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浦河町とインド人:観光・産業編

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浦河町の産業:競走馬の育成

浦河町といえば、サラブレッド!馬を扱う牧場が浦河町には200カ所ほどあり、毎年1500~1800頭のサラブレッドが誕生している。親子すべてを合せると約4000頭のサラブレッドが浦河町に常時いることになる。日本のサラブレッド年間生産頭数が約7500頭なので、2割が浦河町産。浦河町を含めた日高地域で9割を占めるほど。まさに、浦河町は競走馬のふるさとである。

ただ、サラブレッド産業は景気の影響をかなりうけるため、それでもバブル時代に牧場が400~500カ所あったと期に比べて半減している状況だ。なにせ、サラブレッドの馬は1頭で1億円を超えることもあるほど高値なのだそう。それでも、新型コロナウィルスの影響を受けることもなく、2022年度の市場販売価格は約38億円に達するほどだ。

日本中央競馬会(JRA)の育成牧場は日本に2カ所ある。ひとつが宮崎県宮崎市。そして、もうひとつが北海道浦河町だ。しかも、浦河町の日高育成牧場は東洋一の広さがあり、敷地面積は約15万平米、なんと東京都渋谷区と同等の広さを誇る。ここで2歳程度まで競走馬としてのトレーニングを積むそうだ。

まさに、馬とともに歩む町。「5000人町民乗馬」というスローガンのもと、町民は小さい頃から馬に親しむ機会があり、春と秋に1500円で1週間の乗馬トレーニングを受けられるという。町民の乗馬サークルや馬術大会、馬フェスタなども開催され、日頃から馬に親しめる機会がある。

町民だけでなく、誰でも馬に親しめる施設 うらかわ優駿ビレッジAERU(アエル)がある。日本中央競馬会と浦河町の両者で管理しており、リゾートホテルとして利用することもできる。ここで、乗馬体験はもちろん日高山地を楽しめるカヌーや登山もできる。

浦河町の馬は1頭1億円?!

馬との距離が近い浦河町だが、むやみやたらに触って良いわけではない。浦河町の馬は、いわゆるふれあいパークにいるような馬ではなく、競走馬で大変なお金を投資し、育てられている馬だ。ディープインパクトのような名馬の種付けだけ2000万円。1頭1億円の価値を下らない馬たちなのだ。

馬が好き!競馬で活躍した馬に会いたい!という気持ちは良いのだが、だからといって、馬にストレスを与えたり、よもや記念にとたてがみを切ってしまうなんて、もってのほか。動物に危害を加えることになるため、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処されます。それだけではなく、人と馬の共存を目指す浦河町や町民の皆さん、馬主さんの信頼を大きく損なうことになるので、絶対にやめましょう

それでも競走馬にお近づきになりたい…という方にはひだかサラブレッドタクシーがおすすめです。馬に関する9つの施設を巡ることができます。

日交ハイヤー株式会社公式サイトより抜粋

町全体で競馬産業を応援!

競馬は博打・賭け事ということで、あまり良い印象を持たれていない方もおられるのでは。しかし、こうして浦河町をまわってみると、これも立派な産業のひとつだなとひしひしと感じられる。競馬はそこまで詳しくないから…という方は、ひとまず無料で楽しめる浦河町立郷土博物館 馬事資料館がおすすめ。ここだけでも競馬界の歴史が学べます。ここには名馬ヒンドスタンの剥製も飾られている。

馬事資料館エントランス©2023 Liem
展事例:馬族の進化系統図の解説©2023 Liem

また、町役場に立ち寄ると町の特産品とならんで、浦河町産の馬の成績を知らせる掲示板も。ここで、推し馬を見つける…なんて楽しみも味わえる。
浦河町役場の方に話をうかがうと「浦河町では競馬新聞を読むことが、仕事の一環ですからね。皆さん、競馬新聞をよく読んでらっしゃいますよ」とのこと。役場内で競馬新聞を広げても違和感がないなんて、なんだか面白い。

浦河町役場にある浦河産馬の成績ボード©2023 Liem

浦河町の産業:海の幸と山の幸

北海道といえばサケ!鮭!浦河町でも鮭を楽しむとかできる。一般の方が川や河口付近で鮭を捕ることは禁じられているが、海岸で秋鮭を捕るのはOK。釣竿を立てかけておくと、鮭がかかり、家でイクラづくりが楽しめる。作った翌朝の新鮮なイクラがとっても美味。

北海道といえば、昆布も有名だが、浦河町でももちろん有名。三石昆布がとれるのだが、三石昆布のなかでも日高地域で撮れる「日高昆布」の名前で有名かもしれない。天日干しでカリカリに乾燥させるため、北海道産の昆布の中でも特上ランクの昆布と称されている。

野菜や果物では、アスパラガスといちごが有名。北海道の湘南地区なので、北海道の中でも一足先に「春アスパラ」を出荷している。また、涼夏の気候を活かして、「夏いちご」も出荷しており、毎年7月15日を夏いちごの日として、イベントなどが開催されている。

浦河町には肉牛農家も40軒ほどあり、多くは繁殖経営で肥育農家は数軒にとどまる。しかしながら、浦河町の牧草は、いわばサラブレッドが食む草とおなじ。海風にさらされ日高山地のベースからなるミネラルと栄養満点の草を牛たちも食している。そのため、牛肉も非常においしかった。

馬の若手調教師を想ってはじまった愛情のレストラン

浦河町のにはTrattoria Eyam(トラットリア エヤム)というレストランがある。レストランのお隣にある軽種馬育成牧場ビクトリーホースランチのオーナー社長さんからの依頼で、育成牧場で働くスタッフに栄養のあるものを小野里さんが提供するようになったことがきっかけで、このレストランが始まったのだとか。

窓からは牧場の草原が眺められ、運が良ければ颯爽と走る馬の姿も見られるとか。ゆったりと美味しいランチが頂ける最高のレストランです。また、レストランまで行けない…という方には、昭和女子大学と共同開発された生ドレッシングがオンラインショップでお買い求めいただけるとのこと。是非、普段の食卓で浦河町で働くスタッフを想う愛情のこもった味を。

エヤム入口©2023 Liem
鮭のピッツァ©2023 Liem

昔から育成牧場で働くスタッフは従来より若い独身男性が多いとのことで、どうしても栄養が偏った食生活になりがちなんだとか。そこで、なんとか栄養をとってもらいたい…という思いで、育成牧場のオーナーはもちろん、地元の方も一緒になって食生活を支えているのですね。

そういった点からみれば、インド人調教師も状況は同じ。こちらは多くのインド人調教師を雇用している森本スティーブルのオーナーさんがインド料理・食材店 バハラットの設立に協力。浦河町内に住むインド人のみならず、遠方からも本格的なインド料理を求めてやってくる日本人もいらっしゃるそうですよ。



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