イシヅカポケット

スクールJCA15期。宣伝会議 編集・ライター養成講座39期。主に童貞目線での映画感想…

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スクールJCA15期。宣伝会議 編集・ライター養成講座39期。主に童貞目線での映画感想を書いています。

マガジン

  • 37.4°-世界は物語で出来ている【since2024】

    • 18本

    プロアマライターたちの記事まとめ【Amazonベストセラー1位獲得作家監修】

  • 37.4°-世界は物語で出来ている

    • 28本

    将来の一流ライターが見られるかもしれないマガジン 毎回用意された"お題”を基に、ライター達が作品をつくっていきます。

最近の記事

映画『終わらない週末』感想 ~世界は「喋ってみたら意外といい奴だった」で出来ている

Netflixオリジナルの「終末」サスペンス  Netflixオリジナル映画の本作は、全米でベストセラーとなったルマール・アラムの同名小説を映画化。監督・脚本はサム・エスメイル。ジュリア・ロバーツ、イーサン・ホーク、マハーシャラ・アリ、ケビン・ベーコンらが出演。豪華共演陣による終末サスペンス。  人嫌いのアマンダ(ジュリア・ロバーツ)は、週末の休暇をレンタルした別荘で過ごそうと夫のクレイ(イーサン・ホーク)、息子のアーチー、娘のローズと共に訪れる。家族で休暇を楽しんでいた

    • 映画『ボーはおそれている』感想 悔しいくらいに共感だけはしてしまう179分

      ※ネタバレを含みます 悪夢のような最新作  映画『ボーはおそれている』は、『ヘレディタリー/継承』『ミッドサマー』で注目を集めたアリ・アスター監督の長編映画3作目。主演はホアキン・フェニックス。前二作は強烈なインパクトを残すホラー作品なのに対し、本作は純粋なホラーと言う訳ではない。どちらかと言えばコメディ作品なのだが、ハッピーで明るいお話なんかではない。いじわるで複雑だけどたまにバカみたいなシーンがはさまる。悪夢を見ているような気分になる作品だ。  ボー・ワッサーマンは

      • 映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』感想 ~王道展開がいまいち盛り上がらない理由~

        驚異のロングラン!  2023年11月17日に公開されたアニメ映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』は、年をまたいだ2024年2月現在もなお上映され続けている。興行収入は26億円を超え、観客動員数は185万人を突破した。  原作者・水木しげる生誕100周年記念作品として製作された本作は、2018年に放送開始したテレビシリーズ第6期をベースに、その前日譚が描かれる。第6期がベースではあるが、未視聴でも鬼太郎や目玉おやじに馴染みがあれば問題ない。私も第3期シリーズ(OPとEDが吉幾三!

        • 元芸人にセカンドキャリアについて聞いたら、現実を思い知った

          「ひさしぶり。イシヅカさんはやせたねぇ、おれは太ったけど。」 ー太ったの? 「おれは太った。イシヅカさんいくつになった?」 ー今年で41だよ。 「おれ38。それぐらいになったね。年取ったね。」 ー広島に戻ったのはいつだっけ? 「2014年の2月。2013年の8月くらいに解散してるから。」  久しぶりに聞く広島訛りが、かしこまっていた私の心をほぐしてくれる。T君はかつて中堅お笑い事務所に所属しコンビとして活動後、解散。私とはお互いに東京でお笑い芸人として同じ舞台に立っていた1

        映画『終わらない週末』感想 ~世界は「喋ってみたら意外といい奴だった」で出来ている

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        記事

          映画『哭悲/The Sadness』感想~ゴア満載だけどコワくはない

          1  気が付くと1年が経っていたという事がいい大人になるとままある。ただ日々を消化するだけではいけない。そんなのゾンビと一緒だ。そうならないためにも意識的に季節感を取り入れていくべきなのだ。ということで夏らしくホラー映画を観に行くことにした。  映像の過激さから様々なファンタスティック系映画祭で評価を得た台湾製ゾンビ映画『哭悲/The Sadness』。監督は今作が実写長編映画初挑戦となるカナダ出身で台湾在住のロブ・ジャバス。変異したウィルスに感染した者たちが狂暴になり襲い掛

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          映画「MINAMATA-ミナマタ-」感想~大丈夫!説教臭くない!

          1  テレビでよく見る環境活動家にとってこの映画は手放しで喜べるものなのだろうか。ジョニー・デップ演じるユージン・スミスを観ているとそんな風に思えてきた。  1971年、ニューヨーク。かつては『LIFE』誌のエースカメラマンとして名声を得ていたユージンも今では家族に見放され、酒浸りの生活を送っていた。ある時、日系アメリカ人のアイリーンから熊本県水俣市で工業汚染によって苦しんでいる人々の写真を撮って欲しいと頼まれる。 2  「環境問題」という大きなテーマがある作品だとどうし

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          弱者男性の心をえぐる!映画『バズ・ライトイヤー』感想

          1  日本のロボットアニメや特撮ヒーロー番組はときに、おもちゃ会社のCMだと揶揄される。劇中に登場するロボットのプラモデルやヒーローに変身するグッズを如何に買ってもらうか。スポンサーの顔色をうかがうのは大人の嗜みだ。けれども、おもちゃ会社に忖度したような「商売っ気」全開の作品なんて面白いはずがない。揶揄されないようなストーリーとおもちゃについ手が伸びてしまうようなデザインや演出のバランスこそが制作側の腕の見せ所だと思う。それこそが日本のロボットアニメや特撮ヒーロー番組の積み重

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          『ドライブ・マイ・カー』感想~これはコミュ障の物語だ~

          1  一般的に映画や小説などの物語は「因果応報」であることが多い。悪いことをすればその報いを受け、良いことをすれば良いことがある。リアリティラインの高い(現実に即した)物語ほどこの「マナー」が守られていないと気持ち悪く感じる。現実が必ずしもそうではないからなのか。せめて物語だけには真面目に生きていることを肯定してほしいと託してしまう。  本作は真面目に生きる主人公の人生を、感情に正直な者たちがかき乱していく。彼らは「悪いこと」(法を犯したりモラル違反だったり)をした結果、相応

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          映画『孤狼の血 LEVEL2』感想~今作最強の悪役は童貞

          1  魅力あるヴィラン(悪役)が登場する映画はたいてい良い映画である。今回紹介する『孤狼の血 LEVEL2』にも強くて怖い魅力的な悪役が登場する。そこに清々しさすら私は感じてしまうのだ。  広島県の架空の町、呉原市を舞台にヤクザの抗争を止めるべく刑事・日岡は奔走する。前作で非業の死を遂げたベテラン刑事大上の遺志を継いだ日岡は、呉原の治安を(時に非合法なやり方で)維持していく。対立する広島仁正会系五十子(いらこ)会と尾谷組は、日岡の暗躍により手打ちが行われた。そんな時、「悪魔

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          『パワー・オブ・ザ・ドッグ』感想※ネタバレあり

           本年度アカデミー賞・監督賞を受賞した本作は、ニュージーランド出身の女性監督ジェーン・カンピオンによる20世紀初頭のアメリカを舞台にした映画である。映画全体に妬み、嫉み、嫉妬、孤独感をまぶしたような作品で、作り手の性格の悪さがにじみ出ていて好感が持てる。(褒めてます。)  カウボーイが登場する西部劇ではあるのだが、馬を使ったアクションシーンはないし、銃も出てこない。手垢のついた西部劇という設定なのに見たことがない仕上がりになっている。別に斬新すぎたり突飛なことをしているわけで

          『パワー・オブ・ザ・ドッグ』感想※ネタバレあり

          バイト中のクレームから学んだこと

           私が幼かった頃、保育園でよくS君と遊んでいた。三輪車がお気に入りでふたりで競争していたのを覚えている。当時のことを母に聞くとS君のお母さんから「仲良くしてくれてありがとう」とすごく感謝されたと話す。私としては何も感謝されるような覚えはないのだが、褒めてもらえるのはうれしいものだ。S君がダウン症という「障がい」を持った子であると認識したのはしばらく経ってからである。S君のお母さんは不安だったのかもしれないが、子どもにしてみれば 一緒に遊んで楽しければそれでいいという感覚なのだ

          バイト中のクレームから学んだこと

          コント「ファーストキス」

          A:なぁファーストキスってレモンの味がするって言うじゃん? B:言うね A:あれってホント?俺経験ないから B:あ~・・・ まぁそういう人もいるよね 俺がした時は特に味は感じなかったかな A:そうなんだ でも恥ずかしいよな いい年してさ B:いやいや そんなことないよ A:いつか食べてみたいなぁレモン B:そっち! 食べたことないの? A:実家京都だから B:・・・食べるだろ京都人だって A:はじめてキスした時、みかんに酸味と苦みを加えたような味したんだけど B:それそれ

          コント「ファーストキス」

          映画『JUNK HEAD』感想~嫉妬するほどのうらやましさ

           独特な作風だったり、一風変わった映画を観た時に「監督の頭の中を見てみたい」なんて思ったことはないだろうか。どういう発想や考え方をするとこんな作品が出来上がるのかと、私はウキウキしてしまう。今回紹介する『JUNK HEAD』は「頭の中を見てみたい」という映画ではない。監督自身が頭の中を(キモチ悪いくらい)見せてくれる映画である。  『JUNK HEAD』は堀貴秀監督によるストップモーションアニメ。ミニチュアの人形を1コマ1コマ動かしながら撮影するので、今回の劇場版の完成まで

          映画『JUNK HEAD』感想~嫉妬するほどのうらやましさ