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2022

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小さな腫瘍

小さな腫瘍

カメラロールの写真を消す作業は、
頭の片隅からひとつずつ記憶が消え去っていくようで、
少し胸が苦しかった。

身体のどこかに居座っている小さな腫瘍のようなそんな硬い記憶が、
自分の人差し指の操作によって抹消された。

呆気ないものだった。

思い返してみれば、君との思い出なんてこれっぽっちも思い出せなかった。

君との日常は確かにここに存在していたはずなのに、
思い出は薄っぺらかった。

怖い思い

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空白の時間

空白の時間

いつも訪れている神社には、入り口に来ただけで満足してしまった。
川の真ん中にある、ひとつの島のような神社。

緩やかな坂の石段を少し登ると、
最後の石段の上にはスズメバチの死骸があった。

なんとなく、見てはいけないような気がして視線を逸らした。
今日は、ここに来てはいけない気がした。

入り口から10メートルほど先にある赤い鳥居をくぐると、
奥には祠(ほこら)があり、その隣には錆びれたブランコが

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短かかった髪を伸ばそうと決めたのは、君への当てつけだったのかもしれないね。

短かかった髪を伸ばそうと決めたのは、君への当てつけだったのかもしれないね。

短かかった髪を伸ばそうと思ったのは、
なんとなく大人の女性に近づきたかったからで、
君の好みとかは別に関係なかった。

耳に少し髪がかかるくらいのショートボブヘアーを数年間貫いていた私は、
髪を伸ばすべきか悩んでいた。
「髪を伸ばすか迷ってる。」
そう呟いた私に、彼は
「絶対長いのも似合うよ、見てみたい。」と言った。

今思えば単純だった。ちょろかった。
あの頃、私は彼に好意を抱いていたから。

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秋の知らせ

秋の知らせ

遠くに聳え立つ木々は、とても姿勢が良かった。

身に纏っている葉っぱの衣装は、少しずつ秋色へと衣替えをしている。

オレンジ色の太陽は、私たちを優しく見下ろしては、あたりを照らしていた。

地面の形状に合わせて連なるススキたちは、秋の少し冷たい風に吹かれ、
ゆらゆらと揺らいでいる。

まるで優しく微笑んでいるかのようだった。

太陽は優しかった。
空気は冷えていた。

森の中の少し湿った土のような

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忘れmono

忘れmono

便利な世の中になって、考え方や価値観も少しずつ良い方向へと移り変わってきていると、何となく肌で感じている。

そんな嬉しい反面、その分軽視されることも増えているような気がしていて、
少しだけ悲しい。

言いたいことが以前よりは、言えるようになった。
それは本音を直接人に言えるということではなく、
様々なツールを用いることにより、間接的に人から共感を得ることが容易になった、という感覚に近い。

大前

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