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タイタニック観たことない映画おじさん。

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邦画を中心にお送りする、おじさんのオナニー映画評。
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とにかく明るい横溝正史

とにかく明るい横溝正史

最近の若者は、ネタバレを調べてから映画を見ることが多いらしい。お金を払って観に行くからには、損をしたくないというのが言い分だそうだ。それでも映画館に足を運ぶ分よしとすべきなのか。おじさんにはもう良く分からない。

ネタバレして来場しているのかは分からないが、どうにも年齢層の低い女性客で埋め尽くされた「ミッドサマー」のレイトショー。印象に残ったのは、上映中のどのシーンと言ったものではなく、暗転明けた

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愛こそすべて

愛こそすべて

今まで好んで食べなかった野菜、クレソン。信頼するレストランで提供されたステーキの横には山盛りのクレソンが。気まぐれにひと口食べたことをきっかけに、彼女はその魅力に異常なまでにハマっていく…。

ハイ、うちの奥さんの話です。映画の話ではありません。でも、今のポン・ジュノ監督に対する印象がまさにコレ。まるで食わず嫌いが克服された後の揺り返し。「パラサイト 半地下の家族」でハマり、速攻アマプラで氏の名前

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アカデミー賞が教えてくれたもの

アカデミー賞が教えてくれたもの

ポン・ジュノ監督がやってくれた。カンヌを制してのアカデミー作品賞とか、とんでも無いことだ。多様化が叫ばれる昨今のアカデミー賞の事情を多少考慮したとしても、こんな快挙が訪れるとは…。この快挙がまるで映画だ。

日本人の、特に邦画を好む映画ファンは、この歴史的快挙を羨ましく思うだろう。そして「どうしてこんなに差がついた?」そう落ち込む姿が目に浮かぶ。国策として自国のエンタメを推す韓国。「それに比べて我

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画に痺れ、音に振える。

画に痺れ、音に振える。

岩井澤健治監督「音楽」。2020年2月8日時点で、Wikipediaにも詳細の載っていない監督が、とんでもない作品を世に送り出した。

2本のベース、スネアとフロアタム。ボボボボボボボボと繰り返されるグルーヴから滲むのは、技術とか知識とかファックオフな純粋な音楽。そんな音の塊が紡ぐ、異なる世界に生きる人とつながり。研二という主人公を中心に描かれるも、周りに生きる人々の人生がグルグルと渦巻いていく。

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That's Entertainment!!!

That's Entertainment!!!

嫌韓なおじさんもK-POP大好きな彼女も、美味いキムチは食えばイイし、不味い乙類焼酎は飲まなきゃイイ。文在寅が嫌いでも安倍晋三が嫌いでも、仙台浅草のサムギョプサルは食べたほうが幸せになるし、「パラサイト 半地下の家族」は観るべきだ、あなたが映画好きを自認するならば。

韓国映画を観るのは「サニー 永遠の仲間たち」以来2本目の超ビギナー。なもんで、ポン・ジュノ監督もソン・ガンホも知らないし、この二人

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125分全力疾走

125分全力疾走

2020年の映画3本目はナ・ホンジン監督作品「チェイサー(2008年)」。キム・ユンソク主演ですね。知ってる風ふかせてますが、もちろん監督も役者も知りません。しばらくは、敢えて勉強せずに望もうと思いますが。

しかし、この優れた韓国映画のクオリティは何なのか?起承転結なんて構造を盛大に無視した「起転転結承転結承!!」みたいな非常識。序盤から心臓をググッと生で掴まれて、そのままズリズリとマラソンで走

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映画史に残るか?1112345678999+X(九蓮宝燈)。

映画史に残るか?1112345678999+X(九蓮宝燈)。

一連の騒動を受け、野次馬的に観てきたわけではないのです。仕事終わりのレイトショーで観たのは、公開初日の「麻雀放浪記2020」。ピエール瀧、いや電気グルーヴは相当好きです。しかし「作品に罪はない」という英断のもと、瀧被告の登場シーンをカットすることなく公開した作品にエールを!とか、そういうウェットなチョイスじゃないんです。単に白石和彌監督作品のファンなんです。

前作「止められるか、俺たちを」の舞台

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お待たせしました。 いや、お待たせし過ぎたかもしれません。

お待たせしました。 いや、お待たせし過ぎたかもしれません。

Amazonプライム派なもので、この一報が取り沙汰らせた時は苦虫を噛み潰しました。

役者、監督の妙はもちろんのこと、何よりも題材が「ハメ撮りの帝王」こと村西とおる。1975年生まれのおじさんにとって、AV監督(クリスタル映像時代)としての村西とおるは特段リアルタイムではなく、どちらかといえば「村西軍団」でその輪郭を形取っていた世代。いかがわしい人だという朧げな認識と共に「ナイスッ!ナイスですねぇ

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無知は決して「恥」ではないのだ。

無知は決して「恥」ではないのだ。

敢えて軽薄な言い方をしますが、レオ様とブラピの夢の共演な訳です。観てきました「Once Upon A Time in Hollywood」。キル・ビル Vol.2以来15年ぶり、久しぶりに観るタランティーノ作品は、シンプルにカッコよく、意味のない日常が淡々と綴られる相変わらずの世界観。最上級の緊張と緩和が秀逸で、音楽が超かっけー。それが観終わった感想でした。十分に楽しめました。そう、何も知らなくと

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性と暴力そして革命。

性と暴力そして革命。

白石和彌監督作品「止められるか、俺たちを」、監督と井浦新、タモト清嵐の舞台挨拶があるので行ってきましたよ。

監督が二十歳のころ門を叩いたという「若松プロダクション」。故・若松孝二監督の元に集まった若き才能らの群像劇です。ちなみに、若き日の若松監督を演じる井浦新も若松プロの俳優部出身だそうで。

主演は門脇麦。映画監督にはなりたい、でもどんな作品をつくりたいのか分からない。現代の若者の悩みにも通

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洋画観ないおじさんのその理由。

洋画観ないおじさんのその理由。

映画は大好きですが、観る95%が邦画。何故って、残念ながら生まれも育ちも日本国でございまして、致命的に英語がわからない。もう悲劇でございます。この時点で、つくり手の思いがググッと目減りし、ググッと戸田奈津子の思いが入ってくるわけです。あゝ嫌だ嫌だ。

そんな捻じ曲がった感覚しかない映画好きが本日(2018年9月30日)観たのは、年に5%の洋画「ラ・ラ・ランド」。

相変わらず観ている最中に

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小室哲哉と安室奈美恵の話。

小室哲哉と安室奈美恵の話。

「SUNNY 強い気持ち・強い愛」。

TKサウンド全盛期に青春を過ごした人は漏れなく大絶賛のこちら。厳密に言うとど真ん中を過ぎて少々おっさん(作中のDJ WATARUあたりの年齢)なのですが、周囲の評判に押されて観覧してきました。

こちら、理系男性にはオススメしません。ツッコミどころが多く、ストーリー的に破綻してる?でも、エンターテイメント作品としては素晴らしいのひと言です。
大根作品のイイと

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