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#320「ビジネス頭の体操」 5月31日、6月1日のケーススタディ

はたらくおとな向け。普段の仕事と無関係なケーススタティで頭の体操。
その日にちなんだ過去の事象をビジネス視点で掘り下げています。
普段の仕事を超えて、視野を広げ、ビジネスの頭の体操をするのにぴったり。
考えるための豊富な一次情報やデータもご紹介。

 →部分は、頭の体操する上での自分に対する質問例、です。


5月31日(月) 禁煙アプリが健康保険の対象に!?

世界保健機関(World Health Organization:WHO)が1989年(平成元年)に制定した国際デーの一つで、「世界禁煙デー」です。英語表記は「World No Tobacco Day」。たばこは肺がんを始め、動脈硬化や心臓病などの発症率を高める。また、受動喫煙により周囲の人の健康にも害を及ぼす。「世界禁煙デー」は、たばこを吸わないことが一般的な社会習慣となることを目指しています。

禁煙。
私自身は吸わないのですが、感覚としては昔より喫煙される方は減っている気がします。実際はどうなのでしょうか?

厚生労働省国民健康・栄養調査によると成人喫煙率は令和元年時点で16.7%であり、男女別では男性27.1%、女性7.6%となっています。推移を見ると継続的に減少傾向です(下図)。

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実際たばこの販売量、税収もこれに伴って減少傾向です。
(出典:厚生労働省「喫煙と健康」

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ちなみみ町のタバコ屋さん見かけなくなったな、と思ったらたばこ販売場のシェアは65%がコンビニなんですね(出典:)。

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今回、「世界」禁煙デー、ですので、他の国も参考に見てみました。
WHOの世界保健統計2020年版によると、タバコを吸う人の割合が最も高い国はナウルで、52.1%。上位10位は以下の通りです。世界全体の平均値は23.6%となっています。同じ統計によると日本は21.9%で76位です。

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禁煙という観点でいうと、もちろん健康によくない、というですが、それを経済損失という金額で計るとなんと4兆3,264億円という驚くべき金額です(出典:厚生労働省「喫煙と健康」)。これは、たばこ税収約2兆2,000億円を上回る金額です。

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各国のたばこ対策を項目ごとに4段階で評価したものが以下となります(出典:)。日本は比較的グレー(最低評価)の項目が多いことが分かります。

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この中からWarn=たばこ製品の警告表示、Enforcement=広告および後援の禁止、Raise=たばこ税の引き上げ、の3つの説明資料を以下に転載します。

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最後に、禁煙治療において、昨年の8月、アプリが始めて公的医療保険の適用がなされた、というニュースがありましたのでご紹介します。


→禁煙。たばこ自体もマーケットであるが、禁煙治療というマーケットも存在する。従来は外来として継続的に通院することで禁煙を目指す治療が一般的だったが、5回以上通院しないと効果が得られないため、治療途中で半数が脱落していた。アプリを使うことで通信が不要となり、効果が期待できる。こうした医療テックは他にも応用できないだろうか?


6月1日(月) 牛乳はやっぱり北海道!?

国連食糧農業機関(Food and Agriculture Organization:FAO)が2001年(平成13年)に制定した「世界牛乳の日」(World Milk Day)です。
これに合わせて酪農・乳業関係者で構成される日本酪農乳業協会(現:一般社団法人・Jミルク)が2007年(平成19年)にこの日を「牛乳の日」に制定しました。

牛乳。
まず市場規模ですが、業界団体のデータは「量」のため推計となりますが、出荷額ベースで約5千億円、販売価格ベースで約1.5兆円の市場規模があるようです。

牛乳の原料となる生乳生産量の推移を見てみましょう(出典:農林水産省「最近の牛乳乳製品をめぐる情勢について」)。

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北海道だけ別枠で数字があるのですが、近年は横ばいも、都府県は減少傾向が続き、北海道だけが上昇傾向が続いていることがわかります。

この理由は大規模でないと採算が取れなくなっていること、大規模にできるのは広い土地の確保できる北海道に優位性があること、が挙げられます。

生乳100kg当たりの規模別生産費をみてみると、規模が大きくなるとコストは下がるのは当然としても、北海道と都府県とで1,000円以上コストが違うことが分かります。

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これに対する収入ですが、乳価の推移がこちらです。近年上昇傾向です。

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簡便ではありますが、収支を計算すると、100kgの乳価が10,580円(19年)、それに対するコストが北海道で8,700円、都府県で9,941円(ともに19年)ですから、北海道で1,880円(粗利率17.7%)、都府県で639円(同6.0%)となります。

規模でカバーすることになるでしょうが、その点では都府県では厳しいでしょう。実際、1戸当たりの牛頭数は、北海道で78.7頭、都府県で44.5頭と大きく異なります。

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集約化が進むことで、乳用牛を飼っている戸数は減少傾向で、2020年では1.4万戸となっています。

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こうして作られた生乳がどのような用途に使われているかがこちらです(出典:)。

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5割超が牛乳等に使われていることが分かります。
牛乳等には乳飲料なども含まれますので、いわゆる牛乳だけの生産量の推移もみてみると、近年は微増傾向が続いています。

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人口は微減ですから、一人当たりの消費量増加が理由です。

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1人当たり年間で25.4リットル…月で2.1リットル…
皆さんはいかがでしょうか?

→牛乳。なぜ1人当たり消費量を増やすことでき、同時に価格も引き上げることができたのだろうか?


最後までお読み頂きありがとうございました。皆様の頭の体操のネタが1つでもあったらうれしいです。

毎週日曜日には3日分をお送りしていたのですが、多すぎる気がして、今更ですが試みとして、今回は2日分にさせて頂きました。


昨年7月から続けています。だいぶ溜まりました。
以下のマガジンにまとめていますのでよろしければ覗いてみてください。



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