「レビューとレポート」

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月刊美術批評WEBマガジンレビューとレポート 主宰:みそにこみおでん https://twitter.com/misonikomioden バックナンバー:https://note.com/misonikomi_oden/m/m075a5bacea51

マガジン

  • レビューとレポートのバックナンバー #レビュレポ

    月刊美術批評WEBマガジン「レビューとレポート」(みそにこみおでん主宰)のバックナンバーです。主に美術に関するレポート、展評や論考を掲載しています。非営利です。

  • [連載]常設展レビュー 志田康宏 #レビュレポ

    レビューとレポートで連載している志田康宏さんの常設展レビューです。

  • KOURYOU EBUNE特集 レビューとレポート

    • 23本

    レビューとレポートでの特集号とその後の連載記事をまとめました

  • 展示レポート ー美術館のプレス向け内覧会を中心に

    いくつかを除いて主にプレス向け内覧会を取材し翌日リリースした速報レポートです。

  • レビューとレポート並木夏海表紙シリーズ

    レビューとレポート並木夏海さんが担当した表紙のまとめ

記事一覧

講演会レポート 新藤淳「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?」 

国立西洋美術館「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?」最後の関連イベントとして、5月11日(土)に本展企画者の新藤淳によるオンライン講演会が行…

ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか? ―国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ 展示…

6. あなたたちはなぜ、過去の記憶を生き直そうとするのか? 遠藤麻衣 国立西洋美術館所蔵エドヴァルド・ムンク《アルファとオメガ》の世界観に触発され、その物語をスト…

ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか? ―国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ 展示…

3. この美術館の可視/不可視のフレームはなにか?布施琳太郎 階段で降りていくと青い光が漏れていた。象徴的な色の照明を使う布施琳太郎はル・コルビュジエが基本設計し…

ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか? ―国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ 展示…

2024年5月12日まで、国立西洋美術館では初となる現代アーティストとの展示が開催されている。本記事ではインスタレーションビューを中心に紹介する。(作家による記事確認…

ワタリウム美術館メンバーシップ・イベント 梅津庸一と展覧会を鑑賞する | 国立西洋美術館「ここは未来のアーティストたちが…

本記事はX(旧:Twitter)への投稿をまとめたものです。 2024/4/27(土)、ワタリウム美術館によるメンバーシップ・イベントとして、国立西洋美術館で開催中の企画展「ここ…

国立西洋美術館「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?」記事まとめ

国立西洋美術館で開催されている「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか? ――国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ」について「…

ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?―国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ レポー…

国立西洋美術館で企画展「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?―国立西洋美術館65年目の自問現代美術家たちへの問いかけ」が開幕。 まだ見ぬ美術館…

トークセッション《オメガとアルファのリチュアル》遠藤麻衣、宇佐美なつ、京谷啓徳、新藤淳 国立西洋美術館「ここは未来のアー…

国立西洋美術館「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?」関連イベントとして、5月4日(土)にトークセッション《オメガとアルファのリチュアル》が行…

前本彰子 「龍姫の水ノ珠」 コバヤシ画廊

前本彰子の個展が銀座のコバヤシ画廊で開催されている。5/11(土)まで。 前本は日本現代美術史上「ニューウェーブ」のひとりとして登場、「アゲインスト・ネイチャー」展…

国立西洋美術館「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?」 講演会「作品と作品をつなぐものー解釈、応答、…

国立西洋美術館「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?――国立西洋美術館65年目の自問現代美術家たちへの問いかけ」関連イベントとして、4月20日(土…

レビューとレポート第55号

レビュー [1]複数のフレームとの密かな戦い――「豊嶋康子 発生法――天地左右の裏表」東京都現代美術館 レビュー  中島水緒  https://note.com/misonikomi_oden/n/n3

複数のフレームとの密かな戦い――「豊嶋康子 発生法――天地左右の裏表」東京都現代美術館 レビュー 中島水緒

「回顧」「回廊」「回転」東京都現代美術館で豊嶋康子の個展「発生法―天地左右の裏表」が開催された。初期作から近作まで約500点を集めた同展は、1990年頃から活動してき…

「コレクションズ・ラリー 愛知県美術館・愛知県陶磁美術館 共同企画」愛知県美術館 レポート

愛知県美術館では同館と愛知県陶磁美術館のコレクションをそれぞれの学芸員が紹介する展示を開催している。4/14まで。 また同館のコレクション展では新規収蔵品のお披露目…

シュルレアリスム宣⾔100年 シュルレアリスムと⽇本 板橋区立美術館 レポート

ヨーロッパから紹介されたシュルレアリスムは日本へ大きな影響を与えた。その展開を戦前の最初期から戦後まで、作品と豊富な資料を交え紹介する展示が板橋区立美術館で開催…

得体の知れない、無名の三人の歴史を振り返る――『天地耕作(あまつちこうさく)初源への道行き』展示レポート

「私は浜松の駅前で生まれ育ちましたが、天地耕作のことを何一つ知りませんでした。本当に私のアンテナに引っ掛からなかった。どうしてなんだろう?とここ暫く考えてまいり…

ART FAIR TOKYO(アートフェア東京 2024年)レポート

日本最大のアートフェア、ART FAIR TOKYO(アートフェア東京)が開幕した。会期は3/10(日)まで。 本展の見所などを解説した記者会見のレポートや展示の一部を詳しく取り…

講演会レポート 新藤淳「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?」 

講演会レポート 新藤淳「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?」 

国立西洋美術館「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?」最後の関連イベントとして、5月11日(土)に本展企画者の新藤淳によるオンライン講演会が行われた。

本展タイトルに冠された問いに対しどのような応答(作品)が生まれたのか。各作家のアプローチは一様ではなかった。

安藤裕美のように学生の頃に同館で見てきた作品に刺激を受けながら制作を続ける作家もいれば、コレクションや美術館自体と

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ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか? ―国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ 展示レポート 3/3

ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか? ―国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ 展示レポート 3/3

6. あなたたちはなぜ、過去の記憶を生き直そうとするのか?

遠藤麻衣

国立西洋美術館所蔵エドヴァルド・ムンク《アルファとオメガ》の世界観に触発され、その物語をストリップ劇場の記憶も絡めて翻案し、演じ直す≒生き直すパフォーマンスの映像作品。



期間中に遠藤によるトークセッションも行われている。



飯山由貴が突如パフォーマンスを行った同日、遠藤麻衣は百瀬文と所々赤く塗られた白い服を着て

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ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか? ―国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ 展示レポート 2/3

ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか? ―国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ 展示レポート 2/3

3. この美術館の可視/不可視のフレームはなにか?布施琳太郎

階段で降りていくと青い光が漏れていた。象徴的な色の照明を使う布施琳太郎はル・コルビュジエが基本設計した国立西洋美術館の本館建築へ多大な関心を寄せ、美術館の建築というフレームを問うていた。

田中功起

田中功起は美術館の不可視のフレームとでもいえるものを問題化した。「複数の提案を作品化し、美術館が暗黙のうちに前提としている「鑑賞者」の

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ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか? ―国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ 展示レポート 1/3

ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか? ―国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ 展示レポート 1/3

2024年5月12日まで、国立西洋美術館では初となる現代アーティストとの展示が開催されている。本記事ではインスタレーションビューを中心に紹介する。(作家による記事確認が必要なパートは時間がないため除いている)



本館入口から階下へ下り、企画展示室前のロビーにある展示ステイトメント。よくある日英併記ではなく複数の言語で出されていることに気付く。田中功起が行った美術館への提案の一つが実現したもの

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ワタリウム美術館メンバーシップ・イベント 梅津庸一と展覧会を鑑賞する | 国立西洋美術館「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?」(投稿まとめ)

ワタリウム美術館メンバーシップ・イベント 梅津庸一と展覧会を鑑賞する | 国立西洋美術館「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?」(投稿まとめ)

本記事はX(旧:Twitter)への投稿をまとめたものです。

2024/4/27(土)、ワタリウム美術館によるメンバーシップ・イベントとして、国立西洋美術館で開催中の企画展「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?」にて「梅津庸一と展覧会を鑑賞する」が行われた。 

取材:@Romance_JCT

作品・作家の解説に加え、梅津氏による愛憎入り混じるコメントがなされる。雲行きが怪

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国立西洋美術館「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?」記事まとめ

国立西洋美術館「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?」記事まとめ

国立西洋美術館で開催されている「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか? ――国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ」について「レビューとレポート」では複数記事を上げてきたのでそれをまとめた。

展示に先立ち行われた記者会見と参加作家から梅津庸一、小田原のどか、鷹野隆大の3人とキュレーター新藤淳によるトークセッションの速報。画像多めで作家やキュレーターの表情もわか

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ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?―国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ レポート

ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?―国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ レポート

国立西洋美術館で企画展「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?―国立西洋美術館65年目の自問現代美術家たちへの問いかけ」が開幕。 まだ見ぬ美術館のカタチを建築から捉えようと試みた布施琳太郎、自分の過去や現在、頭の中が開陳されているようだと語る中林忠良ら21組が参加。

遠藤麻衣による同館で撮影され自身も出演の映像作品と回転ベッド(座れる!)。 壁にはムンクの版画連作が並ぶ。 彫刻

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トークセッション《オメガとアルファのリチュアル》遠藤麻衣、宇佐美なつ、京谷啓徳、新藤淳 国立西洋美術館「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?」関連イベント

トークセッション《オメガとアルファのリチュアル》遠藤麻衣、宇佐美なつ、京谷啓徳、新藤淳 国立西洋美術館「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?」関連イベント

国立西洋美術館「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?」関連イベントとして、5月4日(土)にトークセッション《オメガとアルファのリチュアル》が行われた。登壇者は遠藤麻衣(出品作家)、宇佐美なつ、京谷啓徳、新藤淳。

初めに遠藤自身と踊り子の宇佐美が出演している本展出品映像作品が投影された。映像にはムンクの版画『アルファとオメガ』に見られるシーンの振り付けや館内の彫刻を模したポーズ

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前本彰子 「龍姫の水ノ珠」 コバヤシ画廊

前本彰子 「龍姫の水ノ珠」 コバヤシ画廊

前本彰子の個展が銀座のコバヤシ画廊で開催されている。5/11(土)まで。

前本は日本現代美術史上「ニューウェーブ」のひとりとして登場、「アゲインスト・ネイチャー」展へ出展をするなど80年代を代表する作家であり、また、Bゼミで長く講師を務め、多摩美でも短いが教鞭を執り、教え子の美術家も多い。その制作と授業で多忙な中、子供を二人育て上げた。
ここ数年は羊毛フェルト小品販売とギャラリーを兼ねた高円寺に

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国立西洋美術館「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?」 講演会「作品と作品をつなぐものー解釈、応答、変奏」講師:田中正之 

国立西洋美術館「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?」 講演会「作品と作品をつなぐものー解釈、応答、変奏」講師:田中正之 

国立西洋美術館「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?――国立西洋美術館65年目の自問現代美術家たちへの問いかけ」関連イベントとして、4月20日(土)オンライン講演会 「作品と作品をつなぐものー解釈、応答、変奏」講師:田中正之(国立西洋美術館長)が配信された。

田中氏は本展の中でも同館所蔵作品に応答した内藤礼、松浦寿夫を取り上げた。美術作品にとって重要なのはオリジナリティだけで

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レビューとレポート第55号

レビューとレポート第55号

レビュー

[1]複数のフレームとの密かな戦い――「豊嶋康子 発生法――天地左右の裏表」東京都現代美術館 レビュー 
中島水緒 
https://note.com/misonikomi_oden/n/n3f4a42cc3688

レポート

[2]【ぶっちゃけすぎ】国立西洋美術館「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?―国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ」記

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複数のフレームとの密かな戦い――「豊嶋康子 発生法――天地左右の裏表」東京都現代美術館 レビュー 中島水緒

複数のフレームとの密かな戦い――「豊嶋康子 発生法――天地左右の裏表」東京都現代美術館 レビュー 中島水緒

「回顧」「回廊」「回転」東京都現代美術館で豊嶋康子の個展「発生法―天地左右の裏表」が開催された。初期作から近作まで約500点を集めた同展は、1990年頃から活動してきた豊嶋の仕事を検証する格好の機会を提供するものであった。

同展はいわゆる回顧展=レトロスペクティブである。レトロスペクティブ retrospectiveの接頭辞retro-は「後方の」、spectiveのspectはラテン語の動詞s

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「コレクションズ・ラリー 愛知県美術館・愛知県陶磁美術館 共同企画」愛知県美術館 レポート

「コレクションズ・ラリー 愛知県美術館・愛知県陶磁美術館 共同企画」愛知県美術館 レポート

愛知県美術館では同館と愛知県陶磁美術館のコレクションをそれぞれの学芸員が紹介する展示を開催している。4/14まで。
また同館のコレクション展では新規収蔵品のお披露目もしている。

プレス向け内覧会で取材をしたものの本展はSNS投稿禁止の作品が多く紹介できる箇所が限られているので、筆者が気になったところをピンポイントで紹介したい。

本展入口。石のようなものが積み上げられていた。
これは広告のチラシ

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シュルレアリスム宣⾔100年 シュルレアリスムと⽇本 板橋区立美術館 レポート

シュルレアリスム宣⾔100年 シュルレアリスムと⽇本 板橋区立美術館 レポート

ヨーロッパから紹介されたシュルレアリスムは日本へ大きな影響を与えた。その展開を戦前の最初期から戦後まで、作品と豊富な資料を交え紹介する展示が板橋区立美術館で開催されている。 4月14日まで。本記事は3月24日までの前期展示を取材した内容となっている。

序章 シュルレアリスムの導入
1924年シュルレアリスム宣言を発表、理性に制御されない無意識界の探求し不可思議なものを賛美する詩人アンドレ・ブルト

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得体の知れない、無名の三人の歴史を振り返る――『天地耕作(あまつちこうさく)初源への道行き』展示レポート

得体の知れない、無名の三人の歴史を振り返る――『天地耕作(あまつちこうさく)初源への道行き』展示レポート

「私は浜松の駅前で生まれ育ちましたが、天地耕作のことを何一つ知りませんでした。本当に私のアンテナに引っ掛からなかった。どうしてなんだろう?とここ暫く考えてまいりました」

展覧会のオープニング・セレモニーで、静岡県立美術館館長でもある近代美術史研究者、木下直之は、上記のような、些か異例と感じさせるスピーチで『天地耕作』を紹介した。

『天地耕作』のメンバーである村上誠は、それを受けて、以下のように

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ART FAIR TOKYO(アートフェア東京 2024年)レポート

ART FAIR TOKYO(アートフェア東京 2024年)レポート

日本最大のアートフェア、ART FAIR TOKYO(アートフェア東京)が開幕した。会期は3/10(日)まで。
本展の見所などを解説した記者会見のレポートや展示の一部を詳しく取り上げた記事は次のとおり。

プレビューのオープニングレセプション。左から鬼頭健吾、久保田真帆、北島輝一。後方の写真はメインビジュアルへ採用された鈴木理策の作品。

株式会社メルコホールディングスの協賛で設置された鬼頭健吾の

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