【うたかたの日々のために。】No.1 「記憶。」


 うたかたの日々のために。どこかに消えてしまう、この日常を切りとっておきたいと、ふと思った。時間のながれはやさしく、そして残酷だ。あんなに会いたいと思っていたひとのことも、失ってうちひしがれて泣いたひとのことも、忘れていってしまう。わたしは記憶をたいせつにするタイプの人間だと思いこんでいたのだけど、じっさいにはそんなことはなくて、必要なこと以外はわりとあっさり忘れてしまうのだ。あたらしいことをまなび、あたらしいひとに出会う。ふるい記憶は砂塵のように細かにくだかれて、空気の中にとけていってしまう。そして、ときおり思い出し、なんだか絶望してしまうのだ。きみがもう、わたしの記憶から消えようとしていることに。わたしはやがて、きみのことを書かなくなり、わたしときみがかわした言葉すら忘れてしまうのだろう。うたかたの日々。泡のように消えてしまう、二度とおとずれることのない時間。もう少しだけ、そばにいたい。(狭井悠)


《今日のぼんやり》

 毎日更新194日目。今日から、「うたかたの日々のために。」という400文字スケッチの連載をはじめた。雑記欄として、「今日のぼんやり」というコーナーを設けたので、日々思うこと、読者の皆さまへの報告・連絡事項などは、こちらに書くことにする。

 取り急ぎ、あたらしい試みを続けてみるので、応援いただければ嬉しい。

 今日もこうして、無事に文章を書くことができて良かったです。

 明日もまた、この場所でお会いしましょう。

 それでは。ぽんぽんぽん。

サポートいただけたら、小躍りして喜びます。元気に頑張って書いていきますので、今後ともよろしくお願いいたします。いつでも待っています。