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妄想物語

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街で見かけたあの人この人を主人公に、勝手に妄想して作ったお話です。 もしかしたら、あなたのお話かもしれません、
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全身黄色の男性(妄想物語)

全身黄色の男性(妄想物語)

朝、会社までの道を少し遠回りしてウォーキングしていた時、目の覚めるような黄色のロングTシャツに、同じ色のズボン。
サンダルも同じく真っ黄色の格好のおじさんが、ゴミを出すために
これまた真っ黄色の網を持ち上げて、ゴミを捨てていました。

イエローマンや…

その昔イエローマンと言われる男が住んでいました。
いつも全身黄色の服を着て、走っていました。
長距離ランナーなので、町中の至る所で見かけました。

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どうしてもエレベーター(妄想物語)

どうしてもエレベーター(妄想物語)

ある朝、電車から降りて階段に向かう時、前からすごい勢いで来た女性とぶつかりそうになった。

人々の流れとは逆方向。
え?
と思ったら、私の後方にエレベーターの乗り場があった。

いや、そっちからなら階段降りても変わらんだろ。
小走りでくるくらいだから、階段を降りるのが困難というわけではなさそうだ。
振り向いた先のエレベーターは、今にも閉まりそうだった。

このエレベーターに乗れず次を待ったら、完全

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ポケットに両手を突っ込んで歩く彼女(妄想物語)

ポケットに両手を突っ込んで歩く彼女(妄想物語)

朝、よくすれ違う20代くらいのお姉さん。
ピシッと黒や紺のパンツスーツ。
高めのヒール
髪は黒髪のボブ。

そのお姉さんはいつも、バックなどは持たず、両手をパンツのポケットに入れて、
カツカツカツと歩いている。

カッコいい
カッコいいんだけどね

万が一躓いたら悲惨だよ。

子供もの頃、両手をポケットに突っ込んで歩くのは危険だよって習わなかった?

いや、若い人は、そう簡単に躓かないだろう。

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頭ひとつ半出た彼(妄想物語)

頭ひとつ半出た彼(妄想物語)

頭ひとつ抜けると言うと、
通常は技術や能力が人より抜きん出て優れている人のことを言う。

元々の語源は、言葉通り、
一人背が高い、
目立っている、
からきているようだ。

とはいえ誤解を防ぐために、ここでは
頭ひとつ出た
と言う表現を使うことにする。

つまり言葉の通り、彼は目立って身長が高い。
彼の場合は頭ひとつ半出ている。

とにかく背が高い。
175センチはあるだろうと思う男性の中でも、頭ひ

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イライラ夫の妻(妄想物語)

イライラ夫の妻(妄想物語)

朝の駅前の信号がない横断歩道
電車が来てしばらくの間はダラダラと人の横断が続く。

私が横断歩道を渡ろうとすると、止まっている車が、ジリッと出ては止まり、ジリっと出ては止まりを繰り返している。

早くいけって思っているんだろうな。
そう思って運転手の顔を見ると、60代位の男性が、大口を開けて怒った顔で何か叫んでいる。
行かせてやりたいけど、私1人止まったところで、周りの人は止まらずにどんどん歩いて

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新米駅員の高揚(妄想物語)

新米駅員の高揚(妄想物語)

電車がK駅に止まった。
人の乗り降りがそこまで多くないその駅は、通常30秒から1分ほどで扉がしまる。

しかしその日は、いつまで経っても扉が閉まらない。
車内がざわつき始めた、何やらホームが騒がしい。
多くの駅員が走り回っていて、そのうち数名が車内に入ってきた。

その時に車内アナウンスが入る

ただいま車両点検のため、停車中です。
しばらくお待ちください。

駅員たちは、車内をキョロキョロと見回

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朝から大泣きの彼女(妄想物語)

朝から大泣きの彼女(妄想物語)

まだワイヤレスイヤホンが今ほど普及する前の話。
出勤時、私が信号待ちをしていたら、向かい側の道路の少し先で、20歳前後と思われる女の子が、携帯電話を耳に当てながら、大泣きしている。
電話をしているようなのだけど、あれだけ泣いていたら、話もできないだろう。
どうしたんだろう?
誰かの訃報?
いや、泣いてる場合じゃないだろ、すぐ行かないと!
別れ話? 朝から?
こうして私の妄想物語が始まった。
(当時

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リュックに鈴をつけたおじさん(妄想物語)

リュックに鈴をつけたおじさん(妄想物語)

仕事終わり、駅へと向かう道。
どこからか鈴の音が聞こえる…
サンタさんですか?

みると少し前に、サンタさん ではない普通のおじさんがいた。
彼はリュックサックの真後ろに鈴を2個つけていた。2〜3センチの銀色の普通の鈴だ。

たまに財布に小さい鈴をつけている人はいるけれど、リュックに、しかもあんな大きな鈴を、2個もつけている人を初めてみた。

このおじさんは歩くのが早く、どんどん私との距離は広がっ

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爪を切りながら歩く人(妄想物語)

爪を切りながら歩く人(妄想物語)

朝出勤途中、何やらパチンパチンと音がする。
何だろう?とあたりを見回すと、前から歩いてくる男性が、爪を切りながら歩いてくる。

え?
爪切りながら歩く人、初めてみた。
歩きながらで、うまく切れるの?
切った爪ばら撒き方式?
何で、わざわざ朝歩きながら爪を切るのだろう…

こうして又私は妄想の世界に突入した。

彼はとても几帳面
というか神経質。

爪も、いつも爪先の白い部分は1.5ミリにしていなけ

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