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『宝石の国』1~(市川春子 講談社アフタヌーンコミックス)

『宝石の国』1~(市川春子 講談社アフタヌーンコミックス)

丁寧な返答をくださって、本当にありがとう。

私には、先入観がありました。外国の人には、ドラゴンボールのような、バトルマンガが好まれるのではないか、という感覚です。

ナルトやワンピースは、敵であっても独自の正義に基づいている。多種多様な利害や主義が、共闘や反発を生んでいます。現代の社会にも通じる感覚です。ナルトやワンピースが世界の人々に受け入れられているのを見ると、不思議な気持ちになります。私た

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『風の歌を聴け』(村上春樹 講談社文庫)

『風の歌を聴け』(村上春樹 講談社文庫)

『風の歌を聴け』(村上春樹・講談社文庫)読了。

ポピュラーサイエンスの息抜きに読み始め、交互に読むうちにこちらのほうが先に終わった。

実は、初春樹。

昔カフカで挫折して、なんとなく苦手意識があったのだった。

時代の空気の切り取り方がリリカルで、好きだった。

それなのに今読んでも古びないのは、今も昔も、どんな年代の人も変わらず通ってきた20代の感受性の普遍的な部分が、ブラッシュアップされて

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『舞台』(西加奈子 講談社)

『舞台』(西加奈子 講談社)

最後に『舞台』。

2012 年に発売された『ふくわらい』を読んだときは、余りの衝撃に倒れるかと思った。人間が生きるということを「ことば」という側面から切り取ったこと、その描き出し方の鮮やかさ、圧倒的な筆力、もうどうしようもないと思った。暴力的なまでの小説の力に呆然とした。『ふくわらい』に驚愕した方にはぜひこちらを推したい。

自意識と羞恥心に振り回される青年が少しずつ世界を知っていく物語は、滑稽

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『すべて真夜中の恋人たち』(川上未映子 講談社)

『すべて真夜中の恋人たち』(川上未映子 講談社)

その人に近付きたい、そう思い始める瞬間は、鮮やかなのに妙にさり気なくやってくる。

セックスしたいとか、結婚したいとか、そんな感情ではない。ただ、この人に近付きたいと思う気持ち。

その最初の気持ちから、世界で唯一無二の恋が与えた感情の揺れのディテールすべてを丹念に描いているのは『すべて真夜中の恋人たち』(川上未映子・講談社)。

恋に落ちる根源の気持ちは何なのだろう。

恋とは何かを問いかける作

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