記事一覧
短歌まとめ2021_死ぬときは死ぬ 25首
宝もの見せ合っているお互いに「これ宝?」って顔をしながら
誰もみなよい顔をして冬晴れに溶けるしかない雪だるまたち
スヌーズは解除するまで何度でも誠実さってたまにしんどい
分身の術で出てきた分身に「お前行けよ」と言われてしまう
旧暦で暮らしませんか新春にほんとに春を感じそうだし
(お互いに言わないけれどお互いにわざと迷子になってませんか)
構造に大差はないが宇宙的僅差のなかでモテるハンサ
短歌まとめ2020_間取り図 26首
この先をあるいてくのに邪魔になり忘れたふりで捨てられた傘
continueするorしない自分では決めれないとき用のボタンを
あなたへの思いを綴る、綴れずに、いうほどなにもなくて送信
半日後既読がついて半日後意味わからないスタンプが来る
雲だったこともあるのに焼きそばの麺をふやかし捨てられるお湯
[今週の死亡事故1]きのう見たあれでなければよいなと思う
争ってのちわかりあう人たちと争えな
短歌まとめ2019_ころされるゆめ 16首
ころされる夢はいい夢らしいよとぼくをころした人がいう朝
猫を撮る岩合さんと猫を撮る岩合さんを撮るカメラマン
気まぐれにひとり深夜の一蘭を食べる自由と孤独のセット
黒歴史なんていうなよそこにしか咲くことのない花だってある
お隣の芝生は青いよく見るとうちの芝生もそこそこ青い
いいこともすこしはあって振り出しにもどる途中でいろいろ拾う
バスを待つはるのいねむりイヤフォンをてんとう虫はしずかに
短歌まとめ2018_2_メロスがこない 13首
土の中ひかりも知らず生きてきてなんでいきなり飛べるのよ蝉
むかしほど逆らうものがなくなって僕のロックは行くとこがない
伝われば光ると思うわたしにも名前つけてよ小林製薬
このままでいいと泣いても世界中アップデートははじまっている
あいたくてあいたくなくて砂浜にしみこんでゆくソフトクリーム
三駅も歩いて日暮れインディゴの空に抱かれる街と吉野家
すずむしを捕らえてきては祖母のいる病棟下の庭に
短歌まとめ2018_1_眠たい本屋 15首
10回に1回ぐらい悪気なく言わなくていいことをいいます
のびきった飛行機雲は夕焼けに消えてく竜のさびしい背骨
もう少し太く生まれてジャンレノの声であなたに語りたかった
人体を守るつもりで生えてきてムダ毛と呼ばれとても悲しい
月のように欠けたわたしと意志のないBotばかりが起きている夜
ギロチンが途中で壊れ寸止めで少し刺さった傷がこれだよ
投げたって感触がない 犬のいる遠い五月に届かない
短歌まとめ2017_3_富士山・デアゴスティーニ 22首
ああこれはとても大事なことだから鼻血のティッシュ抜いてから言う
ンーセージ、おたふくンース、ゆうやけがしずかにてらすお買物メモ
ついたちを「いっぴ」と呼べばついたちはすこし笑ってはにかみそうで
プラレールの窓から見えるキッチンにまだ若かったぼくのかあさん
脆弱なロマンティックがわきあがる午前0時を甘くみるなよ
生中をガソリンとよぶ人たちが夜の酒場を離陸してゆく
2階からとどけ目ぐすり空
短歌まとめ2017_2_春風 5首
夜行バス窓からみえてきえてゆく影とひかりをかぞえて夜あけ
あたまから揮発してゆく東京をおもい出したらほとんどが朝
うす暗い写真のなかでぶれながらほほえんでいることだけわかる
酔いざめに粉のポタージュかき混ぜる世界はきみとわたしのものだ
きみの住むマンションの名をさかさまに読めば呪文のように春風
- - -
※引用などよろしければご自由にどうぞ
短歌まとめ2017_1_すきなところに着陸します 6首
ハローハロー管制塔は無視します好きなところに着陸します
ふつか酔い頭割れそう枕もとチキンタツタが5個ぐらいある
食べたあとすぐ寝たら牛。牛になる途中起きたらミノタウルスね。
ああほんと世界の傘をありったけ持って来たって無理な大雨
たましいがティッシュみたいにへろへろと地獄ではないところに落ちる
夕焼けのことは全てが嘘でした今日はみぞれが降っていました
- - -
※引用などよろしければ
短歌まとめ2016_4_エクレア 38首
ぽっきりと折れてしまったところからちがう何かがはえてきている
国道でエクレアみたいに潰れてる何であったかわからないもの
潰されてエクレアみたいになっていたものはやっぱりエクレアでした
決められたレールに乗った人生のレールが絶叫マシンのレール
鬼退治するはずだった桃の実が手違いによりピーチネクター
きみの行くアラル海ってどこですかぼくは遠くのことは知らない
本州のかたちで眠る泣きながら(
短歌まとめ2016_3_桔梗が丘 20首
にんげんの途中で進化をあきらめて幸せだった魚にもどる
いつまでも桔梗が丘のまぼろしがあふれ出てくるドーナツの穴
この街のどの王将も満席で俺の餃子はなくなっていく
ストレートパーマをはじめてあててから少し可愛くなったメデューサ
大丈夫 君のクララは立ってすぐかかと落としを決めるクララだ
トカゲって切れたしっぽの方からも再生すると思っていたよ
そらいろの絵の具がなくてしかたなく夕焼けにした
短歌まとめ2016_2_噴水になる 30首
ひさびさがあふれる路地を歩む背に吠えるテリアも西の訛りで
大抵のことはそつなくこなすのに牛乳パックをあけるのが下手
右上のツキノワグマに気づかずにひとりでピースしてるのが俺
「そんなことできるのって岩合さんかお前ぐらいだ。」 という褒めかた。
マシュマロを口でうけとる練習をソファの横で猫が見ている
オレンジをきりきり強く絞ってもりんごジュースは出ないのでした
こづかいでようやく買ったC
短歌まとめ2016_1_ベビーカステラ 21首
サイテーと言われた意味を5年程経ってわかって凹んだりする
永遠に割れ続けてる皿の音みたいにずっとうるさい心
魂のかけらのように散らばったポテトのLに忙しい鳩
外人に言った駄洒落を丁寧にどう笑うのか訳されている
8割はうしろめたさでできていて残り2割はよくわからない
真アジとか真イワシとかと同一の世界に生きる真人間です
ゆっくりと自殺するような日々ですがヘルシアとかも飲んだりはする
か
ヤマモトコージを遠く離れて
カープ帽のおとうとつれて父を待つ紙屋町そごうオルゴール前
紙コップの底をはずしたメガホンは夏の湿気とビールのにおい
昭和的ひどい言葉を羅列してマキハラヒロミにヤジを飛ばした
子どもでも負けと思う日 長内の夢見るようなサヨナラアーチ
校庭で大野豊の沈み込むフォームをまねた 右利きだけど
広島と違うお好み焼きに慣れ ヤマモトコージを遠く離れて
紙コップで飲むビールはいつだって湿って