mozhi gengo

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  • 印欧語根表メモ

    英語語源辞典の語根表から辿った派生語のメモ

最近の記事

*werǵ- [Ergal/work]

商標の普通名称化は世の中にたくさんある。ちょっとした化学分野に関係した仕事をしている人なら、技術者ではなくて事務仕事をしていてもテフロンやバイトンといった言葉を聞いたことがあるかもしれない。これらは実は一般名詞ではなく商品名・ブランド名だ。 アルミニウム合金のタイプでErgalというものがある。超々ジュラルミンとも呼ばれたり、JIS規格でA7075と指定されているものだ。海外業者ではErgalと言うことが多い。他にも Zicral や Fortal Constructal

    • *bʰendʰ- [bond/बन्धु]

      英語のbind の印欧語根は *bʰendʰ- ("to tie") だが、 意味や響きからすぐに Sktの बन्धति [bándhati] ("to bind") や Hindi の संबंधित [sambandhit] ("related, connected, associated") が思い浮かぶ。 Sktのबन्धु [bándhu] は血縁という「絆 bond」や血が「つながっている人 relatives, kinsman」のことを指す。もちろん「絆」と

      • *ǵews- [gusto/दोस्त]

        ドーストはガストでグスターレするって、な~んだ? 英語史コンテンツ50+「パンはパンでも一緒に食べるパンはな~んだ?」より https://keio.app.box.com/s/qxqnc9kggyfgerkhugqvmsxboar0timx companion や company や mate が「共に食べる」の意味が含まれている言葉であることを紹介した記事。食事と人の絆を結びつけた表現が様々な国に見られることが面白かった。ではインド語派ではどうだろう。mate や m

        • *gʰrebʰ- [gravure]

          印刷技術まわりのあれこれ "墓"のgraveと、音楽の"groove"と、グラビア"gravure"は同語源。音の響きからも"grv"が共通しているのでつながりは想像がつくが、どういう経緯か。いずれも語根 *gʰrebʰ-からで「引っ掻く、掘る」という原義。-graphやcarveの語源の *gerbʰ-と意味も音も似ているが、これは別もの。他に似ているが grab, grasp, greifen, ग्रह (graha)の語根 *gʰreyb- とも別。みんなガリギュリ

        *werǵ- [Ergal/work]

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          14本

        記事

          *seyb- [soap/साबुन]

          石鹸まわりの単語。シャボン玉の「シャボン」と石鹸の「ソープ」は同語源。 ソープ ←現代英語 soap ←古英語 sāpe ←西ゲルマン祖語 *saipā ←ゲルマン祖語 *saipǭ ←印欧祖語 *seyb-, *seyp- シャボン ←ポルトガル語 sabão ←ラテン語 sāpōnem ←ゲルマン祖語 *saipǭ ←印欧祖語 *seyb- *seyb- には “to pour out, drip, trickle, strain” の原義があるようだ。ラテン語には

          *seyb- [soap/साबुन]

          *gʷeh₂bʰ- [baptize/गहरा]

          Ancient Greek βάπτισμα βαπτίζω (baptízō, “I dip in liquid”) βάπτω (báptō, “to dip”) +‎ -ῐ́ζω (-ízō) Proto-Hellenic *gʷápťō Proto-Indo-European *gʷh₂bʰ-yé-ti *gʷeh₂bʰ- (“to dive, dive in”) → Persian ژرف (žarf) “deep” Sanskrit गभीर (ga

          *gʷeh₂bʰ- [baptize/गहरा]

          *ang- [England/उंगली]

          Englandの語源になった語根*ang-には"curve, bend"つまり"カクッとまがったもの"を指す意味がある。Anglo-Saxonの故地名、Angelnは"釣針"の地形に由来しているとか。 他にカクッっと曲がっているものと言えば、anchor"⚓️"、angle"角度"やankle"くるぶし"も*ang-に関係している。インド語派に行くと、サンスクリット अङ्गुरि/अङ्गुलि (aṅgúri/aṅgúli) "指" や अङ्ग (áṅga) "体の部

          *ang- [England/उंगली]

          *kh₂em- [camera/campus]

          英語語源辞典ではcameraに繋がる*kamer-とcampusに繋がる*kamp-は別項目になっていて、同じようにto bendの意味だが同語源とはみなされていないかもしれない。*kamer-と*kamp-を繋げる見方もあるようだ。 camera ←L camera ←AG καμάρα ←Proto-Iranian *kamarā- (“something curved”) ←*kamárati ←PII *kmárati ←IE *kh₂em- (“to bend,

          *kh₂em- [camera/campus]

          *meh₁- [moon]

          moon ←ME Mone, mone ←OE mōna, ←PWG *mānō, ←PG *mēnô ←IE *mḗh₁n̥s (“moon, month”) ←IE *meh₁- (“to measure”) lunar ←ME lunar ←L lūnāris ←OL losna ←PI *louksnā ←IE *lówksneh₂, ←IE *lewk- (“bright; to shine”) चंद्रमा ←S चन्द्रमाः (candramā

          *meh₁- [moon]

          *ǵenh₁- [kin]

          kin ←ME kyn ←OE cynn (“kind, sort, rank”) ←PWG *kuni ←PG *kunją (“race, generation, descent”) ←IE *ǵn̥h₁yom ←IE *ǵenh₁- (“to produce”) father ←IE *ph₂tḗr *peh₂- (“to protect, shepherd”) +‎ *-tḗr (agent suffix) mother ←IE *méh₂tēr *ma (

          *ǵenh₁- [kin]

          *weǵʰ- [way/विवाह]

          「道」という語は極めて具体的でいつの時代もあるはずなので、あまり変化せずにいるものかと決めつけていたが、「道」は人の様々な活動が激しく往来する場所であるためか、その語彙や意味の往来も激しく、「道」を指す語に別の意味が加わったり、別の意味に変化したりして変遷しているようで、どんな土地をどんな角度から見ているか、「道」に対して様々な視点が存在することに気づかされた。 [way] ←ME way, wey ←OE weġ ←PWG *weg ←PG *wegaz ←IE *weǵ

          *weǵʰ- [way/विवाह]

          *gʰe(n)d- [get/gait?/gate?]

          ゲルマン祖語から中英語まで「道」を指す語はgate/gaitだった。「門扉」のgateに押し出されて今では「道」という意味を奪われてしまったが、Canongateのように通りの名前に今でも残っているそうだ。 [gait] ←ME gate ("way") ←Old Norse gata ("road") ←PG *gatwǭ ("street, passage") 英語語源辞典では*gatwoの語源は不詳となっている。もしgetの語根*gʰe(n)d-に関係があるなら、「

          *gʰe(n)d- [get/gait?/gate?]

          *demə- [domestic]

          domestication (dangerと同語源) と、tameは同語源か? 英語語源辞典の印欧語根表では domestic/dangerのdem(ə)-¹とtameのdemə-²は別立項されているので、同語源ではないとの見解のようだ。 domestication ←E domestic(+ation) ←MF domestique ←L domesticus ←L domus (“house, home”) ←PI *domos ←IE *dṓm (“house, h

          *demə- [domestic]

          *gerbʰ- [grammar]

          文法・文法的とはどういう語源的意味だろう。 grammar ←MEnglish gramere ←OF gramaire (“classical learning”) ←unattested Vulgar Latin *grammāria ←an alteration of Latin grammatica ←AG γραμματική (grammatikḗ, “skilled in writing”) ←AG γράμμα (grámma, “line of writi

          *gerbʰ- [grammar]