信州の伝統野菜
長野県民の地元愛は強い。長野県に縁もゆかりもない人に、長野県の形を訪ねても正しく回答できると思っている。
……んな訳なかろうに。
私、まったく縁のない県のかたち描けって言われても、描けないもん。
さて。長野の形がわからない、他県の皆さま。長野県とはざっくりと言うと、“たてなが”である。地図帳を見てくれると私の語彙力の低さがカバーされるので、ありがたい。
同じく縦長の日本と同じように、北と南で文化も違えば、言葉も違う。ひとくちに信州といっても、県民性はまるで別物だったりするのだ。
で、私は南の生まれ。よって北の文化に疎い。
そこで、これを見て欲しい。
これ。ご存知だろうか。どうみても、発育を間違えちゃったピーマン。
これ実は、長野県中野市(長野県でも北)の伝統野菜“ぼたんこしょう”というのだそうだ。とうがらしの一種。家庭菜園で作ってる人にもらった。
ちなみに一緒にもらった、京の都の伝統野菜である“万願寺とうがらし”は知っていた。万願寺とうがらしの天ぷら好き。
北信州の伝統野菜を食そう(下調べ)
まず、“ぼたんこしょう”という名前。上から見たとき牡丹の花に似ているから、だそう。
ほほォー。
牡丹、ぼたん…
ぼた……ピ…
ピーマン。
……いや、わちゃわちゃしてる感じが、牡丹の花びらに似てなくもない。
そして調理法も探す。
“やたら”と言われる、これまた北信の伝統料理がイチオシらしい。しかしネットで調べても「材料刻んで混ぜるだけじゃい」的なレシピしかヒットしない。材料にナスが含まれているのだが、ナスは生で良いのか…?アク抜きは…?等々の疑問が拭いきれず、中野市出身の友人に久しぶりにラインをしてみた。レシピ教えてー、と。
……だが。
2人の男児の子育てに奮闘中の彼女。一度は既読をつけたものの、たぶん何らかのハプニングで返信を忘れたのだろう。その後36時間待っても返信が来ることはなかった。
北信州の伝統野菜を食そう(取扱上の注意)
仕方ないので、自力で再びグーグル先生をグールグル。調べを進めるうちに、こんな記述を発見。
ええええ。ちょっと待て。なにそれどこの劇薬か……。
えらいものを貰ってしまった。と思いつつも、このぼたんこしょう、調べれば調べるほどに美味しそう。友人からのラインを待ったことによって、採れたてだったヤツも採れたてではなくなってしまった。そこで、おなじくオススメ料理として名が挙がっている、天ぷらで頂くことに。どうせ万願寺とうがらし揚げるしね。
北信州の伝統野菜を食そう(調理)
ここで私のいつもの天ぷら衣の材料。
薄力粉、たまご、氷、水、塩(ひとつまみ)。
まぁ、ありがちなレシピ。
最初こそ、忠告通り手袋をして切っていたが、途中からは、しゃらくささに勝てず素手で切断&種除去。手は無事だった。肌強くて良かった。目は怖いから試してない。
ちなみに天ぷらといえばエビ!エビの背ワタ取りが1番しゃらくさかった(写真撮る余裕もないほどに)。
では、揚げていこう。ちなみに衣は画像よりも固めの方がオススメだ。ちょっと今日はゆるくしすぎた。
そして揚げている間の写真もない。
それどころじゃなくて忘れたんだけど、そういう訳じゃない。日本人なら、天ぷらしてる時は火から目を離すな、と子どもの頃からそう教育されている筈だ。私は間違っていない。
天ぷらを揚げるとき、私は鉄のスキレットを使っている。実家で昔から祖母が天ぷらの時に、古き良き鉄フライパンを使っていた名残なのだが。美味しく揚る気がするし、流行のスキレットにも油が馴染んで良い感じだ。
北信州の伝統野菜を食そう(実食)
今日は非常に暑かったので、そうめんと一緒に。むかって1番右がぼたんこしょう。
まず緑から。
おおー、美味しい。程よく遠くで苦くて、めんつゆと相性が良い。ししとうの天ぷらみたい。これは暑い夏に箸が進む味。
そして赤。
……!!かッッら。 うわ、でも美味い。
思わず口を開いて、手うちわをしてしまうくらい辛い。なのに、ただ辛いだけではなくて、旨味もある。すごく美味しい。
この辛味をビールで、グググイっと押し込んだら、さぞ至高だろう。
くそ。ビールが欲しい。
赤いやつは1人半分ずつなのに。もう手遅れだ…。辛くて冷蔵庫まで保たずに、手元の麦茶を飲んでしまった。
なんで……ネットこんなに調べたのに、私ビールを用意してなかったんだろう…。
なめてた……。ぼたんこしょうの旨さを、なめてた……。
北信州の伝統野菜を食そう(感想)
調べによると、秋口の涼しくなったくらいに、また辛味が増すらしい。悔しいので時をみて、北信の産直まで買いにいこう、と思った。
とまぁ。そう思いながら、本日帰宅が遅い夫の分の皿を眺める夜である……(赤いやつ食べちゃってもバレないんじゃね?)。
非常においしかったので、北信州へ立ち寄られる機会があった際は、ぜひお試しいただきたい。
呑み屋さんで「ぼたんこしょう焼いて」っていうと出てくるってウワサだ。
ちゃんちゃん。
最後までご覧頂きありがとうございます。 あなたが、これを読んでちょっとだけ、懐かしい気持ちやあったかい気持ちになってくれたら嬉しいです。 精進致します。