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[理系による「映画」考察] ゾラの生涯(1937) ➡体制・大勢への反骨、すなわちパンク

表題を説明する前に、まずは"パンク"の定義をしたいのですが、個人的には下記の3つがあると思います。

① ファッションとしてのパンク
② 自由を求めた体制・大勢への反骨としてのパンク
③ その後の価値観を全く変えるパンク

①は、セックス・ピストルズのような服装(ファッション)を意味しています。
②は、文字通りです。
③は、美術界で言うと、デュシャンの泉、のように、その後の美術の認識を変えるほど破壊力のある価値観の革命、を意味しています。

ちなみに②と③は明確に区別できず、②の結果③となるケース、も多々あると思います。

"ゾラの生涯"は、②に当たりますが、この映画をより楽しめるように、フランスパンクの起点であるゾラと交友のあったマネを説明します。

マネを端的に説明する作品が下記の"草上の昼食"です。

裸婦画ですが、外でなぜ裸?、の疑問が湧くと思います。それは、男性は貴族(もしくは上流階級)で、女性は娼婦で、貴族が娼婦を私有地の森に呼んで…となると、なんとなく想像できると思いますが、マネはそんな上流階級の内情を絵画で暴露したのです。そして暴露絵画をサロンに出品するという、なんともすごいパンク魂…

どうやら、1800年代後半のパリは、上記のマネを起点とする、いままで公にされなかった事実を世に出す、という抑えきれないパンクな雰囲気が一部であふれ出ていたようで、よってこの映画でも前半に"暴露"というセリフがあり、ドレフュス事件がその盛り上がりが最高潮に達した象徴として描かれています。

で、自身が思うのは、上記は、現在の日本の"ガーシーからジャニー喜田川さんに関する暴露"の流れと同じではないか?、です。その解を得るには、10年後に再検証する必要があると思われますが、もしYesであるならば、この映画の登場人物の1人であるセザンヌのリンゴのような③のパンクに帰結するとよいな~、のつぶやきで今回は終わりにします。


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