中村宗悦

1961年大阪府生まれ。現在、大東文化大学経済学部教授。主要著書:岩田規久男編『昭和恐…

中村宗悦

1961年大阪府生まれ。現在、大東文化大学経済学部教授。主要著書:岩田規久男編『昭和恐慌の研究』(東洋経済新報社 2004年)、『経済失政はなぜ繰り返すのか』(東洋経済新報社 2005年)、渋沢研究会編『はじめての渋沢栄一』(ミネルヴァ書房、2020年)など。

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『鎌倉殿の13人』を復習する(2)

今日はNHKでお昼から『総集編』が放送中だが、ちょうど前半の頼朝パートが終わったところ。その頼朝を扱った2019年に刊行された中公新書、元木泰雄『源頼朝ー武家政治の創始者』を紹介しておこうと思う。 まずはその構成は以下の通り。 はじめに Ⅰ 頼朝の登場−河内源氏の盛衰 Ⅱ 流刑地の日々―頼朝挙兵の前提 Ⅲ 挙兵の成功―流人の奇跡 Ⅳ 義仲との対立−源氏嫡流をめぐって Ⅴ 頼朝軍の上洛−京・畿内の制圧 Ⅵ 平氏追討−義経と範頼 Ⅶ 義経挙兵と公武交渉−国地頭と廟堂改革 Ⅷ 義

    • 『鎌倉殿の13人』を復習する(1)

      『鎌倉殿の13人』で義時の父・時政はその妻・りくとともに異彩を放っていた。その時政に関するミネルヴァ書房の評伝シリーズの1冊である野口実著『北条時政:頼朝の妻の父、近日の珍物か』を紹介しておこう。 同書は、鎌倉幕府初代執権の北条時政に関する評伝。帯の惹句にある「緻密な史料批判・最新研究の成果……「老獪な政治家」の実像に迫る」を裏切らない。しかし、さすがに史料が少なく総ページ数も212ページ。あっという間に読了。 序章では従来の北条時政のイメージについて。いわゆる先行研究批

      • 2022年視聴したなかで面白かったTVドラマ

        第1位 『エルピス ー 希望、あるいは災い ー』 長澤まさみは『コンフィデンスマンJP』のダー子がはまり役だが、今年は『シン・ウルトラマン』や大河のナレーションと活躍の年だった。最後の〆がこの『エルピス』。とても素晴らしい作品に出会えて良かった。最終回の眞栄田郷敦や鈴木亮平とのシーンは圧巻であった。ただ、全編通じてもっとも良かったのが村井役の岡部たかし。間違いなく名脇役としての彼の最高キャリアになる作品だろう。 第2位 『拾われた男』 自分も弟を亡くした今年、兄弟の関係

        • NHK連続テレビ小説『舞い上がれ!』2022年10月10日(月)第2週「ばらもん凧(だこ)、あがれ!」(6)

          『舞い上がれ!』、視聴率は非常に低迷しているようですが、まだまだこれからだと思いますので、頑張って欲しいな、と思います。しかし、ちょっと大人しすぎる気もしますね(それが安心という声もあります)。主題歌も何だかパッとしませんし(『ちむどんどん』の主題歌『燦々』は良かったです)。あの紙飛行機に脚が生えた折り紙は気持ち悪いです(あくまで個人の感想ですが)。 子役の舞ちゃんは小学校3年生設定でしたっけ? 小学校3年くらいならば何か自分が夢中になれることを一心不乱にやればよろしいかと

        『鎌倉殿の13人』を復習する(2)

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          『鎌倉殿の13人』応援感謝!ウラ話トークSP~そしてクライマックスへ~(2022年10月9日放送 NHK BSP 18:00-18:45 総合20:00-20:45)

          北条時政、政子、義時、泰時、そして比企能員を演じた俳優の皆さんがスタジオでこれまでの裏話を中心にお話しするという趣向。途中、脚本家の三谷幸喜さんへのインタビュー、今まで退場した役者さん(上総介を演じた佐藤浩市や義経を演じた菅田将暉)へのインタビューなどをはさみながら和気藹々と番組は進行し、最後に、義時が死ぬ最終回は「あっと驚く」内容の脚本であることが予告された。坂東彌十郎も佐藤二朗もクランクアップしており、最終回の本は読んでいないとのことであった。 次週第39回は「穏やかな

          『鎌倉殿の13人』応援感謝!ウラ話トークSP~そしてクライマックスへ~(2022年10月9日放送 NHK BSP 18:00-18:45 総合20:00-20:45)

          NHK連続テレビ小説『舞い上がれ!』2022年10月7日(木)第5回

          舞のストレスはお母ちゃん(永作博美)に良い顔をしようとして自分を抑えていたことが原因だとほぼ判明。ともかくお母ちゃんは一度東大阪に帰ることを決断。この決断ができたことは立派。 最後にお祖母ちゃんには舞がはじめて自分の気持ちを素直に表明できたことを褒められて次週へ続く。五島のばらもん凧のように元気に育ってくれることを祈っています。

          NHK連続テレビ小説『舞い上がれ!』2022年10月7日(木)第5回

          NHK連続テレビ小説『舞い上がれ!』2022年10月6日(木)第4回

          今日の回で舞ちゃんの病気の原因がほぼあきらかになった。そういう回。子どもにはのびのびとやりたいことをやらせてあげることでストレスが払拭されるということか。それにしても磯遊び(遊びじゃないか・w)は楽しそう。なかなか都会の学校では味わえない体験ですね。 五島方言 みじょか=可愛い 五島の磯で注意しなければならない生き物 ゴンズイ 五島の迷信 カッパよけにはひょうたん ガジュマルによく似た木 アコウ

          NHK連続テレビ小説『舞い上がれ!』2022年10月6日(木)第4回

          NHK連続テレビ小説『舞い上がれ!』2022年10月5日(水)第2回と第3回

          昨日は12時45分から第2回の放送はあったそうですが、見逃した方は今朝2回分をご覧になったのではないでしょうか。 医者のススメで「転地療養」することになった舞ちゃん、お母さんの故郷である長崎五島に行くというお話の内容。五島列島に私は行ったことないですが、先日、姪っ子が彼氏の故郷の五島に行ってきて歓待を受けている写真を見せてもらいました。ドラマのなかではフェリーと小型船を乗り継いで舞の母親(永作博美)の母、舞のお祖母さん(高畑淳子)の住む家に行ったのですが、なかなかアクセスが

          NHK連続テレビ小説『舞い上がれ!』2022年10月5日(水)第2回と第3回

          NHK連続テレビ小説『舞い上がれ!』2022年10月4日第2回は明日に延期

          上記リンク先のYahoo!ニュースでは「中止」って書かれていますが、明日もJアラートが鳴るなんてことが起こらなければ、明日へ「延期」だそうです。8時から第2話、8時15分から第3話が放送予定。 しかし、北朝鮮の挑発的行為にはホント腹立たしいものがありますね。「平和な朝」はだまっていても自然に手に入るものではないということを思い知らされます。

          NHK連続テレビ小説『舞い上がれ!』2022年10月4日第2回は明日に延期

          NHK連続テレビ小説『舞い上がれ!』2022年10月3日第1回の感想

          私は東大阪市(旧布施市)出身なのでちょっと注目。時は1994年。東大阪市の町工場の娘、岩倉舞は原因不明の発熱で学校を休みがち。新学期が始まって1週間もお休み。しかし、母に促されて登校。クラスでは貴司くん発議で「飼育係」に任命されるが、ウサギには逃げられて走り回ってまた発熱という筋書き。まさか歌子の遺伝子ではあるまいが、原因不明の発熱は怖すぎ。ちゃんと治して目指すパイロット(夢のなかの話)になってほしいものです。 ところで町工場の技術力が日本の「ものつくり」を支えているという

          NHK連続テレビ小説『舞い上がれ!』2022年10月3日第1回の感想

          『鎌倉殿の13人』第38回「時を継ぐ者」(2022年10月2日放送 NHK BSP 18:00-18:45 総合20:00-20:45)

          前回から引き続いてのいわゆる「牧氏事件」。時政とりくが伊豆に追放され、京の平賀朝雅が討たれ、義時が第2代執権職を引き継ぎ、鎌倉政権のトップに立った。すべて義時の企み通り。ドラマ中、政子が頼朝様にも慈悲の心はありましたと時政の命乞いをするのだが、そこら辺も義時の計算通りであったと思う。ただ、りくを完全排除(暗殺)しようとまで考えていたかどうかはわからない。ドラマでは暗殺者のトウを差し向けるが、失敗するという筋立てになっていた。 しかし平家滅亡後、あるいは頼朝死去後、ドラマ自体

          『鎌倉殿の13人』第38回「時を継ぐ者」(2022年10月2日放送 NHK BSP 18:00-18:45 総合20:00-20:45)

          『鎌倉殿の13人』第37回「オンベレブンビンバ」(2022年9月25日放送 NHK BSP 18:00-18:45 総合20:00-20:45)

          謎のタイトルの正解は、大姫の呪文を皆で思い出すなかで出て来た1つであった。しかし、北条一族の束の間の和やかな雰囲気も時政とりく、そして政子と義時の間の確執を解消するものではなかった。 次回は「時」を継ぐ者ということで、時政から義時への政権交代劇が描かれる。10月6日放送はトークスペシャル番組。16日放送から年末の12月18日最終回までいよいよクライマックスへ進んで行くことになる。

          『鎌倉殿の13人』第37回「オンベレブンビンバ」(2022年9月25日放送 NHK BSP 18:00-18:45 総合20:00-20:45)

          『鎌倉殿の13人』第36回「武士の鑑」(2022年9月18日放送 NHK BSP 18:00-18:45 総合20:00-20:45)

          今回は畠山重忠の乱。大掛かりな戦闘シーンのロケはさすがのNHK。そして、まさかの義時、重忠が一騎打ち。大河ドラマ史に残る名場面だったでしょう。そして、重忠を討たせたことによって急速に御家人たちの支持を失う執権・北条時政。欲を出しての勇み足は、しかし、義時のシナリオ通りというか思う壺。実の父親を罠にはめて政権中枢から排除していったのは、北条の家督をめぐっての確執もあったのだとか。親父を排除して第二代執権を担う覚悟を決めた義時は、三浦平六義村に対して「下がって良い」と思い切り上か

          『鎌倉殿の13人』第36回「武士の鑑」(2022年9月18日放送 NHK BSP 18:00-18:45 総合20:00-20:45)

          『鎌倉殿の13人』第35回「苦い盃」(2022年9月11日放送 NHK BSP 18:00-18:45 総合20:00-20:45)

          記憶違いだったらごめんなさいなのだけれども、だいぶ久しぶりに誰も死なない回だったように思う。もちろん、前回毒殺された(?)北条政範の死のシーンが詳細に振り返って描かれていたので、今回死んだわけではないけれども、十分、インパクトはあった。しかし、それにしても時政とりくの娘婿の平賀朝雅が同じくりく所生の男子・政範を毒殺するとは……。ドラマを見ているわれわれの多くは義時が第二代執権になることを知っているから、政範の死もさほど衝撃的でないのかもしれないが、この時期の鎌倉では北条の正当

          『鎌倉殿の13人』第35回「苦い盃」(2022年9月11日放送 NHK BSP 18:00-18:45 総合20:00-20:45)

          『鎌倉殿の13人』第34回「理想の結婚」(2022年9月4日放送 NHK BSP 18:00-18:45 総合20:00-20:45)

          個人的には失脚した九条兼実が久々に登場して嬉しかったのだが、6歳年下の弟の慈円のほうがずっと年上に見える(実際に役者さんは慈円の山寺宏一が1961年生まれ、兼実の田中直樹が1971年生まれだから致し方なし)。いずれにせよ、この2人が『玉葉』『愚管抄』と記録を残してくれたお陰で今の三谷脚本もあるのだし、この大河ドラマが成立しているのだ思えば、感慨深いものがある。 今回はしかし、その両者の記録にも『吾妻鏡』にもない三谷イマジネーションが強烈な印象を残す回となった。それが「鎌倉殿

          『鎌倉殿の13人』第34回「理想の結婚」(2022年9月4日放送 NHK BSP 18:00-18:45 総合20:00-20:45)

          『鎌倉殿の13人』第33回「修善寺」(2022年8月28日放送 NHK BSP 18:00-18:45 総合20:00-20:45)

          修善寺に幽閉された頼家。観念して大人しくしていればもしかすると命だけは助かったかもしれないのに……というのは、後世から見た感想に過ぎない。頼朝の長男として嘱望されつつ、本人も為政者として振る舞う意気込みはあったのだから、北条憎しで冷静な判断ができなかったのであろう。その意味で悲劇の「将軍」ではある。 『吾妻鏡』ではただ死んだという報せがあったとのみ記載され、その最期の様子はよくわかっていないが、前回登場の慈円『愚管抄』では「「修禅寺にてまた頼家入道を刺殺してけり。とみに、え

          『鎌倉殿の13人』第33回「修善寺」(2022年8月28日放送 NHK BSP 18:00-18:45 総合20:00-20:45)