野田光太郎

フリーペーパー「勝手にぶんがく新聞」40号を発刊しました。即興や歌手のライブを企画した…

野田光太郎

フリーペーパー「勝手にぶんがく新聞」40号を発刊しました。即興や歌手のライブを企画したり、音楽サイト「jazz tokyo」に寄稿などで批評活動をする。

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【ライブ・レビュー】アンダーグラウンド・シーンの現場から㉑ 「Tribute to 解体的交感」加藤一平、斉藤圭祐

2024年4月16日(火)  大泉学園 in”F” (インエフ) 「Tribute to 解体的交感」加藤一平(g) 斉藤圭祐(As) これは「いい演奏」という以上に一つの「事件」でしたね。その目撃者は店主を除くと私を含め3人でした。「解体的交感」というのは1970年に出た高柳昌行と阿部薫のデュオ・アルバムのタイトルです。ノイズ・インプロの元祖ともいわれる内容。ぶっちゃけ、今やってる人は、海外勢も含めて、ほとんどはこれの模倣です。それの延長。そういう歴史的名盤の名前を出し

    • 【漫画評論】藤本タツキ「チェンソーマン」第17巻を読む

      起き抜けに、それも朝飯前に一気に読んでしまった。 画力はあいかわらず荒れているが、話は一応進行している。じっくり練り上げて描く時間は無いということでしょう。ゆえに、作品としてすごく面白いわけではないのだが、すごくあがいています。ほとんど苦しまぎれの展開が続く。つまり、作者は重要なことを提起しており、そのことを理解する必要がある。 まず、現代ではヒーローという概念を解体しないと、ヒーロー漫画は成り立たない。ヒーローという現象はファシズムの源泉だからだ。ここまで自己言及的な作品

      • ダンス素人の見方⑦ 小暮香帆『Body Weather』

        小暮香帆 作品『Body Weather』(ダンス専科2024 小暮香帆クラス) 出演:石井團、市橋杏子、大堂智子、城あすか、杉村心々虹、鈴木麻美、工田春、田中直美、寺尾茉理加、濱上香帆、翠月瞳、宮澤未佑、武藤杏実、渡邊愛蓮 2024年4月6日(土) 13:00の回 「神楽坂セッションハウス」 いやはや、いきなりここまでいいものを見られるとまでは思っておらず、驚異でした。今のコンテンポラリー・ダンスはこんな高度で複雑なことを、こんな風にさりげなく軽やかにやってしまうのか。し

        • 【ライブ・レビュー】アンダーグラウンド・シーンの現場から⑳ Kirsten Carey , 松丸契, 山本達久

          2024 / 03 / 11 (月) POLARIS(小川町) Kirsten Carey (guitar), 松丸契 (saxophone), 山本達久 (drums) 相場より高いチャージでドリンク代も別にかかるのだが、30~40代の客が中心に20名弱程度でテーブル席は満席でした。ファーストセットは山本がドラムにいくつか金具やおもちゃを乗せたり、松丸も機材を試すような面があり、実験色が強く、間合いの多い演奏で、途中でいきなり演奏を終わらせたりもした。山本と松丸はおそらく

        【ライブ・レビュー】アンダーグラウンド・シーンの現場から㉑ 「Tribute to 解体的交感」加藤一平、斉藤圭祐

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          【ライブ・レビュー】アンダーグラウンド・シーンの現場から⑲ tsubaticsソロ

          2024年3月1日(金) TEN SOLOs tsubatics(b) 阿佐ヶ谷「阿佐ヶ谷天」 他にサックス、ベース、舞踏、ギターという四人の出演者のソロがあったが、ここでは tsubatics のエレクトリック・ベース・ソロについて紹介する。 今の彼は上り調子だ。見るたびに良くなっていますね。声も「発する」という感じになってきた。機材の使い方もいい。そもそも、エレキ・ベースのソロを表現として成立させるのは大変な力技だ。有名なのはジャコ・パストリアスだが、ジャコのテクニッ

          【ライブ・レビュー】アンダーグラウンド・シーンの現場から⑲ tsubaticsソロ

          【ライブ・レビュー】アンダーグラウンド・シーンの現場から⑱ テルピアノ(p) かずみんぐ(fl) 鹿野亮介(sax) アキオジェイムス(ds)

          2024年2月29日(木) テルピアノ(p) かずみんぐ(fl) 鹿野亮介(sax) アキオジェイムス(ds) 入谷「なってるハウス」 この日は、鹿野亮介というサックス奏者を知ることができたのが大きな収穫。サックスをしっかり鳴らすという基礎に抜かりがないうえに、私が植川縁の演奏で初めて見た現代音楽っぽい?奏法(厳密にいえば井上敬三やエヴァン・パーカー、カン・テー・ファンの録音で似たような音を聴いたことはあるのだが、正確なことはわからない)と、もろにジャズのバップのフレ

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          2024年1月28日 Dance with waves vol.1 ~Ear of the dragon 来場者の感想

          2024年1月28日 Dance with waves vol.1 ~Ear of the dragon 久世龍五郎(舞踏) ノブナガケン(パーカッション、他) 五十嵐あさか(チェロ、他) 西荻窪「音や金時」  野田が企画した上記のライブに関して、観覧した舞踏家・小玉陽子さんに感想を寄せていただきましたので、以下に紹介します。 〈ノブナガさんの奏でる音、響きによって生まれる澄んだ豊かな空間、時間は 本当に独特の空気感があり、 五十嵐さんの、ひとつの楽器からとは思えない多

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          ダンス素人の見方⑥ 水越朋ソロダンス公演「濁りに舟」

          水越朋ソロダンス公演「濁りに舟」 2024年2月8日(木)~11日(日・祝) 東京都中野区「水性」、11日午後二時。 特殊な会場を活かして、音楽効果も含め、ジョン・ケージ的な問題意識を出している。上演前のガヤを録音してループに使う、ガラスドア越しの外の通行人を見せる、街頭から直接会場に入れる入り口、外部の物音や光が漏れ入ってくるなど。 やや廃墟じみた床、旧クリーニング屋の道具と思われるハンガー掛けをうまく使う。古い机やたらい、レトロな電灯傘などの道具立て。 踊りのテーマと

          ダンス素人の見方⑥ 水越朋ソロダンス公演「濁りに舟」

          【ライブ・レビュー】アンダーグラウンド・シーンの現場から⑰ 2024年1月11日(木) BORDERS vol.1 瀬尾高志、近藤直司デュオ 斉藤圭祐、堺原拓人デュオ

          2014年1月11日(木) BORDERS vol.1 (主催・瀬尾) ・瀬尾高志(contrabass)、近藤直司(baritone sax,tenor sax) デュオ ・斉藤圭祐(alto sax)、堺原拓人(alto sax,bartione sax) デュオ ・全員セッション 会場 神保町「試聴室」 聴いた。まずは、サックスの風雲児! 斉藤圭祐のプレイに関して特筆しておこう。現在東京で最もホットなサックス奏者として期待を集めている、若干21歳の新星。彼なら阿部薫の

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          ダンス素人の見方⑤ 「舞踏駅伝 2024」 六本木「ストライプハウス」

          「舞踏駅伝2024」 2024年1月7日(日) ストライプハウススペース (六本木) ・踊り手も見る人も2000円。 ☆15分ずつ4組続けて踊り、15分休憩を繰り返す 1st setは間に合わなかったので 2nd set からとはいえ、1セットに4組連続で出て一時間、それを3セット見たので、3時間。セット間に15分休憩があるとはいえ、途中で軽いめまいがするなど疲れた。私が興味を覚えたダンサーは秦真紀子、若尾伊佐子、宮保恵、キム・ウンギョン、深谷正子。 まずは、秦真紀子! 

          ダンス素人の見方⑤ 「舞踏駅伝 2024」 六本木「ストライプハウス」

          【ライブ・レビュー】アンダーグラウンド・シーンの現場から⑯ 武田理沙 エレクトロニクス・ソロ

          2024年1月2日 Oriental Force (高円寺) 「Hell Scroll in Tokyo Ⅱ」Presented by P.O.V. 武田理沙(key, electronics, etc) 聴いた! 新年早々、地震や航空機事故など相次ぎ、「音楽聴いてる場合なのかな・・」という気分だったが、足を運んでよかったです。狭い会場だが超満員でした。昔なら大掛かりな装置で作曲家が理論的にやっていたことを、今はテーブルの上の機材でインスタントに作り出せる。しかし、機材をい

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          高円寺にある薄汚いライブハウス「M」のこと

          2023年12月26日、高円寺にある「M」という狭くて薄汚いライブハウスで、店主にいきなり胸ぐらをつかまれた上に床に叩きつけられた。「うちでほかの店の話をするんじゃねえ!」「お前みたいな遊びでやってんじゃねえ、こっちは命かけてんだ!」だそうです。客が暴れるんじゃなくて店主が客を痛めつけるライブハウスってあるんですね。見るからに文系で弱っちそうな客に言いがかりをつけることは、命を懸けている証明にはならない。まあ、なめられてるこちらが悪いんだろうけど。なまじライブの企画なんかやっ

          高円寺にある薄汚いライブハウス「M」のこと

          ライブ告知アオリ 【宙の抜け殻 其之参】(2024年1月4日、「阿佐ヶ谷天」)

          act: Lei Abe (voice) cixa (voice, move) 高橋直康 (Naoyasu Takahashi) (electric bass) 山田邦喜 (Kuniyoshi Yamada) (drums) v.s. 多田葉子 (Yoko Tada) (reeds and more) Nira (electric guitar) チェロしおり (Cello Shiori) (electric cello) tsubatics (electric bass

          ライブ告知アオリ 【宙の抜け殻 其之参】(2024年1月4日、「阿佐ヶ谷天」)

          【ライブ・レビュー】アンダーグラウンド・シーンの現場から⑮ 完全閉店セール(多田葉子、秋山Bob大知)、ゲスト:星衛

          2023年12月12日(火) 大久保「ひかりのうま」 完全閉店セール vol.7 多田葉子(sax,bcl,melodion,etc) 秋山Bob大知(computer,synthesizer) ゲスト:星衛(cello,篠笛,etc) これは想像以上に面白かったですね。ゲストのチェロはリーダーと旧知らしく、メロディアスな即興が相当うまく、手が合う感じなので、それだけにシンセの異物感が際立つ。シンセはかなりシンプルな仕様なんで、「スーパーマリオのクッパの面」(わかる人にはわ

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          ダンス素人の見方④ 大人少年『わたしたちは還る土すらもたない』 【三橋俊平、羽冨綺心、塙 睦美(モモンガ・コンプレックス)、本間夏梨】

          大人少年「わたしたちは還る土すらもたない」 2023年12月9日 *2023年12月7日(木)-10日(日) 会場「シアターバビロンの流れのほとりにて」(王子神谷) 【構成・演出・振付・出演】三橋俊平 【共同創作・出演】羽冨綺心、塙 睦美(モモンガ・コンプレックス)、本間夏梨 ダイナミックな旋回運動を基本にさまざまに錯綜する群舞のポリリズミックな面白さがあり、日常会話での軽みのあるやり取りを挿入する演劇的な場面があり、バックの舞台装置(花瓶、絵、死体に扮した人体、さいのかわ

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          ダンス素人の見方③ 柴田 美和『Victorious Cupid』

          ヨコハマダンスコレクション2023 【ダンスクロス】 柴田 美和『Victorious Cupid』 2023年12月04日(月) 横浜にぎわい座・のげシャーレ(小ホール) 思った以上に直截な表現だった。今のパレスチナ・ガザの状況を我が事として受け止めた表現だ。 まずは休憩時間にロビーでいきなりラップ・ミュージックがかかり、サプライズなヒップホップ・ダンスのパフォーマンス。客はその場で立ち見の見物。ラップは日本語できわめて直接的に社会批判の内容の曲。最近のアーティストか?

          ダンス素人の見方③ 柴田 美和『Victorious Cupid』