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詩『Break through』

■記憶⚪が■傾いて⚪ゆく■

四角い箱……)の中の……)時計
……)に浮き沈みする……)帆船
を揺らす……)設計技師の……)
綿密な策略……)鳴り止まぬ
アラーム……)アラモード……)
寄せては返す……)気泡の……)
波間に濁ってゆく……)クリー
ムソーダの……)氷を突く……)
負けるな……)紙製ストロー……
)耳をつんざくエコー……)と攻
防戦……)いのちを……)燃やして
ゆく……)蝉の……)臨床輪唱……)

丸い円環……)の中の……)サイ
レン……)数字……)と数字……)
の婚姻……)離別……)再会……)
つづいてゆくループ……)計算
外の……)鎖をほどいて……)轍
を踏みしだいてゆく……)蛹と
蝶の……)ハレーション……)羽
根……)を震わせるから……)目
を離せない……)太陽が……)射
しこんで……)全身に……)沁み
てゆく……)午後の……)延長線
……)眩くひかる……)輪郭……)

🔘時間🔘が🔘溶けて🔘ゆく🔘
 
紙魚しみのおやこが梅酒に飛びこんだ蒸れた
息継ぎ古書のなかで噛んだ旧仮名遣いが
泳いでいるとぷとぷりんこ暮れてゆくお
もひであそび発酵してゆくあるこほーる
発酵してゆく時間本と本の谷間でかくれ
んぼしていた紙の肌触りがまだざわつい
ている宝石みたいな氷砂糖はじわりじわ
り暮れてゆくいろが熟成して梅もみどり
から琥珀へと変わってゆく記憶に溺れな
いで頂戴と浮き輪を投げるのだ果実酒の
瓶が並んでいるひとつずつ違う味や色ち
ょっと甘かったりちょっと酸っぱかった
りちょっとお酒が強かったりとぅららら
んららん詠う本の紙魚も印刷染みもイン
クもルビも酔いしれて歌い出すとき金色
のひかり瞬いて季節の果実酒の瓶が反射 
するほろ酔い気分の梅と梅がぶつかって
ごめんなさいと欠伸するひんやりした部
屋こどもたちの歓声が遠くで響いている

▽温度▲が▽磨いて▲ゆく▽

蒸留、濾過、ぽとん、ぽと、ん、

凝縮された液体を絞り出す


風が吹いて 
街が転がって
海に流れ出して
うつら、うつら、
濃い舟を希釈きしゃくして

絵画が鳴るのです
塗り重ねられた断面が踊るのです
カタルシス、
汗の雫が額を模様替えするのです
クライシス、

とぷん、
とびきり暑い日には
とびきり熱い浴槽へ

割り切れないからこそ
身体を計算するアート
いんすたれーしょん

(困った、)
(今月、まだ生理が来てないぞ)

錆びた自転車のペダルを漕いだ
ポケットで溶けたチョコレート
煮詰めたなつを混ぜあわせよう

『走り抜け!』
 


photo:見出し画像(みんなのフォトギャラリーより、yukiotaさん)
photo2、3:Unsplash
design:未来の味蕾
word & poem:未来の味蕾

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