見出し画像

【第17回】「方針転換」に順応してみせる

まだ私が製造メーカーで営業ノルマを追っていた頃です。
上司に呼ばれてデスクまでいくと、「おい。どうして今月のこの台数、こんなに少ないんだ?」とご立腹の様子。

「はい。今月は月初に出た方針の通り、付加価値の高い製品にシフトして単価を上げてみました。金額ベースではかなりいい線行ったと思います」

「何言ってんだ。それは月初の話で、今は台数なんだよ。台数落としちゃダメ!来月は絶対に台数やれよ、分かったな」

会社の方針に従って成果を出したのですから、「おほめの言葉でももらえるのではないか」と内心期待していました。

ところが結果は逆です。「では、あの単価を上げるという方針はどうなったんですか?」納得できずに聞き返すと、

「そんなものはもうない。本社からの指示で、これからも台数シェアの追求あるのみだ」回答は単純明快、今までと何ら変わらぬ安売りの推奨です。

正直その方針に嫌気がさしていたころだったので、「高付加価値品へのシフト」はとても魅力的に感じていました。

「よし、一丁やってやるか!」そう意気込んでいた矢先に出鼻をくじかれた格好で、正直その瞬間は怒りが込み上げてきたのを覚えています。

しかし、会社の方針は方針です。何よりも上司の指示です。
「はい、分かりました。台数をやればいいんですね

冷静に考えれば、あれほど台数シェアに拘っていた会社が、そう簡単に方向転換できるはずはなく、成功する保証もありませんでした。

従って「元に戻す作戦」は、当面のことを考えると、極めて理にかなっていたのかもしれません。

会社の方針は、意に反して突然変更になることがあります。
内容は全社的な経営判断に基づく重要事項から、極めてローカルなルール変更に至るまで、千差万別です。

でも、その方針に則って成果を出すことで、給料をもらっているのも事実です。そう考えると「方針転換」にもついていかざるを得ないことになります。

問題は「心の整理」です。方針転換があまりにも頻繁にあるようでは、安心して仕事ができません。

突然の変更にも動揺しない「弾力性」が備わっていれば、柔軟に対応することもできるでしょう。

しかし、「コンプライアンス違反の恐れがある」等の問題が絡んでくると、判断は複雑になります。

個人差はあると思いますが、どうしても「違う」と感じたら「別の道」を模索する価値はあるのではないでしょうか。
 
                  次回につづく(毎週火曜日に投稿予定)

(本文は、弊著『なぜ職場では理不尽なことが起こるのか?』<幻冬舎ルネッサンス新書>より一部抜粋編集し、シリーズ化したものです)

この記事が参加している募集

仕事について話そう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?