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魂心の愛を込めて

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魂心の愛を振り絞って書きました。 流してもいい。斜めでもいい。 読んで下さい。
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#エッセイ

夫。

夫。

私の夫は写真の通り若く見えるが来年五十路だ。

夫の父は五十で死んだ。癌だった。
その父の兄達も全て五十前に亡くなった。癌だった。

百手前まで生きた夫の祖母はいつも言っていた。

「なんで全ての息子達に先立たれ、私は生かされとるんだろかね…」

結婚を決めた時、夫は言った。

「俺は多分、五十で死ぬよ。すまんがそれでも良いか」

良い訳なんかあるもんか。
それでも若くて馬鹿な私はものを軽く考えて

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髪。クリエイティブ・ディレクターの愛

髪。クリエイティブ・ディレクターの愛

去年、母親の癌が発覚した。

「電話なんかして悪いと思ってる。でも、一応…」
そう言いながら報告する母の、
掠れているくせにキンキンと耳障りな声を、私は十数年振りに聞いた。

【この女を二度と母とは思わぬ!】と、
固く決意した15歳のあの日の私が…
そう、私達セラピストが【インナーチャイルド】と呼ぶエネルギー体が、

『都合良く頼らないで!あんたなんか!あんたなんか!』
と暴れ出すのを自身のうちに

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THE NEVER LAND

THE NEVER LAND

若く暗い時代。
「ネバーランド」と聞くと
私の脳裏には何故か【ラブホテル】が浮かんだ。

【ファッションホテル】ではない。
【レジャーホテル】でもない。

他の呼び名は知らないが、
そういう新しいものではなくて、【ラブホテル】

そう。
赤く重いカーテン。
丸い回転するベッド。
ところどころシミのあるワインレッドのカーペット。
やけに乾燥して鼻と喉に痛い空気。

ほら。始まった想像の中で私は
バス

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