見出し画像

子供の頃、自分以外には誰も意識がないと思っていた

子供の頃。

なんで人ってみんな大体同じような考え方で言うこともやることも似たり寄ったりなんだろうって思ってた。不気味だった。

人はみんなそれぞれ違うよと言われたけど、私にはあんまり見分けがつかなかった。みんな同じように見えたし、実は人形か何かなんじゃないかって思ってた。

だからこの世で本当に意識があるのって私だけで、他の人はみんな意識があるフリをしているように思っていた。

当時5、6歳くらいだっただろうか。哲学的ゾンビって概念は遥か後に知った。思考実験は面白くて好きだ。

なんで私だけに意識があるのかな?と不思議だった。傲慢かもしれないね。その頃は自分だけが唯一選ばれたと思っていたんだ。

ある意味選ばれたのかもしれないな。今も呪いみたいなものがいっぱいへばりついている。縛り付けられている。なんで私はこんな感じに生まれたんだろうってよく思う。

小さい頃は母親のことも、たまにロボットや宇宙人と入れ替わってたりしないかと疑ったりしててね。それで意味なく試すようなことを言ってみたりしてたよ。

実は周りの人間みんなに自分の思考が筒抜けだったりしないだろうかと疑って、わざと汚いことを考えてみたり、驚かすようなことを考えてみたりもしていた。サトラレのことはまだ知らなかった。

まあ変な子供だったのかな。それとも子供ってみんなこんなもんなんだろうか。いろんなことを不思議に思って、親を質問責めにして困らせた。答えてもらえるまで絶対に諦めない頑固さがあった。

幼稚園までは良かった。一人で遊んでばかりいたけど、割と楽しかった。自分は世界一幸せ者だとすら思ってた。お絵描きと工作と砂場遊びが好きだった。

小学校に通い出してから精神が壊れた。

私は社会とか集団とか、そういうものの中で生きていられるような人間じゃなかった。完全におかしくなり、暴れて叫んで噛み付いて、精神科に連れてかれた。私はその頃から死を願うようになった。

そこからずっと不登校になった。

だからまともで一般的な人の考え方はさっぱり分からない。学校へ行っていれば私も多くの人と同じ考え方、同じ行動が取れるようになっていたんだろうか。多分、集団の中に入ることで余計際立って自分の変さが強調されていただけのような気がするが。

まあ間違いなくいじめられていただろうから行かなくて良かったと思っている。絶対に一生のトラウマになっただろうから。私が女子同士のコミュニケーションなんかうまいことやれるわけがないのだ。特にASD的な性質全盛期だったあの頃の私には。

子供の頃、家にある本はなんでも読んだ。図書館にもよく通ってた。娯楽なんかなかったし、遊ぶ友達もいなかったから。

本の中の登場人物や、本を書いた作者なら私の気持ちを分かってくれそうな気がするのに、なんで現実には誰もいないんだろうと思って悲しかった。

何か言うと哲学的だねとか言われてまともに話を聞いてもらえなかったし、すぐ別の話に変えられた。私は他の人が興味を持つような話に何も興味が持てなかった。

母親が少女漫画の雑誌を買ってくれていたけど、恋愛ばっかでつまらんなと思っていた。なんでこの女の子は顔を赤らめたりどぎまぎしたり変な行動を取ったりしてるんだろう、と思ってた。

それでも漫画自体は好きだったから、漫画家になりたいと思って下手くそな漫画を描いたりしていた。人間に興味がなかったせいか、人間のキャラは描けず、動物ばかり描いていた。

嫌なこと言われて悲しい時とか、自分の描いた漫画のキャラに代わりに怒ってもらったりしていた。私の唯一の友達だった。

親とはしょっちゅう衝突した。よく泣いたし怒った。成人してからも変わらん。というかほとんどのことが子供の頃と成人してからであんまり変わらん。ガワだけ少し誤魔化せるようになっただけで、中身は同じようなもんだ。歳相応にはなれなかった。

何かいつも人と感覚が噛み合わなかったので、自分は間違った存在なんだなと思った。自分の思考も感覚も存在しない、するはずのないものだと思うようになった。

無意識に自分の気持ちを無視するようになったのか、私は自分が何を感じているのかが分からなくなってしまった。

そして自分がどうしたいかではなく、どうしたら人から、特に母から正しいと思ってもらえるのかばかり考えるようになっていた。

描いた絵も話も、母におかしいと言われたらそう言われた通りに直した。

いろんなことをよく謎だなと思うし、そこらじゅう謎の風習と謎の宗教だらけに思えるけど、大抵私しか疑問に思ってる存在がいないので私が間違ってるんだろうと思った。

家では母が母の信仰する宗教の話ばかりする(私は宗教二世だ)
外では社会の人が社会を信仰している。
どっちも大して変わらん。
どっちも信じられない。


私には居場所がなかった。想像の中に逃げるようになった。

暗い詩、暴力的な詩、自分にとって都合のいい物語などを書いた。私だけに優しくしてくれる女の子の話とか。母親のような恋人のようなものを求めていた。友達じゃ足りなくなっていた。

ただ自分を何も否定せず全て受け入れてくれる存在が欲しいと思った。想像の中にしかそういう存在を作れなかった。

私は魔女狩りされる魔女だった。生まれつき間違った存在だと思った。誰とも心が通じ合わないと思った。

そしてそのまんま大人になった。

このストーリーに特に救いとかはないよ。

終わりもない。

そして地獄は続いてく。





この記事が参加している募集

自己紹介

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?