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[詩]ムンクは叫ばない


僕の不完全な感情を
もっと早く君に伝えるべきだった
他意はないよなんて
戯曲を述べるくらい余裕ないなんで

夜に溶けて蒸発するのを
鈍色のメロディにのせて奏でるよ
壊れたべき論でお笑い草
もっと自由に羽ばたかったなんて

季節はいつも回るのに
蝉時雨は折り重なる命
なんだか自分にはパイが
回ってこないことに気がづいた

どこまでも伸びる影法師
どこまでも落ちる黄昏が
くだらないプライドが足を引っ張って
真実を告げる事ができない
また朝が見えたら笑えるかな

今日は海洋を泳ぐ双曲性は傾いて
掠れた電球を磨くように記憶を消さないで

善も悪も分からない脳が
混濁した用水路の価値基準だ
蒸し暑い気持ちに酔って今
一思いに空を仰ぐことにしたよ

変えたかった未来は何処?
変わらない今になって叫んだ
孤独に染まった黒は
鼻から伝う鉄の味だった

ここで仕方ない夕立も
この燃える皮膚を抑えても
また明日をいえる君がいたのならって
帰る事ができたはずだろう
朝靄を漕いだ二つの自転車

今日剥製がやってくるか?
投合することはなく失調していく
君に告げる事が怖かったムンクは叫ばない

笑い物だったときの笑顔
まがいものの感情だった
間違い探しをするはずだったけれど
間違いが見つからない気づいた
ヒーローは僕の元には来ない

今日は海洋を泳ぐ双曲性は傾いて
今日は海洋を泳ぐ双曲性は傾いて
掠れた電球を磨くように記憶を消さないで
深ける朝をを横に僕は眠るよ

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