『世界最新の太らないカラダ』/ジェイソン・ファン

勉強することの意義について考えることがあるけども、総じて

「正しいモノの見方を身に見つける」

ことにあると言ってもいい。

この本は、真摯に「太らないカラダ」に向き合って丁寧に解説している本だ。

ボリュームのある本だと思っているが、気になったポイントだけ抽出する。

・肥満の7割は遺伝要素、3割はそれ以外(行動)

・肥満の原因の95%を占めるのは食事

⇨インスリンの分泌量と抵抗性で太るか太らないかを決める


本書ではこの「インスリン」と徹底的に向き合うために解説を交えて対策を講じている。

<食べるタイミング>

1日の中でインスリンの分泌量が少ない時間があることが、太るか太らないかの決定的な違いを生む

⇨一番良いのはファスティング(断食)である

ファスティングを行うと、ホルモン総動員で脂肪を燃やし出す。脂肪を全て燃やしてからでないと、体は栄養を補うために筋肉を燃やしたりはしないので筋肉量は落ちない。

そしてこの脂肪が燃えるプロセスは一般的な「カロリー制限ダイエット」では起こらない。

「グルコースを燃やす(短期間)状態」から「脂肪を燃やす(長期間)状態」に切り替わっていくプロセスは以下の通り。

なお、お腹を空くのは脂肪が燃える前の兆候であるため、極端に言えば「お腹が空いているときのみ食べ物を食べるくらい」で丁度良いと言える。

(1) 食事摂取

インスリン値が上昇し、取り込まれた過剰なグルコースはグリコーゲンに変換されて肝臓に蓄えられる。

(2) 吸収後フェーズ

ファスティングをしてから6-24時間後、インスリン値が下がり、グリコーゲンが分解されてグルコースになり、エネルギーとして使われる。

(3) 糖新生

ファスティング開始してから24時間後~2日後、肝臓がアミノ酸とグリセロール(脂質の一種)から新しいグルコースを産生する。

(4) ケトーシス

ファスティング開始してから1日後~3日後、中性脂肪がグリセロール骨格と脂肪酸に分解される。グリセロールは糖新生に使われ、脂肪酸は脳以外のエネルギーとして使われる。脂肪酸がケトン体に分解されると脳に利用することができる。産生される主要なケトン体は、ファスティングしている時は70倍も多く産生される。

(5) タンパク質保持フェーズ

ファスティング開始してから5日後、成長ホルモンが多量に分泌され、筋肉量など除脂肪組織(筋肉や骨、血液といった脂肪以外の組織)が維持される。基礎代謝を保つためのエネルギーは、ほぼ全て遊離脂肪酸(体内に存在する中性脂肪が分解されることで血液中に漂う脂肪)とケトン体によって賄われる。アドレナリンの分泌量が増え、代謝量が減るのを防ぐ。

最近の研究では「1日おきの行うファスティング」がインスリン値を下げる有効な方法として研究されている。

<食べるモノ>

1. 添加糖の摂取を控える

砂糖はインスリン値を長時間に渡って上昇させてしまう。砂糖や人工甘味料はインスリン抵抗性の直接的な原因となるので、他のものよりも太りやすく、どんなダイエットにおいても真っ先に制限されるもの。特に加工食品には多くの糖や人工甘味料が含まれているので気を付けること。

2. 精製された穀物の摂取量を減らす

白い小麦粉などの精製された穀物は、他のどんな食べ物よりもインスリンの多量分泌を促す。現代の製粉技術で超微粒子にされたものは、全粒粉であっても腸に素早く吸収されるため、インスリンの効果を高める傾向がある。炭水化物は天然のものを丸ごと、加工されていない状態で撮るべき。西洋の食事の有毒性は、食べ物そのものではなく、その加工法にある。

3. タンパク質の摂取量を減らす

大事な栄養素ではあるが、食事に含まれるタンパク質の量を総摂取カロリーの20-30%に抑えること。タンパク質を摂取したときに胃そのものがインスリンの分泌を増加させるインクレチンというホルモンを分泌することがわかっている(インクレチンは満腹感を高める作用もあるので一概に悪いものではない)。食事の代わりになるようなプロテインバーは加工食品になるので手を出さない方が良い。

4. いい脂肪の摂取量を増やす

3つの主要栄養素(炭水化物、タンパク質、脂質)のうち、脂質はインスリンの分泌を促す効果が最も低く、肥満予防効果が期待できる。脂質を取るときには天然の脂質が多く含まれているものを選ぶ(オリーブ油、バター、ヤシ油、牛脂、リーフラードなど)。

5. 食物繊維と酢の摂取量を増やす

食物繊維は炭水化物によるインスリン刺激を減少させるため、肥満に対する主要な予防因子になる。酢も同様の効果があり、インスリンの過剰分泌を防いでくれる(フィッシュアンドチップがモルトビネガーと共に食べられるのは理にかなっている)。


本書はいろんな肥満のメカニズム、対策について詳しい解説があるので大変ためになった。

あとは、

「実行し、結果を出せるかどうか」

うまくいった際には、このnoteでも報告してみたい。

この記事が参加している募集

推薦図書

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?