マガジンのカバー画像

poems 2018

23
じゆうに、すなおに、こころから、とんでけことばたち、
運営しているクリエイター

記事一覧

すうじ

すうじ

  

 ひとつ
 数字が
 変わることが
 とてもこわいから

 近くの人の手をとる

 お酒を飲んで
 わからないうちに

 歌をうたいながら
 よくわからないうちに

 いつの間にか
 数字が変わるように
 願いながら

 いのちは
 減るの、増えるの、
 それとも変わらない?

 どんな今も
 列車のよう

 バイオリンの音色に
 チェロの音をたして
 ピアノをぽろぽろ
 聴きながら
 お

もっとみる
クリスマス

クリスマス

 

 礼拝堂の
 重いとびらを閉める

 両手をあたためる
 白い息

 
 賛美歌をめくりながら
 小さくうたってみる

 礼拝堂には
 誰もいない

 オルガンの蓋は
 閉じられている
 

 天井に
 ステンドグラスが
 透き通っている

 かみさま

 おはなししたいことが
 たくさんあります

 こころのなか
 白い旗を
 振りながら

 おはなししたいことが
 あります

    

もっとみる
青いギター

青いギター

 

 真夜中の
 誰もいない道
 色を変えてる信号機のこと

 ぼくみたいだって
 言ったら

 詩をかいてくれた

 いつかの
 きみ

 青いギターは
 まだきみの部屋にあった

 読んでもらうことば
 聴いてもらうことば

 ラジオのチャンネルを
 合わせるみたいに
 互いの波を
 聞こうとした

 
 それから
 青いギターが
 ぼくのところへ来て
 何度も弦が
 張り替えられた
 

もっとみる
冬

  

 すそを
  ひらひらさせて
   歩こう

 ヨセフのコートみたいな
 なないろの布

 遠くからも
 見つけられる
 鮮やかな色

  隠れんぼには
  向かない

  迷子になっても
  大丈夫

  カバンはうんと
  小さくして

 歩きやすい
 ブーツ
 汚れても平気

  首元と袖には
  細かいレース
 
  ひらひらさせて
  どこまでもゆこう

 

風のにおい

風のにおい

 

 
 あの方を
 理解しようと
 こころを砕いていたら
 何もわからず
 哀しくなりました。

 宇宙が

 あの方のすべてを
 りかいし
 絶え間ないメッセージを
 直接
 送っているのだと
 聞きました

 あの方は
 一人ぼっちでは
 ありませんよ、と
 

 
 わたしが
 あの方を
 理解する
 必要はありませんでした

 一人の人は宇宙のように
 広くて
 枠にはめるのは
 無理

もっとみる
きぼうのひかり

きぼうのひかり

  
 

 きみは
 ぼくの
 きぼうのひかり

 日々は
 灰色
 目のかがやきのない
 人たち

 たましいに
 ふたをすると
 ああなるよ、
 ぼくもそうだもの

 お母さんも
 お父さんも
 ぼくのこと
 ちっともわかってくれない

 
 こんなに気持ちが
 くしゃくしゃなこと

 眠る時がしあわせって
 思うこと

 朝がつらいこと
 なんにも知らないだろう

 だれもぼくのこと
 わ

もっとみる
海と話しているようだ

海と話しているようだ

  
 
 
 海と話している
 ようだった
 

 彼女は
 ふかい
 海だから
 みんなが涙を落としていった頃

 溢れ出たこころと
 暮らしていくのは
 大変なことだったでしょう

 きっと本人がいちばん

 年月を経た
 あなたの声

 今は
 泣くことも
 怒ることも
 大切だと思っていると
 お買い物へも
 行かれると

 あなたはきっと
 今も
 ふかい
 海だけど
 

 簡単に鍵

もっとみる
かみさまのしごと

かみさまのしごと

  

 おなかに
 ちからを入れて
 きゅっとこらえる

 飛び立つ鳥を
 見るように

 わたしはここで
 お茶を飲む

 そうよ

 彼女を
 しあわせにするのは
 かみさまのしごと

 
   
 

 
  
 

いろんなかたちがある

いろんなかたちがある

   
 
 
 いろんな
 かたちがある

 好きな人から
 理解されない
 かたち
 かもしれない

 
 大事な人から
 受け入れられない
 かたち
 かもしれない

 それでも
 その道が
 じぶんにとって
 大切で
 ひかりが
 射してるように
 見えるなら

 道しるべの
 パンを拾いながら
 歌っていこうよ

 いつか
 ともだちに
 出逢えるかも
 しれないよ
 

 
 

 

もっとみる
no title

no title

  
 
 きみが飲み込んだ
 ことばや
 あなたが我慢した
 気持ちが
 毎日
 地球のどこかに
 埋まっているとして

 一生懸命な
 あなたの気持ちが
 いつの間にか
 たまりにたまって
 しまったとして

 もしもそれが
 いつの日にか
 おおきく
 爆発してしまうなら

 小さないさかいや
 面倒くさい会話や
 無理に納得しないことや
 無駄に思える言語化や
 

 たくさんの
 ちいさ

もっとみる
no title

no title

 

 一人の作家を
 こころのうちに
 住まわせながら
 崇拝するみたいに
 思い出しながら

 こころの祭壇に
 その人をまつりながら
 ほとんどいいなりみたいに
 答え合わせしながら
 決まりのある
 ゲームみたいに

 ほんとうのわたしを
 あなたを
 生きるなら

 祭壇には
 お花と小さなお人形でいい

 だれかを
 こわい先生にしなくていい

 先生が欲しいと
 泣かなくていい

 

もっとみる
no title

no title

  

 こうごうしい

 目玉焼きみたいな

  月

 黄身のように

 雲に溶けて

 鳥のかたちになった

 こうごうしい

 きみのよう

 鳥のかたちになった

 

 
 

  

うたうたう

うたうたう

 
 古いうたの
 あの調べをきいてよ

 耳から耳へ
 伝えられて
 手に触れられる
 かたちを遺さず

 声は伸び縮みする
 糸のよう
 波紋を広げ
 曲線を描く

 古い布の
 ひと針ひと針を見てよ

 縫い手の
 透明なこころで
 触れた人が洗われるような
 ひとつのリズムが
 縫い上げられている

 うたうたう
 古い布の
 あの調べをきいてよ

  
  

 
 

ワンピース

ワンピース

 

 寝ても覚めても
 ワンピースを
 まとう人に

 筒状の風を
 体いっぱい
 ふくらませて

 日傘をさして
 歩く風に
 なれるなら

 ピンク色も花柄の布も
 まっすぐに裁って
 縫い上げる

 ミシンの音
 響くアトリエ
 ラジオがともだちで
 とんでもなく
 一人なの

 その服で
 たちまち
 あなたを
 絵本のなかの人にするわ