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#エッセイ
髪。クリエイティブ・ディレクターの愛
去年、母親の癌が発覚した。
「電話なんかして悪いと思ってる。でも、一応…」
そう言いながら報告する母の、
掠れているくせにキンキンと耳障りな声を、私は十数年振りに聞いた。
【この女を二度と母とは思わぬ!】と、
固く決意した15歳のあの日の私が…
そう、私達セラピストが【インナーチャイルド】と呼ぶエネルギー体が、
『都合良く頼らないで!あんたなんか!あんたなんか!』
と暴れ出すのを自身のうちに
THE NEVER LAND
若く暗い時代。
「ネバーランド」と聞くと
私の脳裏には何故か【ラブホテル】が浮かんだ。
【ファッションホテル】ではない。
【レジャーホテル】でもない。
他の呼び名は知らないが、
そういう新しいものではなくて、【ラブホテル】
そう。
赤く重いカーテン。
丸い回転するベッド。
ところどころシミのあるワインレッドのカーペット。
やけに乾燥して鼻と喉に痛い空気。
ほら。始まった想像の中で私は
バス