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(ショートショート)読み切り

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たらはかに(田原にか)さん企画の「毎週ショートショートnote」に参加している作品をまとめました。お題に沿って410字程度で仕上げる企画です。
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記事一覧

(毎週ショートショートnote)お題・三日月ファストパス

(毎週ショートショートnote)お題・三日月ファストパス

月が消えた新月の夜から
幾日数え
あなたに逢える三日月を待つ

闇夜が終わりを告げたなら
明るく照らす弓なり月の元

必ず逢える
誰よりも早く1番に

三日月ファストパス🌙
手にしたカードを使いましょう

どうか正夢、叶えて欲しい

ルナティックで
ミステリアスな夜を超えて。

石碑に刻まれた古来の詩
幾星霜を超えた恋文のようなそれ
ようやく全貌を解いた博士は

詠み手の君に恋をした
きっかけな

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(毎週ショートショートnote)お題・突然の猫ミーム

(毎週ショートショートnote)お題・突然の猫ミーム

目の前に並べた幾つかのカード
右からミーコ、ネコ美、姫さま、チェルシー
という名前が記してある。

始まりはウチの飼い猫ミームちゃんが
今流行りの猫ミームと名前被りじゃん!
というただの偶然に憤慨した彼女👩

流行りに便乗し軽率に名付けたみたいで
ヤダヤダとムキになる始末。

で、とりあえずブームが去るまで
ウチのミームちゃんには
別にあだ名を用意してみてはどうか、と
苦肉の策を出す羽目になった

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(毎週ショートショートnote)お題・レトルト三角関係

(毎週ショートショートnote)お題・レトルト三角関係

たらはかにさんのお題に久し振り参加します!

さっきから僕は
冷たい床の上にずっと正座させられて
猛省を強いられていた。

床の上にはコンビニで買って来た
お茶や菓子パン、レトルトカレーなんかが
散乱して、そりゃもう何か
惨劇だった。

RE)で、何か言いたい事ある?

RU)まぁ、言い逃れも出来ないけどね!

ものすごい顔で上から睨みをきかす
2人の彼女、レナとルナ👩👧

説明しよう。
最低

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(毎週ショートショートnote)お題・会員制の粉雪

(毎週ショートショートnote)お題・会員制の粉雪

南育ち、冬が苦手な自分が
北国に住む彼女に切ない片思い。

こうなったら
南の情熱のような、とにかくそんなで
雪のように頑なな彼女のハート
溶かしてみせようと企てた矢先

えっ!特別な、、何するの?

窓から覗く今年初めの粉雪❄
彼女の家で二人きりで
えぇ、、行きたい♡

そんな会員制のバーみたいな
素敵な体験出来るなら
喜んで冬に寝返るもアリよりのアリ(笑)

えっ、サラサラの粉雪って
あっとい

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(毎週ショートショートnote)お題・台にアニバーサリー

(毎週ショートショートnote)お題・台にアニバーサリー

埃を被った手回し式のオルゴール♪

おもむろにちゃぶ台の上に並べ
しばらくの間、眺めてた

回せばすぐに
もう幾度も聴いた曲が流れる

それは二人だけの曲だから
いわば秘密のアニバーサリーソング♪

音と埃がキラキラ舞う様に
あらためて

ミュージシャンなんかに
恋をしてはいけないと
笑えるだけまだ正気な私が居た。

(毎週ショートショートnote)お題・ごはん杖

(毎週ショートショートnote)お題・ごはん杖

ビデオカメラを回していた友人は
思わず手を止め己の耳を疑った。

しかし当たり前のように
司会は進行される。

それでは新郎新婦初の共同作業
「ごはん杖、入杖です!」

パチパチパチパチ。

運ばれて来たのは
ウェディングケーキならぬ
岩ほどの大きさのご飯
ホカホカした湯気が途切れず
何かの供物のような佇まいすら感じる。

次に新郎新婦が手にしたのは
棒高跳びの棒ぐらい長い棒、杖?

えっ、それを

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(毎週ショートショートnote)お題・数学ダージリン

(毎週ショートショートnote)お題・数学ダージリン

日々ひたすら勉学に励み
気付けば数学の第一人者にまで登りつめ
さらにはテレビのコメンテーターなんかにも
なっちゃって、人気者と勘違い
調子に乗っていたら足元をすくわれた。

人気も肝心の数学もかげりが見えた。

虚しい気持ち抱え
数字に強いだけの自分を持て余した日々が
亡き祖父の喫茶店を継ぐ
まさかそれが転機になるなんて

人生は計画通りには行かないもんだな。

茶葉の分量を細かく量り
注ぐタイミ

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(毎週ショートショートnote)お題・なるべく動物園

(毎週ショートショートnote)お題・なるべく動物園

こ、これは?
とある1冊の本、見つけた博士はとびきり大きな声を上げた。

人間以外の生き物が描かれておる!

何だこの鼻の長い生き物は?
わぁ、こっちは全身ピンクで足が細いですねー。

いつの間にか博士の助手も加わり、ひとしきり盛り上がりを見せた後、博士は自身の博士という本業を思い出し、その使命に燃えた。

時は遥か何百年も先の未来。
あらゆる生き物が滅び、人間のみ存在する地球で、神話のように語り

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(毎週ショートショートnote)お題・スベり高等学校

(毎週ショートショートnote)お題・スベり高等学校

ようやく来たんだ
目の前の光景に呟く主人公。

こんなの初めてレベルで胸高鳴る。
なんせ知ってはいたけれど
噂程度だったんだもん。

幼稚園、小中高、大学まで
エスカレーター式のエリート校。

幼い内に取り組む事で
子の負担を減らしたい親心。

しかし窮屈はいずれ反動へ
敷かれたレールの上、悩む反抗するetc.
抑え続けた自我!

それらがいっぺんに訪れて壊れてしまわぬ様に
実はこの「スベり高等学

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(毎週ショートショートnote)お題・呪いの臭み

(毎週ショートショートnote)お題・呪いの臭み

例えば、ふとすれ違う時に香る甘い匂い。

柔らかな果実のようなそれは、洗い立てのシャンプーの匂い?人工的なフレグランスの香り?はたまた本人から自然発生する体臭なのか?
探し求める理想の君の甘い匂いに包まれる自分を、もうずっと想像して生きて来た。

兎にも角にもだよ、良い匂いがするはずなんだ。
甘い柔らかな桃のような、優しく包み込むような香り、パーフェクト!!

実はいつの記憶かも定かでは無いくせに

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