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透明なタクシーに轢かれそうになった話
とりとめのない話である。
終電に近い時間に帰宅した時のこと。
駅から家に向かう道の途中で、一人立ち尽くしていた人がいた。
私と同じく、遅い電車で帰ってきた人が、速足で行きかう夜の街、誰一人としてその人を気に掛ける人はおらず、私も同様に彼を追い抜いて通り過ぎようとした。
その時である。立ち尽くしていた彼が、静かに手を挙げたのは。
私は驚いて、何食わぬ顔でその脇を通り過ぎながら、彼の
子供の頃は、毎年クリスマスパーティをした
私は、お酒を飲むことは好きである。
弱い方ではないし、そもそも大量に飲むことはないので、酔うことはあまりない。
八分目、味わう余裕のあるところでごちそうさま、ああ美味しかった、これが醍醐味というものだろう。
他人に迷惑を掛けてまで飲む酒は美味くない。
まして、自ら他人に迷惑を掛けにいくというのは、どうした心持だろうと、思うものである。
ここ数日、あまり愉快でないニュースを目にする。
一呼吸ごとに終わりに近づいている
夏目漱石の、『こころ』という小説がある。
読んだのはだいぶ前のことだけれど、印象的なシーンは数多くある。
その中に、主人公の「先生」による、自分は死ぬなら明治の精神に殉ずるといった発言があった。
「先生」は、史実でもある乃木大将の明治天皇への殉死にいたく感動したようだが、これは紛れもなく、夏目漱石自身の感情なのだろうと思う。
江戸、明治、大正と、激動の時代を生きた文豪は、きっと自分が明