見出し画像

私の国籍と人種は、ときどき迷子になる

ハワイ、グアム、韓国、台湾、インド、シンガポール、バリ、イタリア。

これらの国と地域は、私が現地人に現地人だと間違われた、「現地人認定」をされたことのある場所だ。


「現地人認定」の正しいカウント方法


計測方法はいくつかある。

・旅行中、同行する友人や家族には英語or日本語で話すのに、私だけ現地語で話される。(たぶんガイドかなんかと間違えられてる)
・行った国で、現地の人に道や乗り換えを尋ねられる。
・現地の人に「あなたは現地人ですよね?」と直接確認される。
・なにかの事情で私の写真を見た現地の人が「この人はうちの国の人でしょ?」と言う。(そしてそれが私に伝えられる)

つまり、私が自ら日本人以外を自称したわけではないし、別の国の人が「◯◯人っぽい」と思うのは除外している。現地の人に認定(?)をいただいているのが、冒頭に書いた8つの国と地域ということだ。


5年ぶり9度目、記録を更新した国は?

厳しい(?)条件を設けて数えてきた「現地人に間違われる記録」
ここ数年は更新されていなかったのだけれど、先日ついに9つ目となる新たな国が追加された。
先日行った「スペイン」だ。

マドリードで有名な観光スポット「アルカラ門」


スペインは夫と二人で旅行していたのだけれど、なぜか私だけスペイン語で道を聞かれたり、話しかけられたりしていた。
今回の旅行でマドリード、バレンシア、セゴビアの3つの町へ行き、そのうち2箇所で3回ほどそのような勘違いをされた。


私が持つ8箇所の実績は、前々から夫に伝えてある。
けれど夫と旅した国は北欧やヨーロッパでも北や東など、比較的白人系の人が多いエリアばかりだったので、夫の目の前で間違えられることはなかった。

それなのにスペインに来た途端、連日現地の人に間違えられる。
想定外の間違えられ方に、夫はめちゃくちゃ笑っていた。


「俺、知らないうちに国際結婚してたわ」
 安心してほしい、私も知らなかった。


「いえ、日本人です」とか「Sorry?」などと返すと、「え? あ!? ごめんなさいね!?」みたいなかんじで、驚きながら謝られる。
こっちこそなんかごめん、と思ったりもする。

現地の人に間違えられることについては、あまり悪いこととは思っていない。
なぜなら、むしろ同じ国に住む仲間みたいに思ってくれている感じがあることが多いからだ。だからこそ現地語で話しかけてくれているし、頼ろうとしているのだと思う。
だから道などを聞かれて応えられないのは少し申し訳ないとは思う。


私の国籍と人種が迷子になっています

でも、ドイツにいれば「ニーハオ!」と言い逃げする” 自転車暴言逃亡君 ”に遭遇したりもする。つまり、概ねの人にはアジア人には見えているのだと思う。

この半月ほどの間に、先日スペインへ行って度々現地の人に間違えられ、ドイツで立て続けにアジア人差別で遊ぶ若者、「ファッション☆ワル」に遭遇した。

ある旅行先の国では現地の人に道を聞かれ、長期滞在中の国では出身国でない国の挨拶でからかわれる。もう、わけがわからない。



私の国籍と人種が、完全に迷子だ。


そしてこういう経験を度々していると、見た目による「人種」や「国籍」の判断が、どれだけあいまいなものかも感じる。
「◯◯人っぽい人」なんて世界中にどこにでもいるのだ。

じゃなければ、私の「現地人に間違われる記録」がこんなにも伸びるはずがない。

たしかに私は、欧米の人たちが想像する「ストレートな黒髪を持ち、華奢な体つきで小柄、目は吊り目で小さい」みたいな、「想像上のアジア人」ではほぼない。
阿部寛ほどではないけれど、目鼻立ちは比較的はっきりしているとは思う。

そのうえ身長もそれなりにあるし、誠に遺憾ながら華奢とは程遠い体格を持っている。本当に遺憾ながらね!
髪は長年縮毛矯正をかけているからストレートなのだけれど、長くお世話になっていた美容師さんいわく、日本人にしては地毛の色味が少し明るいらしい。

言われてみれば、高校時代に少しでも髪が傷んで明るくなると「頭髪検査」で注意を受けていた自分を思い出す。(服装は規定通りの地味生徒だったので、大事にはならなかったけど)


アジア人に見慣れているはずのアジア圏の人にとっても、ちょっとカテゴライズしにくい見た目ではあるのだと思う。
だからアジア圏を中心に現地人認定がはかどってしまう、というのは自分でもなんとなくわかっている。

いくつかの人種ミックスの人や「◯◯人っぽい」というその人の勝手な判断によって、色々言われる人がいるのも知っている。

私は日本にいれば日本人以外に疑われないだけ、まだマシなのかもしれない。(小さい頃はあったみたいだけれど…)
もし自分の母国で毎度会うたびに人種や国籍をネタにされていたら、さすがにうんざりしてしまうだろう。

日本人はまだまだ、他の国の人を見慣れていない。
幕末、外国人が日本に来て当時の日本人が大騒ぎをしたことがあったけれど、身構える感じはわりと今の日本人も変わらない気がしている。

無自覚に差別して無神経な言葉を掛けていることも多い。
「顔つきや肌、目、髪の色が違えば全員外国人」の時代は、だいぶ昔に終わっている。


ちなみに鎖国が終わってたのは1854年で、もう170年経っている。


ファンタジーみたいな「人間」がいっぱいのヨーロッパ


ドイツで暮らすようになってから、私は「ファンタジーの世界に来たみたいだな!」と思ったことがある。
それはヨーロッパならではの建物などの町の雰囲気もあるのだけれど、それと同じくらい「人間」に感じている。

「ヨーロッパ」というと、日本だと「白人の多いエリア」と一括りにされてしまいがちだけれど、一言で「白人」といっても、いろいろな種類がある。

欧米圏やアジア圏の国々は、大体日本以上にいろいろなルーツを持つ人(人種)が一つの国に集まっていることが多くて、国によってもいる白色人種にに傾向がある。

実際、日本人がイメージする「白人」という人種は、形態的特徴による三大人種区分としては「 コーカソイド 」と呼ばれる。
一言でコーカソイドといってもかなり種類があって、必ずしも明るい肌色とも限らないらしい。

そこに歴史や宗教など、人格形成に関わる要素を含めたら、とんでもない数の枝分かれになる。

ドイツで暮らすようになって、日本で「白人」とまとめて呼ばれる人たちのルーツの違いが、なんとなくわかるようになってきた。
それができるくらい身長、体格、肉付き、目や髪の色、顔つきなどが結構違うのだ。

それが分かるようになってきたとき、「指輪物語」を映画の中みたいだなと思った。

ファンタジーの世界には、ドワーフやエルフみたいな、それぞれ特性を持った種族がいる。
耳が尖っていたり、身長が低かったり、筋肉がムキムキだったり、それぞれ個性的な身体的な特徴を持つ。
もちろんヨーロッパに実際に住む人は、寿命が極端に長かったり、身長差が2倍近くあるみたいなことはあまりないけれど、ファンタジー的な極端な特徴を間引いて、もっと肌の色などの違いを追加したのが、今の私が住む世界だ。

先日行ったセゴビアは、町のファンタジー感がすごかった

よくよく見ると、髪色・髪質・目の色・肌の色・顔立ちなどはもちろんのこと、身長や体重、体つきにもかなり差がある。
日本の若者向けアパレルブランドに多い「Mサイズ」「フリーサイズ(と言う名のほぼL寄りのMサイズ)」の服では絶対に間に合わない世界だ。
XS~XXLくらいは絶対にいる。
ZARAやH&Mのサイズ展開の多さは、この世界に対応しているからだなと理解することができた。

日本だと「大きいサイズがない」と言うと「太ってるのが悪い」「太っているのは健康に悪いからダメ」みたいな論調で、サイズのない身体を持つ方が悪いみたいに責める人が稀にいるけれど、一度現地に来てよく見てみてほしい。
本当に骨格と筋肉やつき方やバランスがまったく違うのだ。
太っている・痩せているという次元ではない。
痩せれば全員が同じサイズを着られる世界ではないのだ。


そういう人達と同じ街で暮らすことで、今まで人種を3つにしか分けずに認識していた自分の固定観念がいい意味で崩壊した。
3つでは到底分けられないほど「人の種類」がたくさんあることが実感できた。


もちろん見た目による識別は、「傾向」でしかない。
そしてこれは人種の見分けであって、国籍はイコールではない。



ここで言いたいのは「人間」という生き物には、めちゃくちゃいろんな種類がいるということだ。
体重が1kgもないチワワもいれば、体重が50kgを超えるグレートピレニーズもいる。
そしてそれぞれ毛色や毛足の長さの違い、顔立ちも違う。でもどれも「 犬 」というのと同じだ。

人を犬で例えるなと言われたらそのとおりなのだけれど、それくらいには人にも種類がいるということは、知っておいたほうがいいと思う。

バレンシアで、見かけては行けない人種(ネズミ?)を見かけてしまった


ちなみに、日本人などアジア圏の人は比較的モンゴロイドが多い。

ちなみに日本も主力はモンゴロイド系だけれど、何種類かが昔、現在の日本の土地内に流れてきて、それぞれ分布したり進化したりしたという記事を、国立科学博物館館長の篠田 謙一さんが書かれていた。

それにプラスして、日本にも違うルーツを持つ両親から生まれた、いわゆるミックスの人がたくさんいる。

その関係でたまに「私は東京と大阪のハーフ(ミックス)です」みたいなことを冗談で言う人がいる。
でも人種という観点から考えると、もし両親がともに何百年も土地をあまり移動していなかったとしたら、狭義の人種でわけると、本当に人種が混ざった可能性もあるということになる。

だとすれば、国籍は同じでも狭義の意味ではミックスだ。
そう考えると、ちょっと面白いなと思う。
そして日本にいる間は「人種」というと、なんか遠い世界のことのように感じていたけれど、かなり身近なこととして感じられている自分がいる。

日本にいると自分たち黄色人種と、他の国の白人、黒人みたいにわけて、自分の周りに別の人種がいないという「モノ・レイシャリティ(単一人種観)」に陥りがちだ。
けれど今の時代、日本も決してそんなことはないことを、もう一度再認識したほうがいいと思っている。


私、もしかして…「量産型モンゴロイド!?」


最後に私の「現地人に間違われる記録」について話を戻したいと思う。

調べた知識と経験を照らし合わせた限りではあるけれど、私はおそらく、モンゴロイド系の人種が多いアジア圏の国では、現地人と間違えられやすい傾向があるらしい。

そしてコーカソイド系の人が多い国でも、スペインのようなモンゴロイドとの混血の人種が一部いる国では、「現地の人では?」と思われる可能性があるのかもしれない。
「他人の空似」「という言葉もあるけれど、それが世界規模で展開される可能性もあるのだ。

これは「他人の空似」……かなぁ……?

「モンゴロイド」というと、アジア圏に多い人種というイメージが強いけれど、実際は結構広く分布しているらしい。
ヨーロッパにもいるし、南米にも中東にも、かつて移住したアジア人もいれば、もっと昔から先住民としてモンゴロイド系の人種がいる場所もある。

北極地域にいるイヌイットなどと呼ばれる人たちも、モンゴロイド系だと分かっているらしい。
たまにYoutubeで、その地域で暮らす方を見かけるけれど、確かにモンゴロイドらしい顔立ちをしている。

ハワイなどにいるポリネシア系の人も、モンゴロイド系の人とは、遺伝子的には近縁らしい。


つまりモンゴロイド仲間は、自分が思っている以上に世界中にいる。
だから私も、「なんで?」みたいな場所で間違えられるのだと思う。

そう考えると私は、「量産型女子」ならぬ「量産型モンゴロイド」みたいな感じなのかもしれない。
純粋・混血に関係なく、モンゴロイドの血が入っている人に多い顔・体格みたいな感じなのだろう。しらんけど。

あとある可能性はは、さもずっとここに住んでいるような、「勝手知ったる顔」をして歩いているのかもしれない。
スーツケースを持っていても、道を聞かれたりもするけれど。(笑)

現地の人に見間違えられているくらいの方が、観光客狙いの犯罪などには巻き込まれにくそうだから、それはそれでいいかなと思っている。
「知ったような顔して歩きおって!!」と言われない限り、各地で適度になじませていただきたく所存だ。


残りの海外生活のなかで、「現地人に間違われる記録」がまだ伸びるのかもう伸びないのか、ちょっと楽しみになっている私がいる。
わざと現地の人に寄せるなどの不正はせず、「量産型モンゴロイド」として、今後の展開を見守ろうと思う。

サポートしていただくと、たぶん食べ物の記事が増えます。もぐもぐ。