マガジンのカバー画像

神話論、雑筆

53
神話論についていろいろ書いたものがあるので、ここにまとめておきます。
運営しているクリエイター

記事一覧

柳田国男の雷神論とアマテラス中心主義の皇国神話の忌避

 タカミムスヒが雷神であるということを正面から述べた学説はこれまで存在しない。しかし強い…

雷神神話論と自然科学

雷神神話論をやっているのですが、その背景です。 雷神神話には環境神話、自然環境神話として…

後ろ手に剣を振るイサナキ

 イサナキは黄泉から逃げ出すとき、後から地下の雷神(魔物)に追われたが、『古事記』だと、…

平田篤胤のカミムスヒ論――地母神と火山

 平田篤胤のカムミムスヒについての見解は三つの特徴がある。 ①まず平田はカムミムスヒを女…

紀国造と出雲信仰圏との深い関わり――イサナキ・イサナミの神話圏

 紀伊・出雲の間に深い関係があるというのは本居以来の一致した見解である。『古事記伝』の該…

邪馬台国と火山神話

 倭国神話は出雲火山と九州の火山の神話をベースとして組み立てられているのであって、この二…

タカミムスヒの「ヒ」は雷電――平田の「ヒ」の神学の継受

以下はタカミムスヒは巨大な雷神であるという仮説ですが、この仮説自体は、以前、『歴史のなかの大地動乱』(岩波新書)で述べたものであり、内容は研究史ですので、オープンします。(現在執筆中の著書の一部) タカミムスヒの「ヒ」は雷電――平田の「ヒ」の神学の継受  以上のようにタカミムスヒを太陽神であるとする学説は十分な成立根拠をもたないのであるが、これまでそれと異なるタカミムスヒの具体的な神格、イメージは筋道を通して体系的に論じられたことはない。  しかし、アカデミックな歴史神話学

「石母田正の英雄時代論と神話論を読む――学史の原点から地震・火山神話をさぐる」

以下はアリーナ2015年(第18号)に書いたものです。長いです。そのうち本にしたいと思ってい…

『火山列島の神話』序論

現在書いている『火山列島の神話―――倭国神話の至上神、タカミムスヒとカミムスヒ』 (仮題…

この世の果て、「天の壁」ー勝俣隆氏の神話論

2010年10月31日 (日)に以前のココログブログにのせた物。文中に「神話研究の現状をよく承知し…

死の女神がなぜ美しいか

下記はある媒体にかいたもの。 火山神カグヤ姫とカグツチ  『竹取物語』は平安時代の物語の…

じぶり『熱風』にかいたかぐや姫論。「月の神話と竹」

ここは広瀬神社  以下はスタジオじぶりの『熱風』という宣伝紙に書いたもの。12月号。「か…

松村武雄『日本神話の研究』の意義

2019-01-19  松村の『日本神話の研究』は地震神話研究の必要がでたときに購入した。購入し…

奈良・平安時代の地震、神話と祇園社

<第46回研究集会 記念講演  東京歴教協> 2013年3月(『東京の歴史教育』42号        奈良・平安時代の地震、神話と祇園社            東京大学史料編纂所教授  保立道久 はじめに  今回の東日本太平洋岸地震と原発震災の複合という事態の中で、今、どういう教材研究が必要なのか、そして小・中・高・大学でどういうカリキュラムを系統的につくっていくべきなのかということを、みなさん、御考えなのではないかと思います。問題はたしかにきわめて大きく、私は、歴史の研究者