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私の本棚

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読書記録。伊坂幸太郎が好き。
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記事一覧

鮮やかな色彩と人間臭さに惹かれる「11ぴきのねこと馬場のぼる展」

子どものときに読んだ、馬場のぼるさんの絵本「11ぴきのねこ」シリーズ。好奇心旺盛でずる賢いところもある、でもなぜか憎めない。そんなねこたちに会いに行ってきました! ※展示室内撮影禁止。 ゴールデンウィーク中は同施設でイベントを開催しています。会場内は大変混雑するので、ゆっくり観たい方は平日の来場をおすすめします。 「11ぴきのねこと馬場のぼる展」11ぴきのねこ 展示室に入ると「11ぴきのねこ」シリーズの原画がずらり。他にも、実際に書いたアイデアスケッチからラフスケッチま

「好き」から広がる世界、偏愛マップを書いてみた

Twitterの文具・手帳アカウント界隈で「偏愛マップ」が流行っていたので、私も書いてみた。「偏愛マップ」は、初対面のコミュニケーションに役立つツールだが、自分の振り返りにもよかったのだ。 「偏愛マップ」とは?教育学者である齋藤 孝さんの著書「偏愛マップ」に書かれているコミュニケーション・メソッド。単行本と文庫本で出版されているが、現在は取り扱いがなくなってしまった。中古市場には出回っている。 今回、私は著書を持っていないので、Web上のレビューを参考してみた。(近所の図

誰かのためを思えるなら、「死にがい」なんていらない

「これは青春群像劇なんかじゃない。ホラー小説だわ……」 朝井リョウ著の「死にがいを求めて生きているの」を眺め、私はため息をついた。 本書は、とあるできごとがきっかけで植物状態になった智也と、彼を見守る雄介を中心に進む物語である。 彼らが生きた時代は「平成」。著者の朝井リョウさんも、これを書いている私も、同じ時代に青春を過ごした。 通信簿が相対評価から絶対評価へ、定期テストの順位の張り出しはなし、ナンバーワンよりオンリーワン…… 一見すると、順位を決めないことは優しい

「ねずみくんのチョッキ展」でちっぽけな自分を励ましてもらう

ユーモラスなストーリーと、温かみのある絵で大好きだった絵本「ねずみくんのチョッキ」。 小さいときに慣れ親しんだ絵本の原画展が、宮城県にやってきたのでさっそく行ってきました。 宮城県会場は「石ノ森萬画館」「ねずみくんのチョッキ展」の宮城県会場は、石巻市にある「石ノ森萬画館」。 建物の名前や、写真の仮面ライダーに見られるように、石ノ森章太郎作品を中心に展示されています。1995年7月、当時の石巻市長と交流のあったことからご縁が繋がり、石ノ森萬画館は建設されました。ご興味あっ

ガラスペンの使い道に、なぞる文学のススメ

夏に行われた文具イベントで、ガラスペンが何かと話題になった。でも「思ったより手に取りやすい値段で買えるのか。でも使い道が思い浮かばない…」と購入をためらった方もいるのでは。そこで、手軽にガラスペンを楽しむ方法として、なぞる文学をおすすめしたい。 ガラスペンでなぞる文学 宮沢賢治幻燈館「ガラスペンでなぞる文学 宮沢賢治幻燈館」はその名の通り、なぞり書きを楽しむ本。書き味の違う6種類の用紙と、38種類の書体が楽しめる。 紙好き・フォント好きにはたまらない。HSライトフォースで

「ツバキ文具店」を読めば、きっと何かを綴りたくなる

私が文具を文章で紹介するなかで、憧れている小説がある。小川糸さん著書の『ツバキ文具店』だ。 主人公の鳩子は、鎌倉の小さな文具店を開きながら代筆屋を営んでいる。鳩子の周りをとりまく優しい人々と、おだやかに流れていく日常。代筆屋として依頼者の人生の岐路に伴走し、時に悩みながら成長していくのだ。 ※この感想文は物語の本文を一部引用しています。物語の結末につながる直接的なネタバレはありませんが、まっさらな気持ちで『ツバキ文具店』を読んでみたい方は、ブラウザバックしてください。

「こども文房具2022」は、子どもと、かつて子どもだった文具好きの大人に読んで欲しい

2022年4月28日に発売された、文房具屋さん大賞PRESENTS『こども文房具2022』(以下「こども文房具2022」)を読んだ。 大人向けの文具や手帳本は数あれど、子ども向けはめずらしい。未就学児から小学校高学年向けの内容になっている。勉強に使える文具が充実しているので、小学生とその親御さんが一番役に立つと思う。 うちには、年少になる子どもがいるが、子どもと一緒に楽しめる文具や、子育てに役立つ文具も載っているので参考になる。 …と、いうのは口実だ。かつてはペンケース

「書く習慣」を読んだら、楽しいインターネットを思い出した

ありとあらゆる角度で『書くこと』のハードルを下げて、『書くこと』を好きになって欲しい! 私が、いしかわゆき(ゆぴ)さんの書籍『書く習慣』に受けた印象だ。そして、この本は私が大好きだった2000年代のインターネットを思い出させた。 noteやTwitterって、なんか有益なことを書かなくちゃいけないんでしょ?2010〜2020年代のインターネットビジネス界隈では、『有益な情報』がトレンドの一つであるように感じる。 「芸能人でもないのに、今日のランチについて書いても読まれま

「子育てしながらフリーランス」は妊娠前に出会いたかった

Twitterでたまたま流れてきた「子育てしながらフリーランス」。イラストレーターのカワグチマサミさんの著書で、どうやら”子育てしながら「いい感じ」に働く”ための本らしい。 2021年からフリーランスのWebライターになった私は、「何それ知りたい」と食いついた。そして一気に読んで今にいたる。読み終わった直後の感想は、 「働くすべての人類に読んでもらいたい……」 大げさに聞こえるかもしれないが、この本「フリーランス」と銘打っているものの、子育てしながら働く大変さについて、

高卒低収入ワーママが「ワーママはるのライフシフト習慣術」を読んだ

「ワーママはる」さんをご存知だろうか私がワーママはるさんを知ったのはTwitterである。 育休中、赤ちゃん主体に24時間動くのはわりと孤独なので、Twitterで育児アカウントを作った。その時に見つけたのである。 育休中にお子さんの知育、不動産の勉強などパワフルに活動されているように見える。職場復帰後にはVoicy(音声配信)のパーソナリティーに選出された。2020年4月、会社員を卒業してサバティカルタイムに入り、ヨガスタジオ経営や不動産業、発信業をしている。それなのに

全ての弱きものへ告げる MARS RED感想

※文章後半からネタバレです。気になる方は区切っているので途中まで読んでください。 2021年、今期観ていて面白かったアニメは「MARS RED」だ。藤沢文翁原作の音楽朗読劇で、2013年と2015年に上演された。 各放送局と、各配信サイトで観ることができる。放送日および配信日はバラバラで、7/5に全ての配信先の最終回を迎える。 私は音楽朗読劇のときは知らず、アニメの豪華な声優陣を見て興味を持った。試しに配信サイトで視聴したらハマってしまったわけである。 原作がこだわり

ポストカードと死神

京都行きの移動の新幹線で、友達が何やら熱心に読んでいる。17歳、箸が転んでもおかしい年頃の私たち。修学旅行という一大イベントの時間に、熱心に単行本を読んでいるのは、何かおかしい気がする。 結局友達は行きの新幹線と1日目の夜をその本に費やした。そして、「〇〇(私)も好きそうだから」とその本を手渡した。 私の修学旅行の夜は、その本に溶けた。 帰りの新幹線で、もう1人の友達もその本に費やした。女子高生3人の修学旅行の時間を溶かした、罪深い本の名前は伊坂幸太郎の著書「死神の精度

中田裕二の「ゼロ」に焦点を合わせてみる

中田裕二の「ゼロ」という楽曲を聴いて、インスパイア先の松本清張の「ゼロの焦点」を読んでみたくなった。 時代背景も文体も古いので松本清張作品を敬遠していたのだけど、一度読み始めたら気にならなくなるくらい読みやすかった。 ミステリーなので殺人事件は起こるものの、この物語の哀愁がそうさせるのか、終始淡々とした印象で物語は進んでいく。 なのに続きが気になって仕方がないのだ。 読み終わった今となっては、「ゼロ」が中田裕二のフィルターを通した歌詞と、終始淡々としたメロディーラインと時

先入観に立ち向かう言葉

私は、学校が嫌いだ。 走れば遅いし、投げれば飛ばない。つまり運動音痴なのである。そのうえ、空気を読む能力が低いので、集団行動の集大成である日本の公立校にことごとく向いていないのである。 でも、学校に通う以外の選択肢を与えられず、なんとか日々をやり過ごしている。 私は、担任の先生が苦手だ。 給食は完食するのが好ましいと考え、グループで全員が食べられるのを目標とさせる。授業が終わらないと休み時間を削った。つまり連帯責任にしたのだ。給食以外にも、自分の理想とする教育をするた