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中条比紗也先生ありがとうございました。少女マンガは心に咲くひまわりだ。

少女マンガが大好きだ。

はじめて漫画を読んだのはとある手術で入院した5歳のころ。
親に買ってもらった神風怪盗ジャンヌが最初だった。
恋も性行為もなんにも知らない年だったけど、キラキラした絵に惹かれて夢中になった。

なにかに夢中になること、人とぶつかって泣くこと、人を好きになること、好きの先に関係を築くこと。
人生でこれから出会うことを少女マンガは先取りして教えてくれた。

そんな私にとって、特別なマンガはいくつかある。
そのうちの1つは「花ざかりの君たちへ」だった。

はじめて読んだのは高校1年生の頃、当時もう連載は終わってたけどドラマがやっていた。
帰国子女の主人公が男子校に入るという設定は無理があるとか大人は思ってしまうかもしれないけど、そんな設定は全然気にならなかった。

素直な主人公の瑞稀には憧れたし、誠実で不器用な佐野くんが報われてほしいと思った。関西弁で明るい中津は出てくると和んだ。

ダサい制服の共学の高校に通ってた自分にとっては、私立の寮がある高校なんて夢の世界の青春。(感覚でいうと大学生の方が彼らの生活には近いかもしれない)

一緒に暮らしているから問題が起きても顔を合わせなきゃいけない環境。ぶつかり合って仲直りする姿は友情を教えてくれた。

心が折れてるときに三者三様の対応をしてくれる姿もリアルだった。優しさにはいろんな形があることを教えてくれた。

瑞稀が英語をペラペラ話す姿と、ピーナツバターたっぷりの朝食を食べる姿は、学校の英語を飛び出したアメリカの生活を感じさせてくれた。

私の話ではないけど、友達の青春の話を見せてもらってるような感覚で分厚いマンガを一気に読んでいた。


ストーリーだけでなくて、イラストも素敵だった。
男女の骨格とか横顔がキレイで、うっとりと見返してしまうページは数え切れなかった。


マンガ、特に少女マンガは、「卒業」してしまう人が一定層いる。大人になって現実に追われるうちにときめかなくなるとか、子どもの行動に見えてしまうとか人によってきっかけは色々だろう。特に理由もなく離れる人もいる。

かくいう私も同棲したりなんだりで引っ越しを繰り返してるうちに本を置けなくなって買わなくなった少女マンガがたくさんある。最初の頃は買いたくて続きから集めたりしてたけど、少しずつ電子に移行して、本屋に通わなくなるうちに買わなくなってしまった。

でも、今日みたいに人生のとある瞬間に思い出して、あの時間が心を踊らせてくれたことがうれしくなる。
少女マンガは心の原点に立ち返れる存在だ。


『花ざかりの君たちへ』に、思春期に出会えたことが心の底からうれしい。
マンガを制作するということがどれほど労力を使うことかは想像し得ないけど、本当に本当にこの世に出してくれてありがとうという気持ちしかない。

中条比紗也先生、心からのご冥福をお祈りいたします。
先生の作品はひまわりみたいな温かさでした。
これからも思い出して、一生で何度も読み返します。


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