志村信裕

1982年生まれの現代美術作家。武蔵野美術大学大学院修了後、横浜、山口、パリを経て、現…

志村信裕

1982年生まれの現代美術作家。武蔵野美術大学大学院修了後、横浜、山口、パリを経て、現在は千葉県香取市を拠点に活動。noteではワークショップや美術教育について書いています。ワークショップ、講演の依頼があればHPのコンタクトからご連絡ください。 http://nshimu.com

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    kind of diary by Nobuhiro Shimura

最近の記事

2024年の日記5(1/17-1/19)

1/17 いづみさんと車でつくば市へ。 コロナ禍以降、つくば市の美容室で髪を切っていて、昨年9月ぶりの予約。 予約までのあいだ、巨大なショッピングモールの中にある大きな書店に行くのが我が家のルーティン。筑波大学がある関係なのか、なかなか満足のいく品揃えなので、毎回訪れるのを楽しみにしている。 ジェニー・オデルの「何もしない」の文庫版と、岡崎乾二郎さんの「感覚のエデン」を購入。 coxでお茶もする。この時間も、つくばで髪を切るときのルーティン。 建築が本当に変わっていて、他

    • 2024年の日記4(1/13-1/16)

      1/13 これまでやってきたことを振り返りながら、これからやってみたいことを考えてみる。何となく朝起きて、そんな気分になった。 例えば、10年前の2014年に自分は何をしていたのか。 そこから更に遡ること20年前、まだ美大生だった3年生の頃から、長年続けてきた映像インスタレーションという、自分が最も得意としていた手法を、一旦脇において、今までやったことのない新しいことをはじめた年だった。 中古の8ミリフィルムカメラを購入して、これまでの作風と全く違う、ドキュメンタリー的な作

      • 2024年の日記3(1/10-1/12)

        1/10 とある銀行の会報誌でのインタビュー取材の日。 編集者、ライター、カメラマンの三人がわざわざ東京から来るまで訪ねてくれて、幼少期から現在の作家活動に至るまでの自分史を一時間ほど話す。 職業柄、取材してもらうことは特別なことではないけれど、展覧会の宣伝をする訳でもなく、自分の来歴を話すだけで、お金がもらえるという、何とも有り難いお仕事である。ちなみに千葉県内で活動する人を特集するページに掲載されるよう。千葉県に移り住んで7年目になるが、千葉で活動していることが徐々に認知

        • 2024年の日記2(1/4-1/9)

          1/4 諸々の事務作業。途中、郵便局に行ったりして、小学2年生の甥っ子からもらった年賀状の返事を書くなど。 千葉の自宅にはテレビがないが、家で机に座っていても気がつくとインターネットで被災地の状況や羽田空港の衝突事故の続報を延々と調べてしまう。 母親の差し入れの一つにオイスターソースがあったので、夕飯はコウケンテツさんのレシピで豚肉を使った青椒肉絲(チンジャオロース)をいづみさんとつくる。かなり美味しかったので、リピート決定。 1/5 東京に行く計画をしていたけど、年始

        2024年の日記5(1/17-1/19)

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          5本

        記事

          2024年の日記1(1/1-1/3)

          1/1 東大和の実家で迎える元旦。いづみさんと母親と歩いて初詣にむかう。 多摩湖の堤防から富士山がよく見えた。我が家ではお正月恒例のルートだけど、過去にこれほど綺麗に富士山が見えたことはなく、2024年はなんだか良い年になりそうな予感。 所沢山口の中氷川神社で初詣。すっかり忘れていたけど、去年は厄年だったことを思い出す。大変な一年だったけど何とか乗りきれたことに感謝。とはいえ今年も後厄なので無理は禁物。 重い腰を上げて実家の断捨離に三人で着手。いつかはやらなきゃいけないと

          2024年の日記1(1/1-1/3)

          「自分のアバター(分身)をみつけよう」のお知らせ

          こんにちは!志村信裕です。 今日は子ども向けワークショップのお知らせです。 noteでこうしたイベントの告知をするのは初めてですね。 今回は横浜市民ギャラリーからのご依頼。お願いされたのは、通年プログラムである子どものためのアトリエ講座「ハマキッズ・アートクラブ」でのワークショップです。対象が小学1~3年生というのは横浜市民ギャラリーからのリクエストで、こんな内容のワークショップを考案させてもらいました。 自分のアバター(分身)をみつけよう モノをよくみて、自分の分身にな

          「自分のアバター(分身)をみつけよう」のお知らせ

          久しぶりにオンラインワークショップをやってみた

          お久しぶりです。 何と一つ前の投稿が2020年11月20日なので、一年以上も更新していなかったことに驚きを隠せませんが、皆様お元気でしたでしょうか? noteではコロナ禍を機にはじめたオンラインワークショップをはじめ、自分のワークショップ活動について書いていたのですが、ここ最近は本業の作家活動の方が忙しく、作品の制作や展覧会の準備に明け暮れていたら、すっかり一年もブランクが空いてしまった訳です。 そんな事情で更新がないにもかかわらず、つい先日、驚くことにnoteに掲載した

          久しぶりにオンラインワークショップをやってみた

          問いをつくる力 -こどもと哲学

          コロナ禍をきっかけに、今年の夏からオンライン上で子供たちを対象にしたアートのレクチャーを始めました。 今はまだ小規模ですが、自分の実践をこれから徐々に広めていこうと思っています。ただ、自分が今やっていることを明確に言語化するのは難しく、自分が志向していることをもう少し的確な言葉で整理しなくてはいけません。 何故なら、「子供向けのアート教室」という、いかにも人当たりの良い言葉のニュアンスでは言い表せないようなことをやっているからだと思います。まずはそこから言葉の再定義をした

          問いをつくる力 -こどもと哲学

          価値について考える〜「自分のお金をつくろう」【後編】

          前回の投稿のつづきです。 お金の起源が貝だったということを子供たちに話しましたが、その後、お金は社会の中でどう変化していったのか。 人間の共同生活が大きくなるにつれて、例えば大きな建物や大きな船をつくろうとなると、これまで以上に希少価値のある貝が必要になってきます。 ただし、貝は自然物で無限にあるわけではありません。むしろ無限にあったら価値そのものが無くなってしまいますよね。そこでどうしたのか? 4. 複製技術とお金 コインとお札の発明です。 つまり、鋳造技術と印刷

          価値について考える〜「自分のお金をつくろう」【後編】

          価値について考える〜「自分のお金をつくろう」【前編】

          2013年の夏に群馬県立近代美術館で開催された「こども+おとな+夏の美術館 アートといっしょ」という現代アートのグループ展に参加しました。 参加作家は遠藤夏香さん、さとうりささん、祐成政徳さん、タムラサトルさんと僕の5組で、担当学芸員は熊谷ゆう子さんでした。 夏休み期間中の展覧会ということもあり、子供たちを対象とした体験プログラムやワークショップが盛り込まれ、自分に対しても会期最終日の前日に小学生を対象にしたワークショップを開催してほしいとお願いされました。 以前にも書き

          価値について考える〜「自分のお金をつくろう」【前編】

          一方向ではなく、双方向〜これからの教育について考えたこと

          オンラインによる美術教育を始めようにも、お手本になるモデルが無かったので、まずは講座のスタイルをどうしようか考えました。 たとえば大学の講義の場合、90分という授業時間内に、先生の話し言葉である音声、黒板へ板書するなどの文字情報、そしてスライドや映像などの視覚的な情報を加えるなどして、講義内容を対面する学生に伝達します。 一方的な授業スタイルですが、大学では多い時で数百人規模の生徒を相手に授業をしなければいけないので、このスタイルが最も効率的なのでしょう。 自分の場合は、

          一方向ではなく、双方向〜これからの教育について考えたこと

          ワークショップの苦手意識から生まれた新しい視点

          現在、自分が取り組んでいる子供を対象とした美術教育の根底には、過去に自分が各地で行ってきたワークショップでの経験と気づきが反映されています。そこで、今回はワークショップについて書きたいと思います。 自分はアーティストとして、これまで美術館で作品を発表したり、街中でのアートプロジェクトに参加してきましたが、作品を展示することとは別に、主催者からワークショップを依頼されることがあります。 でも実は、ワークショップにはずっと苦手意識がありました。 アーティストの中にはワークショ

          ワークショップの苦手意識から生まれた新しい視点

          【序】美術教育について書く

          2018年に岡澤浩太郎さんが編集する『mahora』という、手仕事のような個人誌に文章の寄稿を依頼されました。どんな内容の文章を書いたかというと、編集者の林央子さんとの往復書簡を通して、2016年からの2年間の海外研修が終わり、パリから日本に帰国する前後に体験したことや、考えたことを綴らせてもらいました。林さんとのやりとりを通じて幾つかの話題を書きましたが、とりわけ日本に帰国してからやりたいことの一つとして挙げた「美術教育」に対して、実際に読まれた方からの熱烈な反応が返ってき

          【序】美術教育について書く