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シマエナガと桜と家族写真。

私には4人の子どもがいて、40歳で産んだ末っ子は初めての女の子。
現在、小学2年生。
クラスでは一番背が低い。
お姉さんのように大きな同級生からは「赤ちゃんみたい」と愛でられ、
喜んでいる。
大学生、二人の高校生の大きなお兄さん3人に囲まれている娘。
我が家ではいつも、小鳥さんとか、ひな鳥とか呼ばれている。
そんな小さな娘を、娘が大好きな「シマエナガ」にたとえて、娘との小さな日常生活を綴っています。

4月4日。
家族みんなで花見に出かけた。
我が家は毎年必ず、桜の季節に同じ場所で兄弟並べて写真撮影している。
近所の高校の敷地内にある、近所の人しか知らない、
桜の名所だ。
その桜の木の下に小さなベンチがあって、
そこに立つとちょうど桜がバックにきれいに写る。

長男が生まれてからずっと撮り続けているので、
1人増え、2人増え、と同じ場所に子どもたちを全員立たせて撮っている。

ちなみに、今はもう近所ではない。
そして、ちなみにこの高校出身者でもなんでもない。

今年から場所を変えてはどうか?
という案もあったが、私はこの場所にこだわっていた。

シマエナガのお兄さんたちは、だんだん大きくなり、
自分たちの予定がいろいろあるので、
桜が咲いた時期に家族みんな集まるのが難しくなってきた。
あと何回家族みんなでここで写真を撮れるんだろう。
そう思ったら、切なくなってきた。

***
長男は寮生活をしているので、普段は家にいない。
それもあって、家族全員で出かけることはめずらしい。
久しぶりにお兄ちゃん全員と外を歩くシマエナガはかなりはしゃいでいた。

桜の撮影前に、美容院の予約をしていた次男だけ、
現地集合で自転車で現れた。

全員揃ったところで、
兄弟4人、左から長男、次男、三男、シマエナガの4人並んで写真を撮る。
姿勢を正した真面目バージョンとおちゃらけた写真と2パターン撮るのも慣例。
そのあとは、自撮りモードで家族全員無理やり画面に収まって桜をバックに写真を撮る。

あとは、決まりはないが、いろいろ撮る。
今年は、それぞれのお兄ちゃんと一人ずつ、シマエナガとの2ショットも撮った。
母とシマエナガ二人も撮った。
シマエナガ一人も撮った。
シマエナガが桜を耳に着けたり触っているところも撮った。
お兄ちゃんそれぞれに肩車してもらっているシマエナガとお兄ちゃんも撮った。もはや花見とは関係ないけど。

***
ここで毎年撮り続けることが目的なので、
たしか去年は雨の中撮った。
私の仕事が休みで、桜が咲いていて、
全員集まれる日が、雨の日しかなかったのだ。
***
ここに集まって、写真を撮るのは、
親のこだわり以外の何物でもないので、
そろそろ子どもたちから文句が出てもいいと思うのだけれど、
誰も嫌だという人はいなくて、
みんな素直に集まってくれる。
家族思いだし、やさしい。

***
高校の敷地内での撮影が終わると、
桜並木のある川沿いを歩くのも慣例。
1人だけ自転車で集合していた次男の自転車の椅子に、
シマエナガが乗りたいと言い出し、
お兄ちゃんにのっけてもらい、
危ないから、自転車の左右に長男、次男、後ろから三男と、
3人の護衛付きで自転車に乗って、
シマエナガはうれしそう。
お兄ちゃんに囲まれて、大きな自転車に乗っているシマエナガ。
桜関連では、今年一番の笑顔のシマエナガの写真が撮れた。

***
ここまで桜と家族との思い出がつまりすぎてくると、
もはや母親にとっては、
桜を見るだけで切ない気持ちになってくる。

私にとって、桜の季節は、
家族がみんな集まる、貴重な日と重なっているから。

子育ては切ない。
それが、桜とからめてしまったら、
よりいっそう切ない。

***
家に帰ってから、
夜歯磨きをしながら、
シマエナガがミニサイズのお絵かき用スケッチブックに、
なにやら書いてみせてくれた。
そこには、
「今日もたのしかったけど、明日もたのしみ」
と書いていた。
明日4月5日は三男の高校の入学式なのだ。
なので、まだ学校の始まらないシマエナガも一緒に行くことにしていた。
シマエナガはお兄ちゃん大好きなのだ。

***
夜ご飯を家で一緒に食べた後、寮に帰っていった長男に、
私はLINEで、
「今日は時間空けてくれてありがとう」
とメッセージを送った。

すると、
長男からは、
「こちらこそ楽しいひと時だったからありがとね」
「家族の素晴らしさをいっそう感じた1日だったなあ」
と返事があって、またちょっと泣けた。

親だけでなく、
子供たちそれぞれが、
この桜の撮影を通して、
家族みんなの思い出として心に残ってくれてるんだと、
初めて実感した。

子育ては切ない。
桜の季節はよりいっそう切ない。

それぞれの桜が何十年前からそこで咲いているのかはわからないけれど、
家族の数だけ、
人の数だけ、
日本人のこのうれしさや楽しさや切なさがつまっているとしたら、
やっぱり、桜って、
その分だけ何十年も人々の思いがその場所に詰まっているわけで、
桜が咲く、その季節、桜の木には、
そのたくさんの人の思いと一緒に、
繰り返し毎年花が咲くわけで、
桜の木のもつパワーってとんでもないものになってるなって、
そう思った。

だとしたら、
毎年、同じ場所を訪れて撮影している我が家も、
家族の思いが20年分、この桜にも記憶されている、
そういうわけだ。
桜ってすごい。
自然ってすごい。

シマエナガファミリーをずっと見守ってくれた、
この高校の桜の木、
本当にありがとう。
この自然を作ってくれた神様、ありがとう。


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