詩 『満月で理解をする人間』

妖しげな満月の光が降りてくる。
西が眩しくて東が氷を張る。
現実的なオカルトはクレパスで書けない。

古い惑星はパンパンに腫れている。
恒星は気にもせず、
固体になった海が大切に持っている乾いた骨に、
マグマを取り付けて地球に何かを書いている。

100万個の魂がブクブク音を立てて沸騰する。
その音が夜を震わせて、しまいには夜を曲げて、
ソレを力ずくで気体にしていく。
どうやら焦って起きているのは僕だけ。

月明かりによって見やすくなった
窓から見えるビルが
ゴォゴォと、火だるまになっている。
じーっと炎を見ているヒトは静かに笑う。
「分かっていたよ」と、ご機嫌に。

100万個の微生物がポタポタ音を立てて落ちる。
その音で雲が雨だと勘違いして、
しまいには見えなくなって、
ソレを力ずくで腐らせていく。
どうやら雨がヒトに見えるのは僕だけ。

月明かりによって見やすくなった
地面にヌルッと溶けていった死体が
遅帰りの人の革靴をじっと見ている。
まるで計算をしているようだ。
僕には分からない程度の計算を。

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