権は一切を譲らず、現行の保険証を廃止してマイナンバーカードへの一本化を進める構えである。

 武見敬三厚生労働相は18日の参院厚労委員会で、マイナンバーカードに健康保険証の機能を持たせた「マイナ保険証」の利用率に関係なく、12月に現行の健康保険証を廃止し、マイナ保険証に一本化すると述べた。

(中略)

 武見氏は、廃止後も最長1年間は現行の健康保険証を使える猶予期間があり、マイナ保険証を所有していない人には「資格確認書」が発行されると説明。

利用率に関係なく健康保険証廃止
マイナカード一本化で厚労相|共同通信
(https://nordot.app/1153619324632596721)より引用

マイナ保険証への移行には大きな批判が起きているが、私は早急にマイナ保険証への移行を完了させるべきと考える。

なぜか。

「保険証の不正利用」を駆逐するためである。

保険証は、その性質から言い換えれば、「見せるだけで医療費が7割引、9割引になる紙」となる。

そのような保険証が「写真付きでない」という現行の保険証こそがおかしいのであって、写真の入ったマイナンバーへの移行を進めるべきは明白なのだ。

現状として正確に把握することは困難な「保険証の不正利用」であるが、実際に発生していることは確認されており、社会保障制度が不正の温床でよいはずがない。

「国民の財産」とも言える社会保障費から、不正利用者の医療費の7割~9割が支払われているなど、これほど馬鹿馬鹿しく、腹立たしいことがあるだろうか。

また、現行の保険証の不正利用は医療機関のみならずキャリア契約等においても発生していると言われ、実際、ドコモ、KDDI、ソフトバンクなどは健康保険証の本人確認書類としての取り扱いを終了している。

「健康保険証(健康保険被保険者証)等※」については、これまで携帯電話等の新規ご契約締結時や各種ご注文時における「本人確認書類」の1つとしてお取扱いしておりましたが、ご契約者本人の意図せぬ「不正な契約締結や不正利用等」が増加していることから、本人確認書類としてのお取扱いを2023年5月24日(水曜)以降終了いたします。

「健康保険証(健康保険被保険者証)等※」の本人確認書類としてのお取り扱い終了について
|NTT docomo
(https://www.docomo.ne.jp/info/notice/page/230322_02_m.html?_gl=1*z3q82w*ga4_corporate_ga*MzcwNzgxOTEzLjE3MTI2MTQ2MDc.*ga4_corporate_ga_PGCZ86Z6FM*MTcxMzcwMDQ4MC4xLjEuMTcxMzcwMDUyMC4yMC4wLjA.)より引用

携帯電話などの新規ご契約締結や各種お手続き時における本人確認書類について、健康保険証 (健康保険被保険者証) などの書類を本人確認書類としてお取り扱いしておりましたが、ご契約者本人の意図せぬ不正な契約締結や不正利用などの発生、健康保険証や本人確認書類として利用できるマイナンバーカードの普及状況などを踏まえ、本人確認書類としてのお取り扱いを2023年5月31日 に終了いたします。(2023年5月9日更新)

健康保険証などの書類の本人確認書類としてのお取り扱い終了について|KDDI
(https://www.kddi.com/important-news/20230421/)より引用

ソフトバンク株式会社は、携帯電話などの新規ご契約締結において、健康保険証(健康保険被保険者証)などの書類を本人確認書類としてお取り扱いしていますが、ご契約者本人の意図せぬ不正な契約締結が増加していることや、マイナンバーカードの普及状況などを踏まえ、本人確認書類としてのお取り扱いを、2023年6月13日(火)をもって終了します。

健康保険証などの書類の本人確認書類としての
お取り扱い終了について|SoftBank
(https://www.softbank.jp/mobile/info/personal/news/shop/20230531a/)より引用

このような保険証の不正利用は、本来は医療費の補助や各種サービスを受けられない外国人や反社会的勢力等によって起こされており、これら大手は「健康保険証の取り扱い終了」と強く出ることができるが、社会全体としての不利益は大きいものだ。

これらを一掃するのが「写真付きマイナンバーカードへの移行」であり、導入初期は不具合・不都合も起きるだろうが(これは何を導入するにしても同じこと)、反対する理由はないと言えるだろう。

無論、その過程で起きる・起き得る不具合、不都合を放置してよいわけではないのでその改善を主張するのは当然だが、「マイナ保険証への移行」そのものは、社会全体としての利益を生み出すのである。

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政治資金規正法改正案

2024/04/25

自民党の清和会を震源地として話題になった「政治資金収支報告書の不記載問題」(俗に "裏金問題" と呼ばれていた)を受け、岸田自民は政治資金規正法の改正に乗り出す構えだ。

この中で今回の問題では、パーティー券を現金で販売したことが収支報告書の不記載につながった側面もあるとして、現金での販売を禁止し、代金は口座振り込みとすることで一致しました。

また、外部監査を強化して議員の政治団体の支出だけでなく収入も対象に含めた上で、銀行口座の残高と収支報告書の繰越額が一致しない場合は、説明する文書を作成させる方向も確認しました。

24日の協議では、議員本人に収支報告書の「確認書」の作成を義務づけるなどして、いわゆる「連座制」を導入することでも一致していて、こうした内容を盛り込んだ与党案を大型連休明けにまとめる方針です。

政治資金規正法改正へ
自公実務者協議 外部監査強化などで一致|NHK
(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240425/k10014432701000.html)より引用
(https://x.com/wadamasamune/status/1783288856600805490)より引用

2024/04/25現在、報道と議員の発信により、自公案の内容が報じられている。

最終的な決定はGW明けになるようだが、現段階でわかることを挙げると以下のようになる。

・外国人による政治資金パーティ券購入禁止
・パーティ券代金は口座振込でオンライン化

・外部監査で繰越額不一致の場合は説明文書を作成
・議員本人に確認書作成を義務づけ連座制を導入

この中で私が重要視するのが「外国人による政治資金パーティ券購入禁止」と「パーティ券代金は口座振込でオンライン化」である。

「その他事実整理」の章、「中国人がパー券購入!?」の節、「・私見」の項においても触れているが、主権国家として、民主主義の根幹である「選挙」や、国策、国民の運命を左右する「政治」に関して、外国勢力の関与を防止するため、外国人献金と同様に外国人のパー券購入を法で禁ずべきと私は主張してきた。

そしてそのためには、金の流れをオンライン化し、何かあった際にすべてを追えるようにすることが必要不可欠である。

これがとうとう、自民党から他党へ提起されるというのだ。

今後、これに対して最もらしい理由をつけて反対する政党が現れるかもしれない。

だが、「外国人のパー券購入が生命線となっている」のでなければ、反対する理由はないはずだ。

今後の動きを注視したい。

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皇統

今上現在の天皇陛下は126代にあたり、西暦2024年で2684年(皇紀)となる歴史の間、"万世一系男系継承" により皇位が受け継がれてきたとされている。

皇室は「現存する最古の王朝」(ギネスブックにも認定)であり、日本は皇室を王朝とし、"天皇" を戴く国家なのだ。

「男系継承」とは、「天皇陛下のお父さんの、そのお父さんの、そのお父さんの……」と辿っていくと、必ず初代神武天皇に行きつく、血筋が一本に繋がった皇位継承を指す。

昨今は "男女平等" が叫ばれ、「男系継承の万世一系は女性差別だ」として「女系天皇」を認めようとする向きもある。

しかし、「天皇」の存在は「日本が日本たる根拠」であり、「男系継承」は「『天皇』が『天皇』たる根拠」であることから、『現代人の思い付きで、先人が時に血を流して護ってきた伝統、我が国の歴史そのものを変えてしまう』ことを是とするべきではないだろう。

とはいえ、戦後GHQの占領下で行われた臣籍降下(皇籍離脱)の影響も大きく、男系継承を将来にわたって、安定的に継続することが危ぶまれる状況になっていることも事実だ。

ここについて岸田自民は、「安定的な皇位継承の確保に関する懇談会」を立ち上げ、2024/04にも党としての意見をとりまとめようとしている。

総裁:岸田文雄の主張

岸田文雄首相(自民党総裁)は30日の衆院予算委員会で、党内で総裁直属機関の会議体を新設し安定的な皇位継承策を議論すると表明した。「喫緊の重要な課題で党として議論に貢献することを示す」と説明した。麻生太郎副総裁が会議体のトップに就く見通しだ。

(中略)

26日発売の月刊誌で「私は21年の総裁選で旧宮家の男系男子が皇籍に復帰する案も含め、女系天皇以外の方法を検討すべきだと主張した」と言明した。「約束をほごにすることはない」と強調した。

岸田首相、皇位継承「喫緊の課題」
党に組織新設を表明|日経新聞
(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA306F70Q3A031C2000000/)より引用
太字化は國神による。

安定的な皇位継承の確保に関する懇談会

党則第79条に基づく岸田文雄総裁の直属機関として新設された「安定的な皇位継承の確保に関する懇談会」の初会合が11月10日開かれました。
会長に就任した麻生太郎副総裁は「安定的な皇位継承について岸田総理からあらためて喫緊の重要な課題であり、わが党として議論に貢献するという意向が示された」とした上で、「皇室の在り方はわが国の根幹を成す極めて重要な課題であり、事柄の性質も考えて、限られたメンバーで静謐な環境の中で、議論を深めていきたい」と述べました。

安定的な皇位継承の確保に関する懇談会
有識者報告書について政府から説明聴取|自民党
(https://www.jimin.jp/news/information/207078.html)より引用

会長:麻生太郎の主張

「安定的な皇位継承の確保に関する懇談会」の会長である麻生太郎副総裁の実妹は皇族の寬仁親王妃 信子殿下であり、麻生氏ご自身も女系天皇を「あり得ない」とされている。

また、女系天皇を認めることは「あり得ない」と否定。安定的な皇位継承策として戦後皇籍を離脱した11の旧宮家に触れ「未婚男子を皇籍に復帰させることを考えるべきだ」と唱えた。

改憲へ「総裁4選覚悟を」
麻生氏、旧皇族復帰も提案|産経新聞
(https://www.sankei.com/article/20191209-EN3PH3NOKFOLFEMY45GVTZBVKQ/)より引用

岸田文雄総裁の直属機関として新設された「安定的な皇位継承の確保に関する懇談会」の会長に、「女系天皇を認めることはあり得ないと否定」する麻生太郎副総裁を据えているのだ。

岸田自民の意向がよくわかる。

2024/04現在

安定的な皇位継承のあり方を検討する自民党の懇談会が党本部で会合を開き、冒頭、会長を務める麻生副総裁は「自民党としてもできるだけ早期に具体的な方策を示す必要がある。これまでの意見を踏まえて考え方を整理しさらに議論を進めたい」と述べました。

会合では、出席者から政府の有識者会議が皇族数を確保する方策として示した、女性皇族が結婚後も皇室に残る案と、旧皇族の男系男子を養子に迎える案などについて賛同する意見が出されました。

そして党所属議員からも書面で意見を募ったうえで、今月中にも党としての考えをまとめることになりました。

安定的な皇位継承のあり方 自民
今月中にも考えまとめる|より引用
(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240415/k10014422691000.html)より引用

安定的な皇位継承の確保に関する懇談会は3月18日、政府の有識者会議がまとめた報告書について意見を交わしました。
報告書は現行の皇位継承の流れを「ゆるがせにしてはならない」とした上で、減少する皇族数の確保について(1)内親王・女王が婚姻後も皇室の身分を保持する(2)皇族には認められていない養子縁組を可能とし、皇統に属する男系の男子を皇族とする(3)皇統に属する男系の男子を法律により直接皇族とする―の3案を提示しています。
この日は(1)案について意見が交わされ、終了後、記者団の質問に応じた木原誠二事務局長は「出席者の多くが理解を示したと認識している」と語りました。

「静かな環境の中で議論を深めていく」
党安定的な皇位継承の確保に関する懇談会
2024年3月21日|自民党
(https://www.jimin.jp/news/information/207852.html)より引用

これらを整理すると、自民党および自民党が与党を務める政府の方針としては、以下の4点になるかと思う。

①男系継承を変えてはならない
②内親王・女王が婚姻後も皇籍を維持する
③養子縁組によって男系男子の旧皇族を皇籍復帰
④旧皇族の男系男子を法律により直接皇族とする

これらの意図について、私は以下のように見る。

(女系天皇の誕生を防ぐため歴史的にもほぼ例がなく、また婚姻を禁止する必要がある)女性天皇や女系天皇を主張する勢力に "勝ち取った土産物" を渡して合意させるため、女性皇族の皇籍維持を盛り込むが、男系継承は絶対であるので皇統への浸食は許さず、旧皇族の皇籍復帰によって安定的な男系継承を目指す。

今後のとりまとめ、その後の議論を見守りたい。

続報:和田政宗の本音でGO!

自民党の和田政宗参議院議員が、自身のYouTubeにおいて以下の内容をお話しされた(2024/04/16)。

政府の有識者会議では、将軍家茂に降嫁された和宮親子内親王殿下(皇女和宮)の一例しか挙げられていない。

女性皇族が婚姻後も皇籍を維持する場合でも、夫や子は皇籍を保持せず、(子が皇籍を保持し女系天皇に繋がる)「女性宮家」の創設は既に排除されている。

子が皇籍を保持し女系天皇に繋がる「女性宮家」は、そもそも議論に入っていない状態。

安定的な皇位継承!旧宮家の男系男子の方々の皇籍復帰を必ず実現!
|和田政宗の本音でGO!(YouTube)
(https://youtu.be/zjKgGz2YXDQ?si=y5t85NPbSxScUltB)を要約

安定的な皇位継承議論や入管法の改正、日本版ESTAの創設にも一枚噛み、トルコからの短期ビザ免除停止を主張する和田政宗議員に対して、執拗に叩く自称愛国保守団体が存在するのは非常に不思議である。

和田政宗参議院議員の解説は以下の動画より。

続報:自民が見解とりまとめ(2024/04/19)

 自民党は19日、「安定的な皇位継承の確保に関する懇談会」(会長・麻生太郎副総裁)の会合を開き、政府の有識者会議が令和3年に取りまとめた皇族数を確保するための報告書を尊重する見解をまとめた。文言などを調整した上で、来週中に衆参両院の議長に提出する予定だ。

 自民はこれまでの懇談会で、報告書が示した内親王・女王が婚姻後も皇族の身分を保持できる案、養子縁組による旧皇族の男系男子の復帰案についてそれぞれ「妥当」としている。また、この2案では対策が不十分な場合、残る皇統に属する男系男子を法律によって皇族とする案も検討する方向を示している。

自民が皇位継承の見解まとめる
有識者会議の報告書を尊重、衆参両院議長に提出へ|産経新聞
(https://www.sankei.com/article/20240419-LIWJW7D2IZNNFKBVNFG35TY4GY/)より引用

自民党が見解を取りまとめた。

政府有識者会議の報告書を尊重し、文言等の若干の修正のみで衆参議長に報告するという。

今後はフェーズが国会に移り、議論を経て国会見解が取りまとめられ、政府へと伝えられる。

自民党の取りまとめ見解としては、おそらく「2024/04現在」の節にまとめた通りのものかと思う(確定は自民広報を待つ)ので、そこから押し負けないよう、国会での議論を全力で闘っていただきたい。

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天皇

【初】天皇誕生日レセプションに台湾総統

「天皇誕生日」は本来は『天長節』というのだが、本題ではないので詳細は割愛する(ちなみに建国記念の日は「紀元節」、勤労感謝の日は「新嘗祭」)。

2024年(皇紀2684年)の天長節天皇誕生日に、台湾において蔡英文総統や賴清德副総統(次期総統)が祝辞を述べてくださったのだという。

26日夜、台湾で開かれた天皇誕生日の祝賀レセプションに、蔡英文総統と頼清徳副総統が出席しました。1972年の日本との断交後、現職の総統と副総統が出席したのは初めてで、近年の日台関係の緊密化を反映した形です。

台湾総統ら天皇誕生日の祝賀レセプション出席
断交後 現職で初|NHK
(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240226/k10014371601000.html)より引用
太字化は國神による。

「天長節を祝うレセプションに台湾の総統と次期総裁が出席した」というのは中国にとって非常に都合が悪い話で、これを実行できたのは、「岸田首相がいわゆる "チャイナスクール" と揶揄される外務官僚を抑え込んでいるからだ」と見る向きが強い。

また、これを「天皇の政治利用ではないか」と疑問視される方もいらっしゃるかと思うが、これはまったく逆の話で、「第三国への配慮によって友好地域の方に天長節を祝ってもらえない」という方がおかしいのである。

蔡英文総統と賴清德副総統に心より感謝を申し上げるとともに、"我が国は真っ当な国家になりつつあるのだなぁ" と感動を覚える次第だ。

天皇陛下が国会議員に激怒!?

X(旧Twitter)上において、そのような言説が流れた。

天皇陛下はきょう、皇居で国会議員の代表者から定例の挨拶を受け、「国、社会、人々のために、力を尽くしていかれるよう願っております」と述べられました。

陛下はきょう午後3時ごろ、皇居・宮殿の「春秋の間」で衆参両院の議長ら国会議員あわせて41人と面会されました。

天皇陛下「国、社会、人々のために、力を尽くしていかれるよう」
衆参両院の議長ら国会議員41人と面会|TBS
(https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/1115752?display=1)より引用

このニュースを受けてである。

不敬にも、陛下のお言葉に「裏金議員に "国、社会、人々のために力を尽くせ" と怒っている」、「お前たちは国、社会、人々のために力を尽くしていない、と怒っている」などと、信じられないことを言う者が溢れた。

これをれいわ新選組などの支持者が行うのはまだわかる。

彼らは「天皇」の御存在を何とも思っておらず、「金の無駄だから天皇制廃止」などと言う連中であり、都合よく利用せんとするのは想定の範囲と言えるだろう。

しかし、これを「保守」を自称しながら平気な顔をしてやってのける者がいるのだから、私はため息が止まらない。

この件に関して、相互フォローを1人ブロックした。

まず第一に、憲法上「天皇」は政治的な権力・権利を有しない。

第四条 天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。

よって「天皇」の中立性は慎重に扱われ、「天皇陛下が政治に口を出す」というような事態は徹底的に避けられてきたのである。

「天皇陛下が国会議員に怒った」となれば、これは憲法に抵触する大問題であり、「天皇」の御存在そのものが危ぶまれることに繋がるものだ。

滅多なことを言うものではない。

第二に、そもそも国民が陛下の大御心お気持ち・お考えを代弁するかの如く騙り、そのうえ自身の主張にあわせて歪めんとするなど、不敬にも程があり言語道断である。

政治思想にかかわらず、「礼儀」を重んじるのが日本人のよいところではなかったのか。

陛下の勅語お言葉はそれ以上も以下もなく、お話し遊ばされたそのままの通りに受け取るものである。

もし上記のようなポストをした者があれば、撤回と謝罪をオススメする。

※「今までこんなことはなかっただろ!」と言う者もあるが、そんなことはない。

天皇陛下はきょう、皇居で国会議員の代表者から定例の挨拶を受け
(https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/1115752?display=1)

https://www.kunaicho.go.jp/page/gonittei/photo/21732
https://www.kunaicho.go.jp/page/gonittei/show/2?quarter=202302
https://www.kunaicho.go.jp/page/gonittei/show/1?quarter=201902

東日本大震災や新型コロナウイルス感染症の影響から実施されなかった年もあるが、国会議員が天皇陛下に拝謁しお言葉を頂戴するというのは、昭和天皇の御代から行われている。

※陛下の勅語お言葉

「皆さんが国会の運営や審議のために日々尽力しておられること、まことにご苦労に思います」
「皆さんにはくれぐれも体を大切にされ、国民の信託に応え、今後とも、国、社会、人々のために、力を尽くしていかれるよう願っております」

(https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/1115752?display=1)

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靖国神社

「総理大臣の靖国参拝」は保守派の願うところであり、これは私としても同じである。

そして岸田首相は総理大臣になって以降、靖国神社を参拝していないのだが、私はそれでよいと考えるし、そうすべきと考える。

なぜだろうか。

本章は、保守・右翼を自認する方には是非ご一読いただきたい。

「中道~保守・右翼が本当に望むものは何か」についてをお話しするからだ。

靖国神社とは

大前提として、「靖国神社」がどのような存在であるのかについて確認しておこう。

靖國神社は、明治2年(1869)6月29日、明治天皇の思し召しによって建てられた招魂社しょうこんしゃがはじまりである。

明治天皇が初めて招魂社に御親拝の折にお詠みになられた「我國の為をつくせる人々の名もむさし野にとむる玉かき」の御製の通り、国家のために命を捧げられた人々の御霊みたまを慰め、その事績を後世に伝えるために創建された神社なのだ。

当時、日本は明治維新の過程にあった。約250年の鎖国政策をとっていた日本だが、白人諸国のアジア進出に伴って日本への開国要求が強まり、開国派と鎖国派の対立が激化、日本の国内は大きな混乱に陥る。そして江戸幕府は政権を天皇に返上、日本は天皇を中心とする近代的な国づくりへ歩み出すこととなった。

しかし、そうした大変革は国内に戊辰戦争を生み、近代国家建設のために尽力した多くの同士の尊い命が失われる結果となった。

そこで明治天皇は明治2年6月、国家に命を捧げられた人々の名を後世に伝え、その御霊を慰めるために「招魂社」を創建されたのだ。

この招魂社が今日の靖國神社の前身で、明治12年(1879)6月4日に社号が「靖國神社」と改められ別格官幣社に列せられた。

明治天皇が命名された「靖國」は「国を靖(安)んずる」という意味で、靖國神社には「祖国を平安にする」「平和な国家を建設する」という願いが込められている。

靖國神社には、戊辰戦争や佐賀の乱、西南戦争など国内の戦いで、明治維新の大事業遂行のために命を落とされた方々をはじめ、明治維新のさきがけとなって斃れた幕末の志士達、日清戦争・日露戦争・第一次世界大戦・満洲事変・支那事変・大東亜戦争(第二次世界大戦)などの対外戦争において、国家防衛に命を捧げられた方々の神霊みたまが246万6千余柱、祀られている。

その中には、救護に活躍した従軍看護婦や女学生、勤労動員中に軍需工場で亡くなられた学徒など、軍属・文官・民間の方々も多く含まれており、当時、日本人として戦い亡くなった台湾及び朝鮮半島出身者やシベリア抑留中に死亡した軍人・軍属、大東亜戦争終結時にいわゆる戦犯として処刑された方々も同様に祀られている。

このように多くの神霊が、身分・勲功・男女の区別なく、祖国に殉じられた尊い神霊として平等に祀られているのは、靖國神社の目的が「国家のために一命を捧げられた方々の霊を慰め、その事績を後世に伝えること」にあるからだ。

靖國神社に祀られている246万6千余柱の神霊は、「祖国を守るという公務に起因して亡くなられた方々の神霊」であるという一点において共通している。

靖國神社の由緒|靖國神社
(https://www.yasukuni.or.jp/history/detail.html)より要約

総理大臣の靖国参拝

「祖国を守るという公務に起因して亡くなられた方々の神霊」が祀られている靖国神社であるが、やはり「国家」として、「天皇」の思し召しにより建てられた靖国において、総理大臣が国家に殉じられた英霊に尊崇の念、哀悼の誠を捧げるのは「当然」のことと言えよう。

そのため、私を含め多くの保守派は、総理大臣の靖国参拝を願ってやまない。

しかし、総理大臣の靖国参拝は、2013年12月26日の安倍首相を最後に行われていないのだ。

大東亜戦争の終結後、総理大臣の靖国参拝は当たり前に行われていた。

だが、1970年代に入ってメディアが騒ぎ始め、1985年の中曽根首相の参拝をきっかけに中国や韓国が反発を開始、以降、中韓政府は日本の政治家による参拝が行われる度に反発している。

※1979年4月にA級戦犯の合祀が公になってから1985年7月まで、現役総理大臣が計21回参拝しているが、1985年8月の『靖国問題』報道(朝日新聞)をきっかけに反発が始まった。

中韓政府の反発は、朝日新聞が相手に一種の正当性を与えた、政治的な "外交カード" でしかないことがわかる。

そのため、これ以降は総理大臣の靖国参拝が激減し、安倍首相が第二次政権発足からちょうど1年のタイミングで参拝して以降、総理大臣の靖国参拝がゼロとなっているのが現状だ。

安倍晋三回顧録

安倍晋三回顧録において、安倍元首相は以下のようにお話しされている。

総理在任中の二度目の参拝はできない、と思っていました。

安倍晋三回顧録(中央公論新社)
第3章 第2次内閣発足 TPP、アベノミクス、靖国参拝
靖国参拝
より引用

有料の書籍であるため詳細は伏せるが、安倍晋三元首相ですら「これ以上は無理だ」と感じることが、靖国を参拝しただけで起こるというのだ。

岸田首相

そして現在、総理大臣に就任する以前については情報を見つけることができなかったのだが(持っている方がいれば X のDMまでお願いしたい)、岸田首相は2021年10月4日に総理大臣となって以降、一度として靖国神社を参拝していない。

ただし、岸田首相は春と秋の例大祭に際して靖国神社に真榊を奉納、8月15日に自民党総裁として私費で玉串料を納め、千鳥ヶ淵戦没者墓苑を参拝、献花していることは忘れてはならない。

>千鳥ヶ淵戦没者墓苑

先の大戦に際し、海外の戦場で戦没された方々は、軍人・軍属で約210万人それに戦火に巻き込まれて死亡した一般邦人約30万人で、合わせて約240万人と言われております。昭和27年頃から、我が国政府により、この御遺骨の収集が開始されましたが、御遺骨の収集に伴い、収集した御遺骨で氏名不詳のため御遺族にお渡しできない御遺骨をどうするかが大変大きな問題でありました。昭和28年12月、国でそれらの御遺骨を埋葬する墓を建設することが決定されましたが、戦没者の墓の建設が具体化するまでには、建設用地の問題等に関して紆余曲折が大分ありました。昭和31年11月、千鳥ケ淵の側にあった宮内庁管理用地を使用して、建設されることになりました。昭和33年7月漸く着工の運びとなり、昭和34年3月28日、戦没者墓苑は竣工しました。

千鳥ヶ淵戦没者墓苑の沿革|千鳥ヶ淵戦没者墓苑
(http://boen.or.jp/enkaku/)より引用

岸田首相は参拝すべきか?

私は本章の冒頭において、「岸田首相は靖国神社を参拝すべきでない」とした。

なぜならば、岸田首相は「 "力のない日本" から脱却する過程を爆速で走る、ステルス性能の高い総理大臣」だからである。

まず、これまでの総理大臣が靖国神社に参拝できなかったのは、「毅然と対応しなかったから」ではない。

「毅然と対応できなかったから」である。

我が国には軍事力がなかった。国際的な地位が低かった。

だから、「毅然と対応しようとしても押し負けるしかなかった」のである。

そして今、我が国はこれを脱却しようとしている。

岸田政権は防衛力を抜本的に強化し、米英のみならず豪・比・その他アジアへと影響力を広げ、スパイを締め出し、我が国を "戦後レジーム" から加速度的に脱却させようとしているのだ。

そのなかで岸田首相は、未確定な政策について情報を絞り、そのためメディアや言論人は騒ぐこともできず、政策とは何ら関係のない政権攻撃を行うしかできず、その間に、これまでは極左の妨害で通りようがなかった政策がバンバンと通されている。

ここで岸田首相が靖国を参拝すれば、何が起きるだろうか。

ただでさえ、靖国への真榊や玉串料の奉納はもちろん、防衛費の倍増や反撃能力の保有、その他外交諸々で中韓の反発は受けている。

そのうえで靖国を参拝すれば、その他の政策にも影響が出かねない程の騒動が、中韓や国内の極左、メディア、下手をすればアメリカなどを巻き込んで発生すると容易に想像できるだろう。

我々中道~保守が望むのは何か。

「戦後レジームからの脱却」である。

戦後レジームから脱却し、国家として主権と名誉、領土・領海・領空・資源、国民の生命と財産を護れるようになり、誰であっても安心して靖国を参拝し、国家に殉じた英霊のみなさまに尊崇の念を捧げることができる国になる。

これこそが我々の望みではないのか。

そのためには「力」が要る。

中韓に好き勝手を言わせない「武力(抑止力)」が要る。

極左に大きな顔をさせない、国民の「知の力」が要る。

まずは最低限、他国から干渉を受けないための抑止力を備えてからである。

それがないうちに総理大臣が靖国を参拝すれば、安らかに眠られる英霊が "政争の具" として弄ばれることになりかねない。

そのうえ、「戦後レジームからの脱却」にも遅れが生じる。

英霊のみなさまには大変申し訳ないが、国家のため、そして英霊の安らかな眠りのためにも、まずは最低限、他国の干渉を黙らせる力を持つまで、総理大臣は靖国を参拝すべきでない。

そのうえで、何度も触れている通り岸田首相は、靖国に真榊を奉納し、玉串料を納め、千鳥ヶ淵戦没者墓苑に参拝、献花していることから、決して英霊を軽視しているわけではないことがわかる(これにすら反発する中韓。黙っていろまったく)。

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NTT法改正

2024/04/17、NTT法(日本電信電話株式会社等に関する法律)が改正された。

これについても解説を行おうと考えていたのだが、

①多くの国民にとって興味の範囲外であること
②反対派の多くが話の通じない陰謀論者であるように見えること

以上の2点を踏まえ、萩生田光一・元自民党政調会長の解説をご紹介し、事実系インフルエンサー・PULP氏の記事をご紹介するのみに留めようと思う。

萩生田光一・元自民党政調会長

萩生田光一氏は、自民党政調会長として岸田首相(自民党総裁)と共に財務省のふざけた防衛費案を蹴飛ばし、財務省の謀略を防いだことで有名だが、NTT法についても丁寧なご説明を発信されている。

NTT法について

今般、「萩生田議員はNTTを売却して日本を滅ぼそうとしている」等の事実無根の内容がSNS等で流布され、それに対してご意見やお叱りを電話やメールで多数いただいております。

そもそもこれまでの党内議論でも、大事な通信インフラの基幹であるNTTを外資に売るなどということは毛頭考えていないどころか、議論の俎上にも上がっていないことは明確であります。

特に多いご意見に対して当事務所としての見解をご説明させていただきます。

【よくいただくご質問①】
NTT法を廃止して株を外資に売り、現在価値40兆円の特別な資産を二束三文で外資に売却して裏金を得ようとしているのではないか?

・萩生田が政調会長としてまとめた自民党の提言は、むしろ外資規制の強化を目指すものです。

・NTT法の外資の総量規制は、一律に規制するデメリットがあるため、外為法などで危険な外資を個別に規制できる個別審査の強化を提言しました。

・米英仏独等の主要国でも、NTT法のような総量規制ではなく外為法による個別審査を強化しています。

・また、「現在価値40兆円」という風説が流布されているようなので調べたところ、電電公社時代の設備投資額の累計を単純にインフレ率で膨らませた架空の数字であり、民営化から40年の間に、当時の設備は償却や更新が進み、電電公社時代に投資した資産の価値はほぼ残っておらずファクトに基づかない荒唐無稽な話であります。

【よくいただくご質問②】
NTTの資産は電話加入権を通じて取得した国民の共有財産であり、私物化は許されない。

・そもそも国からNTTが引き継いだ資産は、基本的にNTT株保有者のものです。
電電公社の民営化時には、国(電電公社)がNTTに現物出資して、その対価としてNTTから政府に株を交付しており、国がNTTに現物出資した資産の対価は株の形で既に支払われております。その後、政府はその株を売却して国庫に入っております。

・既に最高裁判決により電話加入権を取得する際に支払う費用は工事費の前払金であり、契約終了等のタイミングで返還する性質のものではないことは確定しています。

【よくいただくご質問③】
NTTは都心地下に日本最大の防空壕を保有しており、これが外資に奪われると日本は滅ぶ。

・管路・とう道等は、電気通信事業法に基づき、資産の保有主体が外資か否かに関わらず、
公平・公正に貸し出す義務があり、NTT法の廃止とは関係ありません。
またそれらを防空壕として利用するには当たり前のことですが調査・検証が必要です。


・今や通信分野で安全保障上守るべきものは、管路・とう道等の土管よりも、通信でやり取りされる顧客データや携帯も含めた通信設備の情報です。現に、ロシアがソフトバンクの携帯基地局の設備情報を窃取した事例もあります。
自民党の提言でも、外資規制を強化し主要通信事業者を守るべきとしました。


【よくいただくご質問④】
NTT法が廃止されると携帯料金が爆上げする。

・NTTから携帯会社へ貸し出す光ファイバーの料金の値上げによって携帯料金も爆上げするという趣旨であれば、光ファイバーの貸出料金は、電気通信事業法に基づき、総務大臣の認可が必要であり、NTTが自由に値上げできるものではありません。従ってNTT法廃止とは無関係です。

・そもそも携帯料金は、ソフトバンクやKDDI等の携帯各社が決めるものであり、NTT法廃止とは無関係です。


以上、主なご意見に対するご説明になります。SNS上にある情報を鵜呑みにせず、一度ファクトを確認していただければ幸いです。

なお、電話でご意見を伺う職員に対し「てめえ」「ふざけんな」「名前を言え、SNSで晒す」「早く死ね」等の暴言を一方的にまくし立てる方やメールでもここに記述することが憚れるような内容のものもあります。

当事務所には学生インターンも多く、職員等が恐怖を覚えるような暴言や過度な誹謗中傷があった場合は断固とした対応を取ることを申し添えます。

萩生田光一|Instagram
(https://instagram.com/p/C5Va3j7yQx0/?igsh=MW1teDQ5c3hmejluNg==)より引用

ロシアの産業スパイ

萩生田氏の説明のなかに「ロシアがソフトバンクの携帯基地局の設備情報を窃取した事例もあります」とあるが、これは以下の事件を指しているものと考えられる。

重要情報の守秘はもう戦争状態と言ってよく、我が国はセキュリティ・クリアランス(SC)によって重要情報を死守しようとしているところだ。

そして今回のNTT法改正には、「NTT研究成果の開示義務廃止」が含まれている。

【時事】NTT法 情報整理|PULP 🐈‍⬛

外資規制等を含め細かく解説されている記事を貼っておくので、ぜひこちらもご確認いただきたい。

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その他事実整理

中国人がパー券購入!?

岸田首相が所属していた「宏池会」という派閥のパーティ券を、中国人が購入していたのではないか、との噂がある。

これについて「安全保障上、または法的な問題があるのではないか」との声もあるため、ここで一度、事実を整理しておきたい。

・政治資金パーティーとは

政治における "パーティ券" 、略してパー券は、「政治資金パーティーの参加券」である。

そして「政治資金パーティー」というのは、パー券の購入者を集めてパーティを開催し、その収益を政治活動の費用に充てることを目的としたイベントを指す。

政治資金規正法第8条の2では、以下のように定義づけられている。

対価を徴収して行われる催物で、当該催物の対価に係る収入の金額から当該催物に要する経費の金額を差し引いた残額を当該催物を開催した者又はその者以外の者の政治活動(選挙運動を含む。これらの者が政治団体である場合には、その活動)に関し支出することとされているものをいう。

政治資金規正法(昭和二十三年法律第百九十四号)|e-GOV法令検索
(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323AC1000000194_20220617_504AC0000000068)より引用

国会議員が活動資金を集める手段には「個人献金」などもあるが、これは50,000円 / 年以上の献金を受けた場合、政治資金収支報告書に献金者の個人情報(指名・住所・職業)を記載しなければならない。

政治資金規正法 第十二条一項の一

ロ 同一の者からの寄附で、その金額の合計額が年間五万円を超えるものについては、その寄附をした者の氏名、住所及び職業、当該寄附の金額及び年月日並びに当該寄附をした者が第二十二条の五第一項本文に規定する者であつて同項ただし書に規定するものであるときはその旨

政治資金規正法(昭和二十三年法律第百九十四号)|e-GOV法令検索
(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323AC1000000194_20220617_504AC0000000068)より引用

しかし、政治資金パーティーの場合はこれが20万円 / 年からの記載となるため、購入者の心理的にも参加しやすく、議員の重要な資金源として活用されているのだ。

政治資金規正法 第十二条一項の一

ト 一の政治資金パーティーの対価に係る収入(報告書に記載すべき収入があつた年の前年以前における収入を含む。)のうち、同一の者からの政治資金パーティーの対価の支払で、その金額の合計額が二十万円を超えるものについては、その年における対価の支払について、当該対価の支払をした者の氏名、住所及び職業並びに当該対価の支払に係る収入の金額及び年月日

政治資金規正法(昭和二十三年法律第百九十四号)|e-GOV法令検索
(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323AC1000000194_20220617_504AC0000000068)より引用

・宏池会のパーティ

岸田首相が所属していた自民党の宏池会(2024/01/23解散)も、この政治資金パーティーを開催していたわけだが、このパーティのパー券を、中国人が購入していたのではないかと言われている。

しかし、その根拠とされるのはほとんどが X(旧Twitter)上の「中国語字幕で宏池会パーティを紹介する動画」であり、中国人とされる参加者が本当に中国人なのか、またパー券の購入者が中国人なのかについて、明確な根拠を見かけたことはない。

よって、現時点で「宏池会のパー券を中国人が買っている」と断言するのは、非常に危険な行為であると言えるだろう。

・外国人のパー券購入は違法?

稀に、「中国人にパー券を売った宏池会議員を逮捕しろ!」と言う者が現れる。

仮に「宏池会のパー券を中国人が購入していた」としよう。

いったい何の法に違反するというのだろうか。

第一に、政治資金規正法は外国人または外国人が過半数の株式を保有する会社(上場5年未満)からの政治献金を禁じているが、政治資金パーティーについては同様の規定が存在しない。

※外国人献金は3年以下の禁錮又は50万円以下の罰金、公民権停止。

第二十二条の五 何人も、外国人、外国法人又はその主たる構成員が外国人若しくは外国法人である団体その他の組織(金融商品取引法第二条第十六項に規定する金融商品取引所(以下この項において単に「金融商品取引所」という。)に上場されている株式を発行している株式会社のうち定時株主総会において議決権を行使することができる者を定めるための会社法(平成十七年法律第八十六号)第百二十四条第一項に規定する基準日(以下この項において「定時株主総会基準日」という。)を定めた株式会社であつて直近の定時株主総会基準日が一年以内にあつたものにあつては、当該定時株主総会基準日において外国人又は外国法人が発行済株式の総数の過半数に当たる株式を保有していたもの)から、政治活動に関する寄附を受けてはならない。(後略)

政治資金規正法(昭和二十三年法律第百九十四号)|e-GOV法令検索
(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323AC1000000194_20220617_504AC0000000068)より引用

第二十六条の二 次の各号の一に該当する者は、三年以下の禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。

三 第二十二条の三第六項、第二十二条の五第一項又は第二十二条の六第三項の規定に違反して寄附を受けた者(団体にあつては、その役職員又は構成員として当該違反行為をした者)

政治資金規正法(昭和二十三年法律第百九十四号)|e-GOV法令検索
(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323AC1000000194_20220617_504AC0000000068)より引用

このため、「政治資金規正法違反での逮捕」は有り得ない。

では、感情右翼が大好きな「外患誘致罪」に問えるかを確認しよう。

X(旧Twitter)などのSNSにおいて、「こいつは反日だ!親中だ!媚中だ!外患誘致罪で逮捕しろ!」と叫ぶネトウヨアカウントを目にすることは少なくない。

刑法第八十一条 外国と通謀して日本国に対し武力を行使させた者は、死刑に処する。

刑法(明治四十年法律第四十五号)|e-GOV法令検索
(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=140AC0000000045)より引用

これが外患誘致罪である。逮捕できるわけがない。

この他、どの法律に照らし合わせようとも、外国人によるパー券購入を禁じている法律は存在しない。

よって、宏池会の議員が逮捕されることは有り得ないのだ。

・私見

証拠が提示されたことのない「中国人による宏池会パー券の購入」ではなく一般論として考えるが、「外国人によるパー券購入(=議員の活動資金源化)」は、安全保障上の問題があると言うべきではないだろうか。

なぜ外国人献金が政治資金規正法によって禁止されているかと言えば、主権国家として、民主主義の根幹である「選挙」や、国策、国民の運命を左右する「政治」に関して、外国勢力の関与を防止するためである。

「我が国のために働き、我が国を守る」という議員の信念や正義感に任せるのではなく、法によって「外国勢力による買収」を防いでいるのが現在の政治資金規正法なのだ。

そして、政治資金パーティーも議員の資金源となるものであり、ここに外国勢力が浸透して買収を仕掛けた場合、それに飲まれてしまう議員が決して出ないと考えるのは、外国人献金の禁止と照らして不合理である。

よって、私は外国人によるパーティー券購入を法で禁止すべきと考え、以前からそのように主張している(にもかかわらず、現行法を理解できない感情右翼からは「売国奴」と罵られる(笑))。

・事実まとめ

①中国人による宏池会のパー券購入はうわさ止まり
②外国人によるパー券購入を禁じる法はない
③よって①が事実でも宏池会に罪はない
④外国人によるパー券購入を法で禁ずべき

加えて、感情右翼は「中国人がパー券を買っている宏池会のキシダは中国に買収されている」と言うが、本記事でご紹介しているように岸田首相は対中強硬派であり、それは無理があるだろう。

外国人犯罪者は起訴率が低い!?

X(旧Twitter)等において、「外国人は日本人と違って不起訴ばかり」との言説が拡散されることも多いため、ここで確認しておこう。

表にまとめられているものが令和3年(令和4年版犯罪白書)のものしか見つけられなかったため以下をご紹介するが、総数としての起訴率が40.7%、来日外国人の起訴率は43.6%となっている。

令和4年版犯罪白書
P.226 4-9-3-3表
来日外国人被疑事件 検察庁終局処理状況(罪名別)
|法務省
(https://www.moj.go.jp/content/001387336.pdf)より引用

その他年度の犯罪白書を確認しても、「総数・日本人と比較して外国人の起訴率が顕著に低い」との根拠は見つけられなかった。

「現行法の下で外国人に対して不正に甘い運用がなされている」ということはないと言えるだろう。

実質賃金

安倍政権~岸田政権の経済政策について言及すると、必ずと言ってよいほど「実質賃金が下がっているだろ!」との声が挙がる。

実質賃金について、安倍政権時は保守派がアベガーの誤りを正していたわけだが、岸田政権になってからというもの、自称保守層までもがアベガーに同調しているのだから救えない。

実質賃金には、実は2つの種類がある。

「1人あたり実質賃金」と「時間あたり実質賃金」である。

実質賃金算出の元になる名目賃金は、「労働時間が短く賃金が平均よりも低い雇用者数」が増加すると低下してしまう。

働き方が多様化し、パート・アルバイトに出る主婦も増え、その他さまざまな雇用・労働形態の浸透が進む今、「1人あたり実質賃金」は "下がって当然" とも言えるのだ。

実際、アメリカ等では既に「1人あたり」ではなく『時間あたり』の賃金データで測られるのが一般的となっているという。

では、我が国の「時間あたり実質賃金」の推移はどのようになっているのだろうか。

実質賃金に対する誤解
~米国のように時間当たりで見れば、既往ピークを更新~
|株式会社第一生命経済研究所
(https://www.dlri.co.jp/report/macro/202761.html)より引用

2022年までのデータで申し訳ないが、安倍政権以降の我が国では、「時間あたり実質賃金」が右肩上がりとなっている(2020年あたりの下降はコロナ禍の影響を受けたものだろう)。

あまり長々と解説しても仕方ないので、詳細は以下の記事をご参考になさってほしい。

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支持率の謎

ここまで実績を積み上げ、(安倍晋三支持者であること、安倍さんがお亡くなりになっていることから心理的に認めたくないが)安倍政権を超えたと言って過言ではない岸田政権だが、その支持率たるや散々なものである。

NHK世論調査 内閣支持率 政党支持率 毎月の最新情報
2024年4月(4月8日更新)|NHK
(https://www.nhk.or.jp/senkyo/shijiritsu/)より引用
NHK世論調査 内閣支持率 政党支持率 毎月の最新情報
2024年4月(4月8日更新)|NHK
(https://www.nhk.or.jp/senkyo/shijiritsu/)より引用

世論調査を確認する際、気を付けるべき点は以下の2つ。

・あくまで標本調査(かつ無作為抽出が成立しているか怪しい)であって、各党のパワーバランスと変動の参考にしかならないこと

・「国民の不満をぶつけられる政権与党とお気楽野党」なので自民党の支持率は実際よりも低く出ている(選挙では結局自民しかない)と考えられること

そのうえで自民(28.4)と立+共+社+れ(11.1)という野党の情けなさに涙が出るが、自民党の支持率、岸田政権の支持率が低いこともまた事実である。

この理由はいったい何であろうか。

①物価高

現在、ロシアによるウクライナ侵略戦争の影響から、世界的な物価上昇が発生している。

ヨーロッパでは電気代が3倍になる国が出るほどの事態となっているが、日本は岸田政権が補助金を出したり原発を再稼働させたりなどしてそこまでには至っていないものの、物価上昇の影響は少なからず受けている。

これは致し方ない側面が強く、誰が総理大臣をやっても支持率が下がるタイミングであろうと思う。

岸田政権はかなりよくやってくれていると思うのだが。

国民負担率は、岸田首相が総理大臣に就任(2021年10月4日)した翌年から見て、48.4%(2022年実績)→46.1%(2023年見込み)→45.1%(2024年見通し)と減少している。(➢財務省

※これまでは基本的に右肩上がり、1年で2%の減少は14年ぶり。

かつ、そもそも2021年時点で日本の国民負担率はOECD36ヶ国中22番目であり、決して高い数値とは言い難いのだ。

国民負担率の国際比較(OECD加盟36ヵ国)|財務省
(https://www.mof.go.jp/policy/budget/topics/futanritsu/sy202402c.pdf)より引用

そして、株価は2024年2月22日にバブル水準まで上昇。

22日の東京株式市場、日経平均株価は、バブル期の1989年12月29日につけた終値としての史上最高値を更新して3万9098円68銭まで上昇しました。

日経平均株価がバブル絶頂期の水準を超えたことで、日本経済がバブル崩壊後、失われた30年と呼ばれた低迷期を本格的に脱することができるかが焦点となります。

日経平均株価 バブル期につけた史上最高値を更新|NHK
(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240222/k10014367121000.html)より引用

2024年の賃上げは連合で33年ぶり、全労連で25年ぶりの高水準。

大手企業を中心に高い水準の賃上げの妥結が相次いだことしの春闘について、労働組合の中央組織の「連合」や労働団体の「全労連」が回答状況を発表しました。賃上げ額は連合では33年ぶりに5%を超えたほか、全労連では25年ぶりの高い水準だということです。

春闘2024 賃上げ額の状況 連合33年ぶり
全労連25年ぶりの水準 日銀の判断は|NHK
(https://www.nhk.or.jp/shutoken/newsup/20240315d.html)より引用

増税という増税をせず、政権下で数十年ぶりの高水準をいくつも記録する岸田首相に「増税メガネ」のレッテルが貼られているのも、この物価上昇の影響が大きいだろうか。

②不記載問題

自民党清和会(安倍派)の不記載問題が「裏金」として報じられ、岸田首相の出身派閥である宏池会、問題の本体である清和会、その他自民党の派閥が解散した。

そして、検察の捜査を受けて清和会(安倍派)と志帥会(二階派)の会計責任者が虚偽記載の罪で在宅起訴、宏池会(岸田派)の元会計責任者が事務処理上のミスとして罰金刑を求める略式起訴、二階元幹事長の秘書が略式起訴、清和会(安倍派)の池田佳隆衆議院議員が逮捕、清和会(安倍派)の大野泰正参議院議員が虚偽記載の罪で在宅起訴、清和会(安倍派)の谷川弥一衆議院議員が略式起訴。

上記は司法的責任であるが、政党である以上は政治的責任も免れず、離党勧告が2名、党員資格停止12ヶ月が2名、6ヶ月が1名、党役職停止12ヶ月が9名、6ヶ月が8名、戒告が17名の処分が発表、実行された。

自民党の処分(重い順)

①除名
②離党勧告
③党員資格停止
④選挙における非公認
⑤国会及び政府役職の辞任勧告
⑥党役職停止
⑦戒告
⑧党則順守の勧告

処分の基準については以下の画像がわかりやすいため、是非ご参考にしていただきたい。

作成:よもやま(@kokkai_kengaku)氏
https://x.com/kokkai_kengaku/status/1775821339632529609)より引用

さて、支持率についてであるが、まず政治への関心が強いわけではない層は、「宏池会(岸田派)」と「清和会(安倍派)」の違いがわからず、矢面に立つ岸田首相が悪いのだと捉えてしまう。

これは致し方ない。

だが、もちろん自民党総裁として引き受けるべき責任は岸田首相にもあるのだが、いくら総裁とはいえ、「関知できるはずのない他派閥の会計処理の責任をすべて負え」というのは、一般論としてもあまりに酷だろう。

リベラル・左翼と呼ばれる層は、自民党政権を無条件に叩くようにプログラムされているため、野党でも確認される不記載を自民党にだけ "裏金" のレッテルを適用し、法的に問題のないキックバックまで悪魔化して自民を攻撃。

そして限界右翼と呼称すべき層は、そもそも清和会がやらかした事案であることを記憶の彼方へと忘却し、「キシダの安倍派(政敵)潰し」として岸田首相を攻撃している。

清和会の責任を清和会議員がとるのは当然のことであり、また政権の屋台骨を担ってくれた安倍派(萩生田政調会長、西村経産大臣、その他安倍路線の継承にあたり安倍派の力は必要不可欠だった)を潰す理由など、岸田首相にあるはずがない。

むしろ、安倍派の動きが鈍って困っているのは岸田首相の方だろう。

自民党の不祥事である以上、自民党の支持率が低下するのは当然と言えるが、これが政権支持率に打撃を与えてしまうのが非常に痛い。

ここまで仕事ができる総理大臣候補は他に心当たりがなく、もちろん宏池会の元会長、自民党の総裁としての責任はあるものの、「岸田文雄を引きずり下ろしても国民に益がない」状態でこの状況になってしまったのが本当に痛いのだ。

③恨み買いすぎ問題

岸田首相は、本当に仕事ができる。

だからこそ、さまざまな勢力の恨みを買ってしまっている。

・財務省

安倍元首相が安倍晋三回顧録において「彼らは省益のためなら政権を倒すことも辞さない」した財務省が提案した防衛費案を蹴り飛ばし、謀略は萩生田政調会長と共に阻止、防衛増税は最小限かつ先延ばし、挙句の果て減税。

・右派言論人

安倍政権からはコンタクトを貰えていた右派言論人らだが、岸田政権からは一気にパージ。そこに因果関係があるのかは不明だが、岸田政権になって以降、特に日本保守党周辺の言論人はLGBT理解増進法を曲解してミスリードをくり返し、岸田首相に "媚中" のレッテルを貼り、台湾総統選に影響しかねない陰謀論まで発出する等。

・感情右翼

右派論壇に煽られた感情右翼は、根拠もなく岸田首相を媚中の国賊呼ばわりし(これは俺もしたことあるごめん!)、LGBT理解増進法の内容を曲解して國體破壊と女性への権利侵害だと騒ぎ(俺も条文確認できるまでやってたごめん!)、対北朝鮮の盾とするための日韓連携強化を国賊と非難し、その他デマとミスリードのオンパレード。

私自身、過去に岸田首相を曲解していた側なのだが、未だに上記が通じると考えているのはさすがに呆れてしまう。ここまで事実が明るみに出たのだから、恥を忍んで前言撤回すればよいものを。

方向転換を叩かれながらも国益のために罪滅ぼし(事実の拡散)を続けていれば、多くの岸田支持者は受け入れてくれるだろうに(だって私が受け入れてもらえているのだから)。

・LGBT活動家

LGBT理解増進法は本記事でも解説した通り活動家の勝手を許さない法であって、法律制定時、LGBT活動家は本記事でもご紹介した通り断末魔をあげていた。

・信教の自由重視派

安倍晋三元首相の暗殺後、清和会と旧統一教会の接点がやり玉に挙げられた。その際、岸田自民は旧統一教会と接点を持たないようガバナンスコードを党内に示し、テロリストの主張に沿って旧統一教会を締めあげた。

私は統一教会を反吐が出る程の嫌悪の対象として見ているが、テロリストに利益を与えない観点、信教の自由の観点から、あれは政権与党の動きとしてやり過ぎだろうと考えており、岸田政権最大の汚点であると考えている。悪しき前例をつくってしまった。

ここを私は個人の価値判断として外交・安全保障を優先とし、岸田首相を支持しているが、価値基準が異なる方の中にはここを理由に反岸田である方もいらっしゃる。

・中国

もはや言うまでもないだろう。

・リベラル&左翼

自民党政権は無条件に叩く勢力なので、これも言うまでもない。

……

"トラストミー"になるな自民党

岸田首相は脚色して情報を歪める言論人をパージし、出す情報を絞り、ステルスに事を運ぼうとしているのだと思う。

これは、高市氏の以下の発言からも推察できる。

岸田文雄内閣の一員である高市早苗経済安全保障担当相が、首相への不満を漏らす場面が目立つ。先月はテレビ番組で、経済安保に関する機密情報の取り扱い資格「セキュリティー・クリアランス(SC、適格性評価)」の制度化に向けた法改正をめぐり、「中国という言葉は出さないでくれと言われた」と暴露して波紋を呼んだ。

高市氏、止まない首相への不満|産経新聞
(https://www.sankei.com/article/20221014-PR66IXC7WFLDXOV6WGJVO53TIE/)より引用

高市大臣はテレビ番組に出演した際、「大臣就任時に "中国" という言葉とSCの提出時期について口が裂けても言うなと言われた」と暴露し、これが波紋を呼んだ。

当然、世間は「岸田は中国におもねっている」と感じ岸田首相を叩いたが、今になって考えれば、これは摩擦を抑え、ステルスにSCを通すためだったのだろうと言える。

これをなぜ高市大臣が軽率にもベラベラと喋ってしまったのか理解に苦しむが、このように信頼関係をぶち壊すような行動をとった高市大臣を、経済安保大臣から外すことなくSCを衆院通過させたのが岸田首相である。

私は高市支持者でもあるのだが、これに限らず危うい言動が多い高市氏を総理大臣にすべきとは、現段階ではとても言えない。

このように、岸田首相はステルス性能の代償として支持率を捨てているのだろうと私は見ている。

よって、このままの支持率で今年9月に行われるであろう自民党総裁選挙において岸田氏が再選した場合、次回選挙では自民党の議席が減ることだろう。

だがしかし、2024/04の米議会演説で岸田文雄は何をした。

アメリカ国民のケツを蹴っ飛ばし、日米のコミットメントを約束してきたのだ。

ここで次期総裁が岸田文雄とは別の人間になり、これに少しでも遅滞が発生すれば。

完全に悪夢の民主党政権、鳩山由紀夫の "トラストミー" 状態ではないか。

そのうえ、2024/11のアメリカ大統領選挙において共和党が勝ち、「俺たちの苦悩をわかってくれた Fumio Kishida じゃないのか。だったらモンロー主義に回帰しよう」となってしまえば。

台湾有事を目の前にして、日本は死刑宣告を受けるに等しい。

自民党の議席が減ったとしても、その多くの票は国民民主党や日本維新の会、NHK党などの同じ改憲勢力に流れることだろう。

自民党にはどうか、もちろん職を失う者がいる不安、自身がそうなるのではという恐怖があることは充分に認識したうえでお願いしたい。

日本の未来を優先していただきたい。

政局の上手さが自民の強さでもあると理解しているが、「いざとなれば一致団結、我が身を顧みず国益のために闘う」ことこそが、自民の強さの一丁目一番地であると信じている。

【小ネタ】メディア取材は最多の岸田文雄

脚色が酷い言論人のパージを行っている岸田政権だが、安倍首相、菅首相、岸田首相の3人のなかで、メディア取材(ぶら下がり会見)の回数が最多なのは、実は岸田首相であるというのだ。

日本テレビの調べによると、以下の通り。

・ぶら下がり回数(1年間)

安倍:116回
  菅  :122回
岸田:141回

・ぶら下がりでの文字数(1年間)

安倍:4万3369文字
  菅  :7万6388文字
岸田:14万2670文字

1回あたりで言えば、岸田首相は菅×1.9、安倍×3.3となる。

【分析】「聞く力」を数値化!
 報道対応は1年間で141回。車座集会は2年間で46回開催。
岸田政権2年間「聞く力」の成績表|日テレ
(https://news.yahoo.co.jp/articles/b16eecc2ebfb15a956f55d5fd5fe16b25e423b92?page=2)を参考

これは意外だな。

2024/04:キシダの反転攻勢

ANN世論調査(テレビ朝日系列)の世論調査において、以下の結果が出た。

報道STATION・ANN世論調査|テレビ朝日
(https://www.tv-asahi.co.jp/hst/poll/202404/)より引用

朝日新聞をはじめ朝日系列は安倍政権の頃から自民党への偏向報道が酷いメディアグループと言って間違いないが、そのような朝日グループの世論調査ですら、岸田内閣の支持率が+5.4%、不支持率が-9.4%となったのだ。

この世論調査はNHKと異なり国賓待遇訪米の評価を含んだ値となっており(2024年4月13・14日調査)、約30年ぶり高水準の賃上げと減税の決定に加え、安全保障の驚異的前進や歴史的な米議会演説が国民に "キシダノ正体" を気づかせ始めたか。

賃上げが労働者を潤わせ、減税が家計を潤わせ、株価が企業と投資家を潤わせ、安全保障で国民を守る。

その結果、国民のうち約1/20が一気に岸田政権を支持する側に回り、国民の約1/10が岸田政権の不支持をやめたのだ。

ぜひこのまま、メディアの偏向報道、言論人のねじ曲がった言論に負けることなく、支持率を順調に伸ばしていただきたいと思う。

+++++

おわり

非常に長々と書いてしまったが、本当に長々と書いてしまったが、岸田文雄が仕事ばかりしやがるので仕方がない。

本記事を見てもわかるように、岸田政権は国民の命を守るため、憲政史上初、前代未聞の成果ばかりを挙げている。

無論、時代の後押しがないとは言わないが、事実に基づいて岸田政権を評価する者の中には、「安倍晋三を超えている」と評する者もいるほどだ(私も感情的に認めたくないが、実際として超えているのだろうと思う)。

岸田首相についてまとめている方は、note にも X(旧Twitter)にも多くいる。

公的ソースも多くネットに公開されている。

ぜひ、お調べになっていただきたい。

P.S. 政治言論界への愚痴(2024/04)

少し愚痴らせてほしい。

ここまでお読みいただいた方であれば、「政治言論界から、どれほどのデマ・ミスリードが発信され、どれだけ岸田政権の姿が歪められて伝えられてきたか」をご理解いただけると思う。

私は本記事を公開し、その後に追記を重ねていくなかで、多くの方に高い評価をいただいてきた。

X(旧Twitter)では「事実系インフルエンサー」と持て囃され、数万、数十万のフォロワーを抱えるインフルエンサーに認められ、シンクタンクの理事長に評価され、その他、裏でもさまざまお声をいただいている。

おかしいだろう。

私は21歳のド素人である。

出版社に勤めているわけでもなく、議員の秘書をやっているわけでもなく、誰か言論人に師事しているわけでもなく、ただ個人で一次情報を追いかけているド素人なのだ。

そのような私がここまで評価されることなど、本来はあってはならないことのはずだろう。

「政治言論」とは、21歳のクソガキが認められるほど安いものではなかったはずだ。

言論で飯を食っている文屋共(敢えてこう呼ぶ)は何をしているのか。

金に魂と国を売るような誇りも覚悟もない文屋共は、ぜひとも言論なんて辞めてしまえ。

「言論」とは、国民を動かし、政治を動かし、国家の命運を左右する、値打ちのあるものではなかったのか。

この現実が残念でならない。

反面、X(旧Twitter)においては、本記事でもご紹介したPULP氏やChum氏をはじめ、私と違って「事実系インフルエンサー」と称賛されるに相応しい方々が注目を集め始めている。

世代交代の始まりだ。

今後、筋を通した数少ない言論人と事実系インフルエンサーによって、政治言論界の勢力図が大きく書き換えられることだろう。

無論、私もそこに食い込むべく、徹底的に事実を追いかけ続ける。

P.S. 國神からのお願い

11万字を超える本記事、お付き合いをいただきありがとうございました。

私は俗に言う "オタク気質" であり、そのうえ政治に関心が強いものですから、岸田政権についてネチネチとファクトを調べ、公式発表や一次情報にあたり、正確に岸田政権を評価できるようになりました。

しかし、多くの有権者のみなさんはお忙しく、また政治に強い関心がある方も少なく、ファクトチェックに手が回っていない方も多くいらっしゃるものと思います。

そのような方に事実をお伝えすることができればと、本記事を執筆いたしました。

ですが、noteには広告収入の形式がなく、本記事がいくら読まれようと私には一銭も入りません。

もちろん、自身の収益は二の次であり、儲からずとも日本のために筆を握る所存です(そうでなければ、毎日のように誹謗中傷と脅しを受けながら、儲からない岸田支持の記事など書かない)。

とはいえ、私もただの21歳。

食っていくことができなければ、このように情報を集めてお届けすることが困難となってしまいます。

そこで、ここまでお読みいただいたあなたにお願いです。

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