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先端技術

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30年の企業経営の経験から、様々な”ニッチな先端技術”に注目し私見を記しています。
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2016年2月の記事一覧

弁柄

弁柄

弁柄の歴史は古い。弁柄とは古来から使われている赤色顔料のことである。

75000年前のアフリカの洞窟壁画や15000年前のアルタミラ(スペイン)でも弁柄の赤が用いられていた。磁硫鉄鉱石から得られる赤は魔除けの意味と、旺盛な生命力の象徴の意味があって古来尊重されてきた。
日本でもBC7000年ころからあり、飛鳥奈良のころには社寺を美しく彩った。近世岡山の銅鉱山で銅の採掘の時に、一緒に出てくる硫化鉄

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触覚を持った手術ロボ

東京工業大学精密工学研究所の只野耕太郎准教授、川嶋健嗣客員教授(東京医科歯科大学生体材料工学研究所・教授)らは、先端医療機器の開発・製造を行う「リバーフィールド株式会社」を設立した。
同社は、空気圧を用いて精密制御を実現する技術を基盤として研究開発した手術支援ロボットシステムなどを広く、早く市場に普及することを目指す。
具体的には、執刀医の頭部動作により直感的に内視鏡を操作できる内視鏡操作システム

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核燃料1800万度C加熱

産業創生大学院大学の北川教授と大阪大有川講師らは、超高強度レーザー「LFEX」を使って、高速点火方式で融合燃料を約1800万度C加熱に成功した。
この方式での核融合反応時に生じる中性子の発生量は、従来の2000万~3000
万個から5億個に増えた。
今回の実験は装置の性能の半分しか使っていないので、16年度中には5000万度Cに到達できると予想している。
5000万度は核融合燃料点火の目安で、いよ

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蓄光世界一

暗闇でも見える塗料は、時計の文字盤や計器盤等に使用されるほか、近年ではキーホルダー、アクセサリー、マニキュア等のファッションに使用される。
また、ニューヨークでの9・11テロ等において、避難経路を示すことの重要性が高まったことからも、電源や配線配管を必要としない「蓄光」が注目を集めている。
日本国内では、いち早く横浜市交通局が地下鉄のプラットホームやコンコ ースで蓄光式の避難誘導板を設置し、その後

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炭酸ガスだけを取り出す

北大電子科学研究所野呂真一郎准教授は、Mgなどの軽金属で多孔質結晶を作成することに成功。
MgやCaにビピリジンジオキシドという有機化合物を組み合わせて多孔質物質を合成した。
この物質の画期的な性能として、実験段階ではあるが、メタンと二酸化炭素の混合ガスを多孔質結晶に通すと、二酸化炭素を吸着してメタンだけが出てきた。CO2をほぼ100%吸着したことから、窒素と二酸化炭素の分離も可能と見ている。4-

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半導体工場でレタス

半導体工場でレタス

先端技術の粋をこらした製品は劣化が速い。
利益が出ると見れば各社、各国が殺到してたちまち価格が下がって性能がアップする。その激しい競争はすぐに体力勝負の世界に変り、巨大資本とか、極端に安い労働力を持つところが先行者を駆逐してしまう。
半導体は、かつては日本の独壇場だったが、今や新興国の追い上げで青息吐息、工場閉鎖も続出している。
そんな中で、会津の富士通セミコンダクターは3年工場が休止していたが、

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