マガジンのカバー画像

映画「君たちはどう生きるか」

21
運営しているクリエイター

記事一覧

宮崎駿から日本アニメ界に渡されたバトン―『君たちはどう生きるか』の作画協力の会社を見て

宮崎駿監督の『君たちはどう生きるか』がアカデミー賞の長編アニメーション部門を受賞した。めでたいことだ。 『君たちはどう生きるか』について、語りたいことは色々とある。一番好きなジブリ作品ではないが、一番衝撃を受けたジブリ作品だった。 それこそ、人生で初めてのパンフレットを購入するくらい。実は、パンフレットを購入したのは、作品が素晴らしかったのもあるが、もう1つ理由があった。エンディングクレジットでチラリと見た、あることを確かめたかったからだ。 それは、作画スタッフのクレジ

「君たちはどう生きるか」全米で受賞ラッシュ、そして意外なジブリランキングは?

先ごろ行われたアメリカのゴールデングローブ賞では、スタジオジブリのアニメ「君たちはどう生きるか」が、アニメ賞を受賞。 必ずやアカデミー賞も狙えるでしょう。 日本で大ヒットした「君たちはどう生きるか」 はたしてアメリカでは、どう受け取られているか、レポしていきます。 アメリカ版タイトルは「少年とアオサギ」 わたし自身は、宮崎駿氏によるアニメーション映画「君たちはどう生きるか」を、ニューヨークでの先行上映で11月末に見てきました。 全米では「The Boy and t

俺たちの新海誠

深海誠と言えば映画監督である。これは日本の常識になったと言っても過言ではない。 けれど、新海誠という映画監督が広く浸透したのは間違いなく「君の名は。」だと思う。言わずと知れたメガヒット作品だ。 過去の記事でも少し書いたけれど、アーカイブ主流の現代において、古参という言葉にそこまで意味はないと思っている。 けれど、少なくとも深海誠と自分の付き合いは長い方だと言えるだろう。 ついこの前まで、新海誠は俺たちの新海誠だったのだ。 この記事はすずめの戸締まりを見た感想を書こう

すずめと青サギで見つめ直す今の自分と両者の比較について。

中3で「君の名は。」高3で「天気の子」大3で「すずめの戸締まり」と、僕の若き日々の記憶は、常に新海誠作品が隣り合わせにあった。 また同じように、子どもの頃の記憶には、何度も見たトトロやポニョ、千と千尋、平成たぬき合戦ぽんぽこ、耳をすませばなどなど、ジブリ作品の記憶が編み込まれている。 ライフステージの成長と共に、このような作品に囲まれて育った今の自分に、このところ連続して公開された新海誠作品「すずめの戸締まり」と宮﨑駿作品「君たちはどう生きるか」の2作品は極めてクリティカ

力が抜けない私たちに送る宮崎駿の「君たちはどう生きるか」

先日、宮崎駿の「君たちはどう生きるか」を見てきた。 皆、いろいろな意見があるので、わたしもこの映画の感想を書こうと思う。 わたしがこの映画を見て感じた事は、宮崎駿はもうみんなのために頑張るのをやめたんだなっということでした。 これまで、皆の腹を満たすための映画、つまりはただ消費されるための映画を作ってきた。宮崎駿自身は、その自分の作る映画の意図がしっかりと見る人の心に届いているとそう信じて製作を続けてきた。 でも、その皆の心の奥深くにある光に届くと信じて書いてきたもの

継承と帰還。宮崎駿と庵野秀明。

2023年。 今年、何の因果か、 宮崎駿と、庵野秀明の映画が公開された。 ナウシカで巨神兵を描き、 新世紀エヴァンゲリオンで時代を築いた、庵野秀明。 日テレと提携したことで商業的に成功し、 千と千尋で、スタジオジブリを世界に轟かした、宮崎駿。 20年前の世紀末では、 だからみんな死ねばいいのに、エヴァと 生きろ、もののけ姫だったが、 シンエヴァシリーズ完結させ、 さようなら全てのエヴァンゲリオンとして、慈愛と感謝を伝えたり、 宮﨑駿としてのクリエイター、最後として、

ジブリすげえよ。「君たちはどう生きるか」見てきた

こんにちは。 また期間が空いてしまいました。 前回の記事でお話ししていた「基本情報技術者試験」は無事に合格しました。 試験後すぐに結果がわかるので、終わった瞬間からニヤニヤが止まりませんでした。おそらく1週間くらい「嬉しい」が口から溢れていた。 今回は話題のジブリ新作「君たちはどう生きるか」を見てきたので、その時のことを書こうと思います。 絶対にネタバレしたくない金曜日 同題名の書籍は言わずもがな、社会人が読むべき本として非常に有名な本であることは知っています。(読ん

「知らない」ほうが楽しめる? -「君たちはどう生きるか」を観て思ったこと-

※映画にまつわるネタバレは一切含まれておりません いま話題の映画「君たちはどう生きるか」を観に行ってきた。 この映画は予めストーリーやキャスト陣含め、作品にまつわる全ての情報が一切公にされることなく劇場公開された。 公開されるや否やSNSではそれらのネタバレが(比較的?)書かれることがないまま賛否含めての感想が発信され、 わたしのTwitterのTL上でも、FF内外関係なしにちらちら感想が見受けられた。 正直わたしはそこまでジブリ作品に詳しくないのだが なんとなくこのビ

君たちはどう生きるか-今だけの贅沢な体験に乗り遅れるな

いよいよ明後日にジブリの最新作君たちはどう生きるか、が公開されます。 公開に先立ち、内容の予想も書いてみましたが、 あれから2週間、流石に直前には少しは情報は出るのではと思っていましたが、全く出てきません。 劇場パンフレットもなし、という徹底ぶり。 これはもうすごいです。そもそも、普段映画を観ない人は映画が公開されることすら知らないんじゃないでしょうか。 当日の映画館のポスターにも声優なども書かれないんですかね。そうかもしれません。 この宣伝をしない、という宣伝、鈴木P

【ガッツリとネタバレ感想戦】「君たちはどう生きるか」

ドルビーアトモス版を家族で鑑賞。いい音響でした。 個人的には大好きな映画でした。なんならもう何回か見に行きたいくらい。 冒頭、太平洋戦争中に火事が起こり、主人公牧眞人の母親が亡くなるシーンから大迫力の音響と火の表現。この時点でああ、観に来て良かったなあ、と思ったり。 母親を亡くし、田舎に疎開した眞人を待っていたのは、新しい母であり、元の母の妹である夏子でした。ここの重みを感じる荷物を運ぶ描写が秀逸で、あー、私は今、宮﨑(今回”﨑”になってましたね)アニメを見ている!と興奮

「君たちはどう生きるか」=「僕たちはこう生きた」だった(ネタバレ含みます)_ジブリ考察日記①/5

スタジオジブリ最新作「君たちはどう生きるか」を観てきました。感想としては「ああ、本当にこれで最後の作品なんだな」という感じでしょうか(涙) そして、今まで制作に関わってくれた人たちへの感謝の気持ちがたくさん伝わってくる本当にステキ作品でした。 「観たけど、意味がよく分からなかった」という方も多いと思います。 僭越ながら、考察を綴りましたので、どうぞお付き合いください。 自己紹介(興味なかったら飛ばしてください) 前談ですが軽く自己紹介をしますと、このnoteを書いて

グランドフィナーレにふさわしいジブリ作品「君たちはどう生きるか」公開に寄せて

2023年7月14日より劇場公開がスタートしたスタジオジブリ最新作 「君たちはどう生きるか」 事前情報が1枚のポスタービジュアルのみで宣伝がないため唐突に公開された感があった。公開されてから聞こえてくる声は賛否両論で「感動した」「もう一度観たい」等の肯定派の意見と「何を言っているのか分からなくて退屈」「話の内容が難解過ぎる」という否定派がいる。投稿主は大変満足して映画鑑賞が出来たので楽しい思い出として感想を綴りたい。 世界観を説明するために多少のネタバレがあるかもしれま

映画「君たちはどう生きるか」芸術×ジブリ×理解

■一週間経つと、落ち着いて考えることができる。宮崎駿監督が自分を投影させて描いたのではないか?とも思う。 ■少年が再婚相手の母親と対話するのは難しい。母親の妹にあたるわけで双子に見えた。 ■この映画は芸術よりで、物語の目的とか背景がとても分かりにくい。その分考察しがいがあるのだけど、映画ライト層はついてこれるのか? ■普段映画をあまり観ない人達が観たこの映画はどうなのだろうか?わたしも昔はそうだったが、やはりジブリだから、宮崎駿監督だからと納得してしまうのではないか?興行収入

【君生き感想】え?わけんからん?それはそうよ

君たちはどういきるか、観てきました。 観終わったあとの1番の感想は 「ああ…商業も人の目もなく作品を作りたかったのだろうな」と思いました。 理由は自分が学生の頃にアートアニメーションを 制作したことがあり、 そのアートアニメーションの表現に非常に近しい部分が大変多かったからです。 商業アニメーションにはかわいい女の子、イケメン、グッズ化しやすい素敵なキャラクターが必要です。 だって商業なので。 宮崎駿クラスの人でさえ…いや、だからこそ。 お金にどうなるのか? から離れる