村松克哉

これまで化学・電機メーカーを30年間勤務、営業とマーケティングを行っていました。退職後…

村松克哉

これまで化学・電機メーカーを30年間勤務、営業とマーケティングを行っていました。退職後は、岩手県の農業法人に4年、横浜の半導体関連ベンチャーに1年半。さすがにこれ以上の転職は無理と悟り、フリーランス編集・ライターを目指して勉強中。ワントゥワンマーケターでもあります。

記事一覧

老後準備は実質的に自己責任時代

 日本で「老後資金は2000万円必要」といわれてきましたが、最近では単身者で約3000万円以上、夫婦で約5000万円以上の金額が必要と言われています。ただし、これは最低限必…

村松克哉
15時間前

日本企業の保守的体質は市場から評価されない

 2023年度の決算は非常に好調で会社の業績予想を上回るケースが続出しています。日経の集計(東証プライム170社対象)によると製造業の純利益は前期比23%増の14.8兆円で…

村松克哉
1日前

巨大なデジタル赤字は円安を促進するがビジネスチャンスでもある

 デジタル赤字とは、その国におけるデジタル関連のサービスや商品を輸入する額が輸出額を上回り収支が赤字状態になることです。日本の企業や個人が海外のITサービスに支払…

村松克哉
2日前
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米国で広がる学生デモ。要求はDivestment。

 イスラエルとガザの紛争問題でイスラエルがガザに対して徹底制圧を加えています。米国の制止も聞かず、イスラエルによるガザ地区南部のラファへの本格侵攻が行われようと…

村松克哉
3日前

変わりゆく巨大市場、アフリカ

 IMFによる2024年の実質GDP成長率をみるとランキングトップ20のうち約半数をアフリカが占めています。ニジェールが10.4%と最も高い他、ルワンダが6.9%、コートジボワー…

村松克哉
4日前
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コーヒー豆価格が上昇、その背景にあるもの

 コーヒー豆の価格が高騰し、仕入れ業者や喫茶店が苦境に立たされています。コーヒー豆には大別してアラビカ種とロブスタ種があり、世界全体の生産量の約60%、40%を占め…

村松克哉
5日前

金相場の歴史的上昇の背景

 金の価格は1998年に865円の最安値を記録してから、その後は上昇に転じ現在に至るまで高騰が続いています。2024年3月から4月にかけての2か月間で2,000円以上も上昇し、13…

村松克哉
6日前
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レパトリ減税は円安抑止の処方箋になりうるのか

 海外子会社の資金を本国に戻したり、海外資産を売却したりするレパトリエーション(レパトリと表記)に際して、その金額に課される法人税の税率を下げるなどして国が減税…

村松克哉
7日前

米国の中国人不法移民急増

 2023年、米国南西部のメキシコと接する国境地帯で拘束された中国からの不法移民が1年前の10倍に急増しました。2023年4月には、テキサス州南東部から米国に入国した20人…

村松克哉
8日前
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米国の堅調な個人消費の裏に株高あり

 米国では家計の金融資産に占める株式や投資信託の割合が51.3%と高いので株式の値上がりによる恩恵を個人が享受しやすい構造となっており、これが米国の堅調な個人消費の…

村松克哉
9日前

世界一EV市場をけん引する意外な中国企業

 中国の国家標準「自動車運転自動化分類」では、自動運転車両をレベル0からレベル5まで6段階で定義しており、レベル3(条件付き自動運転)、レベル4(高度自動運転)、レ…

村松克哉
10日前
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米国の景気は後退局面か

 ケンタッキー・フライド・チキンやタコベルを擁するヤム!・ブランズの2024年度第一四半期の業績は減収、営業減益でした。売上高は前年同期比2.9%減の15億9800万ドル、…

村松克哉
11日前

フィリップス曲線、JOLTS求人倍率、消費者信頼感指数とOECD先行指数

 フィリップス曲線とは、英国の経済学者であるフィリップスが賃金と失業率の関係を調査し、そこからグラフに表された曲線のことを指します。グラフの横軸に失業率、縦軸に…

村松克哉
12日前

NT倍率とNN倍率

 NT倍率とは、日経平均株価を東証株価指数(TOPIX)で割って計算した指標です。両社の頭文字をとって「NT倍率」と呼ばれ、一般的に10倍から12倍程度で推移するとされてい…

村松克哉
13日前

雇用コスト指数

 雇用コスト指数(ECI: Employment Cost Index)は、企業が実際に負担する雇用コストを示した指数で、賃金・給与と福利厚生費など賃金以外で雇用にかかわる費用を含んでい…

村松克哉
2週間前

空き家、過去最多900万戸。30年で倍増

 総務省が発表した2023年10月1日現在の住宅・土地統計調査結果(速報値)によると、全国の空き家数は900万戸でした。前回、2018年から51万戸増え、過去最多を更新しました…

村松克哉
2週間前
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老後準備は実質的に自己責任時代

老後準備は実質的に自己責任時代

 日本で「老後資金は2000万円必要」といわれてきましたが、最近では単身者で約3000万円以上、夫婦で約5000万円以上の金額が必要と言われています。ただし、これは最低限必要な金額であり個々の生活水準や家族構成を考慮するとさらに多くの資金が必要になる場合があります。
 米国では150万ドル(約2億2700万円)が必要だとする調査結果があります。これは米国人の平均的な貯蓄額8万8400ドル(約130

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日本企業の保守的体質は市場から評価されない

日本企業の保守的体質は市場から評価されない

 2023年度の決算は非常に好調で会社の業績予想を上回るケースが続出しています。日経の集計(東証プライム170社対象)によると製造業の純利益は前期比23%増の14.8兆円で非製造業(前期比7%増の11.6兆円)を超えています。製造業の優位は2022年3月期以来で2021年3月期までは10期連続で非製造業を下回っていました。
 日本は非製造業のほうが稼ぐ構図でしたが、久々に製造業が復権しました。一方

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巨大なデジタル赤字は円安を促進するがビジネスチャンスでもある

巨大なデジタル赤字は円安を促進するがビジネスチャンスでもある

 デジタル赤字とは、その国におけるデジタル関連のサービスや商品を輸入する額が輸出額を上回り収支が赤字状態になることです。日本の企業や個人が海外のITサービスに支払うお金が膨らんでいます。それをデジタル化の加速につなげ稼ぐ力を高めなければ日本からお金が出ていくだけになってしまいます。
 GAFAMが提供するネット広告やクラウドサービスへの支払い、いわゆる「デジタル赤字」は約5.6兆円と5年でおよそ1

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米国で広がる学生デモ。要求はDivestment。

米国で広がる学生デモ。要求はDivestment。

 イスラエルとガザの紛争問題でイスラエルがガザに対して徹底制圧を加えています。米国の制止も聞かず、イスラエルによるガザ地区南部のラファへの本格侵攻が行われようとしています。こうした状況で全米の大学で学生デモが広がっています。日々流される映像によればイスラエルの攻撃でガザの子供たちが殺され、餓死しています。
 移民国家である米国で意見も多様なため、イスラエルによるガザ攻撃に対する意見も多様です。米国

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変わりゆく巨大市場、アフリカ

変わりゆく巨大市場、アフリカ

 IMFによる2024年の実質GDP成長率をみるとランキングトップ20のうち約半数をアフリカが占めています。ニジェールが10.4%と最も高い他、ルワンダが6.9%、コートジボワールは6.5%、エチオピアとガンビアが6.2%と高い予測になっています。主要国ではケニアが6.9%、ナイジェリアが3.3%と予測する一方で南アフリカ共和国では0.9%と2023年に深刻化した電力不足などの影響で引き続き低成長

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コーヒー豆価格が上昇、その背景にあるもの

コーヒー豆価格が上昇、その背景にあるもの

 コーヒー豆の価格が高騰し、仕入れ業者や喫茶店が苦境に立たされています。コーヒー豆には大別してアラビカ種とロブスタ種があり、世界全体の生産量の約60%、40%を占めています。違いは豆の糖度でアラビカ種のほうが多く、この糖が焙煎によって変化しコーヒーのおいしさが生まれます。ロブスタ種は糖度の低さが強い苦みや後味につながりますが、麦を炒ったような香ばしさ、控えめな酸味、甘いスイーツとの相性はアラビカ種

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金相場の歴史的上昇の背景

金相場の歴史的上昇の背景

 金の価格は1998年に865円の最安値を記録してから、その後は上昇に転じ現在に至るまで高騰が続いています。2024年3月から4月にかけての2か月間で2,000円以上も上昇し、13,105円という歴史的な上昇となりました。5月8日時点で金相場の予想価格は年内が14,300円台まで上昇が続くと考えられています。
 金相場は国際的な市場の動き・経済の変動・政治的事件・需給バランスなど多くの要因に影響さ

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レパトリ減税は円安抑止の処方箋になりうるのか

レパトリ減税は円安抑止の処方箋になりうるのか

 海外子会社の資金を本国に戻したり、海外資産を売却したりするレパトリエーション(レパトリと表記)に際して、その金額に課される法人税の税率を下げるなどして国が減税する措置が34年ぶりの円安の急激な進行を抑えるとして期待されています。
 海外資産を積極的に国内に還流させ、企業の設備投資増加や雇用拡大を喚起する目的で用いられる政策で、米国ではブッシュ政権時に2005年の1年限定で実施され、約3000億ド

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米国の中国人不法移民急増

米国の中国人不法移民急増

 2023年、米国南西部のメキシコと接する国境地帯で拘束された中国からの不法移民が1年前の10倍に急増しました。2023年4月には、テキサス州南東部から米国に入国した20人以上の中国移民全員はソーシャルメディアが自分たちの計画の助けになったと語っています。背景には中国の景気後退に伴う中産階級の経済困窮などが考えられています。
 米国への中国人の移民は1840年代から始まっており、1860年代に急増

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米国の堅調な個人消費の裏に株高あり

米国の堅調な個人消費の裏に株高あり

 米国では家計の金融資産に占める株式や投資信託の割合が51.3%と高いので株式の値上がりによる恩恵を個人が享受しやすい構造となっており、これが米国の堅調な個人消費の裏に株高がある可能性があります。
 資産効果とは株価などの資産価格の上昇によって個人消費が増加する現象を指します。日銀の展望レポート(2016年4月)によれば日本における資産効果は100円の金融資産価値の増減に対して個人消費が2-4円程

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世界一EV市場をけん引する意外な中国企業

世界一EV市場をけん引する意外な中国企業

 中国の国家標準「自動車運転自動化分類」では、自動運転車両をレベル0からレベル5まで6段階で定義しており、レベル3(条件付き自動運転)、レベル4(高度自動運転)、レベル5(完全自動運転)の自動運転車両が対象となっています。
 2022年8月に武漢市郊外で自動運転レベル4に相当する完全無人タクシーのサービスが開始されました。また、北京市内に「無人運転の街」とも呼ばれる自動運転車の実験区があり、202

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米国の景気は後退局面か

米国の景気は後退局面か

 ケンタッキー・フライド・チキンやタコベルを擁するヤム!・ブランズの2024年度第一四半期の業績は減収、営業減益でした。売上高は前年同期比2.9%減の15億9800万ドル、営業利益は0.6%減の5億2000万ドルでした。特に低所得者層の外食控えが響いたとコメントしています。
 世界最大のコーヒーチェーンである米国のスターバックスが発表した第二四半期決算は既存店売上高が予想に反して減少しました。二大

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フィリップス曲線、JOLTS求人倍率、消費者信頼感指数とOECD先行指数

フィリップス曲線、JOLTS求人倍率、消費者信頼感指数とOECD先行指数

 フィリップス曲線とは、英国の経済学者であるフィリップスが賃金と失業率の関係を調査し、そこからグラフに表された曲線のことを指します。グラフの横軸に失業率、縦軸に賃金をとったとき、右下がりの曲線で表すことができます。賃金が低いほど失業率が高く、賃金が高いほど失業率が低いとされました。
 失業率が高くなれば、労働市場では超過供給が生じていることになり、賃金も次第に低下していきます。逆に失業率が低下する

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NT倍率とNN倍率

NT倍率とNN倍率

 NT倍率とは、日経平均株価を東証株価指数(TOPIX)で割って計算した指標です。両社の頭文字をとって「NT倍率」と呼ばれ、一般的に10倍から12倍程度で推移するとされています。日経平均株価は値がさ株の影響が強く、TOPIXは時価総額が大きい銘柄の影響を受けやすいという各指数の特色があります。
 NT倍率が高いときは輸出関連やハイテクなどの株価の高い銘柄(値嵩株)が上昇しやすい傾向があり、逆にNT

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雇用コスト指数

雇用コスト指数

 雇用コスト指数(ECI: Employment Cost Index)は、企業が実際に負担する雇用コストを示した指数で、賃金・給与と福利厚生費など賃金以外で雇用にかかわる費用を含んでいます。アメリカの労働省労働統計局(BLS)が四半期ベースで集計し、計測期間の翌月末前後に発表します。
 雇用コスト指数の上昇は消費者物価指数や個人所得の増加につながる可能性が高く、国の経済におけるインフレの尺度にな

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空き家、過去最多900万戸。30年で倍増

空き家、過去最多900万戸。30年で倍増

 総務省が発表した2023年10月1日現在の住宅・土地統計調査結果(速報値)によると、全国の空き家数は900万戸でした。前回、2018年から51万戸増え、過去最多を更新しました。30年前の1993年から倍増しています。総住宅数は、世帯数の増加により261万戸増の6502万戸です。このうち、空き家が占める割合(空き家率)は13.8%で、いずれも過去最高となりました。
 日本は諸外国と比べて、住宅の供

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